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チェルシーが失いアーセナルが得たもの:クラブとイングランド代表の未来を背負う親友同士のルイス=スケリーとヌワネリ

プロ選手になることはサッカーに夢中な若者の誰もが憧れる夢である。親友と一緒にそれを実現できれば、これ以上ないほどの幸運だ。しかし、実際にそのようなことが起こる可能性はあるのだろうか。基本的にはゼロに近い。

驚くべきことに、マイルズ・ルイス=スケリーとイーサン・ヌワネリは、国内最大のクラブチームでその夢を実現している。ヘイル・エンドの卒業生としてアーセナルのトップチームで注目を集める最新の2人組は、10年以上にわたって驚くほど似たような道を歩んできた。そして、2024-25シーズンにミケル・アルテタ監督の下で同時にブレイクを果たした。

しかし、これは始まりに過ぎない。NXGN2025が選出した世界最高の50人の若き才能のトップ10に入ったこの幼なじみコンビは、クラブと代表の現在と未来を担う準備ができている。

  • Ethan Nwaneri Myles Lewis-Skelly ArsenalGetty

    同じ道をたどった2人

    ルイス=スケリーとヌワネリのアーセナルのトップチームへの道は、旅の始まりからして偶然にもまじりあっており、友情が芽生えたのは12年前のことだった。すでに親友だった2人は、ともに北部ロンドン出身のアーセナルのファンであり、2015年5月には、アーセナルのヘイル・エンド・アカデミーのU9に同期生として在籍していた。

    彼らはそこで一緒に年齢別カテゴリーを越えて昇格し、U18のチームでも同じ試合でデビュー。その時2人ともまだ14歳だった。ヌワネリが先発出場し、得点を挙げた。ルイス=スケリーは途中出場で見事なゴールを決め、6-1でレディングを一蹴した。

    ヌワネリは、2022年にわずか15歳でブレントフォード戦に途中出場してトップチームのデビューを果たし、プレミアリーグでの最年少記録を更新して有名になったが、アーセナルは彼を非常に慎重に扱い、多くの人が期待したような大きな飛躍はならなかった。

    2023年、2人はFAユースカップの決勝に進出したチームの中心メンバーとして活躍し、ルイス=スケリーが準決勝のマンチェスター・シティ戦で121分に決勝点を決めたが、決勝では素晴らしいパフォーマンスを見せたウェストハムに阻まれ、トロフィーを逃すこととなった。

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  • Arsenal v Olympique Lyonnais - Pre-Season FriendlyGetty Images Sport

    チャンス到来

    長年の親友である2人は、2024-25シーズン直前まで驚くほど似たような軌跡をたどっており、当然のようにほぼ同時にトップチームでブレイクを果たした。

    プレシーズン中からトップチームに関わっていた2人は、シーズン開幕時にはアルテタ監督のチームのメンバーとなっており、引き分けとなった9月のマンチェスター・シティ戦でルイス=スケリーがプレミアリーグでのデビューを果たした。試合後の騒ぎの中でハーランドがルイス=スケリーに「お前誰だ」と尋ねたことはハーランドにとって不名誉な話として有名だ。

    その後、攻撃と守備の両方で徐々に出場時間が増え、ケガ人が相次いで慌ただしかった冬の間には、監督が2人を重用せざるを得なくなり、そこでも2人は急速に成長を遂げた。

    それ以降、2人は後戻りすることなく、今やトップチームの主力選手として活躍している。その頂点は、2月初旬にエミレーツ・スタジアムで行われたマンチェスター・C戦で、5-1で大勝した中で2人がゴールを決めたことであろう。この試合、アーセナルでの初ゴールを決めたルイス=スケリーは、得点後、ハーランドのゴールパフォーマンスである「禅」のパフォーマンスを真似し、かのノルウェー代表に簡単に忘れられないようにした。その後、ヌワネリもペナルティーエリアの外から目の覚めるようなゴールを決めた。

    アーセナルはケガ人が多くタイトル争いでリヴァプールに敗れるのは避けられないと言うかもしれないが、ルイス=スケリーとヌワネリが揃って台頭したことは、この危機的状況における大きな光明であると考えられるだろう。

  • Ethan Nwaneri ArsenalGetty

    チェルシーの失敗

    しかし、状況はまったく異なるものになっていた可能性もあった。実際、この親友同士が初めて顔を合わせたのは、アーセナルにとってロンドンでの強烈なライバルであるチェルシーのトライアルだった。だが、2人が尊敬するチームメイトのデクラン・ライスもそうだったように、チェルシーはこの2人を取り逃してしまったのである。

    「チェルシーとトッテナム・ホットスパーでトライアルを受けた後、U9のアカデミーに入ったんだ」と、2024年、ルイス=スケリーは語った。「それからは辛抱強く、謙虚に努力を続けてきた。ここまでの道のりに大きな挫折はなかったと思う。だって、どんなことも挫折とは思わず、ただ学ぶ機会だと思っているからね」。

    「アーセナルに入団する前からイーサン・ヌワネリと知り合いだった。チェルシーで一緒にプレーしたし、ある意味、一緒にキャリアアップしてきたと言える」と、ルイス=スケリーは明かしている。

    皮肉なことに、報道によると、2023年にヌワネリがアーセナルへの移籍を決める前、チェルシーはとりわけヌワネリとの再契約に躍起になっていたという。まさにチェルシーが失ったものをアーセナルが得たというわけだ。

    西部ロンドンのチームが若い有望な選手を狙うことを移籍方針にしていることを考えると、かつて自らのチームに所属していたイングランドで最も才能ある選手2人がライバルのチームで活躍しているのを見るのは、さぞかし辛いことだろう。

  • Myles Lewis-Skelly Mohamed SalahGetty

    本来とは違うポジションで輝く

    2024-25シーズン、この10代コンビの急成長がとりわけ印象的なのは、2人とも本来のポジションとは異なる場所でプレーすることが多く、多くの主力選手の離脱という問題を抱えるチームにおいて、アルテタ監督に必要不可欠な解決策を提供してきたことである。

    ヌワネリは自身を攻撃的MFと表現しているが、負傷したブカヨ・サカに代わって右ウイングを務めることが多く、得意の左足で内側に切り込んで強烈なシュートを放つ能力を急速に開花させている。

    一方、ルイス=スケリーは、公式には守備的MFまたはセントラルMFであるにもかかわらず、アーセナルの左サイドバックのファーストチョイスとして台頭し、リーグ屈指のウイングたちに対して堅実なパフォーマンスを見せている。だが、アルテタ監督は、まもなく彼には背番号6または8としてのチャンスが与えられるだろうと示唆している。

    こうした多才さは非常に貴重なものとなる可能性がある。アーセナルは、ピッチの要所で複数のポジションをカバーできる、将来有望なエリート選手を2人育成しつつあるのだ。

  • Myles Lewis-Skelly Ethan Nwaneri Arsenal 2024-25Getty

    夢が実現

    たとえ先輩たちがチームに戻ってきたとしても、ルイス=スケリーとヌワネリの居場所はあるだろう。今や、正真正銘のトップチームのスター選手たちが最高の仲間となっており、まさに夢が実現したと言えるのだ。

    「イーサンと一緒にそれを経験できるのは特別なことだ。だって、僕らは一緒に育ってきたんだからね」と、ルイス=スケリーはアーセナルの公式ウェブサイトでのインタビューで語った。「僕たちは何年も前からこのことについて話していたから、まるで夢が実現した気分だよ」。

    「子供の頃から、僕らならそれができると思っていた。ずっと、お互いに高め合いながら、目指すところまで到達しようとしてきた。でも、まだまだ先は長いけどね」。

    ヌワネリも自身のインタビューで同じような考えを述べている。「僕とマイルズは6歳の頃からずっと親友で、今は一緒にアーセナルのチームメイトとしてプレーしている。信じられないことだよね。でも、実際にそうなっているんだから、立ち止まって考えたりなんかしない。僕らはもっと上を目指している。僕らは、まだ始まったばかりだってことを知っている」。

  • Myles Lewis-Skelly Arsenal England 2024-25Getty

    イングランド代表の現在と未来

    3月初旬にトーマス・トゥヘル監督がイングランド代表の初陣メンバーを発表するまでの彼らの活躍は目覚ましく、10代の2人をメンバーに選ぶべきだという声が上がった。これには、スリー・ライオンズの攻撃陣の多くの選手が不調に陥り、ケガによるルーク・ショーの不在が長引いて、左サイドバックのポジションが深刻な問題となっていることが背景にある。

    最終的に18歳のルイス=スケリーがトップチームに選出され、一方のヌワネリは、アダム・ウォートン、リアム・デラップ、ジェイミー・ギッテンス、ジョーブ・ベリンガムらとともに、才能あふれる選手たちがひしめくU21チームに召集された。

    MFからサイドバックに転向したマイルズを招集した後、トゥヘル監督は次のように語った。「我々は常にマイルズに感銘を受けていた。彼は、アーセナルでプレーし始めてすぐにレギュラーになった。アーセナルは現在リーグ2位のチームであり、チャンピオンズリーグの準々決勝に進出したチームである」。

    「すでに猛スピードで進んでいたキャリアをさらに早送りしたような気分になるのも当然だ。ここ数日、数週間の話し合いは、ある種、保護者的な雰囲気だったと断言できる。彼を少し守るために、U-21の代表チームをスキップすべきではないとさえ感じていた」。

    「彼を招集しないことが我々の責任なのかもしれないとも思った。しかし、最終的には負傷者のことや、彼が試合で見せてきたクオリティや成熟度を考慮し、招集することに決定した」。

    2人の進む道は一時的には分かれたかもしれないが、ヌワネリも現在のコースを進んでいけば、1年後の2026年には、イングランドのワールドカップ代表チームの有力候補となるだろう。一方、ルイス=スケリーは、左サイドバックのポジションを今後もずっと自分のものにするためのチャンスを早くも手に入れた。

    U21代表チームやトップチームの25歳以下の選手たちのレベルをちょっと見るだけでも、代表チームの未来が非常に楽しみであることが理解できる。そして、この2人はその未来において重要な役割を果たす準備ができているのだ。

  • Ethan Nwaneri Myles Lewis-Skelly ArsenalGetty

    「サッカーチームの顔」

    事実、彼らはクラブと代表の未来となる可能性を秘めている。まだ若い彼らに活躍の場を与えることこそ、アルテタ監督のビジョンなのだ。

    「私が思うに、文化的かつ我々の歴史的に、また、我々が属するのがイングランドのクラブであるからこそ、クラブを代表するようなDNAが存在し、アカデミー出身の選手が大勢いるのだと思う。私は、それは非常にポジティブなことだと思う。だから、私はそれをとても誇りに思っている」と、最近、このスペイン出身監督は語っている。

    「素晴らしいことだと思う。我々のサッカーチームに人々を惹きつけ、誇りを持たせることになる。誰もがアカデミー出身の選手やイングランド出身の選手がチームを牽引し、チームの顔となることを望んでいると思う。それは本当に重要なことだと思う」。

    「自然にそうなっていくべきだと思う。特にこの2人(ヌワネリとルイス=スケリー)に関しては、無理強いしてはならない。本当に良いニュースだ。彼らはその地位にふさわしく、素晴らしい活躍をしており、2人の前途には明るい未来が待っている」。

    幼なじみから世界の舞台へ、ルイス=スケリーとヌワネリはNXGN2025のトップ50に入るのにふさわしい若き天才である。彼らには、まだまだ多くのことが待ち受けている。