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Arsenal UCL failure GFXGetty/GOAL

アーセナルの未来を左右する一夜:アルテタ体制を「大成功」と言うために…勝利以外許されないPSG戦へ

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2019年12月、ミケル・アルテタの指揮官の就任からアーセナルは着実に成長を続けてきた。アーセン・ヴェンゲル退任後に低迷の一途を辿っていたチームは活力を取り戻し、特に直近3シーズンはいずれもプレミアリーグ優勝争いの主役の1つに。この若きチームは、今では「タイトルを逃す」ことが話題になるほどにまでなっている。

だが、この「タイトルを逃す」ことはシーズンを追うごとに重みを増している。アルテタがほぼ一からこのチームを作り上げたことは絶賛に値するが、未だ主要タイトルはFAカップ1つのみ。今季も、プレミアリーグでは最大のライバルだったマンチェスター・シティが躓いたにもかかわらず、新指揮官就任1年目のリヴァプールにまったく手が届かなかった。

そして残されたタイトルは、もうチャンピオンズリーグだけ。クラブ悲願でありながら、黄金期を誇ったヴェンゲル体制ですら成し遂げられなかった偉業である。しかし、ホームでの準決勝ファーストレグは0-1で敗戦。7日のセカンドレグでは、敵地で勝利が必須だ。このパルク・デ・プランスでの一戦は、アーセナルの将来に重大な意味を持つ試合となる。

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  • TOPSHOT-FBL-EUR-C1-REAL MADRID-ARSENALAFP

    重要なメッセージ

    イングランド代表OBウェイン・ルーニーは、PSGとのファーストレグ後にアーセナルへ厳しい指摘を行っている。

    「彼らのプレーには少しがっかりした。ファンに対してもね。レアル・マドリー戦のファンは素晴らしかったけど、今夜は少し沈んでいたね……レアル・マドリーに勝ったため『優勝するんだろう』という期待感の反動だったと思う。今夜は、ファンが選手たちを支えるべきだったんだ。もちろん、選手も全力で戦うべきだった。どっちも今夜は十分じゃなかったよ」

    まず第一に、現欧州王者であるレアル・マドリーを2試合とも圧倒したことは、今のアーセナルにとって重要なメッセージだった。最後のCL準決勝進出は2009年。10年以上に渡って欧州の舞台で“アウトサイダー”だった彼らは、重要な一歩を踏み出したのである。間違いなく、現チームとアルテタの功績だ。このプロジェクトが間違っていないことを、これ以上ない形で証明したのである。

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  • Arsenal FC v AFC Bournemouth - Premier LeagueGetty Images Sport

    国内での失速

    欧州での地位を取り戻しつつあるアーセナル。しかし、国内リーグでの地位は揺らいでいる。今季開幕時、各メディアでは「優勝候補の筆頭」として何度も紹介され、あの伝説的な無敗優勝以来のプレミアリーグ制覇の期待が高まっていた。

    だが、34節を終えた時点で悲願のタイトルは夢に終わった。特に昨年秋からはリヴァプールの独走についていけず、結局15ポイント差をつけられてトロフィーを譲っている。2月にマンチェスター・シティを5-1で粉砕してからは、11試合でわずか4勝。先日ボーンマスに敗れた(1-2)ことにより、勝っている状況から失った勝ち点の合計は「21」に。これはクラブワーストタイ記録だ。これまで安泰と思われていた2位の座すら危うくなっている。

  • Arsenal FC v Real Madrid C.F. - UEFA Champions League 2024/25 Quarter Final First LegGetty Images Sport

    準備不足

    確かに、過去2シーズンとの違い今季は主力選手の相次ぐケガに悩まされてきた。

    ブカヨ・サカをはじめ、マルティン・ウーデゴール、ガブリエウ、ベン・ホワイト、ガブリエウ・ジェズス、カイ・ハヴァーツ、ガブリエウ・マルティネッリ、リッカルド・カラフィオーリ、ユリエン・ティンバー、冨安健洋……大一番のスタメンが組めるほどの選手たちを失えば、どんなチームだって勢いを失うのは当然だ。そうした中でも、マイルズ・ルイス=スケリーやイーサン・ヌワネリの発掘、ミケル・メリーノのストライカー起用など、できる限りの手を打ってここまで戦ってきたことは素直に称賛に値する。

    だが、アーセナルがケガに苦しんだのはこれが初めてではない。ヴェンゲル体制はもちろん、アルテタ体制でも2022-23シーズンのウィリアン・サリバの離脱で失速を経験している。さらに欧州コンペティションを戦うことはわかっていたため、過密日程も予想できたはずだ。

    しかし、アルテタのチームはこの過密日程とケガ人の発生に準備ができていなかった。それは指揮官が選手交代をうまく活用できず、ローテーションもうまくいっていないことに加え、クラブとしても十分な選手を揃えるなどバックアップが整っていなかったからである(必要だったサカの控えとしてやってきたのは、ラヒーム・スターリングだった)。

  • William SalibaGetty Images Sport

    サリバの危機

    そんな状況下で先週末、アーセナルファンにとって心配なニュースが飛び込んできた。

    フランス大手スポーツメディア『レキップ』は、サリバの側近がレアル・マドリーと「数週間に渡って」話し合いを進めていると報じている。本人はアーセナル残留を希望し、退団を強要するつもりはないようだが、こうした水面下での交渉はレアル・マドリーが最も得とする戦法だ。なお2024年10月、アントニオ・リュディガーはサリバを絶賛しつつ、「アーセナルファンは引き抜きを恐れるべき?」との問いに「誰かを脅すつもりはないんだけど、彼がこのまま続けていけば……」と語っている。

    現時点でサリバの将来は決まっていない。しかしアルテタが2019年末に就任して以降、重要な選手がこうした移籍の噂に巻き込まれるのは初めてである。24歳ですでに世界トップレベルである彼の行方は、アーセナルの将来を大きく左右するだろう。彼をノースロンドンへ引き止めるのは何が必要か? もちろん、タイトルである。

  • dembeleGetty

    未来をかけた一戦

    だからこそ、このPSG戦はアーセナルの未来を左右する重要な一戦なのだ。

    ホームでのファーストレグは、ゴールに何度か迫ったものの、決して100点満点のパフォーマンスではなかった。PSGにボールを握られ、セカンドボールも拾われ、とにかく耐える時間が長かった。トーマス・パーティ不在の影響は色濃く、いつものような敵陣でのボール回収やパスワークは影を潜めていた。敵地でのセカンドレグでは、これと真逆のことを実行しなければならない。

    ボーンマス戦で主力を休ませなかった判断が裏目に出るかもしれない(PSGは主力のほとんどを休ませた)。またもジャンルイジ・ドンナルンマが立ちはだかるかもしれない。またもウスマン・デンベレを捕まえきれないかもしれない。アーセナルの勢いは陰りを見せており、逆転勝利はそう簡単ではないはずだ(奇しくも準々決勝でアーセナル自身がそれを証明している)

    指揮官は前日会見で「我々は歴史を作りに来た。明日は大きなチャンスだ。何をすべきかは明確であり、あと1勝すれば決勝進出だ。これ以上望むことはないし、言うこともない。試合開始と同時に、ピッチで勝負を決めよう。最高の、最高の、最高の姿を見せて、勝利を掴み取るんだ」と語った。熱意は十分だ。あとはそれをピッチ上でどう表現するかにかかっている。

  • Arsenal FC v Paris Saint-Germain - UEFA Champions League 2024/25 Semi Final First LegGetty Images Sport

    最高の夜を

    フットボールは何が起きるからわからない。前述したような不安はいとも簡単に解消され、アーセナルがビッグイヤーを掲げ、サリバが長期契約を結ぶ未来が待っているかもしれない。その勢いを維持しながら夏に大型補強を敢行し、新シーズンこそプレミアリーグ制覇を達成するかもれない。

    こうした明るい“妄想”にふけることができるのは、現状ではアーセナルのプロジェクトが成功していると感じられるからだ。しかし、あまり時間は残されていない。将来的にアルテタ・アーセナルを評価する時、この2024-25シーズンは「アーセナル王朝の始まり」なのか、「アーセナル衰退の始まり」なのか、PSG戦の結果次第でどちらとも捉えることができるシーズンになるかもしれない。

    アーセナルファンは長きに渡って待ち続けてきた。現選手たちもクラブへの愛を示し、着実に階段を上ってきた。そうした思いのすべてが報われるためにも、パルク・デ・プランスでの夜は最高の結末を迎えなければならないのだ。