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エンバペ、ジョアン・ネヴィスら…今夏最高の移籍トップ15

2024年1月の移籍市場は、『ファイナンシャル・フェアプレー規則』と『収益性と持続可能性に関する規則』に違反することを恐れた各クラブが財布のひもを締めたため、ここ最近では最も静かだった。それまでの3回の移籍市場では前代未聞の新たな高額記録が生まれ、目を見張るような取引のほとんどがプレミアリーグ(正確に言えばチェルシー)によるものだったが、そんなものは持続可能ではなかったのだ。

今年の夏はさらに均衡がとれていた。ヨーロッパでは再び大金が飛び交ったが、もはや、各クラブが優先すべきターゲットに予想以上の額を支払うことはなくなり、定評あるベテランより才能ある若手に焦点が集まるようになった。

プレミアリーグではいくつかエキサイティングな取引が行われ、マンチェスター・ユナイテッドとアーセナルはそれぞれジョシュア・ザークツィーとリッカルド・カラフィオーリをボローニャから獲得したが、他のリーグは総じてさらに積極的な獲得競争を繰り広げた。

GOALは以下に、この夏これまでのイングランド以外の最高の移籍15件を列挙する。キャリアの新たな章を開始したアメリカのスターから、人生の夢をかなえるために大幅な減給を受け入れたと報じられるワールドカップ優勝経験者まで。

  • Sergino Dest PSV 2024Getty Images

    15セルジーニョ・デスト(バルセロナ→PSV、フリー)

    ついにバルセロナでのデストの哀しい4年間が終わった。アメリカ代表のデストはカンプ・ノウでは自身の価値を証明するチャンスをまったく得ることができなかったが、2023-24シーズンにPSVにレンタル移籍したことで、サッカーへの情熱を取り戻した。

    PSVはエールディヴィジ制覇を余裕で成し遂げ、デストは、残酷な前十字靭帯のケガでシーズンが早めに終わり、コパ・アメリカにも出られなくなるまで、チームの主力のひとりだった。23歳のデストは年明けまでプレーできないと予想されているが、それでもPSVは彼との完全移籍契約をかわすことを決め、膨らみすぎた選手への報酬を削減したいバルサは喜んで放出した。完璧なサイドバックになりうる素質をすべて持ったデストが完全復帰すればPSVは大きな利益を得ることができるはずで、この契約のリスクは計算済である。

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  • Palhinha-BayernGetty

    14ジョアン・パリーニャ(フラム→バイエルン・ミュンヘン、5000万ユーロ)

    昨年の夏、バイエルン・ミュンヘンは、ジョアン・パリーニャをフラムから6,500万ユーロ(約105億円)で獲得することを考えたが、パリーニャがすでにフラムで最初の写真撮影に参加していたため立ち消えとなった。ほとんどの選手にとって心が折れるほどの失望をもたらす話ではあったが、パリーニャは憑依したかのようにフラムで活躍し、中盤での彼の素晴らしい活躍がなかったら、チームは残留争いに巻きこまれていたかもしれない。

    パリーニャは底知れぬエネルギーを見せてボールを奪うことに秀でており、29歳という年齢でありながら、まだピークに達していないように思われる。それこそが、バイエルンがこのポルトガル代表選手を7月に割引価格で獲得した理由のひとつであり、クレイヴン・コテージでの2年間で見せた強さをアリアンツ・アレーナでも証明できれば、まさにお買い得選手と言われるかもしれない。

  • VaraneGetty

    13ラファエル・ヴァラン(マンチェスター・U→コモ、フリー)

    マンチェスター・ユナイテッドとラファエル・ヴァランとの契約は遅すぎた。2021年、レアル・マドリーで輝かしいキャリアを見せていた28歳はプレミアリーグでの新たな挑戦に向かったが、体格に恵まれ技術に優れたDFと言えど、オールド・トラッフォードで同じ高みに到達することはできなかった。

    ケガにつきまとわれたことがヴァラン衰退の主因であり、6月にオールド・トラッフォードを去るにあたって、彼の評価はかつてないほど低かった。だが31歳のヴァランには経験も才能もまだ大いにあり、セリエAに新たに昇格したコモへの移籍は驚きではあるが、素晴らしい成果をあげるかもしれない。イタリアの美しい地域で、野心あふれるプロジェクトの一員としてセスク・ファブレガス監督の下でプレーすることは、ヴァランに新たな人生を与えるかもしれず、ヨーロッパの大会に出ることを気にすることなく、試合と試合の間でリカバリーの時間を多くとれることだろう。新たな雇い主は、彼が日曜のデビュー戦で負ったケガが重傷でないことを祈っているだろうが……。

  • Georges-Mikautadze(C)GettyImages

    12ジョージズ・ミカウタゼ(メス→リヨン、1800万ユーロ)

    一般的なサッカーファンのほとんどが、この夏のドイツでの欧州選手権の前にジョージズ・ミカウタゼのことを知らなかったことだろう。ジョージア代表のミカウタゼは、昨年メスからアヤックスへ夢の移籍を果たしたが、2023-24シーズンの前半は全公式戦で9試合しかプレーできず、オランダのチームはレンタルでスタッド・サン=サンフォリアンにミカウタゼを戻すこととなった。

    ミカウタゼはメスをリーグ・ドゥへの降格から救うことができなかったが、リーグ戦20試合で13得点を挙げ、最終的にメスと完全移籍の契約を交わしなおした。23歳のミカウタゼは、ジョージアが大番狂わせでベスト16に進出する間に最多得点を記録したひとりとなり、得点王を同時受賞したことで、リヨンが素早く獲得に動いた。トップクラスのストライカーへの成長の兆しを見せるミカウタゼの加入は、リヨンがチャンピオンズリーグ出場権を取り戻すのに絶好の移籍であろう。

  • Gross-DortmundGetty

    11パスカル・グロス(ブライトン→ボルシア・ドルトムント、700万ユーロ)

    ブライトンで縁の下の力持ちだったパスカル・グロスは、イングランドでの記憶に残る7年間を終えて、母国ドイツに戻った。ボルシア・ドルトムントとの2年契約の魅了に抗えなかったグロスだが、現代のプレミアリーグの「ビッグ6」以外で最も安定感のある選手のひとりとして名を残すだろう。彼の多才さを失ったブライトンの傷は大きいかもしれない。

    33歳のグロスは右サイドバックや攻撃的MF、必要とあればFWとしても、ポゼッションの役割を果たすことができる。視野の広さでスペースを見つけだすことに長けているグロスは、敵に本物の攻撃の恐怖を与えることができ、そのことは昨シーズン、14得点に貢献したことで明らかだ。EURO2024のドイツ代表にも選ばれている。グロスが新天地ドルトムントで活躍し、チームをブンデスリーガのタイトル争いに復帰させたとしても驚くことではない。

  • Michael Olise Bayern Munich 2024-25Getty Images

    10ミカエル・オリーズ(クリスタル・パレス→バイエルン・ミュンヘン、6000万ユーロ)

    昨シーズン、クリスタル・パレスで活躍したミカエル・オリーズは、マンチェスター・ユナイテッド、チェルシー、マンチェスター・シティが強い関心を示したが、獲得競争に勝ったのはバイエルン・ミュンヘンで、ドイツでハリー・ケインとの連携が見られるのことは非常に興味深い。オリンピックのフランス代表に選ばれたオリーズを手放したクリスタル・パレスはクラブ史上最高金額を手にしたが、バイエルンも、この22歳がまだその才能の多くを発揮していないことを考えれば、非常に公正な価格で獲得できたと確信していることだろう。

    唯一の不安はオリーズの体調だが、バイエルンの新監督ヴァンサン・コンパニは、徐々にこの爆発力をもつウイングを、同じく右サイドで待望される役割を競い合うレロイ・サネやセルジュ・ニャブリとともに起用していくことだろう。バイエルンには、新チャンピオンのレヴァークーゼンから王座を奪還するためのワイルドカードが必要で、オリーズは、今後数カ月で体調が整えば、ブンデスリーガで大暴れできるだろう。

  • Michele di GregorioGetty

    9ミケーレ・ディ・グレゴリオ(モンツァ→ユヴェントス、1800万ユーロ)

    2017年にアーセナルからユヴェントスに加入したヴォイチェフ・シュチェスニーはチームのために大いに活躍したが、チアゴ・モッタ監督のもと、トリノのチームは新しい時代に入り、ポーランド代表GKは退団が決まった。老貴婦人は早々に新しい背番号1を発掘して、モンツァの最後のシーズンで合計127セーブという大記録を打ち立てたミケーレ・ディ・グレゴリオを加入させた。この成績に匹敵できる選手は誰もおらず、ディ・グレゴリオは当然のことながら2023-24シーズンにセリエAのベストGKに輝いた。

    後方からの組み立てを大いに提唱するモッタ監督は、この27歳の足元でのボールさばきも高く評価している。ディ・グレゴリオはユーヴェの守備をさらに強固にするだろうが、彼の優れたパス供給力により、さらに魅力的なチームとなるに違いない。

  • Assan Ouedraogo - SchalkeGetty

    8アサン・ウエドラオゴ(シャルケ→RBライプツィヒ、1000万ユーロ)

    シャルケはここ数年、財政危機のために忘却の隅に追いやられ、騒がれることがほとんどなかったが、かの有名なアカデミーを卒業したアサン・ウエドラオゴにより、待ち望まれていた輝きがチームにもたらされた。ドイツ出身のウエドラオゴは2023-24シーズンに大いにブレイクし、全公式戦18試合で5得点に貢献した。足首の靭帯損傷からの早期回復という大いなる決意も示していた。

    ウエドラオゴにはマンチェスター・ユナイテッド、チェルシー、リヴァプール、バイエルンが大いに関心を示していたが、本人はRBライプツィヒで成長を続けることを選択し、1,000万ユーロの投資は、この夏の最安値のひとつである。18歳のウエドラオゴはレッドブル・アリーナで輝くチャンスを待たなければならないかもしれないが、敵を壊滅させるスピードの変化と天才的なポゼッションで、すでにドイツの次世代のホープとみなされている。

  • Le Normand SpainGetty

    7ロビン・ル・ノルマン(レアル・ソシエダ→アトレティコ・マドリー、3450万ユーロ)

    アトレティコ・マドリーは移籍をめぐって2億ユーロ(約324億円)を支出する道を突き進み、フリアン・アルバレスが、プレミアリーグでの安楽を投げうってディエゴ・シメオネ監督のチームに来ることとなった。だが、これまでのところ最高なのは、3,450万ユーロ(約55億円)でロビン・ル・ノルマンを獲得したことだろう。この27歳はレアル・ソシエダでの8年間で、ラ・リーガで最高のセンターバックのひとりとの評判を得ており、スペイン代表のEURO2024優勝において強固な地盤を築くことに貢献した。

    ル・ノルマンが来たことで、アトレティコのファンはマリオ・エルモソとステファン・サヴィッチがいなくなったことを嘆く必要はなくなった。ル・ノルマンには、シメオネ監督のDF陣にまったく新しい次元をもたらす素晴らしい身体能力とサッカーIQがある。足元のボールさばきにも優れており、アトレティコを再びレアル・マドリーやバルセロナに挑戦してラ・リーガ制覇を目指すチームにする触媒となれるかもしれない。

  • MORATA MILAN 2-1GOAL

    6アルバロ・モラタ(アトレティコ・マドリー→ACミラン、1300万ユーロ)

    アルバロ・モラタは常に評価の分かれる選手だ。31歳のモラタはレアル・マドリー、ユヴェントス、チェルシーで活躍し、プロ通算216得点を積みあげているが、安定性を欠くこともあり、事態が悪化すると泣き言を言いすぎると評判だ。

    しかしながら、2020年にアトレティコへ移籍してからはサッカーにもっと闘志を見せるようになり、数字的にも年を経るごとに良くなっている。これまでのところ2023-24シーズンがモラタにとって最も得点を記録したシーズンで、アトレティコで21得点を決めている。スペイン代表としてはEURO2024で1得点しかしなかったが、味方のターゲットになれるスキルはチームに欠かせない。

    そんなわけでACミランは、最高の舞台での経験が豊富で信頼できるストライカーと、たった1,300万ユーロ(約21億円)で契約した。モラタが再び批評家たちを黙らせる活躍をしても驚くことではない。

  • Matias Soule Frosinone 2023-24Getty

    5マティアス・スーレ(ユヴェントス→ローマ、2600万ユーロ)

    マティアス・スーレは、昨シーズン、まったく平凡なフロジノーネというチームにレンタル移籍し、右ウイングとしてセリエAで11得点を挙げた後、ユヴェントスからローマに移籍した。21歳のスーレは降格の運命にあったチームで輝き、そんな素晴らしいシーズンの後にユーヴェが宿敵ローマに彼を行かせたことは大いなる驚きであった。

    スーレは、ユーヴェのこの決断を大いに後悔させる可能性がある。ローマの真の武器になりうるポテンシャルがあり、同じアルゼンチン出身のパウロ・ディバラとアタッキングサードでコンビを組むと考えると、脅威である。大きな試合で若手にチャンスを与えることを恐れないダニエレ・デ・ロッシ監督も、スーレにとって最高の監督となるだろう。

  • Joao Neves Portugal 2024Getty

    4ジョアン・ネヴィス(ベンフィカ→PSG、7000万ユーロ)

    ジョアン・ネヴィスにはマンチェスター・ユナイテッドが強い関心を示していたが、もう何カ月も、ベンフィカは、契約解除条項の1億2,000万ユーロ(約194億円)以下ではネヴィスを手放さないと頑なに主張していた。しかし、パリ・サンジェルマンが満を持してベンフィカに優位な提案をし、レナト・サンチェスをベンフィカにレンタル移籍させるということもあって、最終的にネヴィスはもともとの値段のおよそ半分でPSGに移籍した。

    ネヴィスはすでにワールドクラスのセントラルMFと言ってよく、この取引はPSGにとって非常に素晴らしいものである。19歳のネヴィスは強い競争心を持つ優秀な選手で、パルク・デ・プランスでのルイス・エンリケ監督のチームにうってつけに思われる。礼儀正しいところも重要だ。

    「チームメイトのために全力を尽くしたいと思っている。この魅力的なクラブで成長し、たくさんタイトルを獲得したい」と、ネヴィスは入団会見で語った。そのタイトルの中に、PSG悲願のチャンピオンズリーグ制覇が含まれないと誰が言えるだろうか。

  • Douglas LuizGetty

    3ドウグラス・ルイス(アストン・ヴィラ→ユヴェントス、5000万ユーロ)

    ドウグラス・ルイスがいなかったら、アストン・ヴィラは41年ぶりのチャンピオンズリーグ出場を逃していたことだろう。ブラジル代表のルイスはウナイ・エメリ監督のチームのために、35試合で9得点を決め、さらに5アシストした。事実上、攻撃でも守備でもチームを率いる将軍のような活躍をしている。

    ルイスを失ったヴィラは意気消沈しているだろうが、元マンチェスター・シティ所属のルイスはヨーロッパ最大のクラブのひとつで活躍するに値する選手であり、ユヴェントスは彼が次のレベルに到達するのに理想的なチームである。粘り強さのあるMFとして、セリエAという戦いの場で大いに活躍するだろうし、彼の才能をもってすれば、老貴婦人の攻撃をさらに効果的にできるだろう。5,000万ユーロ(約81億円)という価格がお買い得に思えるのはそのためである。

  • Serhou Guirassy Borussia DortmundBorussia Dortmund

    2セール・ギラシ(シュトゥットガルト→ボルシア・ドルトムント、1800万ユーロ)

    シュトゥットガルトは2023-24シーズン、ブンデスリーガをバイエルン・ミュンヘンより上の2位で終えたが、それには28試合で28得点を挙げたセール・ギラシの信じられない偉業によるところが大きい。ギラシはそれまで主にフランスでプレーしていたが、ゴールを量産するFWとは決して思われていなかった。ところがセバスティアン・ヘーネス監督のもとで大変身を遂げたのである。

    契約解除条項が1,800万ユーロ(約29億円)のギラシはすぐに引く手あまたとなり、ドルトムントが素早い動きで獲得競争に勝利した。ニクラス・フュルクルクを失うことがわかっていたBVBは、ギラシがドイツでレベルアップできることを期待している。ギニア代表のギラシの身体能力が卓越していることは確かで、同じく新加入のグロスが与えてくれるであろう素晴らしいアシストを得点に変えることだろう。

  • Kylian Mbappe Real MadridGetty

    1キリアン・エンバペ(PSG→レアル・マドリー、フリー)

    キリアン・エンバペはこのリストの第1位になって当然の存在である。レアル・マドリーはフリーで世界最高の選手と契約した。25歳でワールドカップの決勝に2度進出(4得点)し、PSGでは5季連続で得点王に輝いた。

    レアル・マドリーは5月に15回目のチャンピオンズリーグ制覇を果たしたが、5年契約のエンバペがいる間に、もう1度か2度は必ず優勝することだろう。エンバペはサンティアゴ・ベルナベウにクリスティアーノ・ロナウド並の衝撃をもたらすことができるし、レアル・マドリーの新たな第1センターフォワードという称号を受ける準備はできている。

    PSGがもっとカネを出せば残留したかもしれないが、スペインの首都こそが彼がいるべき場所である。2025年に初めてのバロンドール受賞を目指すに違いないエンバペは、まだ実力を出し切ってはいない。