Best January Signings GFXGetty/GOAL

プレミアリーグ史上最高の1月の移籍市場で獲得された選手トップ10

昨年1月に1億8,000万ポンド(約378億円)を投じたマンチェスター・シティは、今年の冬の移籍市場でも再び大きな動きを見せており、アントワーヌ・セメンヨ獲得競争をリードしている。

セメンヨに興味を示しているのはマンチェスター・ユナイテッドも同じで、チームを強化し、チャンピオンズリーグ出場権獲得に向けた本格的な挑戦の機会を逃すわけにはいかない。

赤い悪魔に関しては、同様に、コビー・メイヌーのレンタル移籍の希望を受けいれるかどうか、または、この不遇のMF獲得に名乗りをあげてマンチェスター・Uの決意を試すクラブが現れるかどうか、はたまたジョシュア・ザークツィーのイタリアへの移籍を許すのかどうかも興味深い。

リヴァプールも、移籍市場が開いたら注目すべきクラブのひとつである。夏に4億4,000万ポンド(約929億円)を投じたとは言えチームの強化は必須で、モハメド・サラーの将来は依然として不透明であるし、クラブ史上最高額で獲得したアレクサンデル・イサクは足を骨折したばかりだ。

アルネ・スロット監督にとっては守備の強化のほうがより大きな優先事項である。イブラヒマ・コナテとの契約は間もなく満了となるし、夏にすんでのところで獲得できなかったマルク・グエイが、契約満了前にこのイングランド代表選手を売却する最後のチャンスを迎えたクリスタル・パレスから獲得可能となっている。

クラブの監督たちは、しばしば、取引の大部分が行われる夏に比べ、冬の移籍市場はほとんど価値がないと不満を口にする。しかし、最も賢明な移籍の中には1月に実現したものもある。

そこでGOALは、プレミアリーグ史上最高の1月移籍市場で獲得された選手たちを分析してみよう。

  • Seamus Coleman Everton 2022-23 Getty Images

    10シェイマス・コールマン(スライゴ・ローヴァーズ→エヴァートン:移籍金6万ポンド(約1,260万円))

    コスパで見れば、コールマンがプレミアリーグ史上最高の1月に獲得された選手だと言えるだろう。2009年1月、当時エヴァ―トンの監督だったデイヴィッド・モイーズは情報提供を受けて、アイルランド・リーグのスライゴ・ローヴァーズからこのサイドバックをわずか6万ポンド(約1,260万円)で獲得した。いや、桁を間違えたわけではない。

    コールマンは加入直後に足の指の水ぶくれが化膿して手術を受け、そのシーズンの後半にはブラックプールにレンタル移籍されたため、即戦力とはならなかった。しかし2010年8月以降はエヴァ―トンに在籍し続け、11人の監督の下でプレーしている。

    エヴァ―トンでは433試合に出場して57得点に貢献。1試合あたり138ポンド(約2万円)、ひとつの得点またはアシストあたり1,000ポンド(約21万円)強というわけだ。また、2019年からキャプテンを務め、大型移籍の誘いが数多くあったにもかかわらず断り続け、最も忠実で情熱的な選手のひとりとして安定した活躍を続けている。37歳になった今シーズン、ケガの影響でプレミアリーグの出場はわずか3試合に留まっているが、今もトフィーズで最も愛される選手のひとりである。

  • 広告
  • Pierre-Emerick Aubameyang ArsenalGetty

    9ピエール=エメリク・オーバメヤン(ボルシア・ドルトムント→アーセナル:移籍金5,600万ポンド(約117億円))

    オーバメヤンがボルシア・ドルトムントを去るなら移籍先はレアル・マドリーだろうと常に予想されていたが、2018年1月、ドイツのクラブを離れた彼を喜んで受け入れたのはアーセナルだった。当時のクラブ史上最高額での獲得となったが、彼はすぐにその移籍金に見合う働きをし、プレミアリーグ13試合で10得点という驚くべき成果を記録した。

    その後の2シーズンも好調を維持し、全公式戦通算60得点を記録。2020年にはほぼ独力でチームをFAカップ優勝に導き、準決勝のマンチェスター・シティ戦と決勝のチェルシー戦でそれぞれ2得点を挙げた。

    しかし、新たに高額な契約を結んだ後、事態は悪化し始めた。わずか16カ月後、ミケル・アルテタ監督の規律に反したことで契約は破棄された。その後バルセロナに無償で移籍し、さらにチェルシーに加入したが、不遇の時期を過ごした。とは言え、マルセイユで停滞していたキャリアに再び活気を取り戻している。

    エミレーツ・スタジアムでの最後は残念だったが、彼は今なお、1月の移籍市場で獲得された選手の中で最も影響力があった選手のひとりとして記憶されている。

  • Gary Cahill ChelseaGetty

    8ガリー・ケーヒル(ボルトン・ワンダラーズ→チェルシー:移籍金700万ポンド(約14億円))

    ケーヒルは2012年1月、降格争い中のボルトンからチェルシーに移籍したが、当時監督だったアンドレ・ビラス・ボアスが就任から2カ月も経たずに解任された際には、危機的状況のクラブから別の危機的状況のクラブへ移っただけだったと思ったに違いない。しかし後任のロベルト・ディ・マッテオ監督の下で輝き始め、チャンピオンズリーグで真価を発揮した。チェルシーはナポリ相手に劇的な逆転勝利を収め、ジョン・テリー退場後のカンプ・ノウでバルセロナを破り、さらにバイエルン・ミュンヘンの本拠地で勝利して、クラブ初の優勝トロフィーを手にしたが、ケーヒルはそのすべてに貢献した。

    しかもケーヒルの活躍はその1シーズンだけではなかった。ジョゼ・モウリーニョやアントニオ・コンテが監督だった時代にもチェルシーのリーグ優勝に不可欠な存在となった。ブルーズで計8つのトロフィーを獲得し、PFA年間ベストイレブンに3度選出。移籍金700万ポンド(約14億円)にしては、まったく悪くない成果である。

  • ENJOYED THIS STORY?

    Add GOAL.com as a preferred source on Google to see more of our reporting

  • Newcastle United v Wolverhampton Wanderers - Premier LeagueGetty Images Sport

    7キーラン・トリッピアー(アトレティコ・マドリー→ニューカッスル:移籍金1,200万ポンド(約25億円))

    2022年1月、トリッピアーがラ・リーガを優勝したアトレティコを離れ、サウジ資本による買収からわずか数週間で低迷していたニューカッスルへ移籍すると、その動機を疑問視する声が多く上がった。デビュー戦は悪夢のような結果となり、ケンブリッジ・ユナイテッドに負けてFAカップ敗退となる。しかしトリッピアーはニューカッスルに変革をもたらす存在となり、最初のシーズンは足首に深刻なケガを負いながらもチームと共に戦い続け、リーダーシップを発揮してチームを鼓舞した。

    ケガが回復した後は、ニューカッスルのカラバオ・カップ決勝進出と20年ぶりのチャンピオンズリーグ出場権獲得を牽引した。その後は調子に波があったものの、昨シーズンもニューカッスルがヨーロッパ最高峰の舞台に復帰し、70年ぶりにイングランド国内の主要タイトルを獲得するのに貢献した。DFとしては異例の30得点に絡む活躍を見せ、その経験と守備能力がエディ・ハウ監督のチームを支え、数10年にわたる低迷期を経て再びリーグの上位チームへと躍進する原動力となっている。

  • Philippe Coutinho - LiverpoolGetty Images

    6フィリペ・コウチーニョ(インテル→リヴァプール:移籍金850万ポンド(約17億円))

    コウチーニョはインテルでの不遇な時代から脱出すべくリヴァプールに加入し、わずか数週間でレッズは彼が大当たりだったと悟った。コウチーニョはブレンダン・ロジャーズ監督のチームに真の卓越性をもたらし、半シーズンで3得点7アシストを記録。翌シーズンにはさらに進化し、南米出身のルイス・スアレスと見事な連携を築いて、リヴァプールを優勝目前まで導いた。

    スアレスとロジャーズが去った後も残留し、ユルゲン・クロップ体制下で不可欠な存在に成長。このドイツ出身監督の下で62得点に関与し、モハメド・サラー、サディオ・マネ、ロベルト・フィルミーノと共に「ファブ・フォー」と呼ばれる攻撃陣を形成した。

    しかしながら慢心に陥り、その結果、2018年1月、バルセロナ移籍の誘惑に抗えなかった。だが、最後に笑ったのはリヴァプールだった。コウチーニョを売却して得た1億4,200万ポンド(約298億円)をフィルジル・ファン・ダイクとアリソンの獲得に充て、後のプレミアリーグとチャンピオンズリーグ制覇の礎を築いたのである。一方のコウチーニョはバルサで想定外の日々を送り、現在はブラジルに戻ってヴァスコ・ダ・ガマでキャリアを終えようとしている。

  • Bruno Fernandes Manchester United 2023-24Getty Images

    5ブルーノ・フェルナンデス(スポルティングCP→マンチェスター・ユナイテッド:移籍金6,800万ポンド(約143億円))

    マンチェスター・Uは以前からフェルナンデス獲得に動いていたが、スポルティングの評価額に躊躇して2019年夏の交渉を断念。だが当時オーレ・グンナー・スールシャールが監督だったチームは苦戦し、上位4チームから大きく離される中、1月下旬にようやくポルトガルのクラブの要求を受け入れた。そして、この決断が正しかったことを痛感することとなる。

    フェルナンデスは赤い悪魔のシーズンに新たな息吹を吹き込み、彼が加入した日からシーズン最終日まで、スールシャール監督のチームは無敗を維持した。このポルトガル代表選手は14試合で8得点7アシストを記録し、最終日にマンチェスター・Uをプレミアリーグ3位に押し上げただけでなく、FAカップとヨーロッパリーグでの準決勝進出にも貢献した。

    2年目のシーズンではさらに支配的な存在となり、全公式戦通算で28得点17アシストを記録。オールド・トラッフォードで6シーズン目を迎えた現在、260試合で85得点76アシストという驚異的な記録を誇っている。専門家たちからの評価は分かれるかもしれないが、相変わらずマンチェスター・Uで最も影響力のある選手であり、彼がチームの士気を高めてくれなければどれほど悪い結果になっていたかを知るファンから愛されている。現在はケガの影響で年明けの数週間を欠場することになっているが、ルベン・アモリム監督のチームはキャプテンの復帰を心待ちにしている。

  • Andy Cole Manchester United 1999Getty

    4アンディ・コール(ニューカッスル→マンチェスター・ユナイテッド:移籍金700万ポンド(約14億円))

    1995年1月、マンチェスター・ユナイテッドがニューカッスルに断れないオファーを提示した時、コールはプレミアリーグで最も注目される若手ストライカーだった。取引の一環として、ウイングのキース・ギレスピーがニューカッスルへ移籍した。移籍金700万ポンド(約14億円)イングランド出身選手としては当時の史上最高額であり、コールに重くのしかかることとなる。初年度は多くの得点を挙げたものの、コールが大きなチャンスを逃したために、マンチェスター・Uはブラックバーン・ローヴァーズに優勝をさらわれ、FAカップ決勝でエヴァートンに敗れることとなった。

    しかしコールはすぐにその挫折を挽回。マンチェスター・Uを5度のプレミアリーグ優勝、2度のFAカップ制覇、さらにチャンピオンズリーグ優勝へと導き、その過程で121得点を記録した。親友のドワイト・ヨークと前線でプレーした時はこの上なく幸せそうで、最高のストライカーコンビだった。オールド・トラッフォードを去る頃には、あの記録的な移籍金は完全なお買い得価格となっていた。現在のマンチェスター・Uに必要なのは、コールのように優れたストライカーである。

  • Luis Suarez LiverpoolGetty

    3ルイス・スアレス(アヤックス→リヴァプール:移籍金2,300万ポンド(約48億円))

    スアレスは2010年ワールドカップでウルグアイ代表を準決勝に導いた立役者のひとりだったが、準々決勝のガーナ戦で相手の得点を手で阻止したことで有名になり、悪い評判が確立してしまっていた。そのため本格的なオファーが来ず、アヤックスに残留。ところが間もなくPSVのMFオトマン・バッカルに噛みつき、7試合の出場停止処分を受けるという、さらなるトラブルを起こしてしまう。

    こうした問題行動の履歴があるにもかかわらず、リヴァプールは移籍市場終了のわずか4日前に2,300万ポンド(約48億円)でスアレスを獲得した。出足の遅いスアレスはシーズンの残り期間でリーグ戦わずか4得点に留まったが、やがて本領を発揮し、絶対的なお買い得選手であることを証明した。3年半で82得点を挙げ、2013-14シーズンにはリヴァプールを優勝目前まで導くも、セルハースト・パークで優勝を逃した際には涙が止まらなかった。

    アンフィールド時代のスアレスは大きな論争を呼ぶ選手でもあった。2013年にはブラニスラヴ・イヴァノヴィッチへの噛みつき行為で10試合の出場停止処分を受け、パトリス・エヴラへの人種差別的発言でFAから有罪判決を受けた際には8試合の出場停止処分となった。

    2014年ワールドカップでジョルジョ・キエッリーニに噛みつき、3度目の噛みつき事件となった際もリヴァプール所属だったが、間もなくバルセロナに7,500万ポンド(約158億円)で移籍。これはリヴァプールが3年前に支払った移籍金の3倍に相当した。

  • Manchester United v Sunderland - Premier LeagueGetty Images Sport

    2ネマニャ・ヴィディッチ(スパルタク・モスクワ→マンチェスター・ユナイテッド:700万ポンド(約14億円))

    オールド・トラッフォードに到着した当初、この元セルビア代表選手は目立たない存在で、後にマンチェスター・Uを5度のプレミアリーグ優勝と3度のチャンピオンズリーグ決勝進出へと導き、2008年にはチャンピオンズリーグの優勝カップを掲げることに貢献するようになるとは、誰も想像できなかった。

    ヴィディッチは、リオ・ファーディナンドと誰にも止められないセンターバックのコンビを形成し、サー・アレックス・ファーガソンの監督としての最後の偉大なチームの基盤を築いた。その獰猛で容赦のないプレースタイルは、冷静で滑らかなプレーを特徴とするファーディナンドにとって理想的なパートナーとなり、一方が後方からのビルドアップに専念し、もう一方があらゆる危険を排除した。

    その血気盛んな守備スタイルでファンに愛されたヴィディッチは、2011年に引退したガリー・ネヴィルの後を継いでマンチェスター・Uのキャプテンに就任した。2014年に彼が退団して以来、マンチェスター・Uの守備はそれまでとはまったくの別物となっている。

  • Liverpool FC v Crystal Palace FC - Premier LeagueGetty Images Sport

    1フィルジル・ファン・ダイク(サウサンプトン→リヴァプール、移籍金7,500万ポンド(約157億円))

    リヴァプールは長らくファン・ダイク獲得を目指しており、2017年の夏の移籍を強く望んでいた。当時のユルゲン・クロップ監督がブラックプールのホテルでファン・ダイクと内密に会い、サウサンプトンからリヴァプールへの移籍を説得しようとしたほどである。この動きにサウサンプトンは激怒し、ファン・ダイクの移籍金を引き上げたため、その夏の移籍は頓挫した。

    リヴァプールは年末まで待たされることとなり、12月下旬にようやく7,500万ポンド(約157億円)での獲得に合意。このオランダ代表選手は1月の移籍市場開幕と同時にレッズに加入した。当時これはDFとしては世界最高額であり、18カ月前にマンチェスター・ユナイテッドがポール・ポグバに支払った移籍金を非難していたクロップは偽善者だと非難されることとなる。しかしポグバとは異なり、ファン・ダイクはその金額に見合う価値を証明した。

    ファン・ダイクはクロップのチームに欠けていたピースであり、守備陣を安定させ、4カ月後にはチャンピオンズリーグの決勝進出に貢献。2019年にはヨーロッパで最大の栄冠をもたらした。30年ぶりのリーグ優勝においても決定的な役割を果たし、翌シーズンの序盤に深刻な膝の負傷を負うと、ファン・ダイクを失ったリヴァプールは事実上崩壊した。その後完全復活を果たし、昨シーズンのリヴァプール優勝を牽引した。今シーズンは調子が悪いかもしれないが、依然としてプレミアリーグ史上最高の1月の移籍市場で獲得された選手である。

0