プレミアリーグの全順位を予想！アーセナルの悲願の優勝は…マンチェスター・ユナイテッドの逆襲は可能か

スコット・パーカー監督には少し同情を禁じ得ない。チェルシー元MFは監督になって3度目のプレミアリーグ昇格を果たしたが、今回は、歴史的な守備の記録（46試合で16失点のみ）のおかげでチャンピオンシップで勝ち点100を獲得したのであった。

しかし、トップリーグ残留を成し遂げるに足る戦力を有しているようには見えない。その大きな要因は、昨シーズンに無失点試合の多くを演出したGKのジェームズ・トラフォードがマンチェスター・シティに戻り、守備の要だったCJ・イーガン＝ライリーがフリーでマルセイユに移籍してしまったことである。

リーズ・ユナイテッドは興味深いチームだ。ダニエル・ファルケ監督のチームは昨シーズンのチャンピオンシップで勝ち点100を積みあげて優勝し、95得点を挙げたにもかかわらず、ドイツ出身監督の立場は夏の間も多くの議論の的となった。

ファルケ監督は以前ノリッジの監督としてプレミアリーグで戦った時に成績が振るわず、エランド・ロードでも決してファンから支持される存在ではなかった。結果、リーズがチームに有意義な投資をしなかったこと（得点源の確保に深刻な懸念がある）は、ファルケ監督の早期解任の可能性が高いことを示している。

サンダーランドのオーナー、キリル・ルイ＝ドレフュスは、けちでもなければ野心の欠如を非難されるような人物でもない。スイス系フランス人の実業家である彼は、今夏の移籍市場でサンダーランドが新たな選手を獲得するために1億2,000万ポンド（約238億円）を超える資金を投入し、グラニト・ジャカ、シモン・アディングラ、アビブ・ディアッラといった選手が加入した。

残念ながら、それでもレジス・ル・ブリ監督のチームにはプレミアリーグのレベルに欠ける選手が多く、昨シーズンのチャンピオンシップでも12敗を喫し、プレーオフ経由で昇格してきたチームは1年で降格することが予想される。

過剰な成功の最大の問題は、それが、驚きの成功の秘密を盗もうとする低調なクラブの注目を引き寄せる点にある。ブレントフォードは今夏、多大な代償を支払うことで、そのことを痛感した。監督だったトーマス・フランクはトッテナムに奪われ、クリスティアン・ノアゴールはアーセナルに移籍し、ブライアン・エンベウモはとてつもない金額でマンチェスター・ユナイテッドに行ってしまった。

フランク元監督が去った大きな穴を埋める任務は、セットプレー・コーチだったキース・アンドリュースが負うこととなった。ヨアネ・ウィサやネイサン・コリンズにはプレミアリーグの多くのクラブが関心を示しているため、これ以上選手たちが去って、アンドリュース新監督の任務がさらに困難にならないことを願うばかりである。

ヴィトール・ペレイラ監督は12月に19位だったチームに就任し、シーズン終了前にプレミアリーグ残留を確実なものにした。驚異の6連勝が大きな要因だった。

しかし、ペレイラ監督が同じような成績を再現するのは容易ではないだろう。明るい話としては、モリニュー・スタジアムでのデビューシーズンで素晴らしい活躍を見せたヨルゲン・ストランド・ラーセンが完全移籍で加入したほか、フルミネンセの一員としてクラブワールドカップで素晴らしいパフォーマンスを披露したジョン・アリアスが新たに加入した。とは言え、マテウス・クーニャとラヤン・アイト＝ヌーリの2人が抜けた穴は大きいだろう。それでも、ペレイラ監督にはチームを降格の危機から遠ざける能力があるはずだ。

ウェストハムのグレアム・ポッター監督が心配だ。1月にフレン・ロペテギの後任として監督に就任したものの、ロンドン・スタジアムでチームの状況を改善できず、解任レースの有力候補のひとりとなっている。

結果はともかくウェストハムのパフォーマンスが少しでもよかったなら楽観的な見方もあるだろうが、そうではなかったため、そうはいかない。ジャロッド・ボーウェンは相変わらず元気そうだが、モハメド・クドゥスをトッテナムに移籍させたことで、クラブは明らかに誤った方向に向かっている。ウェストハムが昨シーズンの14位以上の成績を残すことはほぼ不可能だろう。

サッカーでは「過去を振り返るな」と言われるが、デイヴィッド・モイーズのエヴァートン復帰は、関係者全員にとって見事な結果をもたらした。このスコットランド出身監督は、降格圏付近をさまよっていたチームに新たな活力を注入し、シーズン後半を感動的なものにした。

現状では、モイーズ監督は来るシーズンに向けての選手陣に満足していない。移籍市場が閉じるまでにエヴァートンには少なくとももう4人の補強が必要だと感じており、その判断は間違いなく正しい。もっとも、ジャック・グリーリッシュと契約したことで、昨シーズンには甚だしく欠けていた創造性を補うための補強に少しずつ近づいているように見え、また、美しい新スタジアムでプレーすることは、クラブの全員に大きなモチベーションを与えるだろう。

ボーンマスは、昨シーズン終盤の数週間、ヨーロッパの大会への出場権争いに加わっていたが、結局は春先の連敗で、あまりにも多くの課題が残ることとなった。その後、ミロシュ・ケルケズやイリア・ザバルニー、ディーン・ハイセンが、それぞれ、リヴァプール、パリ・サンジェルマン、レアル・マドリーに移籍し、レンタル移籍していたGKケパ・アリサバラガもアーセナルに加入、アンドニ・イラオラ監督は守備態勢をいちから立て直さなければならなくなっている。

ボーンマスには、エヴァニウソン、ジャスティン・クライファート、アントワーヌ・セメンヨがまだ在籍しているが、昨シーズンの9位という成績を繰り返すことは難しいかもしれない。

フラムは典型的な中位チームである。昨シーズンは負け（14）より1試合多く勝ち（15）、得点も失点も同数（54）で11位でシーズンを終えた。

移籍市場ではこれまで1件の移籍のみ（ベテランGKバンジャマン・ルコントの加入）という不気味なほどの静けさが続き、さらなる平凡なシーズンが待ち受けていることだろう。実際、マルコ・シウヴァ監督の非常に完成度の高い指導力がなければ、残留争いに巻き込まれるリスクが現実となるに違いない。

トッテナムがモーガン・ギブス＝ホワイトの契約解除の違約金を支払うことに合意した時、ノッティンガム・フォレストのプロジェクト全体が崩壊寸前に見えた。ほんの数時間前には、アンソニー・エランガがシティ・グラウンドを去ってニューカッスルに移籍したばかりだったのだ。しかし、フォレストのカリスマ的な会長エヴァンジェロス・マリナキスエはギブス＝ホワイトをただ引き留めただけでなく、新たな契約を締結させ、ヌーノ・エスピーリト・サント監督を大いに安堵させたのだった。

ポルトガル出身監督は、ダン・エンドイェやイゴール・ジェズス加入によっても元気になっただろうが、現状では、昨シーズンの7位というサプライズを再現するのは難しいだろう。特に今年はヨーロッパリーグでも戦わなければならない。

クリスタル・パレスは昨シーズン、FAカップ決勝でマンチェスター・シティを破る大金星を挙げ、クラブ史上初となるタイトルを獲得し、プレミアリーグでもクラブ史上最多の勝ち点（53）を記録した。コミュニティ・シールドでリヴァプールに勝ったことでそれがまぐれではなかったことを証明したが、オリヴァー・グラスナー監督がそうした素晴らしい成績を上回ることは困難だろう。特に移籍市場での動きが鈍いことが懸念されている。

ブライトンが昨シーズン、ヨーロッパの大会への出場権を獲得できなかったことにガッカリしたことは理解できる。それでも、ファビアン・ヒュルツェラー監督がイングランドで初めて指揮を執ったシーズンを8位で終えたことは素晴らしいことだった。シーガルズは2024-25シーズンを最後の5試合で勝ち点13を獲得する好成績で締めくくったが、その後ジョアン・ペドロがチェルシーに移籍してしまった。しかし、これは必ずしも悪いことではないかもしれない。

ペドロはチームにとって負担となる存在となっていたし、カルロス・バレバや三笘薫といった選手が残留したことは、ヒュルツェラー監督にとってはるかに重要なことだったに違いない。また、非常に期待されるギリシャ出身FWチャラランポス・コストウラスとステファノス・ツィマスの活躍も楽しみだ。

ニューカッスルは、少なくともピッチ上のことに関しては、すべてが順調に進んでいた。エディ・ハウ監督は3月のカラバオ・カップ決勝でリヴァプールを撃破し、実に70年ぶりに国内タイトルを獲得。その後、プレミアリーグで5位に入り、チャンピオンズリーグ出場権を獲得した。

しかし、夏の移籍市場は、ターゲットとしていた選手に次々と断られた上に、スター選手のアレクサンデル・イサクのリヴァプールへの移籍にも対処しなければならず、ニューカッスルにとっては惨憺たるものだった。あらゆる状況を考慮すると、移籍市場の最後の数週間で状況が好転しないかぎり、ハウ監督とチームにとって、長く厳しいシーズンになるかもしれない。

クラブに久しぶりのタイトルをもたらしたにもかかわらず、トッテナムの監督を解任されたアンジェ・ポステコグルーが不満を抱くのは当然だ。しかし、事実を直視しなければならない。トッテナムがヨーロッパリーグの決勝でマンチェスター・ユナイテッドに勝てたのは運がよかったからだし、プレミアリーグでは最初から最後まで全くひどい戦いぶりだった。

したがって、優秀なトーマス・フランク新監督が、昨年17位だったチームを改善するのにそれほど苦労することはないだろう。もちろん、誰からも愛されるソン・フンミンのリーダーシップが失われたことは間違いなく惜しまれるだろう。少なくとももう2、3人は新たな選手を獲得したほうがいいだろうが、ジョアン・パリーニャは中盤に活力を与えるだろうし、フランク監督はモハメド・クドゥスを素晴らしい選手に育て上げることができるだろう。

オールド・トラッフォードでのあの得点が間違って認められなかった時、事実上、アストン・ヴィラの2025-26シーズンのチャンピオンズリーグ出場の希望は断たれた。それは、クラブの歴史における大きな分岐点として次第に浮き彫りになってきている。思い起こせば、ウナイ・エメリ監督のチームは昨シーズン、あの大会の準々決勝に進出したことで、本当に飛躍を遂げようとしていた。それなのに、今シーズン出場できなかったことは、アストン・ヴィラの夏の補強に深刻な影響を及ぼし、現時点で目立った新加入選手はニースから移籍したコートジボワール代表FWエヴァン・ゲサンだけである。

したがって、オリー・ワトキンスやエミリアーノ・マルティネスといった選手たちが残留したとはいえ、エメリ監督は、チームを再びチャンピオンズリーグに導くという大変な努力を要する任務に直面している。

たった1年で15位から5位になれるのか。面白いことに、マンチェスター・ユナイテッドにはそれが可能だと思われる。確かに、オールド・トラッフォードは相変わらず老朽化が進んでおり、サポーターはサー・ジム・ラトクリフをほぼまったく信頼しなくなっている。それでも、マンチェスター・Uには楽観的な見方をする理由もあるのだ。

昨シーズンのマンチェスター・Uの主な問題は得点力不足だったが、FW陣が全面的に刷新され、新加入のブライアン・エンベウモとマテウス・クーニャは、すでにプレミアリーグで得点を量産できる能力があることを示している。また、ルベン・アモリム監督が昨シーズンのように多くの負傷者に悩まされる可能性も低いだろう。ヨーロッパの大会に出場しないため、試合間の休養期間が定期的にあり、監督も選手も、貴重な練習時間をより多く確保できそうだ。

チェルシーは移籍市場での成功率が非常に低いものの、獲得した選手は数多く、そのうちの何人かは必ず成功するだろう。ジョアン・ペドロはすでにチームの得点力不足を解決する能力を示している。また、ブルーズは買い手よりも売り手として優れているため、彼らのやや無謀な補強戦略も持続可能に見え始めている（少なくとも現時点では）。

純粋にサッカーの観点から言えば、チェルシーはクラブワールドカップ優勝というサプライズを成し遂げ、莫大な自信を持って新シーズンに臨むことだろう。しかし、エンツォ・マレスカ監督のチームは、とりわけ今年チャンピオンズリーグに出場するせいで、シーズンが進むにつれて選手たちの疲労が深刻化する可能性が懸念されている。

チェルシーの絶え間ない支出は当然ながら多くの注目を集めており、今夏はリヴァプールが歴史的な支出で話題を呼んだこともあって、マンチェスター・シティが年明けから約3億3,000万ポンド（約658億円）を投入していることは見逃されがちである。タイアニ・ラインデルスとラヤン・シェルキの獲得は賢明な補強となるだろうが、1月の新加入選手の中でプレミアリーグで大きなインパクトを残したのはオマル・マーモウシュだけというのは心配の種だ。

ペップ・グアルディオラは依然として世界最高の監督とみなされており、マンチェスター・Cは昨シーズンの惨状からかつての輝きを取り戻すとの見方が支配的だが、エティハド時代の終わりの始まりを目撃している可能性も否定できない。

ミケル・アルテタ監督のアーセナルは、まさに「今が正念場」の局面を迎えている。アルテタ監督が就任してから獲得した主要タイトルはFAカップを1度だけで、それも5年前のことである上に、実質的にはウナイ・エメリのチームによるものだった。

したがって、アーセナルが4シーズン連続で2位でシーズンを終えれば、アルテタ監督が深刻なプレッシャーにさらされる可能性は高いだろう。監督は移籍市場で再び全面的な支援を受けており、ついにヴィクトル・ギェケレシュという得点力のある背番号9を獲得した。つまり、言い訳の時代は終わったのである。

間違いなく最強のチームだ。得点が少ない（84）ことに騙されてはならない。リヴァプールは昨シーズン、圧倒的な強さを見せた。アルネ・スロット監督のチームは、新加入選手がひとりだけ（フェデリコ・キエーザ）だったにもかかわらずリーグを独走し、4試合を残して優勝を確定させた後、パーティーモードに突入したが、それでもアーセナルに勝ち点10の差をつけて優勝したのである。

フェンウェイ・スポーツ・グループ（FSG）は、この夏、前例のない巨額を投じて、フロリアン・ヴィルツ、ジェレミー・フリンポン、ミロシュ・ケルケズ、ウーゴ・エキティケなどの新戦力を獲得し、レッズは記録破りの21回目のタイトル獲得に向けて完璧な態勢を整えている。

唯一未知数なのは、ディオゴ・ジョタの悲劇的な死が選手たちにどう影響するかという点だが、キャプテンのフィルジル・ファン・ダイクは、ピッチに立つたびに永遠のチームメイトを追悼する決意を示している。