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アーセナル対マンチェスター・シティの勝者と敗者:最後に笑ったのは…リヴァプール?両監督にとって痛恨の一戦に

今季のプレミアリーグ優勝を目指すうえで、両チームとも「絶対に負けられない」試合だった。だからこそマンチェスター・シティは先制後に守備を固め、アーセナルは次々にアタッカーを投入する“ファイヤーフォーメーション”を採用した。結果として、1-1のドロー決着は妥当な結果だったかもしれない。少なくとも、この結果に文句は言えないはずだ。

今回は、アーセナル対マンチェスター・シティの一戦で生まれた「勝者」と「敗者」を分析する。

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    勝者:アーリング・ハーランド

    これでプレミアリーグ5試合で6ゴール、クラブと代表チームを合わせて13ゴールだ。9月の段階でこれほどの活躍はまさに異次元だが、それが当たり前になりつつあるのが恐ろしい。

    これまでのアーセナル戦では、ガブリエウ&ウィリアン・サリバとの対戦に苦戦を強いられてきたハーランドだったが、この試合では常に上回り続けた。10分以内の先制点がその証拠である。それ以降もカウンターを狙うチームスタイルの核となり、抜群のフリーランやポストプレーはマンチェスター・Cの希望となり、アーセナルの脅威であり続けた。交代タイミングはあまりにも早すぎるように思えたが、彼がプレミアリーグNo.1ストライカーであることを改めて証明している。

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    敗者:ヴィクトル・ギェケレシュ

    欧州5大リーグ初挑戦の今季、プレミアリーグ開幕5試合で3ゴール。この数字を見れば悪くないスタートだ。だがしかし、やはりビッグマッチではまだ物足りない。シティ戦ではシュート0本、決定機を演出することもなかった。

    ミケル・アルテタ監督は会見で、「本当に惜しいところまで来ていた。シティ相手にビッグチャンスを作るのは難しいが、ベストを尽くしていたよ。心配はしていない」と擁護した。それでも、ファンが期待するのはやはりビッグゲームでの得点だ。昨季見せたプレーを考えると、まだポテンシャルのすべてを発揮できていない。

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    勝者:ガブリエウ・マルティネッリ

    ユルゲン・クロップがかつて「世紀の才能」と絶賛したアタッカーが、調子を取り戻しつつある。直近2シーズンは様々な理由によって苦しんでいたマルティネッリ。左サイドで先発するも、状況判断の面でフラストレーションが溜まるパフォーマンスが続いていた。しかし、今季はここまでかつての輝きを取り戻しつつある。

    その主な要因は、アルテタがマルティネッリに新たな役割を見つけたこと。それは途中出場からゲームを動かすフィニッシャー、もっと言えば「ゲームチェンジャー」としての役割だ。疲れの見える相手に対し、抜群のスピードを持つこのアタッカーはそのダイナミズムでDF陣を切り裂くことができる。チャンピオンズリーグのアトレティック・クルブ戦もそうだったが、マンチェスター・C戦でも素晴らしいループシュートでチームを救った。

    彼はファンからも愛される存在であり、たとえスタメンではなくとも、絶対にチームに必要な存在だ。アルテタのマネジメントには異議を唱えたいファンも多いかもしれないが、彼の扱いに関しては成功していると言える。

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    敗者:ミケル・アルテタ&ジョゼップ・グアルディオラ

    今回のビッグマッチは、両監督がシーズン後に思い出したくないものになってしまった。優勝候補の両チームだが、そのレベルを見せたとは言い難い。そしてその理由の一部は、タッチラインで指揮を執っていた両監督にある。

    まず、アルテタが選んだスタメンには疑問が残る。中盤にデクラン・ライス、ミケル・メリーノ、マルティン・スビメンディを起用したが、創造性を欠いてマルティン・ウーデゴールの不在を感じさせる結果となった。この件について問われた指揮官は「ビルバオでは誰も聞いてこなかったね」と皮肉で返している。だが、後半からエベレチ・エゼが入ったことで劇的に改善したことが、彼の失敗を意味しているかもしれない。

    一方のグアルディオラは、キャリア史上最低のポゼッション率(33%)を記録した。確かにここ最近の日程的に消耗が激しかったことはもちろんだし、アーセナルをリスペクトして守備固めを決断したのだろう。だが、76分にハーランドを下げたこと、試合終了間際にサヴィーニョを最前線に起用したことは、理解しがたい采配だった。

    「最高の監督にも、調子の悪い日はある」。今季のプレミアリーグにおいて、この一戦ほどそれを証明するものはないだろう。

  • FBL-ENG-PR-ARSENAL-MAN CITYAFP

    敗者:アーセナル

    実質的に「敗者」と言えるのはアーセナルだろう。ホームアドバンテージがあり、昨季は5-1で勝利を収めていたこと、マンチェスター・Cが依然として再建途中であること、そして今季こそタイトルが必要なことを考えると、この試合は「勝ち点1を獲得できた」というよりも「2ポイントを失った」という方が妥当かもしれない。先月のリヴァプール戦と合わせると、優勝争いのライバルとの2試合で1ポイント。苦しい結果になった。

    もちろんマンチェスター・Cを甘く見てはいけないし、相手をリスペクトして守備から入って勝負に徹底した彼らは称賛すべきである。だが現状の完成度やスカッド、タイトルへの渇望などを考えると、より悔やむべきはアーセナルだ。

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    勝者:リヴァプール

    この日の最大の勝者は、エミレーツ・スタジアムにはいないチームだった。リヴァプール指揮官アルネ・スロットは、自宅でくつろぎながらこの結果にほくそ笑んでいたに違いない。

    リヴァプールも今季は決して楽なスタートにはなっていない。公式戦すべてで苦戦を強いられ、6勝のうち5試合は終了間際のゴールが必要だった。超大型補強を行ったことで重圧は大きく、まだ新戦力たちも完全にはフィットしていない状況だ。

    それでも昨季王者は、プレミアリーグ開幕5連勝を達成。第5節を終えてすでに2位以下に5ポイント差をつけ、早くも頭1つ抜け出している。ここからフロリアン・ヴィルツやアレクサンデル・イサクがフィットしていくことを考えると、さらに恐ろしいチームになるだろう。

    今季のプレミアリーグはまだまだ序盤戦。しかし、あのトロフィーは再びアンフィールドに収まるのかもしれない。そう感じさせる第5節であった。