Arsenal transfer priorities GFXGetty/GOAL

アーセナル今夏の「To Doリスト」:シェシュコではなくギェケレシュ?左WGも必要?優先事項を整理

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今季のアーセナルサポーターは、おなじみのあのチャントにイライラしていたに違いない。自分たちよりも順位が下のクラブがエミレーツ・スタジアムで「セカンド・アゲイン、オレ、オレ!」と歌う姿に忸怩たる思いを抱えていただろう。だが結局、あのチャント通りに今季もプレミアリーグ2位フィニッシュ。これで3シーズン連続となり、アーセン・ヴェンゲル時代に作った連続2位記録に並んでしまった。

もちろんケガ人の大量発生という不運な要素もあった。それでも、今季は「失敗」と判断されてしまうかもしれない。ミケル・アルテタも、ホーム最終戦のスピーチでそれを認めている。そして同時に彼は、「優勝の可能性を高めるために何をすべきか、はっきりしている。『これをやればプレミアリーグで、チャンピオンズリーグで優勝できる』と断言できる人はいないが、それを達成するためには多くのことを必要としているんだ」と今夏にすべきことを訴えていた。

では、実際アーセナルは何をする必要があるのだろうか?『GOAL』はこの夏にすべきことのプライオリティを分析していく。

  • Rayo Vallecano v Real Sociedad - La Liga EA SportsGetty Images Sport

    スビメンディを逃がすな

    まず最初に言及すべきは、マルティン・スビメンディだろう。アーセナルのファンであれば、レアル・ソシエダの中心選手の獲得はほぼ決まっていると考えているかもしれない。しかし先日、スペイン代表に参加中の彼が残したコメントは、やや不安にさせるものだった。

    「もちろん選択肢はある。今年はこれまでとは違った、長い夏になることは確かだね。どう終わるかはわからないよ。今、それは優先すべきことじゃない。非常にハイレベルな代表チームに参加しているんだ。言うべきことは、言うべき時に言うよ」

    スビメンディのアイドルでもあるシャビ・アロンソが就任したレアル・マドリーは、現在も獲得を狙っていることが伝えられている。あの発言以降もイングランド、スペイン両国のメディアが「スビメンディのアーセナル移籍は決定的」と伝えているが、できる限り早く不安を解消したいところだ(ソシエダの都合上、契約は7月になるとも伝えられているが)。

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  • Aston Villa FC v Arsenal FC - Premier LeagueGetty Images Sport

    ベテラン選手の去就

    アーセナルは先日、今季終了後の退団リストを発表。その中には、33歳MFジョルジーニョの名前も含まれていた。2023-24シーズン後半、リーグ戦18試合で16勝と圧倒的な成績を残した彼らだが、その快進撃を支えたのは間違いなくジョルジーニョだった。そんな彼が去ることにより、中盤に新たなリズムをもたらす選手は間違いなく必要だ。これがスビメンディになることを多くのファンは期待しているはずだ。

    一方で、レアンドロ・トロサールについては熟考が必要かもしれない。今季公式戦56試合で10ゴール10アシストを記録し、現在も決定的な選手であることを証明したベルギー代表だが、現行契約は残り1年に。30歳という年齢も考慮し、今夏を売却のタイミングとするか、役割を徐々に変えながら新シーズンも残留させるのか、決断を迫られている。様々な要素が絡む複雑な問題ではあるが、今のうちに解決すべき問題であることは間違いない。

    そして同じようなことは、トーマス・パーティにも言える。今季限りで契約が満了した32歳のガーナ代表MFだが、アーセナルは契約延長に向けて交渉中と発表した。仮に残留するとすれば、契約期間は非常に重要になりそうだ。

    後者2人が最終的にどうなるかにかかわらず、今のアーセナルはとにかく選手層に不安を抱えている。残念なことに今後も過密日程が解消されることはありえないからこそ、それに対応できるスカッドが必要だ。ケガ人が出ないことや、ユースからマイルズ・ルイス=スケリーやイーサン・ヌワネリのような特別な才能が出てくることを祈っていては、来季も悲願は達成できないだろう。

  • Athletic Club v FC Barcelona - La Liga EA SportsGetty Images Sport

    検討すべき左ウイング

    トロサールとガブリエウ・マルティネッリ、アーセナルの左ウイングは決して低いレベルにあるわけではなく、それぞれに特徴を持った優秀な選手だ。だがプレミアリーグ、そしてチャンピオンズリーグで優勝を目指すのであれば、おそらく強化すべきポジションだろう。

    候補として真っ先に上がるのは、長年理想的なターゲットとされてきたニコ・ウィリアムズだ。しかし週給20万ポンドを超える高額な給与要求と、アトレティック・クルブとの新契約交渉が状況をより複雑にしている模様。非常に難しく長期間の交渉を強いられることが予想されているため、別のターゲットも考慮すべき状況となっている。

    そうした中でドイツ複数メディアは、レロイ・ザネの獲得に関心を示していることを伝えた。バイエルン・ミュンヘンとの給与交渉が難航、フリー退団も噂されるドイツ代表FWは検討する価値があるだろう(問題の給与面や29歳という年齢は考えるべきではあるが)。

    またレアル・マドリー退団が噂されるロドリゴは、もし市場に出るのであれば積極的に獲得を検討すべきターゲットだ。PSGでデジレ・ドゥエに定位置を奪われる形となったブラッドリー・バルコラも、可能性を探るべき存在かもしれない。

  • FBL-POR-LIGA-SPORTING-VITORIA GUIMARAESAFP

    2人のストライカー、どっちを優先?

    そしてファンの99.9%は真っ先に必要と答えるのが、ストライカーだ。アルテタ就任以降、このポジションで獲得したのはガブリエウ・ジェズスただ1人(カイ・ハヴァーツは当初中盤想定だった)。質・量ともに唯一足りていないポジションであり、絶対に強化しなければいけないポジションだ。クラブもそれを認識しており、様々なタイプのストライカーと接触していることが伝えられている。

    アーセナルが現在最も熱心に追い求めているのは、ベンヤミン・シェシュコ(RBライプツィヒ)とヴィクトル・ギェケレシュ(スポルティングCP)の2選手。直近ではシェシュコへフォーカスしているようだが、どちらの獲得へ動くべきなのだろうか?

    相手クラブの要求額を見ると、シェシュコが9200万ポンドに対して、ギェケレシュは6000万ポンドとされている。こう見ると、後者の方がより現実的かつ資金的に有利に思える。だが、ギェケレシュが優れているのは金銭面だけではない。

    このスウェーデン代表FWはすでに完成された存在であり、ポルトガルリーグだからといって今季54ゴールを奪ったことは決して甘く見てはいけない。フィジカル的な強さと速さはもちろん、相手センターバックと絶えず勝負を仕掛けつつ、様々なパターンで得点が期待できる彼は、即戦力としてすぐさまアーセナルを最前線で牽引してくれるはずだ。

    決してシェシュコを軽視しているわけではなく、彼は今後フットボール界有数のストライカーに成長するはずだ。しかし、アーセナルが求めているのは即戦力。このプロフィールを見ると、ギェケレシュがよりフィットしていると言えるだろう。両者を獲得できるのがベストだが、そんなに思い通りにいかないのがフットボールだ。

  • Arsenal FC v Manchester United FC - Premier LeagueGetty Images Sport

    主力との契約延長

    そしてアーセナルは、これまで挙げた補強はもちろん、現所属選手の契約状況にも気を配らなければならない。この問題を放置してしまえば、2010年代のように主力が相次いでフリー退団してしまうかもしれないからだ。

    今季最大のブレイクスターとも言えるルイス=スケリーの現行契約は、2026年までかつユース契約という、彼のパフォーマンスに見合わない状況だ。当然クラブは延長交渉を始めているが、スムーズに進んでいないとも噂されている。この世紀の才能をフリーで放出することなどあってはならないし、できる限り契約はまとめたい。

    また、チーム最大のスターであるブカヨ・サカも契約は2027年まで。彼のこれまでの歩みやクラブへの愛情を考えると、契約延長の道はより平坦なものかもしれないが、不安は残しておきたくないはずだ。またガブリエウ・マガリャンイスも同じ状況だが、こちらは順調に交渉が進んでいることが伝えられている。

    そして最も注目すべきは、ウィリアン・サリバだろう。彼も2027年まで契約を残しており、公の場ではアーセナルで成功を掴みたいと明言している。しかし彼の母国フランスでは、すでにレアル・マドリーと将来的な移籍について話し合ったとも噂されている。数カ月後には、スペインメディアの間で「サリバはマドリーのDNAを持っている」と報じられ始めるだろう。一刻も早く、彼にはクラブとしての野心を見せなければいけない。

    今のアーセナルはこれまでと違い、世界中から求められる選手が躍動するチームとなった。その功績は称えるべきだが、これを維持できるかどうかが肝心だ。

  • FBL-ENG-PR-LIVERPOOL-ARSENALAFP

    ライバルに遅れるな

    ここ数日間、アーセナルファンの間で2024年5月に『スタンダード』が掲載した記事が話題になった。昨夏の移籍市場におけるプランが説明されており、「ストライカーに加えてウイング、中盤の補強が計画されている」と伝えられている。

    では、実際に昨夏起きたことを整理しよう。アーセナルはミケル・メリーノとリッカルド・カラフィオーリを完全移籍で獲得し、GKネトとラヒーム・スターリングをレンタルで補強した。『スタンダード』が指摘したことはほとんど実現していない。そして昨夏に解決すべきだった問題は、結局今夏にも持ち越されている。もし再び同じように手をこまねいていれば、またしても無冠に終わり、「セカンド・アゲイン、オレ、オレ!」と再び煽られる結果となるのは間違いない。

    アーセナルを突き放してプレミアリーグ優勝を達成したリヴァプールは、すでにジェレミー・フリンポンの獲得を決め、さらにフロリアン・ヴィルツとミロシュ・ケルケズの獲得に大きく前進している。また3位に終わったマンチェスター・シティも、タイアニ・ラインデルスとラヤン・シェルキの加入が迫っているという。ライバルたちは、来季へ向けて迅速に行動している。アーセナルは彼らに乗り遅れてはいけない。本気で優勝を目指すのであれば(もはやそうしなければいけない立場だが)、迷っている暇はないのだ。