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Arda Guler Real Madrid GFXGOAL

レアル・マドリーはアルダ・ギュレルをどう扱う?特大の才能を持つ19歳のベンチは「もったいない」

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「我々は、彼が偉大な選手になっていく姿を目の当たりにしている」。トルコ代表やバルセロナなどで活躍したアルダ・トゥランは5月、『AS』で彗星のように現れたアルダ・ギュレルについて語った。「ハリウッド映画のような素晴らしい物語を見ているんだ」

そしてギュレルは、トルコ代表として出場したEURO2024開幕戦で新たな一章を追加した。ジョージア代表戦ゴールを奪い、クリスティアーノ・ロナウドの持っていたEURO初出場での最年少得点記録を更新。ジョージアも素晴らしかったが、最終的に「トルコのメッシ」に屈することになった。

7月のプレシーズンにはレアル・マドリーへ帰ってくれるギュレル。しかし、欧州王者でのポジション争いは簡単ではない。しかし、ポジションを見つけて上げる必要があるだろう。この19歳がベンチに座り続けるのはあまりにももったいない。慎重に育てる必要もない。彼はすでに、最高のスポットライトのもとでプレーできることを証明したのだから。

  • Arda Guler Real Madrid 2023-24Getty Images

    スタートでのつまずき

    レアル・マドリーは多くの競争を勝ち抜いてギュレルと契約を交わした。宿敵バルセロナだけでなく、アーセナルとアストン・ヴィラの他、ドルトムントも争奪戦に参加していた。しかし欧州王者は、フェネルバフチェに契約解除金の2倍近い3000万ユーロ(約51億円)を支払って6年契約を結んだのだ。SNSに投稿された足技は何千万回と再生され、トルコでセンセーショナルを巻き起こしていた彼のポテンシャルはレアル・マドリーは認識していたのである。

    だが、ギュレルをめぐる熱狂はすぐにフラストレーションへと変わっていった。プレシーズンのアメリカツアーで膝を負傷したことを皮切りに、悪夢のようなコンディション不良が続き、ラ・リーガでのデビューが大幅に遅れたのである。

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  • Arda Guler Champions LeagueGetty Images

    「我々の未来に重要な選手」

    ギュレルのレアル・マドリーデビューは、1月のコパ・デル・レイでのアランディナ戦だった。半月板を痛めプレースタイルの変更を余儀なくされ、さらに筋肉の故障も続いていた。それでもアンチェロッティ監督は、チームが国内でもヨーロッパの大会でも絶好調だったおかげで辛抱強く復帰を待つことが出来ていた。

    憧れ続けたクラブでのスタートは悪夢となってしまったことで、レンタルで逃げ道を見つけることも出来たかもしれない。だが、ギュレルはもっと強い男だ。その後の4カ月間、自身の肉体とメンタルの強さをアンチェロッティに証明するため努力し続けた。それに応えるように、指揮官は常に「我々の未来に重要な選手」だと言い続けていた。

    その努力が実ったのは4月26日。アンチェロッティがレアル・ソシエダ戦で初先発させると、得点という形でチャンスを見事にものにした。その後の4試合でさらに5得点を決め、ビジャレアル戦(4-4)では2ゴール。チャンピオンズリーグ決勝には出場しなかったものの、トルコ出身選手として初めてビッグイヤーを掲げている。スタートの悪夢を考えると、彼の復活は素直に称賛するしかないだろう。

    当然のようにEURO2024に挑むトルコ代表にも選ばれた。レアル・マドリーとは全く異なる環境に身を置くことになるが、責任はより大きいはずだ。その経験が、新シーズンの糧になることは間違いない。

  • Kylian Mbappe Real MadridGetty/Instagram

    エンバペの加入

    ところが、レアル・マドリーのポジション争いはかつてないほど厳しくなろうとしている。その原因は、知っての通りキリアン・エンバペだ。フランス代表主将はEURO2024終了後、ついにロス・ブランコスの一員となる。莫大な資金と時間を費やし、フロレンティーノ・ペレス会長自ら交渉に参加した目玉補強だ。エンバペの適応がアンチェロッティの最優先事項になるだろう。

    そして注目は、エンバペの起用ポジションだ。ストライカーは空いている。彼にとっても慣れ親しんだ位置だろう。この夏にヴィニシウス・ジュニオールが退団するような事態が起こらない限り、中央で起用されるはずだ。

    そしてエンバペの後ろ、もしくは右隣りで誰がプレーするのかは注目だ。ここがギュレルの勝負ポジションになるだろう。

  • Guler-Vinicius-Rodrygo-RealGetty

    「ボールに愛された選手」

    ギュレルの直接的な競争相手はこれまでロドリゴだった。執拗なプレスと頭脳的なランニングは相手の陣形に穴を開ける。右サイドだけでなく中央でもプレー可能であり、ヴィニシウスとの関係性も抜群だった。しかし、ゴールやアシストが相変わらず少なかったことも事実である。

    そして、ギュレルはまったく違うものをもたらすことができる。常にボールを要求し、あらゆるチャンスを利用して前へ進もうとする。重心を低くして踊るように相手DFをかわし、常にキラーパスを狙う。ゴール前でも冷静さを保つことができる。少し左足に頼りすぎているが、その左足は本物の武器であり、最小限の隙があればゴールを決めることができる。

    アンチェロッティはギュレルについて「ボールに愛されている」と言っていたが、確かにピッチを駆け上がる彼はそう見える。教えることのできない、生まれ持った優雅さがある。ロドリゴも素晴らしい選手だが、ギュレルには彼にない才能がある。

  • Bellingham-Guler-Real-MadridGetty

    ベリンガムとの関係

    現時点では、トルコ代表でもプレーしている右サイドが最も賢い選択だ。だが彼のような多才な選手は、No.10や偽9番など、攻撃的な位置ならどこでもやれるはずだ。タイトなスペースでも魔法のようなプレーを発揮し、DFを切り裂くことができるのだ。

    ジュード・ベリンガムは昨シーズン、ストライカー的な役割として覚醒した。ヴィニシウスやロドリゴよりもゴール前で決定的だった。しかし、彼がドルトムントで輝いたのはよりオールラウンダーとしての役割だ。エンバペの加入に際し、アンチェロッティはよりそうしたプレーを求めるかもしれない。

    そんなイングランド代表MFは、ギュレルを高く評価していた。初練習で「怪物だよ」と絶賛し、成長を助けるためにサポートを続けてきた。彼との関係性は、ポジションを掴むうえで重要になるはずだ。

    アンチェロッティは様々なオプションを手にしている。だが、ギュレルをスーパーサブとしておくのはもったいないだろう。ラ・リーガ開幕時はエンバペにすべての視線が注がれるだろうが、ギュレルもベリンガムのような影響を与えることもできるかもしれない。それほど才能は特別だ。

  • ancelotti gulerGetty Images

    新シーズンは…

    レアル・マドリーは常に若手をうまく成長させられたわけではない。代表されるのは、マルティン・ウーデゴールと久保建英。この2人の神童は何度もレンタルを経験し、結果として出番を得られないまま去っていった。「別のやり方なら成功していた」というわけではないが、クラブ側は同じ轍を踏みたくないはずだ。

    ギュレルにもレンタルの噂はあり、ジョゼ・モウリーニョが就任したフェネルバフチェへの復帰も囁かれている。だが、スペシャル・ワンは「彼が育ててくれたクラブに愛着があってフリー移籍で戻ってきたいというなら、そしてレアル・マドリーが彼のサラリーの75%を払うというなら、我々がノーということはないよ」と冗談交じりに可能性を否定した。

    「彼は戦い、競ってきた。来年もここにいるだろう。それは間違いない」アンチェロッティは4月に語っている。「彼はまだまだ若い。少しずつ役割を与えられていくだろう」。今のギュレルの仕事は、アンチェロッティに定位置を確保できると証明することだ。EURO2024でトルコ代表を決勝トーナメントに導けば、その可能性はずっと近づくはずだ。

    ベルナベウはすぐにギュレルの庭になるに違いない。レアル・マドリーの仕事は、彼を自由に走り回せるために何を考えるか、だ。