Andrea Berta Arsenal GFXGetty/GOAL

アーセナル新SD、アンドレア・ベルタが着手すべき7つの仕事:補強以外にも課題が山積み?

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アーセナルでは新たなページがめくられようとしている。ミケル・アルテタ監督と二人三脚で長年チーム強化を担当してきたエドゥが去った後、先日にはアンドレア・ベルタ氏がスポーツダイレクター(SD)に就任することが発表された。

ベルタは就任にあたり「クラブにとって非常にエキサイティングな時期にアーセナルの一員となれて感激している。私はここ数年、アーセナルの進化を非常に興味深く見てきた。またヨーロッパの中心クラブとして、世界中に熱狂的なファンを持つクラブを再建するために費やされた努力に感銘を受けている」と語っている。

アルテタも同じく、「本当にワクワクしているよ。彼は我々のチームに加わることを強く望んでくれた。多くの選択肢があったにも関わらず、我々を選んでくれたんだ。長年最高レベルでやってきたことを、ここで始めることになる。楽しみだね」と興奮気味に語っていた。

そんなベルタだが、今のアーセナルにおいてやるべきことは山積みだ。多岐にわたるチーム強化の責任を担う上で、彼に求められる仕事を分析していく。

  • Arsenal FC v Manchester United FC - Premier LeagueGetty Images Sport

    主力の新契約

    リヴァプールは、今季プレミアリーグ優勝が決定的となっている。しかし、喜ぶべきことばかりではない。モハメド・サラー、フィルジル・ファン・ダイク、トレント・アレクサンダー=アーノルドの契約満了が迫っていることは、アンフィールドの長期プランに影を落としている。

    そしてこれは、アーセナルも過去に経験した痛みだ。2011年のサミル・ナスリ、2012年のロビン・ファン・ペルシ、振り返れば2006年のアシュリー・コール騒動もその1つだ。こうした悲劇は絶対に繰り返されるべきではない。

    現主力を担うブカヨ・サカにウィリアン・サリバ、ガブリエウの契約は2027年まで。ベルタは、恐るべき残り18~12カ月に入る前に先手を打って彼らを交渉のテーブルにつかせなければならない。すでにサカとの話し合いを計画していることが伝えられており、サリバもガブリエウもアーセナル残留を希望しているとされるなど、現時点の見通しは明るい。だからこそ、できるだけ早い段階で新契約を渡したいところだ。

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  • Arsenal FC v PSV Eindhoven - UEFA Champions League 2024/25 Round of 16 Second LegGetty Images Sport

    スカッド整理

    そして、契約満了迫る選手の将来を整理することも必要だ。アーセナルでは現在、ジョルジーニョ、キーラン・ティアニー、トーマス・パーティの契約が今季で満了する。現時点でアーセナルは、3人の残留を急いでいるようには思えない。3人のベテランをこのまま放出し、フレッシュな新戦力を向かえる考えであるようだ。また、2人のレンタル選手についても判断が必要だ。GKネトは全公式戦で1試合のみの出場、ラヒーム・スターリングも結局は期待外れに終わった。彼らも残ることはないだろう。

    そして2026年まで契約を残す選手たちも、整理が必要かもしれない。長期離脱中のガブリエウ・ジェズス、冨安健洋の売却は難しいだろうが、レアンドロ・トロサールやオレクサンドル・ジンチェンコに関しては、年齢も考慮して現金化できる最後のチャンスを有効に活かすべきだ。

    現在の選手層は決して厚くないが、期待に応えられない高給取りを多数抱えるのは決して良いことではない。フレッシュな新戦力を向かえるため、スカッドの整理は必要だ。

  • Sweden v Slovakia - UEFA Nations League 2024/25 League C Group C1Getty Images Sport

    至上命題

    今夏の至上命題はもちろん、ストライカーの獲得だ。これはベルタにとって義務である。

    アルテタが夢見るのは、ティエリ・アンリを彷彿とさせるアレクサンデル・イサクであることは周知の事実。しかし、ニューカッスルは英国史上最高額を要求するだろう。こうした影響から、現在はスポルティングでゴールを量産するヴィクトル・ギェケレシュへの関心を強めていることが伝えられている。

    負傷者続出により、現在のチームではこれまでカイ・ハヴァーツが務めていた役割をミケル・メリーノが担っている。彼はより本格的なストライカーとしてボックス内で勝負できているが、やはり「生粋のゴールハンターであれば…」と思うことも少なくない。今のチームをタイトルを狙えるチームへと進化させるためには、最高レベルの点取り屋は不可欠である。このエリアに関しては、絶対に強化しなければならない。

  • FBL-EUR-C3-ATHLETIC BILBAO-ROMAAFP

    新たなウイングの到着

    またアーセナル攻撃陣の苦悩は、ストライカーだけにとどまらない。今季は全体的にチャンスクリエイトに苦戦しており、サカの負担が急増している。ガブリエウ・マルティネッリはようやくコンディションを上げてきたものの、不安定さは拭えない。彼らには再び、チームのポテンシャルを開花させてくれるウイングが必要だ。

    その候補の1人が、昨夏にも狙ったニコ・ウィリアムズだろう。しかし、バルセロナやバイエルンなど世界屈指の強豪との争奪戦は必須。アーセナルは給与的な面以外にも、スペイン代表FWを納得させるためにチャンピオンズリーグのレアル・マドリー戦で良い結果が求められている。

    またニコ・ウィリアムズ以外には、レロイ・ザネの名前が挙がっている。バイエルンとの契約問題に揺れる中、アルテタが指導した経験を持つドイツ代表は確実に戦力になってくれるはずだ。

  • RCD Espanyol de Barcelona v Real Madrid CF - La Liga EA SportsGetty Images Sport

    控えGK問題

    もしGKダビド・ラヤに何かれば……今のアーセナルが抱える大きな不安の1つだ。しかし、彼のバックアップに2500万ポンド以上を費やすべきではない。エスパニョールGKジョアン・ガルシアの評価額はまさにその金額だが、PSR(プレミアリーグの収益性と持続可能性に関する規則)に縛られる時代には優先順位をしっかりと整理した補強が必要である。来季プレミアリーグで出場しない選手に、高額を投じるべきではないだろう。

    ベルタの任務は、コストを抑えて適切な代わりの選手を見つけることになりそうだ。

  • Andrea BertaGetty Images

    新たな“顔”に

    フラム戦前の記者会見で、ベルタは出席した報道陣へ自己紹介を含めた挨拶を行った。これはイングランドフットボールで待ち望まれていた変化だ。様々な役割が細分化された現代において、記者の質問に応えるのが監督だけなのは不公平だ。最近のアーセナルは、ジョシュ・クロエンケやエドゥが度々カメラの前に立つことで、アルテタのプレッシャーを軽減してきた。

    ベルタもその役割を引き継ぐべきだろう。クラブは1人の人間が作るものではない。監督だけが経営判断に関する問題に答えるのは時代遅れだ。ベルタは、アルテタとともにクラブの“顔”として表に立つことが求められる。

  • nwaneriGetty Images

    逸材の重用

    イーサン・ヌワネリの台頭により、アーセナルはサカのバックアップに投じるべきだった数百万ポンドを節約できるかもしれない。この18歳は、もはやサカと並んでスタメンに組み込まなければいけないほど、溢れる才能を発揮し続けている。

    ヌワネリとマイルズ・ルイス=スケリーに関しては、出来すぎなくらいチームにすんなりとフィットした。他の下部組織出身選手に同じようなことを期待してしまうのは酷だろう。それでも、優秀なヘイル・エンドをしっかりと重用するのはベルタにも求められる。

    だからこそノルウェーの新星、スヴェレ・ニーパン獲得に動くのは歓迎すべきことだ。こうして才能溢れる若手選手を加えながら、チームの土台から強化していくのは間違いなく必要だ。