Alejandro Rodriguez NXGN GFXGetty/GOAL

アレハンドロ・ゴメス・ロドリゲス:“NEXT アグエロ”最有力?17歳のイングランド逸材ストライカー【NXGN】

残念ながら、イングランドのU-17 EURO挑戦はグループリーグで幕を閉じた。しかし、アレハンドロ・ゴメス・ロドリゲスは本物だ。チームが敗退に終わったものの、3試合で4ゴールと驚異的な得点力を発揮。マックス・ダウマンやリオ・ングモハといった注目株が期待外れに終わった中で、17歳のストライカーはその実力を証明している。

ベネズエラやポルトガルの代表チーム入りする可能性もあるこの逸材は、リヨンのユース年代でも確かに輝きを放っており、注目度は日に日に上昇している。今回はいつブレイクしてもおかしくない逸材ストライカーを紹介する。

  • 136試合334ゴール

    2008年3月11日、ベネズエラのカラカスで生まれたロドリゲス。10歳ですでにイギリスに住んでいた親戚の下へと移住し、地元の最大のクラブであるサウサンプトン加入を狙いながら、イーストリーでキャリアをスタートさせている。最近のインタビューで、本人は当時のことを振り返っている。

    「小さい頃からプロのフットボーラーになりたいと常に思っていた。ベネズエラでは学校でプレーしていたけど、ヨーロッパへ移住することが目標の1つだったんだ。叔父が僕と家族全員を移住させる手助けをしてくれて、一気に階段を駆け上がることができた。正直、すべてが早く進み過ぎていると感じるくらいだったよ」

    そしてイーストリーでは、136試合で334ゴールというにわかには信じがたいような驚異的な得点力を発揮したという。すぐさまサウサンプトンの関心を引き付け、イングランドで最も成功した育成組織を持つクラブへと加入している。15歳でU-21チームに昇格し、プレミアリーグ2デビューを達成。トッテナム戦ではゴールも奪っている。アカデミー加入から2年も経っていない時点で、彼の才能は世界中に知れ渡った。

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  • Alejandro Gomes Rodriguez Lyon 2024-25Getty Images

    ブレイクの兆し

    そんな逸材を、世界中のビッグクラブのスカウト陣が放置しておくわけがない。サウサンプトン側は2024年、将来的にファーストチーム契約を結ぶことを前提とした新契約のオファーを送っている。しかしそうしたオファーは実らず、ロドリゲスは同年夏にフランスの名門、リヨンのオファーを受け入れた。サウサンプトンは15万ポンドの補償金を受け取ったが、選手の将来的な価値には到底見合わないものだった。

    リヨン加入について「素晴らしいクラブであり、若手が価値を証明し、トップチームに昇格するチャンスを与えてくれる場所だ。これが僕が求めていたことなんだ」と語ったロドリゲス。彼の決断に大きな影響を与えたのは、2022-23シーズンにサウサンプトンにレンタルで加入し、その後リヨンへと移籍した元アーセナルのエインズリー・メイトランド=ナイルズだったという。ロドリゲスはこう語っている。

    「彼と1週間トレーニングした。ロンドンにいた時、リヨンやアーセナルのようなビッグクラブでプレーした選手と練習するのは本当に面白かったんだ。成長する助けになってくれたね。選ぶべき道に迷ったから、彼にたくさん質問したよ。適切なタイミングで適切な選択をする手助けをしてくれた」

    2024-25シーズンの大半はリザーブチームとU-19チームで過ごしたが、計22試合で12ゴール3アシストと着実に結果を残している。この活躍は当然トップチーム指揮官の耳にも入り、パウロ・フォンセカは4月あたりから定期的にファーストチームへと消臭。5月5日のRCランス戦でプロデビューも果たしている。

  • U-17 EUROでの輝き

    そして今夏のU-17 EUROで3試合4ゴールの大活躍を披露。本人は初戦のベルギー戦でネットを揺らした後、冷静に「ストライカーとして目立つためにはゴールを決める必要がある。チャンスを活かしただけだよ。試合で本当のチャンスは1度だけだったけど、それを決めることができて本当に良かったね。得点王になりたいんだ。僕の仕事はゴールを奪うことだし、これが監督が選んでくれた理由なんだ」と語っている。

    結局チームの敗退もあって得点王を逃すことになったロドリゲスだが、この4ゴールは大きな意味を持つものになっている。大舞台での活躍が本人の自信に繋がるだけでなく、世界中のスカウトが改めて彼を評価するからだ。

  • Alejandro Rodriguez England Italy U17 Euro 2025Getty Images

    選手としての強みとは?

    ロドリゲスは自身のポジションについて、「子供の頃からストライカーだったし、今季はリヨンでもそのポジションでプレーしてきた。サウサンプトン時代はウイングもやっていたけど、『ストライカーになりたい』と決意して、リヨン移籍の時にもそう伝えたんだ」と明かしている。

    『The Athletic』などは、ロドリゲスは17歳という年齢ですでに身体的に成熟しており、スピードとパワーはトップレベルだと分析。サウサンプトンのトップチーム練習に参加したのもこれが理由だと指摘している。本人はサウサンプトンで右ウイングとして起用されたことに不満を抱えていたようだが、スタッフ陣はボールの有無に関係なく力を発揮できる選手にするため、1つのスキルに依存しない万能アタッカーに育てるためだったと後に告白している。そして2023-24シーズンのプレミアリーグ2では、10試合で9アシスト。本人は不本意だったかもしれないが、間違いなく成長には役立っている。

    また、若くして言語の通じないフランスの地を選択したことも高く評価すべきだ。こうしたメンタル面の強さは、すべての若者が参考にすべき姿勢でもある。

  • Alejandro Gomes RodriguezGetty Images

    改善点

    今夏のU-17 EUROでも証明したように、同年代では傑出した得点力を誇っているし、フィジカル的な強みも1つ抜けているだろう。問題は、それがトップレベルで通用するかどうか。アンダーカテゴリーでは継続的に結果を残しているものの、トップチームでの出場機会が未だ1試合(19分間)に留まっているということは、まだそのレベルでプレーする準備が整っていないとリヨンでは評価されているということだ。

    本人はウイングでのプレーを嫌がっているが、サウサンプトンが同ポジションでも経験を積ませようとしたことは理にかなっている。その得点力を活かす術はまだまだ学ぶべきであり、得点パターンを増やさないことにはトップレベルでは活躍できない。また、最前線に陣取るストライカーとしてはサイズも小さい(176cm)ため、空中戦や相手を背負ってのプレーでは劣勢に立つ可能性も高い。そのため、ボックス外でも攻撃に関わる技術と戦術眼は必要になりそうだ。

  • FBL-ENG-PR-MAN CITY-CRYSTAL PALACEAFP

    目指すべき選手像

    では、ロドリゲスが参考にすべき選手は誰なのか? 本人はこう語る。

    「(最もインスピレーションを受けたのは)セルヒオ・アグエロだよ。僕にとっては巨大な存在だ。もしくはアレクサンドル・ラカゼットだね! 彼も素晴らしい存在だよ。リヨンとアーセナルでたくさんゴールを決めた。彼に学ぶことは大きな刺激になるね」

    確かに、アグエロは完璧なお手本となりえる選手だ。小柄だがそのアジリティとスピードを武器とし、狭いスペースでも難なく飛び込める技術と空間認知能力は特別で、いとも簡単にネットを揺らし続けた。ロドリゲスも多くの共通点を持っているため、彼のように世界最高のストライカーまで上り詰めるポテンシャルは十分に秘めているだろう。

  • Alejandro Gomes RodriguezGetty Images

    ブレイク予感させる新シーズンへ

    昨季限りでラカゼットが退団、さらにリヨンが2部に降格した場合は選手売却が予想されるため、ロドリゲスのポジションが空く可能性は十分にある。本人はリヨンでの初年度について「素晴らしかった。到着した当初は誰も知らないからどうなるか不安だったけど、みんな親切で、毎日気軽に話してくれる。今はこの生活を楽しんでいるよ。半年間で適応もできたと思う」と振り返っており、新シーズンは居心地の良い環境でトップレベルでの経験を積めるかもしれない。

    わずか17歳で、世界のスカウト陣が注目する存在となったロドリゲス。そのポテンシャルは本物であり、“NEXT アグエロ”として今後数年間のサッカー界を牽引しても不思議ではない。そのためにも、新シーズンは継続したパフォーマンスを発揮したい。