826億円を費やし11人を獲得したチェルシー、現在のベストメンバーは？

今シーズンのチェルシーは、ここまで3-4-2-1の守備的な布陣を敷いている、コナー・ギャラガー、エンソ・フェルナンデス、モイセス・カイセドといずれも攻撃的なプレーを得意としない選手たちが中盤を固めている。

だが、マンチェスター・シティからコール・パルマーが加入したことで、戦術家が好む流動的な4-2-3-1の形に戻ることが容易になるだろう。この20歳の選手は、負傷離脱したクリストファー・エンクンクのために用意されたはずの10番のポジションに入る可能性がある。

ポチェッティーノはフォワードの選手たちの能力を最大限に引き出す方法を見つける必要があり、より攻撃的な並びはそのための第一歩となるはずだ。

チェルシーにとって、このエリアはほとんど選択の余地がない。第一候補だったはずのGKケパ・アリザバラガはレアル・マドリーへのレンタル移籍が認められ、エドゥアール・メンディはこの夏の初めにサウジアラビアのアル・アハリに売却された。

そのため、2500万ポンドで獲得したロベルト・サンチェスがレギュラーに定着。昨シーズンのシュートストップでプレミアリーグのGKの中で19位にランクされ、シュート後の失点期待値（シュートストップの能力を測る最も信頼できる指標）は-2.8だったにもかかわらずだ。

新たなNo.1を獲りに行かないという決断は、恐ろしい裏目に出る可能性がある。

リース・ジェイムズは、負傷からの復帰が近い。ジェイムズは通常、フラットな4バックには不向きで、非凡な攻撃力もやや落ちるが、ポチェッティーノの流動的なシステムは彼によく合うはずだ。

ポチェッティーノ監督は、サイドバックが攻撃をサポートするため、チャンスがあれば前に飛び出すことを要求する。実際、名目上はディフェンダーであるにもかかわらず、体調が万全であればチェルシーで最も重要な攻撃陣の一人である。今夏加入したマロ・グストがすでに4試合で2アシストを記録し、有能な助っ人であることを示しているだけに、これ以上のケガは避けなければならない。

チアゴ・シウヴァのシーズン序盤のパフォーマンスには、ブルーズのサポーターの一部から疑問の声も上がっているが、39歳の誕生日を迎える今も、クラブで最も信頼できるセンターバックであることに変わりはない。

チェルシーは、このブラジル人選手が退団したとしても、多くの選択肢を持てるような体制を整えている。若手のレヴィ・コルウィル、ウェズリー・フォファナ、ブノワ・バディアシル、アクセル・ディサシをいずれも高く評価している。

しかし、当面はベテランのクオリティーと経験に代わるものはなく、センターバックのパートナーが誰であろうと、彼の知恵を伝授することができる。もし彼の力が衰えつつあるようなら、徐々にスタメンから外される時が来るかもしれない。

チェルシーアカデミーの申し子であるコルウィルがその高いポテンシャルを発揮するには、まずプレーする必要がある。ポチェッティーノのフレキシブルな形状の中で左サイドバックをカバーするため、何度か不覚を取ったが、クラブでの復帰生活は上々のスタートを切っている。

バディアシルはまだケガからの復帰途上で、フォファナは長期離脱中であるため、彼がシウヴァのパートナーとして最適な存在だ。最近も「国内最高のセンターバックの一人になれると信じている」と語っていた。

ポチェッティーノは攻撃的なサイドバックを望んでおり、チルウェルは事実上のウイングバックとしてプレーを続けながら、彼が不在の間は守備的ミッドフィルダーが深く下がってカバーする。

新たに副キャプテンに任命されたチルウェルは、すでに1アシストを記録し、今シーズンはこれまで敵陣で多くの時間を過ごしてきた。彼はラストパスとフィニッシュを改善する必要がある。ジェイムズと同様、彼もまたケガに苦しむシーズンは避けたいと願っているはずだ。

ポチェッティーノの見守る中、チーム内で確固たるプレーを見せれば、彼は再びチェルシーで最も強力な攻撃の武器となるだろう。

1億1500万ポンドで獲得したモイセス・カイセドは、チェルシーでの理想的なスタートとはほど遠い日々を過ごしている。プレミアリーグでは、ウェストハム戦でPKを献上し、ノッティンガム・フォレスト戦では勝ち越し点を奪うまでの間につまずきボールを渡してしまうなど、わずか3試合の出場で失点につながるミスを2つ犯している。

今夏は移籍争いが激化する中、ブライトンのプレシーズンのスケジュールにほとんど参加していなかったことを考えれば、カイセドが試合勘を欠いていたことは驚くには当たらない。

理屈の上では、地球の裏側で行われたワールドカップ予選の2試合でエクアドル代表として90分間フル出場したことが、試合勘を養うことになるはずだが、彼がどのような状態で戻ってくるかはまだわからない。出だしは振るわなかったが、ポチェッティーノ監督は守備的中盤のアンカーとして、彼を重用するだろう。

このアルゼンチン人MFはこれまでチームの中で最高のパフォーマンスを見せ、チェルシー首脳がチーム作りに望んでいた中盤の要になりつつある。新シーズンが始まって以来、エンソ・フェルナンデスの1月の法外な値札について語られることが少なくなったのは、そのことを物語っている。

彼は中盤と攻撃をつなぐ、より高度なボックス・トゥ・ボックスの役割で躍動している。「彼はNo.8だ」とポチェッティーノ監督は『スカイスポーツ』に語った。「彼に会って最初にしたことのひとつは、彼のポジションと居心地の良さについて話すことだった。彼には自由が必要だ。彼はアシストや枠の外からのシュートを打つクオリティーを持っている」。

チームシートに最初に名前を書かれる彼が代表ウィークを終えてさらに調子を上げるには、この調子を維持する必要がある。

ノニ・マドゥエケは、U-21イングランド代表として欧州選手権に出場し、多忙な夏を過ごした後、チェルシーでの生活に戻ってきたが、今こそ彼を解き放つ時かもしれない。

昨シーズンの後半に攻撃の中心選手として頭角を現し、その足技とドリブルでディフェンダーを翻弄して以来、上昇の一途をたどってきたウインガーだが、2023-24シーズンのプレミアリーグではまだ先発出場がない。

カラバオ・カップとはいえ、ウィンブルドン戦で見せた目の覚めるようなプレーは、彼がまだ自信に満ち溢れていることを物語っている。カーニー・チュクウェメカの負傷により、ワイドエリアのスペースが空いたが、マドゥエケはそのスペースを狙っているようだ。

フォレスト戦でのデビューからわずか30分足らずのピッチでも、コール・パルマーは攻撃面で準備ができていることを示した。実際、彼は攻撃的MFの役割を果たす完璧な解決策となるだろう。

クリストファー・エンクンクが膝に重傷を負ったため、チェルシーは10番やウイングとしてプレーできる選手を探していた。マン・シティから獲得した4250万ポンドのアタッカーは、ライン間を威嚇するように浮遊し、常に創造と探りを狙っていた。

ポチェッティーノ監督が4-2-3-1を採用したいのであれば、このU-21イングランド代表は攻撃的MFの唯一のオプションとなるかもしれない。

ラヒーム・スターリングは、チェルシーのファンの間でも意見が分かれる選手だが、4試合で2ゴールと、目を見張るようなプレーを何度も見せており、2023-24シーズンにおいてクラブ最高のアタッカーであることは間違いない。

ポチェッティーノ監督は、右ウイングとして彼をベストの状態に仕上げてきたが、シェイプと人事の微調整によって、彼が本来の左サイドの役割に戻る可能性もある。

しかし、ポチェッティーノ監督に好みのポジションを説明したことで、より中央でプレーする可能性もある。指揮官は「選手全員との最初の会話で、ラヒームもそうだが、私は彼らがプレーするのが好きなポジションを聞くのが好きなんだ。最高のプラットフォーム、ポジション、場所を提供し、その選手が最高のクオリティーを発揮できるようにリンクさせたい」と話している。

ニコラス・ジャクソンがプレミアリーグで信頼できるゴールスコアラーになれるかどうかは、まだわからない。しかし、チェルシーは当面、彼を辛抱強く起用するしかない。

これまでのところ、彼はフィニッシュタッチを除けば、効果的なプレーをするために必要なほぼすべての要素を持っている。監督も指摘しているようにノッティンガム・フォレスト戦での痛恨のミスは、それを象徴している。

ポチェッティーノ監督は、ジャクソンがゴールスコアラーになると信じているかと聞かれ、こう答えた。「もちろん。でも、彼には時間が必要だ。プレミアリーグに適応する必要がある。しかし、これは彼が自分自身を落ち着かせ、もっと落ち着いて、もっとリラックスする必要があるということを言っているに過ぎない」。

次のインターナショナル・ブレイクの前には有利な試合日程が組まれており、22歳は自分の価値を証明するチャンスに恵まれる。もし失敗すれば、復帰したアルマンド・ブロヤが控えている。