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Mason Melia NXGN GOAL

【NXGN】メイソン・メリア:イメージはイサク? アイルランドの若き点取り屋がスパーズへ

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世界最高の若手選手にとって、トップクラスの移籍先になりたいという願望を明確に打ち出すトッテナム。昨季までトッテナムを率いたアンジェ・ポステコグルー現ノッティンガム・フォレスト監督も「誰かにビジョンを売り込もうとしても、それを裏付ける具体的な根拠がなければ…私が来てして以来、我々を見てきた人なら誰でも、我々が目指すチームになるための熱意をわかってくれるはず。これは私が言っているだけではなく、実際に実行していることだ」と語る。

このポステコグルー氏の言葉は2024年冬にルーカス・ベリヴァルを獲得したときのもので、トッテナムはバルセロナとの争奪戦を制して、スウェーデンの才能との契約に成功。その数カ月前にはマンチェスター・シティとパリ・サンジェルマンと競合した末にクロアチアの注目株であるルカ・ヴシュコヴィッチを射止め、その後にブレントフォードも狙ったアーチー・グレイの獲得にも漕ぎつけている。

ジョゼ・モウリーニョ氏とアントニオ・コンテ氏の時代は目の前の結果を求めた移籍戦略が目立ったが、それ以降はチームの平均年齢を下げる補強が意識的に進められ、上記3つの移籍はすべてポステコグルー氏の時代に実現したもの。そんなポステコグルー氏は昨季をもって解任の憂き目に遭ったが、もう1人の有望株をトッテナム入りへと導いている。

それが来年1月にアイルランドのセント・パトリックス・アスレティックから加入するU-21アイルランド代表FWメイソン・メリアだ。トッテナムに加わる最新のティーンエイジャーで、9月の誕生日でまだ18歳になったばかりだが、セント・パトリックス・アスレティックですでに100試合に迫る出場数をマークしている。

メリアとは一体どんな選手なのか、トッテナムはなぜ記録的な移籍金を投じてまで獲得したのか、そして期待に値する選手なのか。今回はトッテナム期待のティーンエイジャーに迫る。

  • すべての始まり

    メリアは2007年9月22日が誕生日で、アイルランド出身。フットボールに魅了されると、すぐに地元のクラブチームであるニュータウン・ジュニアーズとセント・ジョセフズ・ボーイズの目にとまり、2022年にブレイ・ワンダラーズというプロクラブに加入した。だが、その年のうちにセント・パトリックスがスカウト。それ以来、順調な成長曲線でキャリアを紡いでいる。

    元コーチであり、父親のよき友人でもあるロリー・ハケット氏によれば、メリアは初日から際立つ存在だったという。2025年初めの『the Irish Independent』で「彼の蹴り方をよく見たが、ほぼ完璧だった。インサイドも、アウトサイドも、そしてFKも。彼はまさにその才能があった」と振り返っている。

    「彼が9歳だったある日、ハーフウェイラインからボレーシュートを決めるのを見た。メイソンは完璧なタイミングでボールを捉え、ゴールの天井に突き刺した。誰もが熱狂したなか、私は『もう一度やってみろ』と思ったが、その数週間後に案の定、彼はまた同じことをやってのけたんだ! 彼のシュートは9歳とは思えぬパワーがあったよ。毎試合のようにハットトリックを決めたので、こっちから交代させなければならないときもあったほどだ!」

    「彼に関してはピッチを縦横無尽にドリブルしてゴールを決める姿も何度も見た。サイドラインでよく文句を言われたよ。『何があってもハットトリックを決めるな。そうじゃないと、交代させられるぞ!』ってメイソンに釘を刺す連中もいた。だが、あの年齢では全員に出番を与えないといけないし、私は交代せざるをえなかったよ。とはいえ、彼はとても謙虚で、他の子供たちとの時間を心から愛してもいた」

    そう証言するハケット氏だが、メリアの才能を見抜いたコーチは他にもいた。ニュータウン・ジュニアーズのヒューイ・ノーラン氏は『BBC』で「私はメイソンが幼い頃からサッカーへの純粋な愛ですぐにトップに上り詰めると確信していた。彼が優れた選手になるのはわかっていたよ。人々はよく『次のロイ・キーン』とか、『ロビー・キーン』と言うが、そういう選手の大抵はそこまで大成しない。だが、私は彼ならそういう選手になれると確信していた。だが、こんなにもとはね。彼はレベルアップしても難なく適応し、何にも動じなかった」

    メリアはクラブキャリアの世界に足を踏み入れる前、U-16アイルランド代表として2022年のビクトリー・シールド優勝に貢献。スコットランドとの決勝では決勝点を決めるなど、国際ユースレベルで目覚ましいキャリアをスタートさせ、名声を博した。

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  • Mason MeliaGetty Images

    ブレイクのきっかけ

    メリアはセント・パットのユースチームで数カ月過ごした後、16歳の誕生日をはるかに前にファーストチームに昇格。2023年2月、レンスター・シニアカップでウェックスフォードに1-3で敗れた試合では途中出場ながらゴールを決め、15歳132日でのクラブ史上最年少得点記録を打ち立てた。

    その後、数カ月間ほどユースチームで過ごした後、同年5月にシニアチームへと復帰し、セント・パット史上最年少でリーグ戦デビュー。この試合ではゴールこそなかったものの、暫定監督のジョン・デイリー氏は「U-19での彼は素晴らしい活躍をしている。『ゴールが必要だ』と思ったときに、U-19で何度もゴールを決めているのを見た。レンスター・シニアカップのウェックスフォード戦でもゴールを決めた。だから、彼にはフィニッシュ力があり、動きも素晴らしいものがある」と称賛した。

    リーグ戦での初ゴールは翌月、UCDに7-0で圧勝した試合でようやく生まれ、全国紙はメリアを「魔法がかった選手」と絶賛。数週間後にはマンチェスター・シティのトライアルに参加し、リヴァプールへの移籍が有力視されたりと国外チームでも知られる存在になっていった。

    節目となる出来事は次々と訪れ、2023年11月にプロ契約を締結。さらに、その3日後のFAIカップ決勝では後半途中から出場し、同カップ決勝史上最年少出場選手に。セント・パトリックスは3-1の勝利で優勝し、メリアもキャリア初のトロフィーを手にした。

    2024シーズンはメリアにとって最初から最後までトップチームに定着した最初のシーズンに。2023年は13試合で3ゴールだったが、2024年は全公式戦で41試合に出場し、7ゴールを記録した。その過程で、ヨーロッパでもデビュー。そのシーズンではPFAI史上最年少で年間最優秀若手選手に輝いている。

    代表キャリアにおいてもU-17アイルランド代表で実績を積み上げ、22試合に出場して10ゴールを記録。その後、U-21アイルランド代表でも頭角を現し、言うまでもなく、同年代におけるアイルランド最年少得点者となっている。

  • Sabah v St Patrick's - UEFA Conference League Third Qualifying Round: Second LegGetty Images Sport

    現在

    現在2025シーズンはメリアにとって様々な意味で目まぐるしいシーズンに。開幕が迫るなか、クラブからアイルランド記録となる200万ユーロでのトッテナム移籍合意が発表。この移籍金はボーナスを含めると、最終的に400万ユーロにまで達するともいわれる。メリアはアーセナルからもオファーがあったとのことだが、前述のベルヴァルがバルセロナをパスしてトッテナム行きを決断した前例に挙げ、『the Irish Examiner』で「クラブと契約する前には、こうした様々な要素を考慮しなければならない。僕がトッテナムに行くのには明確な理由があって、最も居心地が良い場所だからさ。トッテナムはビッグクラブだが、僕は彼らのレベルに到達するに努力が必要だ」と述べている。

    この移籍決定に奮い立ったか、メリアはゴール数においてキャリア最高のシーズンを送っており、現時点でアイルランドリーグのゴールデンブーツランキングで2位に。12ゴールというのはウォーターフォードのパドレイグ・アモンドに次ぐ。そして、マンチェスター・ユナイテッドの元監督でレジェンドOBのオーレ・グンナー・スールシャール氏の目にとまる存在に。スールシャール氏はカンファレンスリーグ予選でセント・パトリックス・バウンドと対戦した際にベシクタシュの監督を務め、メリアの年齢を感じさせない才能に感銘を受けている。

    「トッテナムはいい補強をしたと思う。成熟したフィニッシャーだ。彼にはあまりプレッシャーをかけたくないがね。私はいつもキャリア初期の若い選手に注目している。アイルランド出身で一緒にプレーした優秀な選手が何人もいるし、アイルランド出身の選手には特別な目を向けている。メリアには明るい未来が待っているはずさ。常に走り込み、ポジションに顔を出している。私が特に評価しているのはプレスに対する姿勢だ。彼は守備の仕事もこなしている。後半は我々のMFの1人をマークする任務を与えられ、その役割を完璧にこなした」

    今月に18歳の誕生日を迎えたメリアはコーク・シティを4-0で圧倒した試合でも2ゴールと活躍し、成人としての新たな門出を祝うにはこれ以上ない形に。アイルランド代表のA代表から声がかかるのもそう遠くないだろう。アイルランド代表は来夏のワールドカップ(W杯)出場という目標に向けて着実に歩みを進めている。

  • 最大の強み

    セント・パトリックスのNo.9を自分のものにしつつある新進気鋭のストライカー、メリアの最大の武器はまず得点能力とフィニッシュワークにある。ボックス内外で危険を察知する能力に優れ、チャンスを引き寄せる磁石のような存在だ。そのなかで、過去の実績ではなく、次に何をするかの重要性も学びつつある。

    セント・パトリックス・バレットのスティーブン・ケニー監督はメリアが18歳の誕生日に2ゴールを記録した後、「彼には何度も繰り返し教えてきた。イライラすることもあるだろうが、『いいかい、最高のストライカーだってチャンスを逃す。重要なのはその後の対応だ』とね。感情に流されてはいけない。精神状態からそれを排除し、次のチャンスに集中することが重要だ。そして彼はそれを実行した」と話す。

    ストライカーとしては当然の資質だが、実際にゴールを決めなければチームも成り立たない。メリアが若くして際立っているのはそれ以外のプレー面での貢献だ。彼の伝染するようなエネルギーと積極的なプレスは特に目を引く。

    さらに、シニアレベルではウイングとしてもプレーした経験があり、ピッチ上のどこにいても守備の重要性を学ぶなど、規律を身につけるきっかけに。セント・パトリックスのキャプテンであるジョー・レドモンドも「彼は手に負えない存在だ。パワー、スピード、フィニッシュ能力は驚異的。おそらくだが、僕らは彼の実力の半分しか見ていない。何度か言ったように、彼はさらに成長し、進化していくだろう。本当に楽しみだ。彼はあらゆる面で優れている。ボールを保持してキープできる、裏に抜け出せる、フィニッシュできる、優れたコントロールを持っている。そして彼の成熟度と試合に対する理解力も非常に優れている」と述べている。

    メリアは最近、ボール保持時だけでなく、ボールを持っていないときもより献身的なチームプレーに徹する姿勢があり、今季のアイルランドリーグでは12ゴールとともに、4つのアシスト数を記録している。選手自身は自身の精神力とこれまで積み重ねてきた経験も理解。「すべてが自分の思い通りにうまくいっている。より成熟してきたね。肉体面でも自信がついて、より大きな挑戦への準備もできている…注目されるのは好きだ。それは正しいことをしているってこと。若い頃からずっとそうしてきたし、いい家族に支えられている。みんなが私を謙虚にさせてくれるんだ」と充実ぶりをのぞかせた。

  • Sabah v St Patrick's - UEFA Conference League Third Qualifying Round: Second LegGetty Images Sport

    改善点

    メリアがこれまでのキャリアで成し遂げてきたことを比べるのは難しい。特に、ブレグジットの影響で18歳になるまでトッテナムを含むイングランドの他クラブへの移籍が不可能な状況を考慮すればなおさらだ。だが、細かい点を指摘するならば、以下の点が彼の成長課題と言えるだろう。

    アイルランド代表のユース年代では空中戦で圧倒的な強さを誇り、ドリブルにも自信があったが、大人の試合になれば、影を潜める傾向もある。今後、年齢相応に身体的に成長すれば、これらのプレースタイルをより発展させられるはずで、年齢的にまだ身長も伸びてくるかもしれない。

    残る改善点は今の調子がプレミアリーグでどこまで発揮されるか、だ。トッテナムではすぐにトップチームでプレーしそうにないが、埋もれた有望株になるわけにもいかない。同胞のトロイ・パロットを見ればわかるように、アイルランドで高く評価されているからといって、必ずしもプレミアリーグで活躍できるとは限らないというのを肝に銘じておく必要がある。

    いずれにしろ、メリアがアイルランドサッカー史上最高額の移籍金を記録した背景には理由がある。それを証明するにはチームとしてリーグ優勝する以外に個人タイトルを掴むしかない。

  • Liverpool v Southampton - Carabao Cup Third RoundGetty Images Sport

    イサクに似たタイプ?

    メリアのプレースタイルを知りたいトッテナムファンの多くはハリー・ケインとの比較を期待することだろう。だが、現実的にはそうではない。とはいえ、イングランドサッカー史上最高額の移籍金額を記録したアレクサンダー・イサクとはストライカーとして共通するものを持っている。

    イサクは異なるレベル、異なるステージの選手だが、両者とも長身で、短距離を爆発的に加速でき、ゴールから遠目の位置でも決定的なシュートを放つ力がある。体格も細身だが、両者ともスピードに乗っても柔らかいタッチなどでボールを収めるテクニックがあり、高い重心をカバーしている。この意味で、フェルナンド・トーレスのような一面も見受けられる。

    イサクも成長期の一部をウイングとしてプレーしており、そこでオールラウンドなプレースタイルが開花。そして、より完成度の高いフォワードとしての土台を築いた。前述の通り、メリアもこの道をたどっており、それが彼の成長に大きく寄与している。現在のメリアにとって最も役立つのは何らかの形でさらにスピードを向上させるか、あるいはより確実に空中戦の優位性を生かすようになることだろう。

  • トッテナムで目指すは1stストライカーの座

    メリアはトッテナム行きを果たすまで現在の所属クラブで少なくとも7試合が残っている。カンファレンスリーグ出場権を争うリーグ戦のほか、いずれも準決勝進出を果たしているレンスター・シニアカップとFAIカップでは2つの決勝を戦う可能性も。メリアも「FAIカップ決勝まで勝ち進めば、僕にとってまさに集大成となる試合になる」と意気込む。

    一方で、トッテナムもメリアに対して加入前の段階から明確なプランを用意。メリアもそれに沿って順調に成長曲線を描いている。

    「僕を支えてくれるスタッフがいる。トッテナムとセント・パトリックスの双方からピッチ外の決定事項についてのサポートを受けている。両クラブからサッカーに専念するよう求められているんだ。今はカップ戦決勝に出場する可能性だったり、セント・パトリックスでのキャリアを締めくくる絶好の機会があるから、トッテナムについてあれこれ考えるのは早いけどね」

    長期的に見れば、トッテナムの1stストライカーの座は空席がある。トッテナムにはまことしやかながらケイン復帰の噂があるが、メリアがその穴を埋める存在になるかもしれない。