19日のラ・リーガ開幕節、レアル・マドリーは本拠地サンティアゴ・ベルナベウでのオサスナ戦を1-0で制した。
元マドリーの選手であるシャビ・アロンソ監督が、現代フットボールを代表する指揮官となって11年ぶりにサンティアゴ・ベルナベウに帰還。2014年、マドリーの選手として彼が最後に戦った試合は、奇しくもこのオサスナ戦同様8月19に行われたスペイン・スーパーカップだった。試合直前、ベルナベウの場内スピーカーが「私たちの監督は……シャビ・アロンソ!」とこのバスク人指揮官の名を叫ぶと、8万人が大喝采を送っている。
シャビ・アロンソ監督はこの記念すべきベルナベウでの一戦目で、GKクルトワ、DFトレント、ミリトン、ハウセン、アルバロ・カレーラス、MFバルベルデ、チュアメニ、ギュレル、FWブラヒム、エンバペ、ヴィニシウスを先発させた。システムは4-3-3。
マドリーはこの試合の前半から、シャビ・アロンソ監督の刻印が押されたような、昨季とは明確に異なるパフォーマンスを披露。後方からボールをつなぎ、ライン間を狭めた一枚岩となって相手陣地に攻め込み、ボールを奪われたらエンバペ、ヴィニシウスから積極的にプレスを仕掛けてそれを奪い返した。ヴィニシウスが後方に向かって懸命に走り、ボールを奪った場面では、観客がこれまでに見られなかった守備意識を拍手でもって称えている。
この即時ボール奪取により、マドリーのポゼッションは80%を超えたが、しかし5-3-2でプレーするオサスナを相手に効果的な攻撃を見せるには至らない。シャビ・アロンソ監督はオサスナの5バックに対して、右からブラヒム、バルベルデ、エンバペ、ギュレル、ヴィニシウスを並べて数的均衡をつくり、スペースを生み出そうと試みた。だが中盤でリーダーシップをもってゲームをつくれる選手が不在で、なおかつ前線に並べられた5枚の連係もつたないこともあり(ほとんど有機的な動きがない)、決定機を生み出せない。フィニッシュの手段はカレーラス、ハウセン、ミリトンがミドルレンジから放つシュートのみにとどまり、そのすべてが枠を外れるかGKセルヒオ・エレーラのセーブに遭っている。
前半はスコアレスのまま終了し、ベルナベウはわずかながらも内容に不満のブーイングが吹かれた。迎えた後半、マドリーは相変わらずオサスナの堅守に苦しめられたが、50分にようやくスコアを動かすことに成功。ペナルティーエリア内右に侵入したエンバペが、切り返した際にフアン・クルスに足を引っ掛けられてPKを獲得。今季から10番を背負うエンバペ自身がキッカーを務めると、S・エレーラの逆を突き、枠の右にシュートを沈めている。エンバペは昨季の記録58試合44得点を上回る挑戦に、1試合目から着手している。
ようやくゴールを決めて少しだけ安堵するシャビ・アロンソ監督は、68分にブラヒム、トレントを下げてマスタントゥオノ、カルバハルを投入。ベルナベウの観客はまず、新加入のアルゼンチン人選手に万雷の拍手を送り、次に長期離脱から復帰したカルバハルの名がアナウンスされると、さらに大きな拍手の音を響かせている。
マドリーはマスタントゥオノも組み立てに参加する攻撃で追加点を狙うも、5バックで守り続けるオサスナを相手に変わらず苦戦。シャビ・アロンソ監督は78分、3枚目の交代カードを切り、ヴィニシウスを下げてゴンサロもピッチに立たせた。
2ボランチに右からチュアメニ、バルベルデ、2列目にマスタントゥオノ、ギュレル、エンバペ、1トップにゴンサロを据えたマドリーだったが、やはり決定機までは迎えられない。さらに85分にはセットプレーの流れからブディミルのヘディングシュートを許したが、これはクロスバーの上へ。あわや同点とされる場面に、スタンドからは怒号が飛んでいる。
マドリーは88分、ルーレットなどの個人技で見せていたマスタントゥオノが角度が厳しいところからシュートを放つも、これはS・エレーラのセーブに遭う。X・アロンソ監督は直後、ギュレルを下げてセバージョスを投入し、70%超えのポゼッション率をさらに高めて守り切ることを意識。そうして1点リードのままアディショナルタイム5分を過ごし(94分にはブレトネスがゴンサロの顔面に打撃を加えて退場に)、終了のホイッスルを聞いている。新指揮官率いるマドリーは会心とは言えない、苦戦した内容ではあったものの、エースの一撃で開幕戦勝利を飾っている。
なおロドリゴはベンチ入りも出場機会なし。シャビ・アロンソ監督にとって起用の優先順位が低いことが浮き彫りとなり、移籍の可能性がさらに高まっている。






