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レアル・マドリー退団が近づくセルヒオ・ラモス、だが行き先はリヴァプールではない…

敗れたサウサンプトン戦で、ユルゲン・クロップ監督が最終ラインの真ん中に2人のMFを置いたという事実は、リヴァプールが新たなCBと契約すべきだということを突きつけたかもしれない。だが、レアル・マドリーのキャプテンが近いうちにアンフィールドへとやってくることはないだろう。

34歳という年齢、高給取りでせっかちのラモスは、端的に言って、リヴァプールの守備の問題を解決してくれるとはまったく思えない。

レッズは昨年の夏、中盤に変化を加えるべく、チアゴ・アルカンタラを特別扱いしたが、自分たちの色に合わない選手を迎え入れるつもりはない。特に、2018年のチャンピオンズリーグ決勝で、試合を決定づけるようなケガをモハメド・サラーに負わせ、今なおサポーターたちに憎まれている選手とは…。

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■以前から退団が伝えられていた…

sergio_ramos(C)Getty Images

しかしながら、リヴァプールには行くはずがないとしても、ラモスがシーズン終了時の契約満了をもってレアル・マドリーを離れることがないとは言いきれない。

第一にラモスは多くのクラブが目をつけている選手であり、とりわけパリ・サンジェルマンは、ラ・リーガ史上最も得点力のあるCBをずいぶん前から加入させたがっている。

第二に、これは非常に重要なことであるが、レアル・マドリーがラモスを手放す気でいるのだ。

2015年の夏、ラモスがマンチェスター・ユナイテッドへの移籍を考えたとき、ブランコスのフロレンティーノ・ペレス会長は厄介な立場に立つこととなった。

クラブのレジェンド、イケル・カシージャスがポルトに移籍したばかりで、「マドリディスモ」を体現するラモスがこのゴールキーパーと同時に出て行っていたら、サンティアゴ・ベルナベウは大騒ぎになっていただろう。

結果的にペレス会長はラモスの要求を呑み、ワールドカップ王者のラモスは契約の5年延長という自身に有利な契約を手に入れた。新しい契約にサインする際、ラモスは契約更新に長い時間がかかったのは金額のせいでは決してないと主張したが、今やそうだったことは明白だ。

その後、2018-19シーズン終了後には中国行きの可能性もあった。だが、ペレス会長がタダで手放すことを嫌がり、残留することに。結果として、昨シーズンのラ・リーガ制覇では中心選手として躍動。ラモスはディフェンスの要としてだけでなく、新型コロナウイルスによるロックダウン明けのラ・リーガで10試合に出場し、6得点を挙げたのである。

この時点では、ラモスの2021年6月30日に満了する契約の延長は間違いないと思われていた。7月に行われたビジャレアル戦後には明確に残留を希望している。

「私はここでキャリアの終わりを迎えたいと思っている。私にとっても会長にとっても問題があるとは思っていない」

しかしながら、それから6カ月ほどが経ち、ラモスはまだ新しい契約を結んでおらず、すなわち現在は、夏に向けて他のクラブと契約締結前の同意事項についての話し合いを自由にできる状態にあるのだ。

現在1月の移籍市場の最中で、数々の噂が盛んに飛びかっている。すでに来シーズン、ラモスがPSGで「(リオネル)メッシの同僚になりそうだ」という報道もあり、ラモスと同じくこの夏フリーになるバルセロナのキャプテンに、リーグ・アン王者も興味を示している。

■金銭面で退団が加速?

Sergio Ramos Florentino Perez David Alaba Real Madrid Bayern Munich GFXGetty/Goal

だが、2015年のときとは違い、ペレス会長はラモスと真っ向から対決するかもしれない。それにはいくつか大きな理由がある。

第一に、新型コロナウイルスの感染拡大で、サッカー界の経済状態は深刻なダメージを受けている。サッカー界で最もリッチなクラブでさえ、ひどいありさまなのだ。レアル・マドリーは、昨年春の第一波のさなか、選手たちに10~20%の報酬カットを求めなければならなかった。

そのため、7月にPSGからキリアン・ムバッペと契約する気があるかと打診されたとき、ペレス会長は即座に否定。『El Transistor』でこのように語っている。

「本当にひどい状況だった。選手たちに、難局を乗り切るために給料を減らしたいといいながら、新しい契約をすることは難しい。いつかまた、事態がまた好転すればレアル・マドリーは最高の契約をするだろう」

そして、事態はまだ好転していない。

新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動は破綻しているが、レアル・マドリーはそれでも2019-20の会計年度を31万3,000ユーロ(約4,000万円)の黒字で終えようとしている。ただ、事態は依然として困難なままだ。ペレス会長もいまだに慎重な姿勢を崩していない。

つまり、3月に35歳となり、現在手取りで1200万ユーロ(約15億円)の年俸を受け取るラモスに対し、要求どおりの報酬の増加を認めることは、経済の観点からありえないことなのだ。

確実ではないが、ラモスの要求にレアル・マドリーが回答を渋っている2つ目の重要な要因は、ダヴィド・アラバである。

バイエルンのアラバは今夏、フリーエージェントとなる。契約延長交渉は完全に破綻しており、ヨーロッパのすべてのトップクラブの注目を浴びている。

アラバはレアル・マドリーに行きたがっていると思われており、センターバックにコンバートされて以来、センセーショナルな活躍を続けている。この28歳が加入すれば、間違いなくラモス移籍の衝撃を和らげる役割を果たすだろう。

これは経済的にも有意義だ。アラバは現在、年俸1300万ユーロ(約16億円)の契約を求めているが、最終的には合意に至ると予想される。結局のところ、レアル・マドリーは、キャリアの終わりが見えてきた選手よりもまだ絶頂期にいる選手にお金を払うことに意味を見出すだろう。

■圧倒的な影響力

Sergio Ramos Osasuna Real Madrid LaLigaGetty Images

もちろん、完全にラモスの代わりとなる選手を見つけることは不可能だ。アラバのようなマルチに活躍できる選手でも難しいだろう。ラモスの与える影響力はそれほどまでに大きいのだ。

カゼミーロは「彼の名前はクラブの歴史年表に書きこまれる」と話しており、ラモスはロッカールームでも文句のつけようのないリーダーであり続けている。

つまりラモスは、ケガでベンチ入りしかできないことが多くても、あるいはそれ以上に出場停止が多くとも、その不在がチームに及ぼす影響は大きい。事実、レアル・マドリーはキャプテンなしのチャンピオンズリーグ9試合で7敗を喫している。

クラブにとってラモスがどれほど重要な存在か、語り尽くすことはできない。本来であればラモスが新しい契約にサインし、レアル・マドリーでどのようにキャリアを終えるかを我々は見られるはずだった。

だが、事情が変わった。今や、別れたほうが双方にとって都合がよいことは間違いないだろう。すべてはカネの問題となった。

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