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フィジカル差は一朝一夕に埋まらない…U-24日本代表、アルゼンチン撃破のポイントは?/プレビュー、注目選手

 中2日でのリマッチ。そして、3試合で勝ち上がりを決める東京五輪のグループリーグを想定するなら「次、負けたらオリンピックだと予選敗退になる」(田中碧)第2戦。ミクニワールドスタジアム北九州で開催されるU-24アルゼンチン代表との試合は、U-24日本代表にとって修正力が試される一戦となる。

■相手を見て戦う必要性

 初戦では随所で力の差を見せつけられた。球際の強さやセカンドボールの回収、組織的な守備に鋭いカウンター。強豪・アルゼンチンの試合巧者なゲーム運びに、日本は最後まで1点を奪うことができなかった。

 そこからの改善という点では、まずフィジカル面の差は一朝一夕で埋まるほど簡単ではない。メンタルが影響する部分で多少の変化はあるかもしれないが、そこですべてを上回るというのは無理な話だ。

 一方で、セカンドボールの奪い合いや組織的な守備を崩す方法はいくつもある。初戦の後半に幅を使って攻撃を展開できたように、ボールの動かし方をスムーズにすれば敵陣に侵攻していくことは可能だ。あとは前線に入った後のコンビネーション。前回はそこでドリブルでしか活路を見出せなかっただけに、今回はバイタルエリア以降の崩しの改善が必要になる。スタメン出場した三好康児は相手を見て戦う必要性を説いている。

「大前提として個人の球際や一対一で負けないところは、それぞれが伸ばさないといけない。そのうえで、やはり日本代表としてのやり方の部分、どうやってボールを動かして組織力でどう上回っていくか。そこのすり合わせはもっと必要になる。相手の特徴やスタイルを試合の中でチームとしてつかんで、守備のところも攻撃のところも相手のウィークポイントを探し、どこが空いてくるかを共有することが大事。そこの考え方はもっと全員が身につけなければいけないと思う」

 細かく見れば距離感や前線のプレッシングなど改善点はいくつもあるが、チームとして個々の特徴を活かしつつ組織力で相手を上回れるかが、アルゼンチン撃破のポイントとなる。

■3バックなら久保と三好のコンビがシャドーか

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 また、注目されるのは第2戦でどんなメンバーを起用するのか、システムは変更するのか、という点だ。田中駿汰の離脱以外、練習に参加しないほどのケガ人は出ていないが、中2日のゲームとあってコンディションにバラつきがあるのは仕方がない。むしろ、そういう中で試合を続ける東京五輪を想定するならば、ここでのメンバー選考は重要になってくる。

 本大会のシミュレーションと捉えると、大きなメンバー変更はないと予想する。4バックならば、前回のメンバーが中心となりボランチに出場停止明けの田中碧、最終ラインに瀬古歩夢が入る程度の変更か。コンディション面が気になる久保建英がスタメンを外れるなら、三好が中央へとスライドし、右サイドに食野亮太郎や林大地が入るパターンもあるだろう。

 3バックを試すならば、左のワイドに相馬勇紀が入り、シャドーは三笘薫が外れて久保と三好のコンビに。3枚のCBには瀬古が入る形となるか。いずれにしてもコンディションを踏まえながら、選手交代を含めて90分トータルで考えていくことが勝利への近道となる。

■注目選手は田中碧

2019_12_14_ao_tanaka(C)Kenichi Arai

 その中でも、期待したいのは田中碧だ。ボランチの一角に入ることが予想される田中碧は、豊富な運動量を武器に広範囲に動き回る力を持つ。ビルドアップにおける最終ラインとの絡みだけでなく、2列目の選手と近い距離感でプレーすることも可能。攻守に顔を出すことでリズムに変化を加えたいところだ。

「2列目の選手は、遠い距離より近い距離でプレーしたほうが活きる選手たちだと見ていて感じた。そこの距離感や三角形を作る動き、孤立させないサポートなど、そういう部分は非常に重要にはなると思う。ただ、アルゼンチンもすごくコンパクトで堅いブロックを作っていたので、サイドから行くことも必要。もちろん外周りになり過ぎると、それはそれで崩せないので、まずは中央を見せてよりコンパクトにさせたうえで外など、そこの動かしをより意識してやっていきたい」(田中碧)

 前回の試合を見て感じたが、このタイミングで強豪・アルゼンチンと対戦できる意味は大きい。いま持てる力をすべてぶつけることで勝利を手にしたい。

取材・文=林遼平

U-24日本代表の最新情報

東京五輪世代であるU-24日本代表の最新情報は以下の記事でも紹介している。

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