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父親の死も“糧”に。リヤド・マフレズはいかにして世界トップクラスの選手となったのか?

リヤド・マフレズは同世代のアフリカ人選手の中で最も華々しい成果を残してきた。

数多くのスター選手を擁するマンチェスター・シティにおいても確たる地位を築き、アルジェリア代表ではアームバンドを巻いてプレーしている。だが、マフレズの人生やキャリアはそれほど恵まれたことばかりではなかった。

彼がこれらの苦難を乗り越えてこられたのは、生まれ持っての才能に加え、前向きな態度とハードワークによるもの。その成功は彼の足跡を追う人たちに刺激を与えてくれるだろう。

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■両親の献身が成功のカギに

México Argelia Jonathan Dos Santos Riyad Mahrez

フランスで北アフリカ人の両親から生まれたマフレズだったが、15歳の時に父親の突然の死に直面し、立ち向かうことを余儀なくされた。こうしたひどい衝撃を受けた時、人は集中力や抑制、そして信じる力を失ってしまいがちだ。特にこれほど若くして直面したとあっては、選手キャリアどころか人生が大きく暗転しかねない。

だが、マフレズは『ガーディアン』の中で「以前よりもっと真剣になり始めたのかわからないけれど、父の死後から物事が上手く生き始めたんだ。多分頭の中では、もっと真剣になりたかったんだろうね」と語っている。

彼なりの対処の仕方とは、「父親が最も誇りに思うような行いをしよう」というものだった。逆境をポジティブな姿勢で乗り越える能力を実践してみせたのだった。

「父はいつだって僕の味方をしてくれた。父は僕にフットボーラーになってほしかったんだ。彼はいつでも一緒だった。いつも試合に来てくれて色々と助けてくれた。父はアルジェリアとフランスの小さいチームでプレーしていたから、言うべきことはわかっていた。だから僕も父の言うことを聞いたんだ」

つまりマフレズの成功は、両親の一貫した、相当な献身の末に生まれたものだ。

マフレズが言うには、母親の行動原理と、子供が十分飲み食いできるように育てることに重点を置いていたことが、自身の次の成長につながったのだそうだ。

■「非常に脆い」が…

Riyad MahrezGetty

それでも、フランス下部リーグで経験したキャリア初期のステップでは、マフレズはフィジカルが弱く脆い選手だとみなされ、高いレベルでインパクトを残すには線が細すぎると考えられていた。

以前所属したサルセルのテクニカルダイレクターであるモハメド・クリバリは、マフレズのことを「非常に脆い」と表現した。だが、彼の態度や勇気、そして性格はトッププレーヤーへと到達するに足るものだったという。

「非常に早い段階から、彼は責任を負うことを学んでいたね。テクニック以上の何かを持っている。偉大な選手になれるガッツと性格を備えていたね」

また、線の細さは自身の試合運びに磨きをかけることに役立った、とマフレズは後に語っている。接触を回避し、自身のスキルやスピード、そしてクレバーさで相手を打ち負かそうというときにシャープな動きができたということだ。

そうした背景から、2014年のレスター・シティへの移籍、つまりイングランド2部への移籍はル・アーヴルで頭角を現した後の移籍としてはステップアップだとは思えなかったのだ。

フォクシーズへ移籍し、そしてプレミアリーグに昇格してからも、マフレズは次の障害に見舞われた。最初のシーズン、対戦するクラブは彼を封じ込め、無力化し、脅威として立ちはだかった。

だが、結果は周知の通り。マフレズはレスターで最高の時間を謳歌し、2016年に奇跡のタイトルをもたらした。

アタッキングサードでの才能とアイデアは高く評価されたが、それはハードワークと、落ち着いて二の矢を放ち敵の注意を回避する力でもたらされたもの。この能力こそがレスターをありえないほどの成功に導く重要な要素になったのだ。

■ステップアップ後も高みを目指し

Riyad Mahrez Man City 2020-21Getty Images

奇跡の優勝を成し遂げたが、マフレズの人生は全くプラン通りに行かなかった。当初フォクシーズは、このプレーメーカーをマンチェスター・シティへ放出したがらなかったのだ。2016年夏のステップアップを本人は希望していたが、最終的にシティへと加入したのは2018年夏のこと。マフレズは「僕にとってトップレベルでの2年間を失ったことは明らかだ。失われた2年だよ」と表現した。

シティへの移籍が決まってからも、彼はペップ・グアルディオラに自身の価値を証明しなければならなかった。アタッキングサードで違いを作れる男だと、ビッグマッチを制することができる男だと、そしてワールドクラスの環境に適応することができる男だと…。

そして、マフレズは定位置をつかみ、多くの栄冠を手にした。プレミアリーグで二度目の優勝を経験。そしてFAカップも制し、リーグカップも2度掲げた。クラブとともに素晴らしい成果を得たが、マフレズはさらなる高みを望んでいる。

「僕はもっともっとできると思うんだ。前に進み続けて、チームにもっともっと多くのことを与えられる存在になるためにプレーをしたい」

マフレズの生い立ち、乗り越えてきた障害、そして直面した課題。すべてがあったからこそ今彼は勝者となっているのだ。

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