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【全文】「裁判で争いたくはない」メッシが明かすバルセロナ残留の真相、思い、確執/インタビュー

バルセロナFWリオネル・メッシが、『Goal』の独占インタビューに応じた。

現在のバルセロナのプロジェクトに失望し、ブロファックス(スペインの内容証明郵便)で退団の意思を告げたメッシ。さらに先月末のPCR検査にも合流せず、移籍の意思を明確に示していた。20年あまりにわたって数々の栄誉を掴んできた愛するクラブに、別れを告げていたのだ。

しかし、本インタビューでは一転して残留すると明言している。メッシが考えを変えた理由とは? そもそもなぜ、退団を決意したのか? その裏にはバルセロナや家族に対する思い、そしてジョゼップ・マリア・バルトメウ会長との確執があった……。

インタビュー=ルベン・ウリア(『Goal』スペイン版編集長)
翻訳=江間慎一郎

「誰よりも会長に対して退団したいと告げていた」

Lionel Messi Goal exclusive interviewGoal

――なぜ、沈黙を破って口を開くまで時間がかかったのでしょうか?

まず、リスボンでのとても辛い敗戦(チャンピオンズリーグ準々決勝バイエルン戦:2-8)をした直後だったということがある。かなり厳しい相手だと分かってはいたんだけど、あんな形で、クラブとバルセロニスモ(バルセロナ主義)にとって屈辱的な姿を見せながら終わるなんて思っていなかった。僕たちはひどい醜態を晒してしまった。気分が優れなかったし、何をする気にもなれなかったんだ。すべてを明らかにするためには、時間が必要だった。

――なぜ、バルサに退団の意思を伝えたのですか?

僕はクラブに対して、誰よりも会長に対して退団したいと告げていた。1年を通じて、そう言ってきたんだよ。僕はもう道を譲るべきタイミングと思っていた。新しい人たち、新しいアイデアがクラブには必要との思いから、自分がバルセロナで過ごす日々は終わったと考えていたんだ。とても辛いことではあったけどね。だって僕はここでキャリアを終えたいと、いつも言ってきたんだから。この1年はとても困難なものだったし、練習、試合、ドレッシングルーム内で本当に苦しみを味わってきた。僕にとって、すべてがとても難しいことになってしまっていて、新しい目標、新しい空気を求めようと考えるにまで至った。バイエルン相手のチャンピオンズの結果が原因というわけじゃない。この決断は、もっと前から考え続けてきたことだった。そのことを会長に話したわけだけど、でも会長はシーズン終了後に退団か残留かを僕が決められると言い続け、結局その言葉を守らなかった。

――孤独を感じていたのでしょうか?

いや……、一人きりだとは感じなかった。一人ではなかったよ。いつもいてくれる人たちが僕に寄り添ってくれた。それだけで十分だし、自分を強くしてくれる。ただ人々や報道から、僕のバルセロニスモに疑いを生じさせたり、自分には似つかわしくないと思えるような意見を耳にすることには心を痛めた。まあ誰が誰で、どういった立場にいるのかを確認することには役立ったけどね。このフットボールの世界はとても厄介なもので、大嘘つきの人間がいる。今回の一件で、これまではそうじゃないと考えていたのに、結局は嘘つきだった人たちをいっぱい知ることができたわけだ。とにかく、僕がこのクラブに抱える愛情を疑われたことは辛かった。出て行くか残るかに関係なく、僕のバルサへの愛は決して変わらない。

――お金の問題だとか友人と呼べるチームメートたちのためとか、ありとあらゆることが話されていましたね。バルサのユニフォームを20年以上守り続けた後、最も心を痛めたことは何だったのでしょうか?

全部が少しずつ、だね。友人のこととか金が大事とか……、言われていた多くのことに心を痛めた。今まで、クラブのことを何よりも優先してきたのに。バルサから去る可能性はこれまでも何度となく存在した。ずっと前から、やろうと思えばできたはずなんだ。金で決断するんだったら、バルセロナにいるより大金を受け取れるチャンスなんて、それこそ毎年にわたって存在している。でも僕はいつだって、ここが僕の家だと、ここから出て行くのは難しいと言ってきたし、それこそが本当に感じていたこと、感じていることなんだよ。ここ以上の場所があるかとか、違うところで練習に励むなんて難しいことかもしれない。それでも僕には変化が必要だと感じたし、新しいことに挑戦したい、新しい目標に向かって行きたいと思ったんだ。

「会長から契約解除金7億ユーロの支払いだけが退団する唯一の方法だと言われた」

Lionel Messi Josep Maria Bartomeu Barcelona GFXGetty/Goal

――あなたのこれまでの人生、家族、バルセロナという町……結局のところ、ここまでの20年に渡る歳月を捨て去ることはとても難しかった、ということなのでしょうか? 最終的にバルセロナに残る、バルセロナで続けると私は理解しているのですが。

もちろん決断を下すのは難しいことだった。それはバイエルン戦の結果ではなく、多くのことに由来している。僕はここで(キャリアを)終えたいと、いつも言ってきた。ここに残りたいと、ずっと言ってきたんだ。僕はこのクラブで勝者のプロジェクトを、タイトルを勝ち取ることを求めていた。タイトル獲得という観点で、バルセロナの伝説をより大きなものとするためにね。でも実際のところは、以前からプロジェクトもへったくれもなかった。何かが起こるたびに、取り繕ったり穴を塞いだりするだけなんだよ。さっきも言った通り、僕は家族とクラブの幸せを考えたんだ。

――バルセロナを去るかもしれないと話したときの家族の反応は、どのようなものだったのですか?

妻と子供たちにそう言ったときは、凄まじい悲劇だった。家族全員が泣いていたよ。子供たちはバルセロナから去りたくない、学校を変えたくない、ここに自分たちの生活があって、友達がいるんだと訴えてきてね。でも僕はそうしたこと以上に、最高レベルの争いやタイトル獲得、チャンピオンズで競い合うことに目を向けていた。(フットボールは)とても難しいもので、勝つことも負けることもあるけど、せめて競わなくてはならない。ローマ戦、リヴァプール戦、そしてミュンヘンとの試合みたいなことが起こらないように、少なくとも競わなくちゃならないんだ。そうしたすべてが、最後には実行に移すことがなくなったその決断を考えさせた。

話を戻そうか……。僕は自分がフリーだったと考えていた。いや、僕たちはそう確信していたんだ。会長はシーズン終了時に自分が残るかどうかを決められると常々口にしてきたが、今になって6月10日までに僕が彼にそう言わなかったということに固執している。あのすべての予定を変えてしまったク●ッタレなウイルスのために、僕たちは6月10日にもラ・リーガを戦っていたのに。そしてそれこそが、僕がバルセロナで続けていく理由なんだよ……。僕はこのクラブに在籍し続ける。会長から、契約解除金7億ユーロの支払いだけが退団する唯一の方法だと言われたからね。そんなことは不可能だし、違う形があるとしたら、それは裁判で争うことだった。でもバルサを相手取って裁判をするなんて、僕は絶対にしない。だって、バルセロナは僕が愛するクラブなんだから。入団からすべてを与えてもらった人生のクラブであり、僕の人生はここで形づくられた。バルサは僕にすべてを与えてくれ、僕はバルサにすべてを捧げてきたんだよ。バルサを相手取って法廷に立つなんて、絶対に考えられない。

――ここ数シーズン、バルサは欧州で競うことができていません。あなたはバルサでチームの先頭に立ち続けるわけですが、しかしバルサはスポーツ面で変化を必要としていますよね?

僕はバルサで続けるし、退団を望んでいたとしても、自分のプレーに臨む姿勢が変わることはない。最善を尽くしたいと思っている。僕は常に勝つことを求める競争的な選手で、何にでも負けたくはない。クラブ、チーム、自分にとって最高のものを求めている。さっき、僕はチャンピオンズを勝ち取るための材料を与えてもらっていないと言ったが、実際のところ何が起こるのかは分からない。新しい監督、新しいアイデアが存在しているのは良いことだけど、しかしどのようにチームが反応するのか、僕たちが競えるための材料をもたらせるのかどうかは、これから確認する必要がある。一つだけ言えるとすれば、僕はここに残り、全力を尽くすということだ。

「いつも通りさ。僕はバルセロナで全力を尽くす」

Lionel Messi Catalan flagsGetty Images

――あなたが退団する可能性があると知った人たちの中には、あなたがバルサのことをどうでもいいと考えている、と思った人もいます。そのことについては何を考えました? 苛立ちがあったのでしょうか?

このクラブに抱えるすべての感謝の念にかからわず、僕のバルセロニスモが疑われたことには痛みを感じた。僕はこのクラブを愛しているし、ここ以上に最高だと感じられる場所なんてない。そんなことは分かり切ってるけど、それでも僕には決断する権利があったと思っている。それは契約と会長が許していたことだったんだから。僕が新しい目標、新しい挑戦を探すのは何でもないことだったし、将来的にここに戻ってくることもできた、いや、絶対戻ることになったはずなんだ。ここバルセロナの町には、僕のすべてがあるんだからね。子供たち、家族は、ここで育ったここの人間だ。自分が去ることは何も悪いことじゃなかった。僕はそうすることが必要だったし、クラブもそれを必要としていたし、皆にとって良いことだったんだよ。

――家族はあなたの日々において、とても大切な存在です。父親が健やかな日々を過ごせず、母親も同じような状況で、子供たちは一体どう言った質問をしたのでしょうか? テレビを見た子供たちから何を言われましたか?

全員にとって辛い日々だった。自分の望んでいたことは明確だったし、それは受け入れられていた。妻は心を痛めながらも僕に寄り添い、支えてくれたんだ……。

――しかし家族の中で最も重要なのは、(次男の)マテオでしょう……。

(笑)。確かにマテオはまだ小さくて、違う場所に行くこと、違う場所で数年を過ごすことの意味が分かっていない。(長男の)チアゴはもう少し大きくて、テレビで何かを聞いて、それを確かめようと質問してきたけどね。でも彼は引っ越して、新しい学校に通い、新しい友達をつくるなんてしたくなかったんだ。僕の前で泣きわめいて、「行くのをやめようよ」と繰り返し言ってきたが、あれは辛かったね。というのも、それは自分にとって理解ができることだったから。僕は実際にそういう経験をしていたんだよ。決断を下すということは、本当に難しいね。

――どんな人にとっても難しいと思います。20年という歳月は、やはり長いですからね。あなたは、今の子供たちの年齢でバルセロナにやって来たわけですし……。さて、一つ重要なことを聞きましょう。あなたはバルサで再びチームを率先することになります。バルセロニスモに対して、何かポジティブなメッセージを発することができます。

いつも通りさ。僕は全力を尽くす。僕たちはすベての目標のために最大限の力を振り絞るし、目標を達成して、辛い日々を過ごした人々に捧げることができたらいい。僕にとってこの1年はひどいものだったが、でもあのウイルスによって家族や色んなものを失った人たちと比べれば、うわべだけのものにしかならないだろう。天から僕たちを見守ってくれる人たちと、辛い思いをしてきた彼らの家族にできる限りのものを捧げられたらと思うし、そしてこのウイルスを乗り越えて、穏やかな日々が戻ってくることを願っている。

「クラブと争う意思なんて、僕にはこれっぽっちもない」

――あのブロファックス(スペインの内容証明郵便)についてもお聞きします。ブロファックスによる退団通告は悪手だった、適切な助言が行われていなかったとも言われていますが、なぜそれを送付したのですか?

ブロファックスは、何か正式な形を取るためのものだった。僕は1年を通じて会長に退団を求めてきた。僕のキャリアの中で新しい期待を探す、舵を切るタイミングなんだってね。彼は「あとで話そうじゃないか。いや、これはこうでこうだから」みたいなことを言い続けてきたが、結局は何もなかった。聞く耳を持たなかった、とでも言えばいいかな。ブロファックスを送ったのは、自分の退団希望を正式なものにするためだった。僕はフリーになっていて、1年の契約オプションを行使することなく退団したいという希望を伝えるためのね。それは混乱を生み出すためでも、クラブと敵対するためでもなく、正式な形を取るためだったんだ。僕は決断していたわけだから……。

――ブロファックスを送らなければ、すベては過去に忘却され、誰も聞く耳を持たなかったと……。

そうさ。もしブロファックスを送らなければ、何事もなく僕が1年のオプション契約を全うして、もう1シーズン続けるような形になっていたんだろう。彼らは僕が6月10日までに(退団希望を)伝えなかったと言っている。でも繰り返すけど、その時点の僕たちはまだ全コンペティションの真っ只中にいて、そんなことを言うタイミングじゃなかった。それだけでなく、会長はずっと「シーズンが終了したときに、残るか去るかを言ってくれればいい」と話していたし、日付を定めることもしなかったんだよ。まあブロファックスは単純に、もうここで続けることはないという意思を、正式な形でクラブに通告する方法だった。でも、それは争うことを意図していたわけじゃない。クラブと争う意思なんて、僕にはこれっぽっちもないんだから。

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「※」は提携サイト『 Sporting News 』の提供記事です
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