川崎フロンターレの生え抜き選手であるMF田中碧は、昨季も欠かせない選手の一人としてクラブの明治安田生命J1リーグ制覇に貢献した。国内だけでなくAFCチャンピオンズリーグ(ACL)にも挑む新シーズン、さらなる高みを目指すうえで自他からの要求はより高まっているが、どのように克服し、応えていくのだろうか。
■本当に圧倒的な存在にならなければ
――今季ここまでの仕上がりはいかかですか?
選手も新しくなった中で、また違う刺激を受けています。ポジション争いも横一線の状況で始まるので、個人としてもしっかりアピールしなければいけないなという思いもありますし、それと同時にチームとしてのクオリティをもっと上げていかなければいけないと感じています。
――昨年は、優勝こそ手にしたが満足できない面もある、と話していました。今シーズンに向け、今はどんな思いでプレーしているのでしょうか?
毎日、成長し続けることがより大事だと思います。昨年はベストイレブンという素晴らしい賞を受賞することができて、そういう意味ではそこに対する自信もあります。今年はより責任を感じながら、もう1段階、2段階、レベルアップしなければいけないと感じています。
――今年はどんな年にしたいと考えていますか?
本当に圧倒的な存在にならなければいけないという思いがあります。より怖い選手、「この選手にボールを持たせたら危ないな」と思わせる選手になっていかないといけない。それに、やはり(中村)憲剛さんや守田(英正)選手がいなくなったからチームが勝てないと言われるのは一番嫌です。自分たちにできることを探しながら、結果を示していくしかないと思います。
――個人として、どういったトライをする必要があると感じていますか?
声の部分ですね。そこはすごく重要になると思っています。新しい選手が増えた中で、全体的な盤面上の世界でどうやってボールを奪うかを自分が指示し、その通りにボールを奪っていくようにすることがすごく大切だなと感じています。
それこそジョアン(シミッチ)が入ったとなれば、ブラジル人選手ですし、やはり話す回数が減ります。そういう意味では、自分が声を出し、周りの選手を動かしてボールを奪わせるといったことが、より必要になるのかなと思います。自分一人でやる必要はないですが、自分に求められるものはすごく大きいですし、それをやっていかないといけないと感じています。
――今年の目標を教えてください。
もちろん連戦というのはありますが、「替えがきかないよね」と言われる選手にならなければいけないという意味も含め、38試合出ることですね。そこは目標にしています。「連戦だから」ということは言い訳にはしたくないので、38試合をフルで出たいなと思っています。
――今年はクラブとして2019シーズン以来となるAFCチャンピオンズリーグ(ACL)もあります。
2年前は試合に出始めたばかりの頃だったので、がむしゃらにやっているだけでした。その時には「本当に何もできないな」と感じたことを覚えています。それから1段階、2段階、レベルアップした状態で挑めるチャンスであり、自分がどこまでできるようになったのかを探ることができるのですごく楽しみです。アジア相手にできなければ、世界とは戦えないと思うので、自分にとってはすごく大事な試合になると思っています。
■“2年目の三笘薫”が楽しみ
screen shot――開幕戦の相手は横浜F・マリノスとなります。どんな印象をお持ちですか?
一人ひとりの能力が高く、強いチームという印象です。やりたいサッカーが明確にあるチームなので、やりづらい相手ですし、やっていて楽しい、面白い相手でもありますね。
――攻撃的なサッカーを志向するチーム同士ということで、より気合いが入るところはありますか?
観ている人にとっては攻撃的なサッカーのほうが楽しいですよね。それに開幕戦はモチベーションが高まる要素がたくさんありますし、すごく面白い試合になるのではないかなと思っています。
――警戒すべき選手はいますか?
マルコス(・ジュニオール)選手でしょうか。本当に素晴らしい選手だなというのは、見ていて思います。一緒にピッチに立った時も、すべてできるというか、点も取れるし、パスも出せるし、ハードワークもできる。シュートを打たせてはいけないというイメージが常にあります。それこそ試合を決められるような選手なので、気をつけなければいけないと思います。
――開幕戦、川崎フロンターレでご自身以外にキーマンになりそうな選手はいますか?
個人的に注目しているのは、(三笘)薫選手です。昨年のプレーもすごかったですが、やはり2年目というのは全然違います。そこで薫選手がどのような選手になるかは楽しみです。
――やはり2年目は苦しむものなのでしょうか?
試合に出始めた次の年は、自分に対して求めていることがより増えてくるのと、相手からの目線も変わってくるところがあります。チーム内での役割がすごく変わっていく中で、1年目のようにがむしゃらにやっているだけでは通用しなくなってくる。今年、多くのチームが薫選手を止めようとして対策してくる中で、どのように攻略していくのかはすごく楽しみです。
――開幕戦では、何が勝敗を握るポイントになると考えていますか?
もちろん、自分たちのサッカーをすることはすごく大事だと思います。ただ、最初はうまくいかないことのほうが多いと思うので、そういう意味では球際や切り替え、ハードワーク、セットプレーといった細かい部分が勝敗を分けるのではないかなと。勝利により貪欲になることが必要だと思います。初戦に勝つのと負けるのとでは全然違うと思うので、去年以上の結果を残すために最初から連勝し続けたいですし、すごく大切なゲームになると思っています。
――そこでご自身が果たすべき役割とは?
素晴らしい相手と試合ができますし、いろいろな状況の中で変化に対応する力が求められると思います。相手がどういう出方で来るかがまったくわからないのが開幕戦です。そういう意味では、いろいろなものに対応していかないといけないですし、そこに対応しながらなおかつ違いを作り出せればいいかなと思います。
■憲剛さんを見にスタジアムに行っていた
🄫Masahiro Ura――今回のJリーグのキャッチフレーズは「#2021のヒーローになれ」です。田中選手にとってのヒーローは?
それはもう憲剛さんしかいません。ただただ、「この人すごくうまいな」とずっと見ていました。サッカーも何もあまり分からない頃から、「この人、本当にうまいな」と。小さい頃、憲剛さんを見にスタジアムに行っていた記憶があります。憲剛さんのプレーを見るのが楽しみで、「この人に点を取って欲しいな」、「この人、すごいパス出すんだろうな」と思いながら、行っていました。
――やはり、中村憲剛氏を見て、プロへの思いも強まったのですか?
僕の中で、プロサッカー選手といえば、やはり中村憲剛。憲剛さんのプレーを見てきたからこそ、プロへの憧れというのはありました。
――では、ヒーローになれる選手とは?
小さい時の僕は、「ボールを持っている姿が見たいな」と思える選手を目で追っていました。ただ、僕はそちら側の選手ではないので、そういう選手の陰ではたくさんの選手が支えているんだよ、ということを伝えたいです(笑)。
――とはいえ、子供たちに「田中碧選手のようになりたい」と言われるようになりたいという思いもあるのでは?
僕もそういう目線でいろいろな選手を見てきたので、そう言われることがあれば嬉しいですね。そういった言葉をかけてもらうには、やはり自分にできることをやるのが重要だと思います。そういった部分に着目して僕を好きになってくれれば嬉しいです。あまり派手なポジションではないのですが、そう思ってもらえるようなプレーをしていきたいと思います。
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