グラボ(グラフィックボード)の性能を支えるGPUのメーカーとしては、NVIDIA社とAMD社がシェアのほとんどを占める。
本記事では、NVIDIA製とAMD製のGPUの性能を比較する。
GPUの大手メーカーは?
グラボはPCの画像出力能力を大幅に強化する専門性の高いパーツだ。グラボが無くても通常の画像出力や編集などは可能だが、高負荷なPCゲームのプレイやプロフェッショナルな動画を制作を行うためには、グラボが必要となる。
グラボの性能を決めるGPU(Graphics Processing Unit)のメーカーとしては、主にNVIDIAとAMDがある。最大手のNVIDIAはミドル~ハイエンドクラスのGPUを製造しており、高価な反面、あらゆる分野で高いパフォーマンスを提供。一方のAMDはエントリー~ミドルクラスの製品が有名であり、スペックは抑え目でも手に取りやすい価格のものが多い。その他、大手CPUメーカーのIntelもGPU業界に参入しているが、それほど多くのシェアは占めていない。
NVIDIA
NVIDAはGPUメーカーとして随一のシェアを占めており、ゲーム制作会社などの多くもNVIDA製GPUを基準にソフトを開発している。間違いのない選択肢の一つであり、手が届くのであれば誰にとっても選択肢に入る。
NVIDAのGPUはGeForceシリーズが販売されており、その中でもRTXシリーズとGTXシリーズに分けられている。RTXシリーズは高性能モデルであり、GTXシリーズは機能を制限している一方で比較的安価で販売されている。
■GeForce RTX50シリーズ
GeForce RTX50シリーズは、「RTX 5090/5080」が2025年1月、「RTX 5070 Ti/5070」が2月に発売。価格はシリーズ最安のモデルでも税込10万8,800円と高額。特に「RTX 5090」は現行のウルトラハイエンドGPUであり、発売日には注文客殺到によって店頭販売を取りやめたショップもあるなど、入手困難となっている。ただし、「RTX 5090」に関しては高性能な反面、発熱に関する対策は必須となる。
※製品名クリックで各GPU搭載製品の販売ページへ。
| 製品名 | NVIDIA アーキテクチャ | DLSS | AI TOPS | Tensorコア | レイトレーシングコア | NVIDIA Encoder(NVENC) | NVIDIA Decoder(NVDEC) | メモリ構成 | メモリ帯域幅 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| RTX 5090 | Blackwell | DLSS 4 | 3352 | 第5世代 | 第4世代 | 第9世代 x 3 | 第6世代 x 2 | 32 GB GDDR7 | 1792GB/sec |
| RTX 5080 | Blackwell | DLSS 4 | 1801 | 第5世代 | 第4世代 | 第9世代 x 2 | 第6世代 x 2 | 16 GB GDDR7 | 960GB/sec |
| RTX 5070 Ti | Blackwell | DLSS 4 | 1406 | 第5世代 | 第4世代 | 第9世代 x 2 | 第6世代 x 1 | 16 GB GDDR7 | 896GB/sec |
| RTX 5070 | Blackwell | DLSS 4 | 988 | 第5世代 | 第4世代 | 第9世代 x 1 | 第6世代 x 1 | 12 GB GDDR7 | 672GB/sec |
■GeForce RTX40シリーズ
GeForce RTX40シリーズは、「RTX 4090」が2022年10月、「RTX 4080」が11月に発売。前世代最上位モデル「RTX 3090 Ti」と比較し、「RTX 4090」は2~4倍、「RTX 4080」は最大4倍の性能となった。人気シリーズの一つであり、ミドル~ハイエンドクラスの性能が揃っている。
| 製品名 | NVIDIA CUDAコア | ブーストクロック(GHz) | 標準メモリ構成 | Memory Type |
|---|---|---|---|---|
| RTX 4090 | 16384 | 2.52 | 24GB | GDDR6X |
| RTX 4080 SUPER | 10240 | 2.55 | 16GB | GDDR6X |
| RTX 4080 | 9728 | 2.51 | 16GB | GDDR6X |
| RTX 4070 Ti SUPER | 8448 | 2.61 | 16GB | GDDR6X |
| RTX 4070 Ti | 7680 | 2.61 | 12GB | GDDR6X |
| RTX 4070 SUPER | 7168 | 2.48 | 12GB | GDDR6X |
| RTX 4070 | 5888 | 2.48 | 12GB | GDDR6 / GDDR6X |
| RTX 4060 Ti | 4352 | 2.54 | 16 GB / 8GB | GDDR6 |
| RTX 4060 | 3072 | 2.46 | 8GB | GDDR6 |
■GeForce RTX30シリーズ
GeForce RTX30シリーズは、「RTX 3080/3090」が2020年9月、「RTX 3070」が10月に発売。ハイエンドの「RTX 3090」では最大8K・60fpsでのゲームプレイが可能だ。その他、「RTX 3050(6GB)」はコストパフォーマンスに優れており、エントリーモデルとしても人気を集めている。
| 製品名 | NVIDIA CUDAコア | ブーストクロック(GHz) | メモリサイズ | メモリタイプ |
|---|---|---|---|---|
| RTX 3090 Ti | 10752 | 1.86 | 24GB | GDDR6X |
| RTX 3090 | 10496 | 1.7 | 24GB | GDDR6X |
| RTX 3080 Ti | 10240 | 1.67 | 12GB | GDDR6X |
| RTX 3080 | 8960 / 8704 | 1.71 | 12 GB / 10GB | GDDR6X |
| RTX 3070 Ti | 6144 | 1.77 | 8GB | GDDR6X |
| RTX 3070 | 5888 | 1.73 | 8GB | GDDR6 |
| RTX 3060 Ti | 4864 | 1.67 | 8GB | GDDR6 / GDDR6X |
| RTX 3060 | 3584 | 1.78 | 12 GB / 8GB | GDDR6 |
| RTX 3050(8GB) | 2560 | 1.78 | 8GB | GDDR6 |
| RTX 3050(6GB) | 2304 | 1.47 | 6GB | GDDR6 |
■GeForce GTX16シリーズ
GeForce GTX16シリーズは、「GTX 1660」が2019年3月、「GTX 1650」が4月に発売されたが、2024年第1四半期に生産終了。他のNVIDIA製品と比べてスペックは見劣りするが、動作の軽いゲームであれば十分な性能となっている。コストパフォーマンスに優れるエントリーモデルとして知られ、2023年8月にはSteamハードウェアサーベイで使用率1位を記録した。
| 製品名 | NVIDIA CUDARコア | ブーストクロック(MHz) | ベースクロック(MHz) | 標準メモリ構成 | レイトレーシングコア | Tensorコア | NVIDIA アーキテクチャ名 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| GTX 1660 Ti | 1536 | 1770 | 1500 | 6GB GDDR6 | - | - | Turing |
| GTX 1660 Super | 1408 | 1785 | 1530 | 6GB GDDR6 | - | - | Turing |
| GTX 1660 | 1408 | 1785 | 1530 | 6GB GDDR5 | - | - | Turing |
| GTX 1650 Super | 1280 | 1725 | 1530 | 4GB GDDR6 | - | - | Turing |
| GTX 1650(G5) | 896 | 1665 | 1485 | 4GB GDDR5 | - | - | Turing |
| GTX 1650(G6) | 896 | 1590 | 1410 | 4GB GDDR6 | - | - | Turing |
| GTX 1630 | 512 | 1785 | 1740 | 4GB GDDR6 | - | - | Turing |
AMD
NVIDIAに次ぐシェアを誇るとされるAMDだが、性能面ではNVIDIAに劣る。とはいえ、より低予算でグラボを探すのであれば、AMD製のGPUを搭載したモデルがコストパフォーマンスで上回ることもある。
AMDのGPUはRadeonシリーズが販売。特徴としては、比較的安価であるほかにも電力消費が小さい点や、鮮やかな色彩表現を得意とするという点がある。動画再生のスムーズさにも定評があるため、用途次第で選択肢となる。
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■Radeon RX7000シリーズ
Radeon RX 7000シリーズは、「Radeon RX 7900 XTX/XT」が2022年12月に発売。「GeForce RTX40シリーズ」と比較されるスペック帯となっているが、最上位モデルの性能は引けを取るが、搭載PCの価格はより安価となっていることが多い。また、電力消費を抑える機構が組み込まれている点も特徴的だ。
| 製品名 | 演算ユニット | レイ アクセラレータ | AI アクセラレータ | ゲーム周波数 ※ | AMD Infinity Cache テクノロジ | 最大メモリサイズ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| RX 7900 XTX | 96 | 96 | 192 | 2300MHz | 96MB | 24GB |
| RX 7900 XT | 84 | 84 | 168 | 2000MHz | 80MB | 20GB |
| RX 7900 GRE | 80 | 80 | 160 | 1880MHz | 64MB | 16GB |
| RX 7800 XT | 60 | 60 | 120 | 2124MHz | 64MB | 16GB |
| RX 7700 XT | 54 | 54 | 108 | 2171MHz | 48MB | 12GB |
| RX 7600 XT | 32 | 32 | 64 | 2470MHz | 32MB | 16GB |
| RX 7600 | 32 | 32 | 64 | 2250MHz | 32MB | 8GB |
※ゲーム周波数:一般的なゲームアプリケーションを実行しているときに期待されるGPUクロック。実際のゲームクロックの結果は個々のアプリで異なる場合があります。
■Radeon RX6000シリーズ
Radeon RX6000シリーズは、「RX 6800/6800 XT」が2020年11月、「RX 6900 XT」が12月に発売。「GeForce RTX 30シリーズ」と比較されるスペック帯となっている。最上位モデルの性能はNVIDIAに軍配が上がるが、Radeon RX6000シリーズはエントリー~ハイエンドまでカバーしており、いずれもコストパフォーマンスに優れる。
| 製品名 | 演算ユニット | レイ アクセラレータ | ゲーム周波数 ※ | AMD Infinity Cache テクノロジ | 最大メモリサイズ |
|---|---|---|---|---|---|
| RX 6950 XT | 80 | 80 | 2100MHz | 128MB | 16GB |
| RX 6900 XT | 80 | 80 | 2015MHz | 128MB | 16GB |
| RX 6800 XT Midnight Black | 72 | 72 | 2015MHz | 128MB | 16GB |
| RX 6800 XT | 72 | 72 | 2015MHz | 128MB | 16GB |
| RX 6800 | 60 | 60 | 1815MHz | 128MB | 16GB |
| RX 6750 XT | 40 | 40 | 2495MHz | 96MB | 12GB |
| RX 6700 XT | 40 | 40 | 2424MHz | 96MB | 12GB |
| RX 6700 | 36 | 36 | 2174MHz | 80MB | 10GB |
| RX 6650 XT | 32 | 32 | 2410MHz | 32MB | 8GB |
| RX 6600 XT | 32 | 32 | 2359MHz | 32MB | 8GB |
| RX 6600 | 28 | 28 | 2044MHz | 32MB | 8GB |
| RX 6500 XT | 16 | 16 | 2650MHz | 16MB | 8GB |
| RX 6500 XT(4GB) | 16 | 16 | 2610MHz | 16MB | 4GB |
| RX 6400 | 12 | 12 | 2039MHz | 16MB | 4GB |
※ゲーム周波数:一般的なゲームアプリケーションを実行しているときに期待されるGPUクロック。実際のゲームクロックの結果は個々のアプリで異なる場合があります。
グラボ・GPUの性能比較まとめ
グラボに搭載するGPUは「NVIDIA GeForceシリーズ」か「AMD Radeonシリーズ」が主な選択肢となるが、予算が許すのであれば「NVIDIA GeForceシリーズ」のハイエンドモデルがおすすめだ。ゲーマーやクリエイターにとって、ソフトメーカー各社のサポートも含めて充実の性能となっている。ただし、NVIDIAのハイエンドモデルはいずれもPC温度上昇への対処がネックとなるため、導入する際は十分な廃熱機構を組む必要がある。
一方の「AMD Radeonシリーズ」は、同世代のNVIDIA製品と比べて最高性能では下回る印象が強いが、不足の無い性能を備えている。コストパフォーマンスの良さもNVIDIA製品と差別化している点だ。デメリットとして、ソフトメーカー各社の開発環境でNVIDIA製品が導入されていることが多いため、推奨スペックを満たしている場合でも実機での動作に不安を抱える点は否めない。
おすすめの最新グラボは?
NVIDIA2025年1月30日(木)23:00から、NVIDIAの最新GPUである「GeForce RTX 5090」「GeForce RTX 5080」の販売がスタート。特に「RTX 5090」は圧倒的な性能を備えており、4Kまたは8Kでのスムーズなゲームプレイ、高度な動画編集やVR映像の作成などを快適に行うことができる。在庫次第だが、「GeForce RTX 5080/5090」の抽選販売が行われる可能性のある店舗は以下の通り。
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