パソコンを選ぶ際や自作PCを組む際、グラフィックボード(グラボ)の知識があると有利に働くことがある。
本記事では、グラボに関する基礎的な知識やおすすめ製品をわかりやすく紹介する。
グラボとは?基礎知識を解説
ビデオカードとも呼ばれることがあるグラフィックボード(グラボ)は、端的に言えば映像出力を強化するPCパーツだ。非搭載のPCであっても映像出力は可能であり、一般的な画像加工や読み込みなどは可能だが、グラボは映像美にこだわる必要のある分野において活躍する。
グラボは、基本的に「GPU」「ビデオメモリ/グラフィックメモリ/VRAM」「冷却ファン」「出力端子」が組み合わさって構成されている。グラボ製品を購入する際には、用途別にそれらの部品の性能を比較することが重要だ。
各部品の役割を個別に説明していく。
■GPU
GPU(Graphics Processing Unit)は画像描画に関する計算を行う半導体チップであり、グラボの中核を担う部品だ。似た名前のPCパーツにCPU(Central Processing Unit)というものがあるが、CPUがPC全体の処理を司るのに対し、GPUはグラフィック処理を専門とする。GPUはCPUにも内蔵されている場合があるが、画像処理の性能を高めたいのであれば、GPU単体で外付けしたり、グラボを採用したりする必要がある場合がほとんどだ。
GPUの性能は、クロック速度(単位:Hz)とコア数で比較することが可能。クロック速度は処理速度、コア数は同時に処理できるグラフィックの数を表しており、数値が大きければ大きいほど高性能となる。
■VRAM
ビデオメモリとも呼ばれるVRAM(Video Random Access Memory)は、映像を一時的に保存するGPUに搭載されているメモリのこと。VRAMの容量が大きければ大きいほど、高解像度かつ滑らかな描画が可能となる。
RAMと呼ばれる通常のメモリはPC全般のデータの一時保存を行っており、後から増設することが可能だ。しかし、VRAMは増設することができないため、GPUやグラボの購入時に慎重に選ぶ必要がある。VRAMの容量は様々だが、4GB~24GBほどのものが主流となっている。画像描画中にPCがフリーズしてしまう場合などは、VRAMの容量が足りていないケースが多い。
■冷却ファン
稼働中のGPUは高温となり、PCの故障やパフォーマンス低下、異音発生につながる場合があるため、それを防ぐためには冷却ファンが取り付けられている。冷却ファンには大きく分けて外排気ファンと内廃棄ファンがあり、内廃棄ファンの方が冷却効率が高く静音性にも優れたものが多い。
また、PC本体に外付けする冷却ファンもあるほか、水冷など様々な排熱方法が存在している。
■出力端子
出力端子は主に「HDMI端子」「USB Type-C」「DVI-D端子」「Display Port」「VGA(D-sub15)」といった種類がある。グラボの出力端子は画像をディスプレイに出力するための端子であり、ディスプレイ側の端子に必要なものを選ぶ必要がある。とはいえ、一般的にはHDMI端子が付いており、それほど悩ましい選択肢にはならない。
グラボはどんな用途で必要?
前提として、グラボは専門性の高い高価なパーツであり、通常のインターネット利用や書類作成、Youtubeなど動画の視聴、簡易的な画像編集などには必要ない。
一方で、「PCゲーム」「動画編集」「VR映像制作」「3DCAD」などはグラボ搭載PCでの作業が快適だ。その他、AIのディープラーニングなどにもGPUの並列処理機能を生かすことができるが、電気消費量が大きくなるというデメリットも存在する。
■PCゲーム
PCゲームであればグラボによってより高品質なゲーム体験が可能となったり、そもそものプレイ推奨スペックを満たしたりすることができる。映像美を追求する目的以外にも、FPSゲームなどではフレームレートが成績に直結することがあるため、グラボの性能は重要だ。一方でゲームにそれほど映像美やフレームレートの高さを求めないユーザーにとっては必須ではない。
■動画編集
クオリティの高い動画を編集する際、高性能のグラボを積むことで大きくストレスが軽減できる。グラボを積むことで、処理速度が上がるほか、より高解像度の画像・動画編集が可能に。作業効率の上昇、作品のクオリティ向上の両面でグラボが活躍する。
■VR映像制作
VR作品を制作したい場合、グラボはほぼ必須。両目に映像を表示するVR作品はその性質上、通常の動画制作の倍以上の映像処理性能が求められ、グラボなしには実現困難だ。また、作業中のVR酔いを解決するためにも高速な動作が重要となる。
■3DCAD
建設業や製造業、デザイン業で重宝される3DCADは、3Dでモデルを作成するためのツール。動かすためにはグラボがほぼ必須だが、多くの3DCADソフトは推奨しているグラボ(NVIDIA Quadroシリーズ、NVIDIA RTX Aシリーズ、AMD FireProシリーズなど)があるため、グラボや搭載PCの購入時には注意が必要だ。
代表的なメーカー、シリーズは?
グラボのGPUメーカーは、NVIDIAとAMDの2社が主要だ。NVIDIAはGeForceシリーズ、AMDはRadeonシリーズがあり、それぞれのシリーズの中でも細かく世代や種類が分けられている。
■NVIDIA GeForceシリーズ
NVIDIAは独自のAI技術やチップを採用しており、リアルタイムレイトレーシングや超解像技術で強みを発揮。リアルタイムレイトレーシングでは光の表現が緻密になるが、膨大な計算能力が必要となる。また、超解像技術によって低解像度の映像を高解像度にアップスケーリングして出力することが可能となる。NVIDIAのAIは超改造技術を可能にするディープラーニングに特化しており、大きな特徴のひとつだ。
まとめると、NVIDIA GeForceは高価な反面、高性能であり、多くの分野で生かすことができる。
■AMD Radeonシリーズ
AMDは商品電力や価格が抑えられている製品が多いが、鮮やかな色彩表現を得意とする。その他の緻密な映像表現や処理速度はNVIDIAに軍配が上がるが、AMDは初級者から中級者向けの製品を揃えており、コストパフォーマンスを重視する方におすすめだ。
初心者におすすめのグラボを紹介
大前提として、グラボは専門性の高い高価なパーツであるため、目的や使用したいソフトの推奨スペックを確認し、吟味して選ぶことが重要だ。ここでは、サポートやアップデートが充実しており、汎用性の高いNVIDIA GeForceシリーズ搭載グラボを中心に紹介する。
■RTX 4060
| 製品名 | ![]() |
| 価格(税込) | 52,800円~ |
| CUDA® コア | 3072 |
| ブースト クロック | 2.46GHz |
| 標準メモリ構成 | 8GB |
| Memory Type | GDDR6 |
■RTX 4060Ti
| 製品名 | ![]() |
| 価格(税込) | 69,800円~ |
| CUDA® コア | 4352 |
| ブースト クロック | 2.54GHz |
| 標準メモリ構成 | 16 or 8GB |
| Memory Type | GDDR6 |
■RTX 4070
| 製品名 | ![]() |
| 価格(税込) | 102,080円~ |
| CUDA® コア | 5888 |
| ブースト クロック | 2.48Ghz |
| 標準メモリ構成 | 12GB |
| Memory Type | GDDR6/GDDR6X |
■RTX 4090
| 製品名 | ![]() |
| 価格(税込) | 298,000円~ |
| CUDA® コア | 16384 |
| ブースト クロック | 2.52Ghz |
| 標準メモリ構成 | 24GB |
| Memory Type | GDDR6X |
■RTX 5080
| 製品名 | ![]() |
| 価格(税込) | 198,800円~ |
| NVIDIA アーキテクチャ | Blackwell |
| DLSS | DLSS 4 |
| Tensor コア | 第5世代 |
| レイトレーシングコア | 第4世代 |
| NVIDIA Encoder | 第9世代 x2 |
| NVIDIA Decoder | 第6世代 x2 |
| 標準メモリ構成 | 16GB/GDDR7 |
| メモリ帯域幅 | 960GB/sec |







