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開幕・浦和戦「極論、勝てばいいんです」ーー仲川輝人✕石川直宏【特別対談/後編】

 いよいよ開幕する2023シーズンの明治安田生命J1リーグ。FC東京は2月18日、浦和レッズをホーム・味の素スタジアムに迎える。アルベル監督2年目、悲願である「リーグ制覇」を目指すシーズンで注目の新戦力は横浜F・マリノスから加入した仲川輝人だ。そんな仲川と石川直宏クラブコミュニケーターが対談した。神奈川県出身、ともにサイドで存在感を見せるアタッカーであり、トリコロールから青赤に戦いの場を移している。そして、二人は前十字靭帯の大けがを乗り越えているという共通点がある。後編では来る浦和戦について話を聞いた。(聞き手=吉村美千代/GOAL編集部)※前編「優勝のためにFC東京に必要なこと」はこちら

■対戦戦績を見ると…

――FC東京と浦和レッズとのJ1リーグ戦での通算対戦成績は9勝11分22敗なのですが、石川CCはこの戦績、苦手意識はなんだと思われますか

石川:最後まで分からないまま引退しましたね(笑)。僕が移籍してきた当初はそうでもなかったんです。(04年に)ナビスコカップ(現・YBCルヴァンカップ)で浦和に勝って優勝してから、リーグ戦で勝った記憶がほぼないんです。いい試合をしているのにひっくり返されて負けるとか追いつかれるとか。こちらも「絶対に勝つ」と思って臨むんだけど、ことごとく跳ね返されたという。ちょっと分からないですね。

以下に続く

仲川:何か分からないですね、それは。

――仲川選手はこの成績をご存知ではなかった?

仲川:知らなかったですし、通算成績といったものを気にしたことがなかったので。浦和に関してはいい試合の印象のほうが強いですね。でも去年は(横浜FMが)3-0から3-3に追いつかれていて、勝てたのにもったいないという試合がありました。でも、それも自分たちのちょっとした気の緩みのせいなので。力があることは感じますが、悪い、いいとかは僕の中ではないです。

■挙げるとしたら「俺」です

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――浦和は新監督が就任し、新たなサッカーに取り組んでいます。FC東京、浦和それぞれカギになる選手を教えてください。

石川:それはもうテルですね。いまクラブの企画で今季最初のゴールを決める選手を予想する「#FC東京開幕ゴールキャンペーン」というのをやっているんですが、僕はテルかディエゴって発信しました。というのも、ディエゴは今すごくコンディションが良くて。加えて自分のプレーのやるべきことがハッキリしたと思うので、そこにまずは期待します。

 そしてテルはもうプレーのイメージが描けますもん。切り込んでもそうだし、周りとの関係性、自分の突破だけじゃなくて周りの生かし方…チームは今構築中だと思いますが、点をたくさん取れるんじゃないか。あと、先に話した浦和への苦手意識がないところ。空気を読まずに、それをいい意味での空気に。

仲川:したいですね。

石川:それができる存在です。浦和に関しては一人ひとりのプレーをあまり把握していないのですが、(興梠)慎三選手かなあ。ずっとやられてきた印象です。点を取られる、チャンスを作られるイメージがある。その辺りをディフェンスが防いでほしいですが、そこまで言えないですね、まだ今季の浦和を見ていないので。

仲川:誰でしょう? でも、誰と決めないほうがいいかもしれない。やっぱりそういった苦手意識のようなものがあるときは、チーム全体で相手を圧倒するとか、叩き潰すという気持ちを持たないといけないと思います。一体感でその嫌な思い出とかは払拭されるはず。チーム一丸で苦手な浦和を倒していくところをまずやる。一人ひとりがやることをやればチームのためになるし、それが勝利につながる。悪いイメージを払拭できる一番の解決策なんじゃないかなと思います。キープレーヤーといったものはあまり挙げたくないですね。まあ挙げるとしたら「俺」です。

石川:実際、FC東京の前線は強力だと思いますよ。マリノスも攻撃陣の強さが相当あった中で、(仲川は)自分の個を生かしつつ、周りとのバランスを見ながら取りながら、最後自分がもう一回入って行くといったプレーを意識して点に絡んでいたと思います。その辺りのイメージはありますか? ディエゴがいて、アダ(イウトン)がガンガン行く中で、ちょっと自分が遅れて入って行くといった。

仲川:キャンプインからは、例えば右で崩した時にディエゴがどこにいるか、その後ろのアダがどのポジションにいて点を取っているか、そういうのを見ています。まずは選手の特長を把握しようとしましたね。試合の振り返りもそうですし個人として映像も見て。(自分は)ここに入って来てほしいけど、アダやディエゴはここでほしいんだな、とか。選手を見ながら一番いい選択、クロスだったりパスだったりを選択できれば結果も付いてくると思います。

 もちろん僕も「ここに入ってほしい」というところは言っていますが、でもそんな簡単に変わるものじゃないですから。自分自身のポジションや意識付けもそうですし、その使い分けですね。マリノスでは前提として、GKとディフェンスの間に入る決まり事があって、そこが潰されたらマイナスのラインが空くよ、というやり方がありました。東京はまだそこまで決まり事があるわけではないので、まずは試合をやりながら選手の特長を生かしながらだと思います。

――そういった前線の三人の動きが武器になってくる?

仲川:実際、タレントはめちゃくちゃいると思います。個性を持った選手は本当にいるので、それが融合して合致したら多分止められないんじゃないかな。Jの中では上位、トップ3に入るぐらいの戦力だと僕は思っています。

■同じ絵を描けるようなイメージと結果を

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――声出し応援が解禁されました。開幕戦に向けて、ファン、サポーターへのメッセージを石川CCからお願いします。

石川:僕たちがどんな姿を見せればサポーターは熱心に応援してくれて、どんな時にある意味ちょっと冷めてしまうのか。同じ絵を描くことって必要で、現場もビジネスサイドも「このクラブをこうしていこう」「こういうサッカーをするんだ」というものを明確にして、まずはそこを目指していく。そこに幅を持たせて深みを持たせるのは選手。今「まずこういうサッカーをしていこう」という部分が明確になってきているところです。その中で、必要な戦力を揃えて開幕戦に臨めることが非常に楽しみです。

 そういう期待を伝えるうえでも相手が浦和、テルが来てくれた中で、この戦力で戦うのは非常に大きな機会だと思うんですよね。開幕戦だからということだけではなく、いろんな意味で非常に意味のある一試合になると思います。勝者のメンタリティをどれだけ発揮できるか。それは一試合で積み重ねられるわけじゃないので、「これだ」というものをみんなで感じる。そういう試合にしてほしい。同じ絵を描けるような空気感やイメージ、結果というものを開幕戦で求めたい。

 得点もそうなんですけど、周りの選手が気持ちよくプレーができて、尚かつ自分もそこに関わっていく、そこで躍動するテルに期待していますし、テルの存在価値が表れる場所なんじゃないかな。優先するサポートするじゃなくて、結局自分が良くなるために周りをうまく生かしながら、最後は自分が生かされる、そういうシーンをたくさん見たいし、見られると思っています。不安やデータ的なものよりも、ワクワクのほうが勝っています。全力でサポートしたいし、一緒に戦いたいと思っています。

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仲川:開幕戦ですし、多少選手なりに様々な思いだったり緊張だったりあると思うんですけど、僕はそんな緊張する選手じゃないので。味スタの雰囲気、FC東京の選手としての味スタをめちゃくちゃ楽しみにしています。やはりアウェーで入るよりも、皆さんファン・サポーターがいる前での最初の挨拶や入る時の雰囲気をすごく楽しみにしています。

 浦和に勝てていないとかはデータ上の話なので。極論、勝てばいい話なんです。そこにフォーカスするだけです。そのために一瞬一瞬全力でプレーしたいと思います。最初の笛が鳴った瞬間から100%でやっていく。でもそれは僕だけじゃ絶対無理です。スタメンの11人プラスサブ組、それ以外でもベンチ外でスタンドで見ている選手もチームの一員だから。チームの一体感を出していかないと、浦和レッズは力があるので倒せないと思います。一体感を持って、あとは自分が結果を出せば正直簡単な話なのかな、っていうのはあります。得点、アシストでFC東京を勝利に導きたい。そういったプレーをナオさんも望んでいると思います。

石川:見たいね。どんなチャントでどんなコールがあって…何だろう? 楽しみだね。

仲川:ワクワクしています。楽しみながら、アルベル監督2年目、どういったサッカーを見せられるのか。今年のサッカー、やり方や選手の姿勢を見せられる一番の機会だと思います。開幕戦というのはそういうもの。そのために全力で頑張りたいですし、最後勝って笑顔で終えられたら、いい流れを掴めると思います。

 大事な一戦、苦手意識があるのかどうか知らないですけど倒していく。そうすることで、FC東京の今後の成長、未来もそうですし、力が見えてくるはず。僕自身楽しみにしていますし、皆さんも楽しみにしていただけたらと思います。

石川:39番ユニフォームいっぱいいるんじゃないかな?

仲川:トップ5ぐらいらしいですね。

――期待しています。ありがとうございました。

【試合情報】
2023明治安田生命J1リーグ第1節
FC東京vs 浦和レッズ(味の素スタジアム)
2023年2月18日(土)14時キックオフ
TV放送:DAZN/NHK総合

※対談前編「優勝のためにFC東京に必要なこと」はこちら

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