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「10歳でサッカーを始めてからずっとFW」再開するWEリーグで植木理子(東京NB)に注目!

なでしこジャパンFW植木理子(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)は、3月5日から再開するWEリーグで注目してほしいプレーヤーの一人だ。

先のAFC女子アジアカップ(1月20日〜2月6日)で日本は準決勝敗退となったものの、植木はチーム最多の5得点を挙げ、全試合に出場した。

2018年のU-20女子W杯優勝メンバーだが、19年の女子W杯には招集されるも負傷離脱。今回の女子アジア杯が、なでしこジャパンの主軸として臨んだ初の国際大会だった。アジア三連覇を目指したものの、ベスト4に終わった結果に植木は、「チームを勝たせられるFWになりたい。大事な時間でゴールを決める、しっかりチームを勝たせられる選手になりたい」と決意を新たにする。

今年卒業を迎える現役の早稲田大生であり、漫画オタク、ヲタ活にいそしむ顔も持つ(オフ・ザ・ピッチ編はこちら)植木に、FWというポジションとの出会いと向き合い方、そして、WEリーグ後期へ向けた思いを聞いた。

■大きく動き始めた植木のFWキャリア

――植木選手がFWでプレーを始めたのは、いつ頃ですか?

サッカーを始めた時からFWしかやったことがないんです。自分がサッカーを始めたときのコーチに任命されてから、ずっとFWですね。

――サッカー自体はいつ始めたのですか?

小学校5年生です。W杯で優勝した時です。

――2011年ですね。なでしこジャパンの優勝をきっかけに始めたんですか?

本当は...始めて半年後に優勝したんです。(熊谷)紗希さんにその話をしたら、「『あの優勝を見てからサッカー始めました! そして、今なでしこジャパンです』っていうほうが絶対ストーリー的に映えるよ!」とか言われたので(笑)。

――最高(笑)。あの優勝はいろんな環境に影響がありましたよね。

ありました。今まで断られ続けていたクラスの仲いい女の子が、中休み一緒にサッカーしてくれるようになりました。弟のクラスと練習試合とかもできるようになりました。隣のクラスの男子と練習試合をしたり、男女関係なくサッカーすることが当たり前になりました。

――ご自身への影響は?

本当に、ビックリしたし感動しました。そして、憧れの選手ができました。岩渕(真奈)選手です。岩渕選手を目標にしてここまできました。

そして、この間の女子アジアカップで私の一つの目標が叶ったんです。

憧れだった岩渕選手と準決勝・中国戦で初めて2トップを組んだんです。感慨深いっていうか、信じられないような…。他のなでしこジャパンのFWの選手と組めるだけでも嬉しいのに、目標にしていた選手と日本代表としてサッカーできて、本当に嬉しかったです。

たまたま、試合の日にエレベーターで2人きりになった時があって、ブチさん(岩渕)が「楽しみだね」と言ってくれて。話している時に「マジで緊張してます」と返したら和ませてくれました。私は緊張しやすいので、すごく嬉しかったし、試合がさらに楽しみになりました。

――すごく素敵なエピソードですね。目標だった先輩や代表経験豊富な選手と過ごしたこの大会で学んだことはありますか?

個人としては、なでしこジャパンとして大会に出る機会が初めてだったので、気合は入っていました。代表に定着するために「ここで結果を出さないといけない」と思っていたし、危機感もありました。それは本当に良かったと振り返って感じます。

大会では、先輩たちが私を生かしてくれるプレーが多かった。その中で、やっぱり決定力に課題が残ります。相手が強くなれば強くなるほど、(決める)チャンス自体が少なくなるので、ゴールを決め切る、チャンスをモノにするという部分は大事だと思います。同時に、チャンスメイク、ゴール前での仕事をもっともっとできるようになりたいと感じました。

――小学生でサッカーを始め、憧れの選手となでしこジャパンでともにプレーし、日本のトップで活躍しています。今FWとして取り組むサッカー少女たちへアドバイスするとすれば?

「楽しむことが一番」ということを伝えたいです。

ゴールを決めた時の気持ちはいつまでたっても嬉しいですし、その気持ちがあるからこそ、FWというポジションができていると思います。チームを勝たせることができるのも、チームを負かしてしまうのもFW。やっぱり一番ゴールに近い選手なので、責任はありますけれど、それさえも楽しんでやることが、すごくプレーに直結してくると思います。

■WEリーグ再開に向けて

――3月5日、AC長野パルセイロ・レディース(味の素フィールド西が丘)戦から、WEリーグの後期に入ります。こんなところを見てほしいなどありますか?

女子サッカーの「真面目さ」はすごくいい部分だと思っています。試合に対する姿勢だったり、サッカーに対する熱量は(男子に)負けていないと思うのですが、やはりスピードやフィジカルは男子に劣ります。そこをポジショニングや考えでカバーし、ポジティブに変えられる、そこが女子サッカーのいいところだと思うので、ぜひ見つけてほしいです。

――最後に、WEリーグ再開。ここからの目標を聞かせてください。

ベレーザとして、「WEリーグ初年度優勝」という目標はブレていません。今5位ですが、勝ち切れなかったり勝てなかった(前期の)試合からしっかりと学び、もちろん後期はもっともっと厳しい戦いになると思うので、勝利に向かって準備していきたいと思います。

個人は、やはりどの試合でも、どのタイミングで自分が出場しても、チームを勝たせるゴールを決めること。これができればチームは勝ち続けられると思います。もちろん責任を感じますが、ワクワクしています。しっかりと毎試合、準備していきたいです。

小学5年生で見つけた将来の夢と目標。その、目指してきた目標の一つを叶え、その上でできた新たな目標を立て、勝たせるためのゴールを目指していく。植木理子は止まらない。

3月5日に再開するWEリーグ。現場で、そしてDAZNでぜひ彼女のプレーを見てほしい。

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