「衝撃の体験。南米のチームの真剣度を痛烈に感じた」森岡隆三氏が語るコパ・アメリカ

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柴崎岳とコパ・アメリカ出場国の代表選手

日本時間15日、いよいよ南米選手権ことコパ・アメリカが開幕する。日本の参加は2回目。初招待され20年前の1999年パラグアイ大会以来のこととなる。

1998年に日本はワールドカップフランス大会に初出場し、世界への扉が開かれ始めた直後、本気の南米と彼らの本拠地で戦った――。ペルー、パラグアイ、ボリビアと対戦し1分2敗に終わったこの大会、当時の社会情勢含め日本代表の選手たちは得難い経験を積んだ。そんな一人、森岡隆三氏(清水エスパルスアカデミーアドバイザー、サッカー解説者)に話を聞いた。

■日本で戦った時とはもう…別物

――森岡さんは23歳のときに、日本が初めて招待された1999年コパ・アメリカ・パラグアイ大会の3試合すべてに出場されています。そのときの記憶は残っていますか?

もちろんです。衝撃の体験でしたから。まずは、開催国であるパラグアイへのカルチャーショックがありました。現地に入って国民の生活はそんなに楽ではないんだろうな、とまず感じました。「これが家なんだ…」というところに人々は住んでいて、練習帰りに大雨が降ったら道が一瞬にして赤土の濁流になる。日本はやはり裕福な国なんだと思いました。そういう中で、向こうの人たちにとってサッカーは喜びであり、希望であり、日本とは全く違う観点でサッカーが存在している。いろんな意味でカルチャーショックを受けました。

――第1戦をペルーと対戦します。結果は2-3の敗戦でした。

実はその数週間前に日本でペルーとキリンカップを戦っているんです。自分にとっては代表に初招集された直後でした。横浜国際競技場で0-0の引き分け。「ペルー、大したことないな」という感覚でした。

フィリップ・トルシエ監督が就任して3試合目で、監督のスタイルが全く選手に浸透してない状況でのドローでした。自身にとっては代表でのスタートでもあり、もちろん一生懸命やりましたが、守備をしていてそこまで怖さを感じなかったんです。

そういう印象でパラグアイに行って再びペルーと対戦したのですが…もう、別物でした。球際の厳しさやワンプレーワンプレーの真剣度が全く違う。呂比須(ワグナー)さんとアツさん(三浦淳宏)のFKで点は取りましたが、思うように試合が運べなかった。もちろん組織がまだできていなかったのは間違いないんですが、個の部分で違った。ほとんどの球際を向こうに持っていかれたんじゃないかな。何よりゴールに向かってくる意欲に軽い恐怖感を覚えました。

南米のチームの真剣度を痛烈に感じました。そこもカルチャーショックでした。南米サッカー連盟 (CONMEBOL)に加盟するのは10カ国ですよね。その中で常にしのぎを削っている。コパ・アメリカにしても、ワールドカップ南米予選にしても、そのレベルの高さ、真剣さはとんでもないと感じました。

大会前後で言うと、日本に帰ってからの日々の練習でも球際といった部分を相当意識するようになりました。戦術レベルの話よりも個の部分。例えば体の使い方でいうと、グっと体をねじ込んでくる足腰の強さや体幹の強さはもちろん、手の使い方の巧さを痛烈に感じたので。自分が並走してタックルに行こうとするときに、ポンッと肩をハンドオフされるんです。すると、バランスが崩れてスライディングが届かない。これは勉強になりました。

南米のFWというのは自分のプレーエリアを確保するのが非常に上手です。手の使い方、目線のフェイク。フェイントを掛けるのももちろん普通にうまいんですけどね。守備時にボールホルダーと目を合わせて狙いどころを予測することはよくあるんですが、こちらと目を合わせてくれないんです。あるいはわざと目を合わせておいて、いわゆるロナウジーニョのようにノールックのパスを出すこともあれば、逆に目を合わさない状態からポーンといきなり蹴ってきたりする。自分の想定を超えるようなパスがどんどん出てきました。

■「もっと上を目指そう」と思った

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――その経験はご自身にどんな影響を与えましたか?

「自分の中の基準を上げよう」と思ったのが一つ。想像を超えてくる駆け引きや球際の真剣度を経験して、「自分のいつも通り」を上げなきゃいけないと強く感じました。だから、帰国して早々のエスパルスの紅白戦で、今までであれば「見とけばいいや」と思っていたところをあえて厳しく行ってみたり。コパの試合会場は結構緩いピッチで慣れるには大変なグラウンドだったので、そういうピッチにも対応できるようにと砂浜に行って基礎練習をしたりもしました。

あともう一つは「やってやれない相手じゃないな」ということも感じました。

――一方的に「やられた」だけではなかったんですね。

ブラジルやアルゼンチン、ウルグアイといった南米のいわゆるスター軍団とは結局戦っていませんし、第2戦のパラグアイは完膚なきまでにやられたものの、「背中は見えたな」って思ったんですよ。本気の戦いを経験したからこそ、「届かない人たちじゃない」と。こちらのレベルがもう少し上がれば十分対抗し得る、いや対抗ではなくて勝つ、に持っていける相手だと。スーパーな選手は一握りなんだなと思ったんです。

――親善試合ではなく、相手が本気なだけにそのレベルも分かった。

そうなんです。例えばペルーと次にやる時には負けちゃダメと思ったし。第2戦のパラグアイは開催国でサポーターの雰囲気やスタジアムの空気に押されたこともあり0-4という痛烈なやられ方をしたのですが、個人的には手応えはあったんです。失点シーンもほんの少しのポジション取りで防げたと思うし。正直やられはしましたが、自信にはなったゲームでした。

だから、第3戦のボリビア戦(1-1)は自信を持って臨めました。1対1でボールを奪う、持った時にしっかりボールを動かす、それが多少できたゲームではありました。ボリビア戦は勝ちたかったですね。チャンスもありましたしね。

――代表初招集直後に体験できてよかったですね。

「世界の舞台を経験しに行く」、個人的にはまだまだそのぐらいの感覚でいたんですが、そうではなくて、初めて対等に世界が見られて、そこからもっと上を目指そうと思うきっかけになった。そういう大会でしたね。

当時はDVDやインターネットもないですし、パソコンもほとんどの選手が持っていなかった時代です。僕は時計の雑誌を持って行って、テルくん(伊東輝悦)と「この時計ほしいよね~」みたいな話をしていたんです。でも、パラグアイに負けた後はもう正直時計なんてどうでもよくなった。何にもいらないから「うまくなりたい」と思ったことを覚えています。

それまでは、「負けても仕方ない」くらいの位置づけだった世界の舞台で本気で戦ったことで、「コイツらをいつか倒してやる!」、と強く決意した。世界の背中が見えた、そういう大会でもありました。

■突然怒り出したトルシエ監督

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――この大会はフィリップ・トルシエ監督が就任されて約8カ月後に開催されました。岡田武史監督のもと1998年フランス大会で日本は初のワールドカップに出場し、日本代表が変化の過程にあった時期でもありました。当時、トルシエ監督と選手がぶつかったという報道もありましたが、それは事実ですか?

それはありましたよ。もちろん僕も言いたいことは言っていましたが、上の選手たちがぶつかることが多かったかな。でも、それは勝ちたいからなので。どうすればトルシエさんがやろうとするスタイルを落とし込んで、その規律の中で勝つためにはどうすればいいか? そこをみんな考えていたのだと思います。

トルシエさんも大変な大会だということは絶対分かっていましたから。移動の前日の成田での練習で、ハーフウェイライン付近にみんなを集めて突然怒ったんです。「行きたくないヤツはもう行かないでいい! このラインから向こうに行け! 行きたいヤツはこっち来い!」みたいに。こちらとしては「なんだ急に?」っていう感じでしたが、もうアレですよ。ウルトラクイズみたいで(笑)。

――「ニューヨークに行きたいか~?」ってやつですね。

そうです、そうです。「行きたいヤツはこっち来~い!」みたいな。監督としては、就任後初の大きな国際大会大会で惨敗したら…とかいろいろなものを抱えていたとは思います。

――あれから20年が経ち、今回大会はブラジルで開催されます。

ブラジルは2014年にワールドカップ、2016年に五輪という大きな大会をやっていますから、環境も整っていると思うんですよ。僕たちが参加したパラグアイ大会は衝撃でしたけど、そういう点でのカルチャーショックはあまりないかもしれませんね。

第1戦と第2戦の会場となった首都・アスンシオンで宿泊したホテルはリゾートホテルのような雰囲気なのに、門の横にはマシンガンを持った門兵がいて、敷地内以外は出られなかった。第3戦・ボリビア戦の開催地ペドロ・ファン・カバジェロのホテルはすごく狭くて、ベッドは硬いし狭いし寝返りも打てない。おまけに寒くて寒くてエアコンを付けたらすさまじい埃が出てきて。エアコンなしでベンチコートを2枚着込んで寝ました。それにシャワーはタラタラタラタラ、くらいしか出ない。なかなか良い経験でしたよ。

そういう環境面でのカルチャーショックはありましたが、コーヒーはおいしいし、良いところも悪いところもあって面白かったな、っていう思い出です。ボカ・ジュニアーズのユースとも試合をしましたね。僕らボールを奪えなくて負けかけましたから。「ユースなのになんだコイツら?」と思いました。自分としては「どうすれば日本代表にずっといられるか」を突き詰めて考えていたので、練習の1分1秒も勝負でしたし。Jリーグを知るだけではやはり味わえないものがありました。すべてを吸収しようと思って臨んだ、そんな大会でした。

【後編はこちら!今大会の森保ジャパン選手評や勝ち抜け予想】

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グループC第1節:6月18日(火)8:00~ vsチリ
グループC第2節:6月21日(金)8:00~ vsウルグアイ
グループC第3節:6月25日(火)8:00~ vsエクアドル

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