2019_06_18_ueda

戸田和幸氏がコパ・アメリカ初戦を分析。チリ戦で見えた日本の狙い。期待する選手は…

▶6/25(火)までの加入で2ヶ月間無料トライアル実施中!コパ・アメリカ観るならDAZNで。

柴崎岳とコパ・アメリカに出場する代表選手2

試合で起きる局面を戸田和幸氏が掘り下げるDAZNの番組『The FOCUS』。戸田氏による解説と、進行・下田恒幸氏との絶妙な掛け合いを楽しみながら「サッカーを見る目」が養われる。19日、『COPA AMERICA The FOCUS #2』の公開収録が渋谷・松濤の「DAZN CIRCLE」で行われた。番組収録後、解説はもちろん構成も担当する戸田氏にあらためてチリ戦について話を聞いた。「詳細に分析した」試合の戸田さんの見解は?【聞き手=大西徹】

20190620_dazn

■真っ向からボールを奪いにいく選択

――日本は初戦でチリと対戦して0-4という結果に終わりました。どのような狙いで日本は試合に臨んだのでしょうか?

チリから勝ち点を一つでも取る、粘って粘って勝つことを前提とした人選ではなかったと思います。そして今大会に臨む目的はやはり東京五輪を見据えてのものであり、そこへの経験と成長がテーマなのだと思います。

準備期間が少なかったこともあったかもしれませんが、攻撃面では積極的に個人に仕掛けさせる場面が多かった。

意外だった4バックについては、おそらく右のウイングバックに適任者がいなかったからだと思います。本来ウイングバックに求められる能力というのはまず攻撃なので、そこで勝負できる選手を今回呼べなかったことも関係がありそうです。

チリの特徴を考えるに5バックで守備をがっちり固め、前の少ない人数でカウンター、というトゥーロン国際での決勝戦のような考え方もある。それでも4バックにしたということは、久保(建英)選手、中島(翔哉)選手、上田(綺世)選手の同時起用があったのではないでしょうか。

3-4-3を選ぶと守備時は5バックになりますが、そうした時に久保選手と中島選手がシャドーに入ると守備はどうなるのかなど、いろいろな考えがあったかもしれません。もしくは未来につなげていく考えがあったからこそ4バックにして、真っ向からボールを奪いにいく攻撃を選択したのかもしれません。

――厳しい結果になりましたが、あえてポジティブな面を挙げるとしたら?

日本にはグループとしてプレーするためのベースがそれほどないにもかかわらず、個人で局面を打開してチャンスを作れる場面がありました。特に久保選手と上田選手は簡単にボールを失うことなくゴールに向かって良い場面を作ることができていました。

確かに上田はシュートを外しましたが、シュートを打てるところにはいた。彼にとっては相手GKのレベル、味方からのパスの質やスピード、いわゆる環境が普段とは違うので、冷静さを欠いたのかもかもしれません。

攻撃では幾つか印象に残る場面を作れましたが守備はというと、チリは特に中島の外側を狙って侵入を図っていたと思います。チリはロシア・ワールドカップ出場を逃し、選手も変わらず高齢化が進んでいますが、やはりコパ・アメリカでのパフォーマンスレベルは高かった。

――チリはサイドでトライアングルを作って、動きながらパスをつないでチャンスを作っていました。準備期間が短かった日本としては、やはり対応しづらかったのでしょうか?

これまでのチリの試合を分析していれば、どういう選手がいて、彼らがどういうことをやってきたかはある程度分かります。でも、実際にピッチ上で対峙した時に、選手がすぐ反応できるかどうかは分かりません。体の強さやうまさ、コンビネーションの速さというのは対峙してみないと分かりませんから。

だから、前半に関しては仕方ないと思います。ハーフタイムを挟んで後半がどうだったのかが一番大事ですが、残念ながらあまり変化がなかった。なかったというか、(森保監督は)選手たちの判断でプレーさせていたような気がします。

■後半に入っても変化がなかった日本

――選手たちに委ねていたと。

これまでのフル代表でも、監督がある程度の枠組みは与えても、あれやれ、これやれ、と言うのではなくて、選手たちにどんどん考えさせてプレーさせてきたと思います。もし本当にチリの攻撃を止めたければ、もっと具体的に指示を出して後半から変えようとしたと思いますが、選手たちのプレーからそれを見つける事は出来ませんでした。

チリは2人のセンターバックとアンカーを残してガンガン攻めてきます。

ですが右サイドバックの(マウリシオ)イスラは以前ほどの突破力は失われましたし、左サイドバックの(ジャン)ボーセジュールもうまいですけどもう35歳ですから。

今のチリの弱点はまさに攻め込んだ後にありますが、前がかりになるぶん、特にアンカーの脇のスペースが空きます。最近の試合を見ても攻め込むものの攻め切れずカウンターを打たれた場面がたくさんありました。

ですから今のチリに対して勝ち点をと考えるならば、一度相手を自陣まで引き込むこと。人数を揃えてスペースを埋めればいいと思います。後ろに5枚いれば、スペースを埋めたうえで前向きに対応できます。

――カウンターでは上田や前田大然の特長が生かせますね。

例えば5-4-1を採用して、上田が一番前、前田が右。もしくは前田が一番前は考えられる。でもそうした場合、久保と中島をどうするのか。

あくまでも攻撃をベースに考えて、もしくはウイングバックの適任者がいないので4バックにしたとしても、逆にサイドハーフはもっと守らなくてはなりません。

4-4-2できちんと守備をしようと思ったら、アトレティコ・マドリーではありませんが自陣に入られたら4-4の2ラインをきちんと形成しなくてはなりませんが、チリ戦ではどうだったでしょうか。

森保監督になって以降の日本代表は先にルールを決めるのではなく、まずは選手の持っているものを出させて、その上でコミュニケーションを取らせて、という感じに思えます。それが正しいか正しくないかは僕には何とも言えないです。そして今回のコパアメリカ傘下の目的が東京五輪だとしたら、そこまで見ていかないとジャッジができませんから。

今回のメンバーでコパ・アメリカを勝ち抜くのは非常に厳しい。すべての試合を見てきていますが、他グループの試合を見る守備の強度がよりもっと高い。例えばブラジル対ベネズエラの試合ですが、ベネズエラの形成する4-1-4-1の守備は非常に狭くてタイト。日本で戦ったときのベネズエラとは別のチームです。ブラジルは相当苦しめられました(結果は0-0)。

今のチリは攻撃的ではあるが、守備への切り替えの意識レベルが人によってバラバラです。

そして自陣での守備もより緩いことを考えると、日本は攻撃を受け止めてから前に出たほうが、この試合での結果は得られたと思います。でも、僕にはチリ戦の目的はそこじゃなかったように感じますね。

■久保は全体を見て自分の役割を考えられる

2019_6_18_kubo3

――久保選手はフル出場して、シュートまで持ち込む場面も作りましたが、どのような印象を受けましたか?

キリンチャレンジカップのエルサルバドル戦では相手の守備がハイプレスを行わなかったのでチームとしてハーフウェイラインまでフリーで運べました。

彼はその時間を使ってより効果的な場所を探し、立つことができましたが、チリは違いました。勢いのあるプレスを受けたときに日本はチームとして効果的に前進できなかった。それでも彼はトップ下として、後ろに下がらずに我慢して立っていました。

――その場にい続けなければいけないと。

下がってしまったら上田が孤立します。だから我慢強くポジションを守っていたなという印象です。ボールに触る機会はあまり多くはなかったですけど、彼はどこでボールを受けるべきかをしっているし、その場所を探すのが本当にうまい。そして受けた後に相手をかわす力もあって速い。

僕はずっと彼を見ているんですけど、ボールに触るために寄ることはしません。それは例えば(アンドレス)イニエスタも一緒で、まずは立つべき場所に立つ事が大事なんです。どうしても攻撃の選手は、ボールを触れないと不安になるから下がってしまいます。でも彼は、常に全体を見て自分のポジションを考えている。これは久保が持つ特別な能力です。

――上田選手は79分までプレーしてシュート4本、何度かチャンスがありましたね。

良いパフォーマンスでした。彼もまずポジションの取り方が上手です。ストライカーは取るべきときに取れないと厳しい評価を下されてしまう過酷なポジションです。もちろん点は取ったほうがいいですが、いくら五輪代表チームでのプレー経験があるとはいえコパアメリカまで一気にジャンプアップしている訳ですから、そこは冷静に見ないといけないですね。

ポジション取り、動き出し、スペースを作る動きも良かったと思います。三好からシュート性の斜めのボールをDFの間を抜け出しながらコントロールしGKと1対1という場面がありましたが、彼の日常にはあのパススピードはないはずですよ。ボックス内はすべてを一瞬で完結させなくてはならない最重要エリアですから、ほんの少しコントロールがずれてしまえばシュートが打てないこともある。でもシュートを打つまでのポジション取り・ランニングを見ればやはり非凡なものは感じます。

2019_06_18_ueda

あとはTwitterで書きましたけど、彼にはチャレンジし続けてほしいですね。惜しいところまでは行っていますから。パスの速さや、GKのポジショニング・寄せるスピードに角度など想像はできてもすぐには対応できないものもあります。ミスしても決めれば手のひら返しで評価されるのがストライカーという仕事。

失敗を恐れずにチャレンジしなければゴールなんて絶対に決められません、精神的な図太さがストライカーには必要です。例えばそういうのを持っているのがルイス・スアレスです。大切な事は常に自分がいるべき場所にいる事であり決める為に必要な事をし続ける事、ウルグアイ戦のパフォーマンスにも期待しています。

(後編:ウルグアイ戦展望はこちら!)

【コパ・アメリカ 日本代表戦の日程(日本時間)】※DAZN独占配信

グループC第1節:6月18日(火)8:00~ 日本0-4チリ
グループC第2節:6月21日(金)8:00~ vsウルグアイ
グループC第3節:6月25日(火)8:00~ vsエクアドル

▶6/25(火)までの加入で2ヶ月間無料トライアル実施中!コパ・アメリカ観るならDAZNで。

柴崎岳とコパ・アメリカに出場する代表選手2

【関連記事】
DAZNを使うなら必ず知っておきたい9つのポイント
DAZNが「テレビで見れない」は嘘!6つの視聴方法とは?
DAZNの2019年用・最新取扱説明書→こちらへ  ┃ 料金体系→こちらへ  ※
【簡単!】DAZNの解約・退会・再加入(一時停止)の方法を解説  ※
【最新】Jリーグの試合日程・放送予定一覧/2019シーズン
Jリーグの無料視聴方法|知っておくと得する4つのこと
「※」は提携サイト『 Sporting News 』の提供記事です

Goal-live-scores
広告

ENJOYED THIS STORY?

Add GOAL.com as a preferred source on Google to see more of our reporting

0