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成長のために“あえて”困難を与える。いくつかの試みに込められた森保監督の狙い

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柴崎岳とコパ・アメリカに出場する代表選手2

コパ・アメリカ2019・グループC第2節、日本代表はウルグアイ代表と対戦し、2-2で引き分けた。初戦の大敗から中2日、チームは高い修正力を見せ、大会最多優勝を誇る強豪から勝ち点1をもぎ取った。この2試合で森保一監督は“あえて”いくつかの試みにトライしていた。この“あえて”が持つ意味、そこから見える指揮官の狙いとは?ブラジルで現地取材を続けるスポーツライターの飯尾篤史氏に読み解いてもらった。

■指揮官のトライに込められた狙い

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 ルイス・スアレスとエディンソン・カバーニの世界最強ペアをいかに抑えるか――。それがウルグアイ戦の焦点のひとつだったのは、間違いない。

 3バックにして数的優位を保って守ることも考えられたが、森保一監督が採ったのは、強気の策だった。チリとの初戦と同じ4−2−3−1で優勝候補を迎え撃ったのだ。

 相手の2トップに対して2センターバックが対応する。つまり、数的同数で世界最強ペアを封じ込めようとしたわけだ。

 「僕も、あの2トップと2センターでやらせてほしい、っていうことは言っていた」

 2−2のドローゲームを演じた後、センターバックの植田直通はそう明かした。

 「僕たちが2枚で見ることによって、周りがもっと生きてくると思うし、2枚で耐え切れれば、チームがより良くなると思う。今回は2失点しましたが、少しずつ良い部分が見えて来ている。これは必ず次に繋がると思います」

 もっとも、ウルグアイ戦で4バックを採用したのは、植田の要望が叶えられたわけではない。試合前日、指揮官はこう宣言していたのだ。

 「(相手とマッチアップさせることで)自分たちが攻撃でどう剥がしていくのか、守備では局面でマッチアップすることで、できること、できないことがはっきりするから、局面で責任を持ってプレーしてもらいたい。そういう考えがある」

 振り返れば、初戦のチリ戦も、4−3−3の相手に対して4−2−3−1で臨み、マッチアップの構図を明確にしていた。

 できること、できないことをはっきりさせるために“あえて”マッチアップさせ、成長する機会にしたい――。指揮官のトライに込められた狙いをそう読みとると、森保監督の考える今大会の位置付けと、チリとの初戦で生じたいくつかの疑問の答えが見えてくる――。

 22歳以下の選手たちを中心に臨んでいるコパ・アメリカのグループステージ第2戦。優勝候補のウルグアイと対戦した日本は、初戦からメンバーを6人入れ替えた。

 負傷した原輝綺と前田大然に代えて岩田智輝と三好康児、体力面に不安のある久保建英に代えて安部裕葵、不調の中山雄太に代えて板倉滉を送り出したのは想定内。さらに、岡崎慎司、川島永嗣の両ベテランも起用された。

 もちろん、大会最多優勝を誇る強豪と渡り合うため、ふたりの力が必要だったのは確かだろう。実際、指揮官も「試合に出て、チームを引っ張ってほしかった」と、ふたりへの期待を口にした。

 だが、それなら、大会2連覇中のチリとの初戦でも、ふたりを起用してよかったはずだ。それなのに、なぜ、彼らを初戦で起用しなかったのか。森保監督が説明する。

 「初戦の難しさ。コパ・アメリカという世界的に最高の大会で経験のある選手に頼るのではなく、若い選手が難しい試合を戦うことで経験に繋がるのではないかと考えた」

 つまり、オーバーエイジを柴崎岳、中島翔哉、植田直通の3人にとどめ、“あえて”22歳以下の選手たちに困難なゲームに向かわせた、というわけだ。

 この“あえて”こそ、コパ・アメリカの位置付けを読み解くカギになる。

■チーム作りは次のフェーズへ

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 今大会は、東京五輪代表(U-22日本代表)が立ち上げられて1年半、本大会まで残り1年の時期に開催されている。また、A代表も兼任する森保監督にとって、22歳以下の選手たちを直接指導するのは、昨年8月のアジア大会以来となる。

 その間、横内昭展コーチのもと、主戦システムである3−4−2−1の戦術理解やコンビネーションを深めてきたため、コパ・アメリカは積み上げてきたものを南米の強豪にぶつける場、1年半の集大成という位置付けだと考えていた。

 だから、チリとの初戦で4−2−3−1にぶっつけ本番でトライし、前田を初めて右サイドで起用したことに対し、Goalのコラムで疑問を投げかけた。

 しかし、どうやら森保監督は、コパ・アメリカを集大成と位置付けていないようだ。

 勝利を狙うことが大前提。そのうえで、“あえて”いくつかの試みにトライすることで、選手たちの成長を促そうとしている。そのいくつかの試みが、マッチアップを重視したシステムであり、オーバーエイジの選手たちの起用バランスということだ。

 それだけではない。指揮官は4−2−3−1の採用について「両方(A代表と五輪代表)を見据えて臨機応変にやるために、3バックも4バックもやってもらう」と語り、近い将来のA代表と東京五輪代表の融合を示唆した。

 また、チリとの初戦でオーバーエイジを3人にとどめたことについても「(本大会を見据えて)ある程度意図的にやりました」と明言した。

 チーム作りは次のフェーズへ――。指揮官の言動は、そんなことを感じさせるのだ。

 もちろん、セットプレーのマークの甘さや2度のリードしながら追いつかれたゲーム運びなど、課題は少なくないが、初戦から中2日しかなかったにもかかわらず、映像を使ったミーティングなどにより、選手間の距離やサイドのマークの仕方が改善されるなど、高い修正力も見せている。

 エクアドルとのグループステージ最終戦は、互いにノックアウトステージ進出を懸けた大一番だ。これまでの2試合とは異なり、エクアドルが入念な日本対策を施してきても不思議はない。そのとき、若き日本代表はそれを打ち破れるか。

 「彼らには今の実力(を発揮すること)プラス伸びしろも望んでいる」と森保監督は言う。チリ戦、ウルグアイ戦で掴んだ自信と戦術ベースを確かなものにし、さらなる成長を遂げるためにも、次の試合で南米での貴重な冒険を終わりにするわけにはいかない。

取材・文=飯尾篤史

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「※」は提携サイト『 Sporting News 』の提供記事です

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