名古屋グランパスは23日に明治安田生命J1リーグの開幕戦でサガン鳥栖と対戦する。今オフには的確補強で戦力の底上げを図った名古屋。風間八宏体制3年目で躍進を誓う今季、スタートダッシュなるか。【文=齋藤孝一】
■カギを握る新ボランチコンビ
©Getty Imagesジョー対フェルナンド・トーレス、ガブリエル・シャビエル対イサック・クエンカなど、さながらブラジル対スペインの様相を呈する鳥栖と名古屋の開幕戦。世界レベルの強烈な「個」が見どころと言えるが、名古屋の注目ポイントは、あえて後ろに下げたい。
その理由はシャビエルのこの一言にある。
「名古屋に来て2年半になるけど、自分たちのサッカースタイルは何があっても変わらない。だから新しい選手をどれだけ早くチームに馴染ませて、どれだけ引っ張っていけるか、それが今季の僕の課題だし、勝負しないといけないところだ」
主体性を持って超攻撃的に、点と点を結ぶように足元にどんどん早いボールを入れてゴールを目指すサッカー。風間八宏監督が追求するスタイルは独特であり、選手も観客も楽しませるものだ。対戦相手がポゼッションスタイルに方針転換した鳥栖でも、その方向性は変わることがない。だからこそ、底上げを図るために獲得した新メンバーの役割が重要となる。
名古屋が昨季の布陣と大きく変わりそうなのはボランチの組み合わせだ。FC東京から加入した米本拓司と、今月6日にポルトガルリーグのリオ・アヴェから緊急補強したジョアン・シミッチの二人が先発濃厚となっている。昨年の小林裕紀、エドゥアルド・ネットのコンビとは若干タイプが異なる組み合わせだ。
「シミッチはまじめな選手。攻撃を組み立てるのがうまいし、よくカバーもしてくれる」と評価するのは米本。シミッチは左利きで独特のキープ力があり、視野も広く、フィニッシュにつながる縦パスも精度が高い。ケガで運動量的に難があったネットに代わるチームの心臓として、主に攻撃面において期待がかかる。
「風間さんが求めるパスのタイミングや、相手が何もできないような逆を突く動きは分かってきた」とシミッチ。12歳の頃からブラジルのサンパウロFCでシャビエルと一緒にプレーしており、加入してまだ2週間ほどだが、シャビエルを介して多くのアドバイスを受け、チームにも段々と馴染んできた。
■守備意識の高い米本を据えて課題を克服する
©Goal「攻」のシミッチに対して、「守」で期待されるのが米本だ。FC東京時代からボール奪取力には定評があり運動量も豊富。技術を高めるために名古屋への移籍を決意したというが、止める・蹴るの技術もなかなかに高いレベルにある。
名古屋は昨季、リーグワーストタイの59失点と守りに課題があった。それゆえ守備に多大な貢献ができる米本の加入は大きな戦力アップになりそう。本人も「守備には自信がある。でも失点の防止はDFやボランチだけではなく、チーム全体でボールを取られた後の切り替えが重要だし、そこで奪えない時にどこに戻るかが大事。みんなが前向きで守備ができれば失点はしない」と、改善に自信をみせる。
そしてその上で、風間監督からは攻撃面でも力を発揮することを求められている。キャンプの練習試合では、持ち味の機動力で随所に顔を出し、攻撃にも積極的に絡んでいた。「最初の試合が肝心だと思う。勝ちたいという気持ちしかない」と、米本は開幕戦に向け意気込みを語っている。
いきなりの古巣対決となる吉田豊(←鳥栖)もチームに良い刺激を与えている。常に攻撃に参加することが求められ、守備になれば真っ先に戻ることが必要不可欠な名古屋のSBだが、タフな上下動もいとわず、頑丈な体で相手の動きを止める。
シミッチやシャビエルがボールキープしたタイミングで、オーバーラップを仕掛ける動きも徐々に鋭さを増してきており、以前からこのチームに在籍していたような息の合ったプレーを見せている。「開幕の鳥栖戦は楽しみです。でもそれよりも、早くグランパスのパスサッカーをピッチの上で実践したい」(吉田)。新たな挑戦で得た「新しい自分」を表現することを楽しみにしている。
■競争の激化でチーム内の雰囲気は上々
©J.LEAGUE各ポジションに技術の高い選手が揃い、チーム内の競争が激しくなったことで、風間監督も「トレーニングの空気感がまったく変わった」と感じているという。
「選手たちはグラウンドの中では真剣勝負をしてくれている。でもそれ以外のところでは、まるで兄弟のように仲良く、良い雰囲気を醸し出しているので、この雰囲気で一年通せれば、なかなか他にないチームになるんじゃないかなと思います」
今季における風間グランパスの目標はAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の出場権獲得。指揮官は大きな試合も小さな試合もないと常々口にするが、その目標に向かうための第一歩をどう踏み出すか、サガン鳥栖との開幕戦は大事な一戦となる。
文=齋藤孝一
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