今季の明治安田生命J2リーグは、残り2試合の段階で「優勝」「自動昇格」「プレーオフ出場」と、それぞれの争いはいまだ決着を見ていない。今週末(16日)に行われる第41節で柏の優勝と昇格が決定する可能性があるが、J1を目指す戦いは最後まで混迷を極めている。
一方で残留争いも予断の許さない状況が続く。40節終了時点でJ3に降格の可能性があるのは町田、鹿児島、栃木、岐阜の4チーム。残り2試合でそれぞれのチームはどのような運命を描くのだろうか。(文=原山裕平)
■J2残留未確定チーム
19.FC町田ゼルビア(40・-21)
20.鹿児島ユナイテッドFC(37・-32)
――J3自動降格――
21.栃木SC(34・-22)
22.FC岐阜(30・-39)
※カッコ内は勝点・得失点差
■4チームに絞られたJ2残留争い
©J.LEAGUEまず、各チームのここまでの状況を見ていこう。19位の町田(勝点40)は、昨季は4位と躍進を遂げながら、今季は大きく低迷。最大の要因は得点力不足に尽きる。ここまで34得点は首位・柏の半分にも達しておらず、リーグワースト3の数値だ。21節からの4連敗はいずれも完封負け。鹿島に復帰した昨季のアシスト王、平戸太貴を夏に再獲得するも状況は好転せず、シーズン終盤まで得点力不足に泣いている。
6年目を迎えた相馬直樹監督のもと、クラブライセンスの問題でプレーオフに出場できなかった昨季の悔しさを晴らすべく臨んだ今季、悲願のJ1クラブライセンスを獲得したものの、よもや降格の危機にさらされる事態となっている。
20位の鹿児島(勝点37)は、昇格1年目のチームとして序盤戦は健闘を見せていた。開幕戦で徳島を撃破した後は、しばらく勝利から見放されたものの、12節に柏を下すなど復調の兆しも見せた。しかし標榜する攻撃スタイルはインパクトのある快勝を収める一方で、大量失点を招く試合も少なくなかった。40節を終えて71失点という不安定な守備こそが、苦戦の要因だろう。
それでも終盤戦に来て戦い方を一変。失点を与えない粘り強いサッカーに転換すると、36節から5戦無敗(1勝4分)とし、何とか残留圏に踏み留まっている。絶対的なエースがいない以上、残り2試合は泥臭く勝点を積み上げていくことがポイントとなる。
21位の栃木(勝点34)は田坂和昭新監督の下で、昨季17位からの浮上を狙ったが、再びJ3に戻される危機に立たされている。深刻なのは、町田と同様に得点力不足。31得点はリーグワーストタイで、無得点試合は19を数える。
昨季も同様の課題を抱えていたが、新体制となってもその不安を解消できなかった。もっとも直近の2試合では新潟に勝利し、大宮には引き分けと粘りを見せている。残留の可能性は大きく残されており、土壇場で意地を見せたいところだ。
最下位に沈む岐阜(勝点30)は、前節新潟に敗れ、すでに21位以下が確定している。昨季20位に終わったチームは、元日本代表の前田遼一や馬場賢治といった実力者を補強したものの、3年目を迎えた大木武体制下では結果を出せず。シーズン途中に北野誠監督に代わってもトンネルは抜け出せず5月から6月まで8連敗を記録。事態は好転せず、5月半ばから一度も最下位を脱出できないままラスト2試合を迎えている。
残り2試合でのミッションは、最下位を抜け出して21位を確保すること。これが残留への唯一の道となる。本来、21位以下はJ3への降格となるが、J3の上位2チームがJ2クラブライセンスを持っていない場合は、降格を回避できる規定があるからだ。
J3の上位争いを見ると、残り4試合で2位以内の可能性を残すのは、1位の北九州から6位の鳥取までの6チーム。うちJ2クラブライセンスを持たないのは2位の藤枝のみ。仮に藤枝が2位以内に入った場合はJ3からの昇格は1チームとなるため、J2での21位チームは残留できることになる。
過去にも同様のケースがある。2017年、J3で優勝した秋田がJ2クラブライセンスを持たなかったため、J2で21位の熊本が残留している。
■J3順位表(第30節終了時点)
1.ギラヴァンツ北九州(59・20)
2.藤枝MYFC(57・13)
3.ザスパクサツ群馬(54・23)
4.ロアッソ熊本(51・5)
5.カターレ富山(49・18)
6.ガイナーレ鳥取(49・-4)
※カッコ内は勝点・得失点差
■J2残留争いの命運を握る藤枝
©J.LEAGUEJ2の残留争いの運命を左右するJ3の昇格争いは、勝点59で首位に立つ北九州が優位な状況にある。“昇格請負人"こと小林伸二監督のもと、組織的な守備を実現し、開幕から手堅く勝点を積み上げた。夏場に5試合未勝利とやや失速したものの、すぐさま巻き返し、終盤に入ってさらに勢いを加速させている。
2位の藤枝(勝点57)も堅い守りを武器に、快進撃を続ける。今季加入した森島康仁の存在も大きく、このエースの決定力が躍進の要因となっている。3位の群馬(勝点54)はリーグ最多得点を誇る攻撃力が売り。一時は首位に立ったが、終盤戦に入りやや失速気味なのが気がかりな点だ。
1年でのJ2復帰を狙う熊本(勝点51)も、直近の7試合でわずかに1勝と、勢いに陰りが見えている。逆に5位の富山(勝点49)、6位の鳥取(勝点49)は夏場以降に巻き返し、昇格争いに名乗りを上げてきた。安定した守備が売りの上位2チームが優位な状況にあるのは変わらないが、残り4試合でドラマが待ち受ける可能性も否定できないだろう。
再びJ2の残留争いに目を向けると、町田は勝点1でも積み上げられれば残留が確定する。もっとも残り2試合の相手は柏と山形。いずれも前回対戦で完封負けを喫しており、ともに昇格争いを演じる上位との対戦というところも、町田にとっては厳しい道のりと言えそうだ。
鹿児島は水戸と福岡との対戦を残す。ともに前回対戦では敗れているだけに、こちらも苦戦は免れないだろう。栃木は長崎と千葉が相手となる。攻撃力を備える一方で守備に不安を抱え、いずれも中位以下に留まるチームとの対戦だけに、逆転残留の可能性は十分に残される。
岐阜が21位となるには、栃木を追い抜く必要がある。その差は4ポイントで、1勝1分であれば勝点で並ぶ可能性もあるが、得失点差を考えれば2連勝が絶対条件となる。甲府、東京Vと難敵との対戦を残すなか、このふたつをものにし、栃木の連敗(あるいは1分1敗)、さらには藤枝の勝利を願うほかない。他力本願の状況ではあり、その可能性は決して高いとは言えないが、果たして奇跡は起きるだろうか。終盤戦のJ2残留争いからも目が離せない。
文=原山裕平
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