マンチェスター・シティに所属する日本女子代表のMF長谷川唯が『GOAL』の独占インタビューに応じた。
Getty Images Sport【独占】長谷川唯がマンチェスター・シティで輝く理由「守備が評価されるようになった」
(C)Getty Imagesまるでスカウト?「監督からも聞かれる」
――新シーズンを前にどう過ごしていますか?
いい新しい環境の中で、新しい選手と監督ですけど、みんなが監督のやりたい方向性を理解しながら、新しいチャレンジができていてポジティブかなと思います。
――クラブには藤野あおばや清水梨紗ら多くの日本人選手がいますよね。
やっぱり日本語を喋れる機会があると、オフではリラックスできますね。ご飯も一緒に食べたり、日本を感じられることが増えたので、すごく助かっています。
――あなたや岩渕真奈、熊谷紗希らが最初に海外へ渡りました。それから多くの日本人選手が欧州に挑戦していますね。
昔よりヨーロッパやイングランドでプレーする難易度が低くなったかなと思う。やっぱり代表での活躍が移籍には大きく影響しているかなと思っていて、それプラスマナーや貢献度が日本人の評価を高めている理由のひとつかなと思います。
――昨年サキ(熊谷紗希)と話したとき、彼女が「みんながヨーロッパに来るようになって本当に嬉しい」と言っていました。ユイはどう思いますか?
何歳でヨーロッパに来るのがいいかというのは人それぞれ正解はあると思うんですけど、やっぱり代表チームの選手にとっては海外選手とやれる環境は大事。だから、代表の強化につながると思います。
――藤野や清水、山下杏也加がマンチェスター・シティに来る前に、彼女たちと話しましたか?
あおばは大学にも通っていたのもあって海外志向がありました。シティ以外にもいろんなオファーがあった中で、自分に話を聞いてきてくれたりもしました。梨紗もウェストハムにいましたけど、シティの話もたくさんしていました。あと、逆に監督から日本人の選手について聞かれてたこともあります。
――まるでスカウトですね。シティについてはどのように答えているんですか?
まずはサッカーのスタイルにおいて、日本人に合うということです。イングランドのリーグ自体はすごく縦に速かったり、スピード感があるんですけど、シティはつないでいくのを大事にしています。シティにいる日本人選手は元々そういうサッカーを日本でやっていたので、伝えたときはみんなポジティブに捉えてくれたかなと思います。
(C)Getty ImagesPFAは「一番大事な賞」
――ユイはマンチェスターに来てから素晴らしい活躍を見せています。ポジションが少し下がったと思いますが、その変化はどう捉えていますか?
ポジションが変わって、自分が得意とする部分が少し控えめになっている部分も正直あります。でも、自分が得意としていたけど、あまり評価されていなかった部分、守備が評価されるようになったのもポジションが変わったから。この3シーズンは自分にとって大きなものだったし、やっぱりここに来たからこそWSLの『チーム・オブ・ザ・イヤー』やバロンドールの候補とかにも選ばれたと思うので、ここに来て良かったと改めて思っています。
――選手投票によるPFA(イングランドプロサッカー選手協会)賞の受賞は、特に評価されにくいポジションにおいて、素晴らしいことですね。
確かにそれはすごく思うところです。『PFA』は選手が選ぶので、対戦した選手たちにとって、「相手として嫌だった」というのを証明する賞ですよね。だからこそ、すごく意味があるし、自分にとって一番大事な賞だと思っています。中盤の低めのポジションはあまり目立たないですけど、こうやって評価されているのはすごく嬉しいです。
――今季からアンドリエ・ジェグラーツ監督が就任しました。新監督の下で役割は変わりそうですか?
ちょっとは変わるかなと思っていて、もちろんいい意味で変わるかなと思っています。前のポジションにも行けるし、今までの後ろでのディフェンスの部分も出していけるんじゃないかなとは思っています。ポゼッションの形も変わるかなと思っていて、新しいことを加えるのは良いと思います。それプラス今までやっていたことを選手たちが試合の中で使い分ければ、ゴールチャンスも増えるかなと思います。
(C)Getty Imagesタイトルを求めるシーズンへ
――昨シーズンは残念な結果でした。それが今年のモチベーションにつながっていますか?
けが人も多くて難しいシーズンではあったけど、バルセロナに勝ったり、いい戦いもできていました。だからこそ悔しい部分がある。この3シーズンで一度もトロフィーを取れていないので、よりタイトルを取りたいという気持ちになっています。
――シーズン中には日本代表としてのアジアカップもありますね。
自分はどっちが優先とかはないですけど、やっぱりシティでトロフィーとかを取りたいっていう気持ちはすごく強いです。
――シティでの今季の目標を最後に教えてください。
本当に1位を目指してやらなきゃいけないなと思っています。今年はそんなに連戦じゃないというのもあって、国内リーグにフォーカスしてできるので、一番優勝できる確率は高いんじゃないかな。

