準決勝突破に向けて山本がいう「熱量」が重要だとすれば、柏はやや劣るのかもしれない。リーグは残り5試合で首位の鹿島と勝ち点5差の3位。まだまだ射程圏内であり、関係者の脳内のほとんどがリーグの戦いに占められていても不思議ではない。
たが、その意味では日程が柏にとってポジティブだ。代表ウィークでリーグは中断。この2週間はルヴァンカップの戦いに全振りできる状態であり、リーグの間に連戦を強いられる状況とは大違いだ。
今季から指揮を執るリカルド・ロドリゲス監督のもと、トレーニングキャンプを経て開幕1週間前のちばぎんカップですでに輪郭が明確になっていた攻撃サッカーは猛威を振るっている。守備的なサッカーで残留争いしていた昨季がもう遠い昔のようであり、リーグと並行してルヴァンカップのタイトルを狙うにふさわしい、鮮やかで魅惑的なチームである。
そんな攻撃サッカーにおいて、中心的役割を果たしているのは、小泉佳穂だ。浦和レッズ時代も3人の指揮官のうちロドリゲス監督のもとで最も輝きを放った8番は、日本代表を経験している久保藤次郎に「どこに立てばいいのか、次のどんなプレーを選択すればいいか、佳穂くんがずっと指示してくれる。佳穂くんがいないときにどう振る舞うかは自分の課題」と言わしめる時期があったほど、存在感は大きい。
直近のリーグ戦、横浜F・マリノス戦では、仲間隼斗のヘディングシュートを体に当てた決勝ゴールこそ「避けようして避けられなかった」結果だったようだが、例えば相手の状況を見ながら「自分が大きく動き意味があまりない」と判断すると味方のスペースを作る作業をメインにするなど、状況判断能力の高さで勝利に大きく貢献した。小泉が輝くだけではなく、彼が味方を輝かせることで、柏は決勝進出に前進する。
10日前とは違う大会ながら、トーナメントで最も面白いと言われる準決勝、2戦合計で勝負を決する戦いの第1戦となれば、お互いがまずは自分たちの特徴を出そうと考える可能性が高い。リーグで最も得点を取っているチームと、リーグで最も魅力的なサッカーと評価される両者の戦いである。面白い試合にならないはずがない。
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