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レアル・マドリーでは先発できず、ブラジル代表も落選…ロドリゴの将来はどうなる?残留決意も待ち受ける厳しい現実

ブラジル代表が発表したワールドカップ南米予選に向けたメンバーに、ロドリゴの名前はなかった。ヴィニシウス・ジュニオールには休暇が必要だったと言える。しかし、ロドリゴには出場機会が必要だった。カルロ・アンチェロッティは選外の理由について、記者団からの質問に「彼とは話していない。説明がほしいなら直接電話が欲しい。連絡先は知っているはずだからね」と答えている。

1年前、ロドリゴはアンチェロッティの下でレアル・マドリーに不可欠な存在と考えられていた。確かに右ウイングは彼の理想とするポジションではなかっただろうが、その特別な才能は決して無視できないものだった。

しかしこの半年間で、レアル・マドリーでの彼の立場は非常に厳しいものとなっている。ピッチ上で苦しみ、噂された移籍も実現せず、ブラジル代表からも外れてしまった。そんな24歳の今後を占う。

  • Liverpool FC v Real Madrid: Round of 16 Leg One - UEFA Champions LeagueGetty Images Sport

    欧州制覇の立役者の1人

    18歳だった2019年に4500万ユーロとされる移籍金でレアル・マドリーに加入し、しっかりと時間をかけながら主力に成長したロドリゴ。2022年のチャンピオンズリーグ準決勝マンチェスター・シティ戦で立て続けに決めた劇的な2ゴールに代表されるように、レアル・マドリーが史上最多15回の欧州制覇を達成するうえで欠かせない存在であったことは間違いない。

    しかし、彼の中には長い間不満の種がくすぶっていた。2024年前半のインタビューで「4-2-3-1ならストライカーの後ろが一番好きだよ。これはみんなが知っていると思うし、監督とも話し合っている。もちろんすべてのポジションでプレーするけど、一番居心地が良いのはあそこだね」と明かしている。

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  • Real Madrid CF v Sevilla FC - La Liga EA SportsGetty Images Sport

    “脇役”

    ヴィニシウスやキリアン・エンバペの存在もあり、彼の起用ポジションは右ウイングに固定されていた。そのポジションでも素晴らしい才能を披露はしていたが、自分の役割への不満は日に日に大きくなっていたようだ。

    昨シーズン、ロドリゴは多くの試合で自身が望む左サイドへ流れ続けている。その結果、右サイドが不在の状況に。さらに左サイドにはヴィニシウス、エンバペ、ロドリゴと3人がスペースを取り合う非常に歪な形となっていた。そうした状況を改善するために、アンチェロッティはシーズン終盤に4-4-2を採用。ヴィニシウスとエンバペが2トップに入った結果、ロドリゴは居場所を失っている。

    ここから移籍報道は加熱していった。チームの中心はヴィニシウスとエンバペであり、ロドリゴは“脇役”に追いやられる格好に。その役割に甘んじるにはあまりに才能溢れるこのウインガーは、他のトップクラブで主役を務めるべきだと連日のように伝えられていた。

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    移籍市場の選択

    そしてこの夏は、まさに移籍する絶好のタイミングであった。マドリーはシャビ・アロンソ新監督を招聘し、さらに18歳のフランコ・マスタントゥオーノに多額の投資を行った。ロドリゴのポジションは十分な戦力が整っていた。レアル・マドリー側も売却に前向きだったことは複数メディアで伝えられている。そしてアーセナル、リヴァプール、マンチェスター・シティと、欧州の頂点を狙えるビッグクラブが獲得を望み、実際に交渉に入っていた。

    しかし、ロドリゴは残留した。もちろん、1億ユーロとされる移籍金の問題は大きいだろう。この金額を払えるクラブは多くない。それでも、最終的にはシャビ・アロンソと話し合った結果、本人が左サイドのポジションを争うためにレアル・マドリーに留まることを望んだとされている。

  • Xabi Alonso Real Madrid 2025Getty Images

    停滞

    シャビ・アロンソはクラブワールドカップからラ・リーガ開幕数試合まで、自身が志向するスタイルと現有戦力のバランスを見ながら試行錯誤を続けていた。しかし結局、アンチェロッティ時代と大きく変わらない4-3-3に落ち着いたようだ。そして右ウイングに入ったのは、ロドリゴでない。マスタントゥオーノ、そしてブライム・ディアスが起用された。

    ロドリゴはラ・リーガ開幕戦はベンチで90分を過ごしたが、続くオビエド戦は先発出場。それもヴィニシウスがベンチに座り、彼が望む左サイドでの起用だった。彼にとって最大のチャンスとなったこの試合だが、率直に言って効果的なパフォーマンスはほとんど見せられなかった。長い間左サイドから離れていた結果、そのポジションに定着できることを証明するプレーは発揮できなかったのだ。

    結局、第3節のマジョルカ戦は再びベンチスタートに。ロドリゴは行き詰まっている。

  • Brazil Press Conference & Training SessionGetty Images Sport

    ブラジルとアンチェロッティ

    こうしたレアル・マドリーでの不調が、ブラジル代表選外につながっている。確かにワールドカップ出場をすでに決めているため、アンチェロッティは複数の主力選手を外している。しかし、ロドリゴには出場機会が必要だった。もっと言えば、ヴィニシウスやネイマールが不在の中で、攻撃陣のリーダーになるべき存在だ。だが、チームに合流することすらなかった。

    彼は監督からの信頼を必要としていた。メンバーに選ばれなかったとしても、かつての恩師が公の場で信頼を表明してくれることを期待していはずだ。しかしアンチェロッティが口にしたのは、「説明がほしいなら直接電話が欲しい」との言葉だった。

    チリ戦では18歳エステバンが代表初ゴールを奪い、ガブリエウ・マルティネッリらも一定の活躍を収めている。ロドリゴは、セレソンでも厳しい立場に追いやられている。

  • Brazil v Peru - FIFA World Cup 2026 QualifierGetty Images Sport

    勝負の数カ月

    2026年ワールドカップの開催まであと9カ月。ロドリゴにとって、クラブと代表の両チームでの将来を決定づける数カ月がやってくる。

    シャビ・アロンソはエンバペを中心に据えつつ、左サイドにはヴィニシウスを起用する考えを変えないだろう。ロドリゴは、未だ先発が固まっていない右サイドでのプレーを受け入れ、そこで輝く方法をもう一度見つけるべきだ。内に秘める思いはあるかもしれないが、まずは出場機会を掴まなければならない。24歳という年齢はもう若手ではなく、トップレベルで主力を担う存在になる必要がある。とにかく試合に出てプレーしなければ、夢の舞台であるワールドカップをテレビで観ることにもなるだろう。

    1月までに状況が変わらなければ、ロドリゴは「移籍」という選択をこれまで以上に無視できなくなる。アンチェロッティの姿勢は極めて明確であり、とにかくピッチに立つことを求めている。ここからの数カ月、欧州制覇のヒーローが何を見せ、どんな決断をするのか、一挙手一投足から目が離せない。