AFC U-23アジアカップ カタール2024の決勝でU-23ウズベキスタン代表を破ったU-23日本代表。アジアの頂点に立った今大会23名の選手たちだが、ここからはパリ五輪の18枠という狭き門を巡って争うライバルとなる。五輪に向け、今回のアジア杯に招集された23名の選手たちの序列を整理した。【取材・文=林遼平】
(C)Getty images【序列評価】U-23日本代表、パリ五輪はアジア王者23名から最低8名減へ…厳しい立ち位置にいるのは?
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(C)Getty imagesアジア制覇も選手間競争へ
アジア杯の戦いは、決勝こそ重さも見られたが、タイトル獲得までの軌跡は見事だった。開幕前から死のグループと言われ、多くの海外組を呼べなかったことで、周囲から五輪への出場を疑問視する声も聞かれていた。それでも、選ばれた選手たちが一丸となりパリ五輪の出場権を獲得。さらには決勝でウズベキスタンを破りアジア王者にも輝いた。
最高の形でパリへ向かうことになる日本だが、ここから選手たちに待ち受けているのは五輪の招集枠である18人の枠を争う熾烈なサバイバルだ。今大会に呼ぶことができなかった海外組の選手やオーバーエイジ(OA)の選手が3人入ることを踏まえると、アジア王者になったメンバーからどれほどの選手が残るかはわからない。残酷な現実が待っていることも考えられるだろう。
今回はアジア杯の結果を経て、現在のメンバーがどういった立ち位置にいるかを見ていく。海外組がどれほど入ってくるかわからないため難しい状況ではあるが、ここからの成長や巻き返しにも注目していきたい。
(C)Getty ImagesGK
〇:小久保玲央ブライアン
△:山田大樹、野澤大志ブランドン今大会の正守護神を務めた小久保は、ほぼ当確と考えていいだろう。チームのムードメーカーの一人としての立ち位置も確立されていて、選手や指揮官からの信頼が厚い。アジア杯全体を通してのパフォーマンスも安定しており、決勝戦でも後半ATに圧巻のPKセーブを見せて優勝の立役者となった。2枠程度と予想されるGK枠に入ってくる可能性は高いはずだ。
次点としては第3戦の韓国戦でピッチに立った野澤大志ブランドンが続くが、2枠となる場合、A代表で守護神になりつつある鈴木彩艶がメンバー入りしてくることを考えると、現状では厳しい状況にいることは間違いない。それはアジア杯を通して出場機会のなかった山田大樹も同様。ケガや移籍等による変更の可能性はもちろんあるが、現状では小久保と鈴木彩が一歩抜け出したと見ている。
(C)Getty imagesDF(センターバック、サイドバック)
〇:高井幸大、関根大輝、木村誠二、大畑歩夢、内野貴史
△:西尾隆矢、半田陸、鈴木海音最終ラインの焦点となるのは“何人のOAが入ってくるか”。CBに1枚入れることは基本的な方針だが、もう一人CBが入ってきたり、SBに加わる可能性もある。そうなると、一気に有力と見られる選手が外れる可能性も出てくるため、選考が難しいポジションと言っていい。
今大会を通して最有力候補にまで上り詰めたのは高井幸大と関根大輝だ。大会前は西尾隆矢、半田陸といった代表の常連組が主力になることが予想されたが、前者は初戦の退場が尾を引き、後者はコンディション面をうまく調整できず、出場試合数が激減。その裏で、決勝でも得点の起点となるなど高いポテンシャルを見せた高井と、大会を通じた奮闘が目立った関根が大きく評価を上げた形だ。
西尾の出場停止中に評価を上げたのは木村誠二も同様だ。ケガもあり招集さえ危うかった中で、指揮官の信頼に応えて最終ラインを統率。セットプレーの流れで2つの得点を奪う力強さを見せた。また、SBでは大畑歩夢が左サイドでキレのある動きを披露。内野貴史も今回は左SBのみの出場となったが、両サイドをこなせる器用さとチームを内側から支える能力は大きく、有力候補と言っていい。一方、出場機会の少なかった鈴木海音は一歩立ち位置が下がった印象となっている。
(C)Kenichi AraiMF(ボランチ、インサイドハーフ)
〇:藤田譲瑠チマ、松木玖生、荒木遼太郎
△:川崎颯太、山本理仁、田中聡欧州で活躍する鈴木唯人やOAが入ってくる可能性がある中盤は、今大会のメンバーで言うと、最優秀選手にも輝いた藤田譲瑠チマがほぼ当確と言っていいはずだ。初戦の中国戦では数的不利の中で中盤を統率。決勝トーナメント以降は中盤の大黒柱として獅子奮迅の活躍を見せ、パリ五輪の出場権を手にしたイラク戦では2つのアシストを記録して勝利に導くなど、文句なしの結果を残した。
続くのは松木玖生と荒木遼太郎だ。松木は初戦の中国戦でゴールを奪って以降、結果という点ではもう一つだが、スタートからでも途中からでもハードワークできるプレースタイルで全試合に出場。信頼度は高い。荒木は決勝トーナメントで存在感を発揮。決勝で相手GKと衝突してピッチを退いたことの影響が気がかりだが、秀でたゲームセンスで状況を打開するプレーは、本大会にも必要になってくる可能性が高い。
一方、川崎颯太、山本理仁、田中聡の3人は、アシストや得点に関与するなど結果こそ残したが、上述した3人を超えるようなパフォーマンスは見せることができていない。チームを引っ張ってきた山本は有力候補の一人ではあるが、OA次第で状況が難しくなりそうだ。
Kenichi AraiFW(センターフォワード、サイドアタッカー)
〇:平河悠、山田楓喜、藤尾翔太、細谷真大
△:佐藤恵允、内野航太郎海外組が多くいる前線は、最も現状の立ち位置が読みづらいポジションだ。例えば、欧州で活躍する斉藤光毅や三戸舜介、小田裕太郎といった選手たちの評価次第で大きく序列が変わってくる。また、A代表でプレーする久保建英が入ってくるとなれば、また序列に変化が出てくるだろう。
そういった点を考慮した上でも、当確となるのは最前線の細谷真大だ。A代表でもゴールを奪っている細谷は、1月のアジアカップ以降スランプに陥っていたが、準々決勝のカタール戦でゴールを奪うと、準決勝のイラク戦でもゴールを奪取。エースの力を示し、パリ五輪行きが近づいた。
サイドでは平河悠が一気に評価を上げた。献身的な動きかつ独力でのドリブル突破でチャンスメイクをするなど、見事なパフォーマンスを見せた。藤尾翔太は“得点”というところでは物足りないが、最前線とサイドを巧みにこなせることは魅力。山田楓喜もセットプレーのキッカーとしての能力の高さに加え、決勝でもチャンスをものにして決勝点を沈めており、今大会のメンバーで見れば有力候補に浮上したと考えていい。
一方、佐藤恵允は結果で貢献できず悔しさの残る大会に。内野航太郎はストライカーらしさを見せたが、大逆転でのメンバー入りは難しいと予想した。
(C)Getty images最終目標はA代表
ここからの逆転はもちろんあるだろう。一方で、海外組が思った以上に入ってくることで、メンバー入りがさらに難しくなる可能性もある。残りわずかな時間でどれだけのアピールができるかは、選手一人ひとりにかかっていると言っていい。
一方、最終的な目標はA代表となる。五輪に出場できなかった選手たちが、その悔しさを胸にさらなる成長を見せるパターンはよくあること。努力を惜しまず、前に進んでいくことが大事になる。
チームとしてはコロナ禍の影響で世界大会のチャンスを失ってきた世代でもある。そういった中で掴んだパリ五輪の切符。大きな経験値を得られる大会に最強メンバーを揃え、1968年以来のメダル獲得を期待したい。