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トゥヘル監督は今こそチームを再構築すべき。課題が浮き彫りとなったイングランド代表の勝者と敗者

いよいよ本気モードに入る時だ。2026年ワールドカップの開幕まであと1年。トーマス・トゥヘル監督が、北米へ飛び立ちトロフィーを持ち帰るに値するイングランド代表を構築すべき時は急速に迫っている。彼自身が認めるとおり、また、契約期間からも明らかなように、それが目標なのだ。だが、2024-25シーズン最後の代表キャンプを見る限り、スリーライオンズに最後のステップを乗り越えて主要大会で優勝する能力があるとは、とても言えない状態である。

アンドラ戦は酷かったが、セネガル戦はそれにもまして悪かった。ガレス・サウスゲート時代には数多くの華やかで記憶に残る瞬間をもたらしたイングランド代表が、ワールドカップ予選の1試合で不安定なプレーを見せたとしても、最終的に勝ったのだから、許されていいだろう。だが、監督が公の場で厳しく叱責してから数日後、火曜のシティ・グラウンドでの惨敗は許しがたいものだった。親善試合とはいえ、この結果は問題の深刻さを浮き彫りにした。

トゥヘル時代の最初の敗北が、選手たちに必要な真の目覚めと現実認識のきっかけとなることを願う。EURO2024で決勝に進出した後、ワールドカップの優勝候補の一角として正当に評価されていたイングランド代表は、著しく後退した。過去2試合のようなプレーを続ければ、間違いなくスリーライオンズはグループステージ突破も危ういだろう。

2024-25シーズン最後の代表キャンプにおけるイングランドの勝者と敗者を分析してみよう。

  • England v Senegal - International FriendlyGetty Images Sport

    勝者:ハリー・ケイン

    イングランドの男子代表が1966年以来の国際大会での優勝を目指しながらまたもや失敗に終わったEURO2024で、何本もの批判の矢がハリー・ケインに向けられた。ある者はケインのポジションは深すぎたと言い、またある者は彼には鋭さが失われたと指摘した。一部では「彼は終わった」とまで言われ、今こそ変化が必要で、他の選手にチャンスを与えるべきだと主張する声もあった。

    代役の候補は相変わらず大勢いるが、ケインは、今回のインターナショナル・ブレイク中に、再び、問題は自身にあるのではないことを証明した。クラブでも、またしても驚異的なシーズンを送り、ついにトロフィーの呪いを破った上に、イングランド代表でも、史上最多得点者にしてサッカー界で最も決定力のあるストライカーのひとりであることを示したのである。

    確かに、アンドラ戦やセネガル戦では最高の状態ではなかったが、パスやサポートが極めて不足していたのも事実だ。それでも、特に2試合目では数少ないチャンスを活かし、ケインは代表72点目と73点目の得点を決め、新監督の下で、イングランド史上初の4試合連続得点を記録した。ケインはトゥヘル監督の「頼れる男」であり、選手名簿のトップに書かれる名前のひとつであり続けている。彼が問題ではないことは確かだ。

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  • England v Senegal - International FriendlyGetty Images Sport

    敗者:カイル・ウォーカー

    カイル・ウォーカーがこれまで代表としてのキャリアに何とかしがみついていられたとしても、今や、それが彼の手から滑り落てしまっていることは間違いない。ウォーカーはイングランド代表として96試合に出場しており、その貢献を考慮すれば、彼を非難するのは全く公平ではない。全盛期には、ヨーロッパのサッカー界で彼に匹敵する右サイドバックは存在しなかったし、イングランド代表のファンや彼とともに働いた監督たちにとって、彼の驚異的な回復力は安心材料となっていた。

    しかし、35歳となった現在、その伝説的なスピードはもはや存在しない。セネガル戦でのウォーカーの惨憺たるパフォーマンスは、まさに「最後のとどめ」となった。イスマイラ・サールの同点ゴールの場面で、ニコラス・ジャクソンがクロスを上げようとする明らかな危険を察知できなかったのは、到底許されないミスだった。

    トゥヘル監督は試合後の記者会見で、当然ながら、このマンチェスター・シティのDFを擁護したが、ワールドカップでも彼をスタメンで起用し続けるなら、大きな問題になることは間違いない。右サイドバックには、トレント・アレクサンダー=アーノルドやリース・ジェイムズ、さらにティノ・リヴラムメントも候補として検討すべきであり、ウォーカーはもはや候補から外れるべきだろう。

  • FBL-EURO-2024-MATCH40-ENG-SVKAFP

    勝者:ジャック・グリーリッシュとフィル・フォーデン

    ほんの1年ほど前まで、ジャック・グリーリッシュとフィル・フォーデンが2人ともケガ以外のことでイングランド代表チームから外されるなど、想像もできなかっただろう。まさに絵に描いた餅。きっと、ただの印刷ミス。ところが、トゥヘル監督がアンドラ戦とセネガル戦に向けた26人の遠征メンバーを発表した時、それは現実となった——マンチェスター・シティの2人の名前はどこにもなく、ハリー・マグワイアと合わせて、サウスゲート時代にはレギュラーだった選手たちの代表落選は衝撃であった。

    今シーズンのマンチェスター・Cの凋落と、前述の選手たちが有意義な成績を挙げられなかったことを考慮すれば、トゥヘル監督めがけて火炎瓶や熊手を持ったファンが押し寄せるような事態ではなかった。今シーズンの様子だけで見れば、彼らより適切な選択肢があったのは事実である。

    だが、あの2試合での精彩を欠いた代表のプレーを見れば、少なくともグリーリッシュとフォーデンには、ポジションを取り戻す可能性がある。単にメンバー入りするだけでなく、先発イレブンへの復帰も視野に入っていることだろう。現在、確実にポジションを確保している選手はわずか数名に過ぎない。だが正直言って、グリーリッシュに関しては、マンチェスター・Cでの現状から脱出し、今後12カ月でもっと定期的にプレーできるようになっている必要がある。フォーデンのエティハドでの立場はそれほど深刻ではないが、底上げを図る必要があることは言うまでもない。今こそ果敢に挑戦せよ。

  • Ivan Toney England 2025Getty Images

    敗者:イヴァン・トニー

    セネガル戦の後半の経過とともに、ITVのカメラはイングランド代表のベンチで無表情に座るイヴァン・トニーを何度もとらえるようになっていった。彼が注目される理由は明らかだった。イングランド代表はFIFAランキングで15位も下回る相手にホームで苦戦を強いられていたにもかかわらず、トゥヘル監督は何度も、彼以外の選手を選択していたのだ。

    59分にケインを交代させたにもかかわらず、アル・アハリのストライカーであるトニーは無視され、絶望的に混乱したシステムの中で最前線にいたのはモーガン・ロジャースだった――トニーが代わりを務められることは明らかだったにもかかわらず。29歳のトニーは、試合終了間際にマイルズ・ルイス=スケリーと交代で投入されたが、時すでに遅しだった。

    「なぜ?」という疑問が浮かぶ。なぜ、キャンプ初戦のバルセロナ戦で出場機会のなかったトニーを招集したのか。特に彼のような能力の選手が必要となる試合でも、彼を使う計画はなかったというなら。

    トニーのイングランド代表での将来は、本当に明るくない。トゥヘル監督の攻撃の絶対的なリーダーはケインであり、ドミニク・ソランケやオリ・ワトキンスがトニーよりも上位に控えている上に、チェルシーの新加入選手リアム・デラップが間もなくチームに加わる見込みだ。トニーがスリーライオンズのユニフォームを着るのは今回が最後になる可能性すらある。

  • Portugal v Spain - UEFA Nations League 2025 FinalGetty Images Sport

    勝者:ワールドカップでイングランド代表のライバルとなる国々

    イングランド代表にとってさらに問題なのは、ライバルの国々がますます強くなっていることだ。激闘だったネーションズリーグの結果を見れば、準決勝に進出した4チームが来夏も同じかそれに近い成績を出すのは間違いない。優勝したポルトガルは、41歳となるクリスティアーノ・ロナウドが国際舞台での最後の戦いを意識しており、大いにチャンスがあるだろう。一方、サッカー界最高の選手と称されるラミン・ヤマルを擁するスペインも、再びの躍進が予想される。

    フランスは攻撃のオプションが豊富で危険な存在であり、フロリアン・ヴィルツを軸に据えたドイツも脅威だ。ヴィルツは間もなくサッカー史上最大の移籍のひとつに関わってくるだろう。アルゼンチン、ブラジル、オランダ(イングランド代表が火曜にノッティンガムの太陽の下で苦戦する中、マルタ相手に8点を奪った)を加えると、スリーライオンズの展望は、控えめに言っても厳しそうだ。

  • Thomas Tuchel England 2025Getty

    敗者:トーマス・トゥヘル

    トゥヘル監督のことは言うまでもない。イングランド代表監督になって間もない彼の3試合目と4試合目は、目の前に山のような課題が待ち受けていることを痛感させるものだった。考えてみれば驚くべきことである――わずか1年前、欧州選手権の決勝でスペインを延長戦に持ち込む寸前まで迫ったチームが、今やブルドーザーを呼ぶ必要がある状況に陥っているのだ。すなわち、全部破壊してやり直すしかないのである。もちろん、これは誇張した言い方だが、アンドラ戦とセネガル戦の2試合のパフォーマンスを見れば、現実から遠く離れた物言いではない。

    イングランド代表の攻撃はアイデアに欠け、ラインを突破する創造性もなく、守備は完全に崩壊していた——火曜のセネガル戦の3得点はすべて防げたはずのものだった。代表レベルの試合であんなことは起こるべきではない。ロイ・キーンはITVのスタジオで選手たちを「怠けている」と批判し、「スターバックスでリラックスしている時のようだ」と皮肉ったが、彼に反論するのは難しい。

    2大会連続でEURO決勝に進出して栄光をつかみかけたイングランド代表が今ここで大きく後退するならば、それは犯罪的なことである。しかし、トゥヘル監督が解決策を見つけない限り、それは厳しい現実となるだろう。