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遠藤航とカゼミーロの衝撃的な対比:リヴァプールvsマンチェスター・U前に対照的な状況に

ユルゲン・クロップはカラバオカップ決勝での遠藤航のパフォーマンスに首を傾げた。何か腑に落ちない。数字が意味をなさないのだ。遠藤は左足首に大きな衝撃を受け、松葉杖をついてウェンブリーを去ることになったが、1-0でチェルシーに勝利したリヴァプールの選手で、タックル、デュエル、ポゼッションのどれをとっても彼を勝った選手はいなかった。

遠藤はとにかく執拗だった。試合終了のホイッスルが鳴るまで、彼は走るのを止めなかった。モイセス・カイセドは意気消沈して座り込み、ケガに苦しむチームとともにクロップの子どもたちが目覚ましい勝利を祝うのを見送った。

クロップは、リヴァプールが夏にエクアドル人選手との契約を逃したのはラッキーだったと主張していたが、ウェンブリーでそれが正しかったことが証明された。遠藤は自身より1億ポンドも高い、しかも9歳も若い選手を圧倒したのだ。

「パスポート上は30歳か31歳かもしれないが、実際は違うんだ」とクロップは言い放った。「彼はマシーンだ!」。クロップは遠藤が「3、4年」後にはクラブとまた「長期契約」を結んでいる可能性があると主張している。それだけドイツ人は遠藤に余力があると感じているのだろう。

その意味で、今シーズンのリヴァプールを象徴する選手の一人と、その次のライバルとのコントラストは、これ以上ないほど際立っている。遠藤がアンフィールドで特別なことの始まりを楽しんでいる一方で、カゼミーロはオールド・トラッフォードでの時間を終えようとしているように見える。似たようなプロフィールを持つ2人だが、日曜日のFAカップ、リヴァプールvsマンチェスター・ユナイテッドを前に、これ以上ないほど状況が異なっている。

  • Casemiro-Man-UtdGetty

    カゼミーロの衰え

    ユナイテッドはプレミアリーグでエヴァートンに2-0で勝利し、士気を高めて準々決勝に臨むことになったが、カゼミーロのフォームに対する不安を和らげるにはほど遠い試合だった。

    カゼミーロはピッチ上のどの選手よりも多くのタッチ数を記録したが、70本のパスのうち17本が失敗。ユナイテッドの選手では、スコット・マクトミネイだけがカゼミーロ(76%)より悪いパス成功率(73%)だった。

    サンティアゴ・ベルナベウでの9年間でチャンピオンズリーグ優勝のメダルを5つも集めた闘争心の塊とは似ても似つかない。2022年夏にレアル・マドリーから移籍し、エリック・テン・ハーグ監督率いるチームに、瞬く間に大きな変革をもたらしたあの選手の面影すらないのだ。

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  • Casemiro Manchester United 2022-23Getty

    「僕が修正すると言ってくれ」

    端的に言えば、カゼミーロがいなければ、ユナイテッドはチャンピオンズリーグへの復帰を勝ち取ることはできなかっただろう。

    英紙『デイリー・テレグラフ』によると、2022-23シーズンの開幕戦でブレントフォードに0-4と大敗したのを見た後、彼は代理人にこうメールを送ったという。「僕が解決すると伝えてくれ」。そして、彼はそれを実行した。

    カゼミーロは、プレミアリーグの対戦相手を即座に蹂躙し、過去10年間、サッカー界で最も破壊的なミッドフィルダーと評価されてきた理由を正確に証明した。ポゼッション、タックル数、デュエル数、空中戦の勝利数、ブロック数、インターセプト数でチームメイトの中で1位となった。しかし、今シーズンはまったく違う。

  • Casemiro Bruno Fernandes Manchester United City 2023-24Getty

    集団的な不調

    カゼミーロの苦闘には、明らかにケガが影響している。セレソンのスターは10月中旬から年明けまで欠場した。

    しかし、それ以前から彼はひどく苦しんでいた。ユナイテッドのサポーターの中には、2022-23シーズンが終わる前に、このブラジル人に疲労の兆候が見られたと言う人もいるだろう。スペインでの1シーズンを上回る51試合に出場した。ケガの増加と調子が落ちるのは必然だったのかもしれない。

    もちろん、周囲にも助ける者はいなかった。今シーズンのユナイテッドで不調だったのはカゼミーロだけではない。マーカス・ラッシュフォードとブルーノ・フェルナンデスはベストの状態にはほど遠く、何人かのキーマンもフィットネスの問題に悩まされている。

  • ten hag(C)Getty Images

    テン・ハーグの奇策

    オランダ人はカゼミーロに好意的でもない。

    今シーズンのユナイテッドは、ハイプレスとローブロックの両方を採用することで専門家の主張を、テン・ハーグは否定したかもしれない。しかし、カゼミーロが時に混乱し、その結果、フラストレーションを感じているように見えたのは間違いない。

    それは、カゼミーロが野性的であるのと同様に、不必要なチャレンジをあまりにも多くしていることに表れている。エヴァートン戦では、この32歳は10代のチームメイト、コビー・マイヌーに「落ち着け」と言われなければならなかったほどだ。

    しかし、このような小心な振る舞いは当然といえば当然である。第一に、この男は負け慣れていない。第二に、彼はおそらく、自分が勝つことのできない特別な戦いに巻き込まれていることに気づいている。

  • Casemiro Manchester United 2023-24Getty Images

    長いトップ生活には犠牲が伴う

    カゼミーロはレアル・マドリー時代の同僚であるルカ・モドリッチ(38歳)やトニ・クロース(34歳)よりも若いが、その役割の大きさを考えれば、2人より先に衰え始めるのは必然だった。

    彼はこの10年間、間違いなく世界で最もダイナミックな守備的MFだった。同じように劇的な衰えを見せたエンゴロ・カンテがそうであったように、真のトップチームでこのような消耗の激しいポジションでプレーすることが負担になるのは時間の問題であった。

    対照的に遠藤は消耗しているようには見えない。おそらくカゼミーロほどは、同じような期間、最高レベルでプレーしていないからだろう。

    日本のファンやブンデスリーガを応援している人なら、遠藤が長い間、素晴らしい才能とインスピレーションを与えてくれるリーダーだと思われてきたことは知っているだろう。しかし実際は、彼は今シーズンのヨーロッパリーグに出場するまで、アジア以外の大陸でのコンペティションを経験したことすらなかった。

  • Casemiro Man United Wataru Endo Liverpool(C)Getty Images

    走行距離 vs パスポートの年齢

    その意味で、クロップは遠藤について正しいかもしれない。遠藤はリヴァプールの6番問題を解決するその場しのぎ的な存在だと思われていたが、これまでの活躍を見る限り、少なくとも4年契約の間はアンフィールドに留まることになりそうだ。

    マンチェスター・ユナイテッドの新たな投資家であるINEOSが、カゼミーロに投じた投資額の大きさに即座に唖然とし、今夏にサウジアラビアのプロリーグ・クラブに売却することに前向きだと伝えられているのに対し、フェンウェイ・スポーツ・グループのマイケル・エドワーズ新CEOは、遠藤という低コストながら質の高い選手を、リヴァプールがまたもや獲得したことをすでに痛感しているに違いない。

    というのも、プロフェッショナルの頂点では、選手の寿命はパスポートに書かれた年齢よりも、むしろ時計の走行距離で決まることが多いからだ。