Man Utd January window GFXGetty/GOAL

ラッシュフォードを売却、ディアロの将来を確保…マンチェスター・ユナイテッドが今冬に取るべき6つの行動

マンチェスター・ユナイテッドは、これまでにないほど緊急に移籍市場を必要としている。赤い悪魔がクリスマスをプレミアリーグの下位で迎えたのは初めてのことであり、もし大きな変化がなければ、1990年以来の最低順位に向かうことになるだろう。

マンチェスター・Uは過去3年間の夏に新しい選手の獲得におよそ6億ポンド(約1,190億円)を費やし、ヨーロッパでも最高額の報酬を支払っているにもかかわらず、どうやら目的に合わないチームを抱えてしまっているようだ。特に、ルベン・アモリム監督のビジョンに合うチームではないことが問題だ。このポルトガル出身監督はチームのプレースタイルを革命的に変えようとし、前任のエリック・テン・ハーグと違って、自分の理想を妥協しようとしない。ところが、多くの選手が彼のアイデアを実行する能力のないことがますます明らかになっている。

テン・ハーグの解任とスポルティングCPからのアモリムの引き抜きのために多額の資金を投入したマンチェスター・Uは、監督のビジョンを実現するために監督が望む選手を揃える必要がある。そして、それは新しい選手の獲得だけでなく、チーム内の無駄を取り除くことも意味する。

1月の移籍市場が開くとき、マンチェスター・Uが取るべき6つの行動を紹介しよう。一刻も早くそれが行われますように。

  • Marcus Rashford Manchester United 2024-25Getty Images

    ラッシュフォードを放出せよ

    アモリム監督がマーカス・ラッシュフォードを試合日のメンバーから外すのは「普通の状況」だと繰り返し主張しても、クラブで最も高給な選手のひとりを先発させないどころかベンチにすら置きたくないというのは普通ではない。クラブはこの行き詰まりにできるだけ早く解決策を見つける必要がある。

    かつて愛された地元出身選手がこのような状況に陥るのは悲しいことだが、マンチェスター・Uでのラッシュフォードがもはや末期を迎えていることは万人が理解するところであり、関係修復を試みるのではなく、清潔な別れがすべての関係者にとって最善の解決策であろう。

    ラッシュフォードはインタビューで「新しい挑戦」を必要としていると認めており、その発言がアモリム監督を苛立たせたとしても、本人は多くの人が非公式に示唆していたことを公言しただけである。ラッシュフォードの巨額の報酬――週給32万5,000ポンド(約6,200万円)と言われている――と最近の態度は、彼を簡単には動かせない状況を示しているが、マンチェスター・Uは、アーセナルがピエール=エメリク・オーバメヤンやメスト・エジルに対して行った行動を考慮する必要がある。この2人は巨額の報酬を受け取り長期契約を結んでいたが、ミケル・アルテタ監督の基準を満たしていなかったためチームを去ることとなったが、2人の退団後にガナーズは着実に力を増している。

    アモリム監督が、クラブに必要な文化的なリセットを成し遂げたいならば、そして財政的な理由からも、ラッシュフォードの退団は不可欠だ。たとえこのストライカーが減額された値段で売られても、その放出は「純利益」として計上され、クラブがプレミアリーグの『収益性と持続可能性に関する規則』(PSR)を満たすのに役立つだろう。

  • 広告
  • Manchester City FC v Manchester United FC - Premier LeagueGetty Images Sport

    アマドと新契約を交わせ

    マンチェスター・Uに加入してから4年、当時18歳でほとんど知られておらず経験も少なかったアマド・ディアロは、間違いなくマンチェスター・Uで最も優秀な選手に変貌した。テン・ハーグが退任して以降、アマドは10得点に貢献しており、ギリシャのPAOKテッサロニキをたったひとりで下し、エヴァートンに大勝するのを助け、マンチェスター・ダービーでの終盤の逆転勝利を引き起こした。彼のプロ意識とプレスに対する姿勢――たとえば、トッテナムのGKフレイザー・フォースターにプレッシャーをかけて得点を挙げた様子など――も非常に印象的で、マンチェスター・Uが現在の困難な時期に食らいついていくのに必要な選手である。

    マンチェスター・Uの最優秀選手として台頭したアマドは、フリーでクラブを去るという危険な時を迎えつつある。この22歳との契約は6月に満了し、1月1日からはライバルクラブと自由に話すことができるのだ。だからこそ、マンチェスター・Uは現在の契約の1年延長条項を行使するだけでなく、彼の重要性を示すために、実のある長期契約を提案することが不可欠だ。

  • FC Bayern München v SL Benfica - UEFA Champions League 2024/25 League Phase MD4Getty Images Sport

    左ウイングバックを獲得せよ

    率直に言って、マンチェスター・Uにはパトリス・エヴラ以降、信頼できる左サイドバックがいない。ルーク・ショーはチームにフィットさえすれば優秀なDFであるばかりでなく攻撃もできる選手であるが、オールド・トラッフォードでの2年目の早い段階で足を骨折して以来、繰り返すケガの問題に悩まされ続けており、頼ることはできない。今シーズンはわずか98分しかプレーしておらず、現在は欧州選手権への出場を目指して体調を整えたことが原因と思われる筋肉の問題で離脱中だ。彼の代役、タイレル・マラシアは、2度の膝の手術後17か月間サッカーができなかった後、復帰してからも非常に苦労しており、4試合のうち3試合でハーフタイムに交代となっている。

    マンチェスター・Uには実質的に過去2シーズン、信頼できる左サイドバックがおらず、アモリム監督の就任以降、監督がウイングバックを採用したことによりこのポジションの弱点がさらに顕著になっている。ディオゴ・ダロトはそこでプレーしなければならなかったが、彼の最適なポジションは右サイドであり、ヌサイル・マズラウィは3バックのほうが快適にプレーできる。

    マンチェスター・Uは17歳のパラグアイ出身の左サイドバック、ディエゴ・レオンとの契約発表に近づいているが、夏に18歳になるまでチームに合流することはできず、長期的な計画の一環としての獲得であって、即戦力として活躍できる準備が整っているわけではない。

    だが、経験豊富で優れた選択肢は数多くある。アルフォンソ・デイビスはバイエルン・ミュンヘンとの契約満了が近づいており、フリーでの獲得が可能になるが、レアル・マドリーがスペインの首都に来るよう説得すべく、最善を尽くしている。ボーンマスのケルケズ・ミロシュは、過去1年間で、チームがオールド・トラフォードで2度も3-0の勝利をあげる中で優れた活躍を見せており、賢明な買い物となるだろう。

  • EDMOND TAPSOBA BAYER LEVERKUSENGetty Images

    組織的なディフェンスを導入せよ

    マンチェスター・Uは今夏、DFの獲得に6,000万ポンド(約120億円)を費やしたが、今シーズンの守備陣は、テン・ハーグ前監督の下でもアモリム現監督の下でも脆弱に見えた。ポルトガル出身監督が指揮を執って以降、10試合で19失点を喫し、トッテナム戦とボーンマス戦では合計7失点している。

    特に懸念されるのはセットプレーからの弱さである。マンチェスター・Uは2024年にセットプレーから18失点したが、これはプレミアリーグ史上、1年で最も多い失点数だった。ボーンマスがオールド・トラッフォードで3-0の勝利を収めた際の先制点も、マンチェスター・Uがセットプレーから失点した6試合で7回目のことだった。対戦相手はこの弱点を意図的に狙っており、アモリム監督はチームがフリーキックを許すたびにスタジアム全体が不安を感じていると述べている。

    解決策は経験と権威を持つセンターバックを獲得することだ。マンチェスター・Uが加入2シーズン目の36歳のジョニー・エヴァンズに頼らざるを得なかったという事実は、守備の補強が貧弱であることを示している。また、18か月前にウェストハムに売却しようとしたハリー・マグワイアが鍵となる選手として浮上してきたことも、そうだろう。マグワイアは3月に32歳になり、契約満了が近づいているため、新しい血が必要だ。

    マンチェスター・Uは守備の問題を解決するためにブンデスリーガに目を向けるべきである。レヴァークーゼンのエドモンド・タプソバは、シャビ・アロンソの下で3バックを務めてタイトルを獲得し、2023年にターゲットとなった選手で、優れた補強となるだろう。彼の守備のパートナーであるヨナタン・ターも同様に魅力的な存在だ。ボルシア・ドルトムントのニコ・シュロッターベックも、魅力的な候補である。国内に目を向ければ、ノッティンガム・フォレストがオールド・トラッフォードで3-2で勝利した際に得点したニコラ・ミレンコヴィッチは、マンチェスター・Uがよく知る堂々たる存在である。

  • Viktor GyokeresAFP

    適切なストライカーを獲得せよ

    アモリム監督が昨シーズン、スポルティングCPでタイトルを獲得し、今シーズンも凄まじいスタートを切れたのは、ヴィクトル・ギェケレシュの得点力のおかげであり、マンチェスター・Uに来てからのアモリム監督には、実際、スウェーデン風の適切なゴールスコアラーが欠けている。ラスムス・ホイルンドは今シーズン5得点を決めているが、そのうちの4得点はヨーロッパリーグでのもので、完成したストライカーというよりもむしろ発展途上のように見える。ジョシュア・ザークツィーは、スピード不足でボールを奪われがちな性質のため、ひとりで前線を務めるのには適していない。

    アモリム監督との関係と今シーズン23試合での27得点という驚異的な得点率を考慮すれば、ギェケレシュは理想的なターゲットとなるだろうう。一方、リールのジョナサン・デイビッド(今シーズンすでに17得点)とアイントラハト・フランクフルトのFWオマル・マルムシュ(18得点)も、獲得できればマンチェスター・Uの得点力不足を緩和するのに役立つエキサイティングな補強となるだろう。

  • AntonyGetty Images

    アントニーで損失を補え

    もしラッシュフォードとの別れがクラブ全体の標準を上げるために必要不可欠とされるなら、アントニーにも居場所はないだろう。このブラジル代表選手は率直に言って、クラブがこれまでに行った中で最悪の契約であり、アヤックスから彼を獲得するために8,600万ポンド(約170億億円)を支払ってからの2年半で、わずか12得点と5アシストしか挙げていない。

    テン・ハーグ前監督はアントニーに自己証明の機会を与えすぎたが、アモリム監督は彼を起用することに消極的で、選手交代に積極的な監督にもかかわらず、アントニーを60分以上プレーさせることはなく、2回しか先発させていない。マンチェスター・Uは、笑い者となった選手と別れるために大きな損失を受け入れざるを得ない面もあるが、アントニーに実際にプレーさせるよりも、彼を手放して得られるカネはどんな額であれ価値がある。