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チャンピオンズリーグ決勝で鍵を握る6つのマッチアップ:PSGとインテル、互いのキーマンは誰に?

いよいよこの日がやってきた。

188試合、613ゴール、33枚のレッドカード、悲喜こもごもだったリーグフェーズ、大会史上初のプレーオフと決勝トーナメントを経て、ついに今季のチャンピオンズリーグ決勝戦が行われる。すでにパリ・サンジェルマン(PSG)、インテルの両チームは決勝の舞台であるミュンヘン入り。欧州サッカー最高の舞台へ向けて準備を進めている。

ここまで両チームの歩みは決して簡単ではなかったが、見せてきた戦いはこの舞台に値するものであり、2024-25シーズンのヨーロッパ最高の2チームが勝ち上がったことは間違いない。

では、このファイナルを左右するマッチアップはどこで行われるのだろうか?今回は各ポジションで鍵を握るであろう6つのデュエルに注目する。

文=トム・マストン

  • donnarummaGetty Images

    ジャンルイジ・ドンナルンマ vs ヤン・ゾマー

    チャンピオンズリーグ決勝は、GKにとって不思議な舞台だ。ロリス・カリウスのように涙をのむこともあれば、2022年のティボー・クルトワのように神がかり的なプレーを披露することもある。そして今回の両チームの守護神は、大会最高のGK2人と言っていいはずだ。

    PSG守護神は、特に決勝トーナメントに入ってからは今大会のMVP級のパフォーマンスを続けてきた。ラウンド16ではリヴァプール相手のPK戦でヒーローとなり、準々決勝のアストン・ヴィラ戦でも驚異的なセーブを連発。そして準決勝アーセナル戦も、次々に相手の決定機を止めてみせた。特にブカヨ・サカのワールドクラスのシュートをワールドクラスのセーブで防いだシーンは、世界中のファンが衝撃を受けたはずだ。まさに「守護神」である。

    一方のゾマーも、リーグフェーズ8試合で7回のクリーンシートを達成すると(わずか1失点)、バルセロナとの準決勝セカンドレグは異次元のパフォーマンスを披露。ラミン・ヤマルのシュートを止めた場面は大会ベストセーブと言っていい。インテルを決勝に導いた立役者だ。

    決勝戦ではこの2人が両チームに立ちはだかることになる。ネットを揺らすためには相当な努力が必要になるだろう。ファイナルがロースコアになったとしても、驚きはないはずだ。

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  • FC Internazionale v SS Lazio - Serie AGetty Images Sport

    ヌーノ・メンデス vs デンゼル・ドュンフリース

    インテルは、今大会の立役者の1人であるドュンフリースに大きな期待を寄せているはずだ。バルセロナとのファーストレグは2ゴールを奪い、準決勝2試合で3アシストを記録。あのフランチェスコ・アチェルビの劇的同点弾をお膳立てしたのも彼だ。今季は公式戦11ゴールを奪っており、これはキャリアハイ。3-5-2システムにおいて、フィニッシュフェーズにおける重要な役割を担っている。

    だが、決勝でマッチアップする相手は世界最高レベルの左サイドバックだ。ヌーノ・メンデスは今大会、モハメド・サラー、ブカヨ・サカというトップクラスのウインガーを封じ込めてきた。さらにアストン・ヴィラ戦では2ゴールも奪っており、攻守両面で隙がない。そんな両者のマッチアップは、試合に大きな影響を与えるだろう。

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    アクラフ・ハキミ vs フェデリコ・ディマルコ

    一方逆サイドでは、PSGに疑いようのない世界最高のサイドバックがいる。ハキミは今季全体会を通じて8ゴール14アシスト、アーセナルとの準決勝でも決勝点を奪った。激しい上下動を可能にするフィジカル、抜群のスピードに突破力、そしてタイミングの良い攻撃参加とフィニッシュの精度は、簡単に止められるものではない。

    そんなハキミとマッチアップするのは、ディマルコになりそうだ。準決勝でラミン・ヤマルに苦しめられたシーンが話題になったが、あの17歳を1人で止めるのはどんな選手も不可能。ここまでシモーネ・インザーギの下で積み上げてきた信頼は揺るがないし、決勝でも自信を持って挑みさえすれば、簡単にやられることはないはずである。しかしハキミとデシレ・ドゥエの右サイドは強力であり、いかにアレッサンドロ・バストーニがサポートできるかが重要になりそうだ。

  • FBL-EUR-C1-INTER MILAN-BARCELONAAFP

    ジョアン・ネヴィス vs ニコロ・バレッラ

    ハカン・チャルハノールとヘンリク・ムヒタリアンも重要な選手だが、インテルの中盤において絶対に欠かせないのがバレッラだ。正確なパスでチームのテンポを上げるだけでなく、圧倒的な運動量で攻守両面で何度も顔を出し、フィニッシュの精度フェーズまで絡んでいく。彼がいなければ、今のインテルの形はありえない。

    だが、そんな彼でもPSG戦は大苦戦を強いられそうだ。おそらくジョアン・ネヴィスはバレッラをピッタリとマークし、鋭いタックルで何度も潰しに来るはず。強烈な闘争心と技術で“掃除屋”として世界トップレベルのパフォーマンスを発揮する20歳に対し、バレッラが封じ込められてしまえば、インテルは機能不全に陥ってもおかしくはない。一方でマンマーク気味に来る中でバレッラがネヴィスをかわせば、そのまま決定機につながっていくだろう。このマッチアップは最後まで注目だ。

  • Lautaro Martinez InterGetty Images

    マルキーニョス vs ラウタロ・マルティネス

    各ポジションに堅実で確かな仕事をこなす選手を擁するインテルだが、ゴールを奪うという部分でラウタロ・マルティネス以上の存在はいない。過去2シーズンのパフォーマンスは驚異的で、またアルゼンチン代表として参加したコパ・アメリカ決勝でゴールを奪ったように、大舞台でも勝負強さを発揮する。今大会は13試合で9ゴール2アシスト、バルセロナとのセカンドレグも1ゴール1アシストを残しており、心身ともに最高の状態でファイナルへやってくるはずだ。

    そんなインテル主将と対峙するのは、PSG主将になる。長きに渡ってチームを支えてきたブラジル代表DFは、今季も健在。鋭い出足で相手のカウンターフェーズを防ぐほか、最終ラインのコントロールから味方との連携まで、気の利いたプレーで縁の下の力持ち的な役割を担っている。PSGにとって精神的な支柱でもあり、仮にPSGがビッグイヤーを掲げるとしたら、彼以上に適任はいない。

    今回のファイナルでは、アルゼンチン代表ストライカーとブラジル代表のセンターバック、プライドをかけたマッチアップに注目だ。

  • FBL-EUR-C1-ARSENAL-PSGAFP

    フヴィチャ・クヴァラツヘリア vs ベンジャミン・パヴァール

    この決勝戦で、両チームともに悩めるポジションが1つだけある。PSGに関しては、ウスマン・デンベレ、クヴァラツヘリアと共に3トップで先発するのがドゥエなのか、ブラッドリー・バルコラなのか。だが両選手とも違った持ち味を持ち、さらに絶好調のため、どちらが出ても活躍は期待できるはずだ。

    だがインテルに関しては、アチェルビとバストーニと共に3バックで先発する選手は非常に重要になる。ベンジャミン・パヴァールは4月下旬から足首のケガで離脱しており、バルセロナとの準決勝も欠場。代わりに出場したビセックも健闘していたが、3バックの中では標的とされるシーンが散見された。

    そして今回の決勝戦では、復帰を果たしたパヴァールが先発に名を連ねると複数の現地メディアが予想している。その通りになれば、マッチアップするのはクヴァラツヘリアだ。抜群のキレと変幻自在かつ推進力あふれるドリブルは、ケガ明けの選手にとっては非常に難しい対応が迫られる。彼がどこまでやれるかは、インテルの生命線となりそうだ。