Queen Elizabeth 1959 FA Cup finalGetty Images

エリザベス女王とフットボールの美しき瞬間。アーセナル、ウェストハム、そして女子代表チームへの愛

エリザベス2世が96歳でこの世を去った。70年にわたる在位期間のなかで、サッカーを含む英国文化のあらゆる分野に関わり、その生涯を終えた。

女王は、英国サッカー史上におけるいくつかの大きな瞬間に立ち会っている。

1966年、サー・ボビー・ムーアへのイングランド唯一のワールドカップ贈呈、数世代にわたるサッカー界で最も影響力のある人々への顕彰、そして、FAカップ決勝戦への臨席。

また、女王は生前プレミアリーグの1チーム、あるいは2チームに好意的だったという噂もある。以下、エリザベス女王と美しいフットボールの瞬間について振り返っていく。

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    1966年ワールドカップのトロフィーを贈呈

    戴冠式から13年後の1966年、エリザベス女王はジュール・リメ杯をワールドカップの優勝チームであるイングランド代表に贈呈する喜びを味わった。

    2020年、欧州選手権の決勝戦を前に、その時のことを振り返りこう記している。

    「55年前、私は幸運にもボビー・ムーア氏にワールドカップを贈呈しました。大規模な国際サッカー大会の決勝戦に進出し優勝することが、選手、マネジメント、サポートスタッフにとってどのような意味を持つかを目の当たりにしたのです」

    「欧州選手権の決勝に進出した皆さんに、私と私の家族から祝福の言葉を送りたいと思います。あなた方の成功だけでなく、あなた方が積み重ねてきた精神、献身、誇りが歴史に記録されることを願いながら、明日の幸運を祈っています」

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  • Queen Elizabeth IIGetty Images

    ウェストハムのサポーター?

    他のロイヤルとは異なり、エリザベス女王は自身が応援するサッカーチームを公にすることはなかった。しかし、それでもエリザベスがウェストハムのファンであるという噂は絶えなかった。

    2009年に『The Mirror』が報じているように、女王は、家族の一人がミルウォールのサポーターであることを告げたとき、ハマーズへの密かな愛を明かしたとされている。また、以前には、女王はアーセナルのファンであるという説もあった。

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    サッカー選手への顕彰

    エリザベス女王の重要な 文化的役割の一つとして、「新年の叙勲」と「女王誕生日の叙勲」がある。この席において、さまざまなサッカー選手がその貢献を称えられた。

    スタンレー・マシューズ卿は、爵位を授与された最初の選手であり、以降、アルフ・ラムジー、アレックス・ファーガソン、ボビー・ロブソンといったサッカー界の大物が続々と爵位を授与された。ロイ・ホジソン、デビッド・ベッカム、そして最近ではガレス・ベイルなど、多くのサッカー選手が大英帝国勲章CBE(コマンダー)、OBE(オフィサー)、MBE(メンバー)を授与されている。

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    エミレーツスタジアム完成後のアーセナルとの対面

    女王は、2007年にアーセナルの新ホームであるエミレーツ・スタジアムの完成式に出席する予定だったが、背中を痛めていたため出席できなかった。

    その責任を果たすために、女王はアーセナルのトップチームの選手たちをバッキンガム宮殿に招待した。アーセン・ヴェンゲル監督率いるチームは、大広間を見学した後、アフタヌーンティーに立ち寄った。

    このイベントの後、ティエリ・アンリ氏は「本当に素晴らしかった。女王が与えてくれた経験を表現する言葉がない」と語っている。

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    FAカップの贈呈

    在位初期のFAカップ決勝戦には、女王の姿がよく見受けられた。1966年のように、ウェンブリーで勝利したキャプテンにトロフィーを授与するという重要な任務を担っていたのである。また、決勝戦で惜しくも敗れたチームに、ねぎらいの言葉をかけることもあった。

    エリザベス女王の在位後期は、大会で姿を見かけることは少なくなったが、多くのサッカー選手が、エリザベス女王との出会いは自分のキャリアのハイライトの一つであったと振り返っている。

  • England Euro 2022 trophyGetty Images

    ライオネスの活躍に祝杯

    ライオネス(イングランド女子代表)がUEFA女子ユーロ2022を制し、イングランドサッカー界の約60年にわたる苦難の歴史に終止符を打つと、エリザベス女王はチームへ賞賛の言葉を発表した。

    彼女はこう記している。

    「 私と私の家族は、欧州女子サッカー選手権で優勝した皆さんを心から祝福します」

    「サポートスタッフを含むチーム全体にとって大きな成果です。この優勝とあなた方の活躍は、当然ながら賞賛に値するものです」

    「皆さんの成功は、当然のように獲得したトロフィーをはるかに超えるものです。あなた方は、現代の少女や女性、そして未来の世代にインスピレーションを与える手本となりました」

    「今日の結果と同じように、皆さんが自分のスポーツに与えた影響を誇りに思ってくれることを私は願っています」