Qatar 2022 2022

カタール・ワールドカップ(W杯)の驚く技術とは?革新的な公式球、解体可能なスタジアム、最新テクノロジーまで

初物づくめのワールドカップ――。

11月21日に開幕を迎える2022年ワールドカップを表現するにふさわしい言葉になる可能性がある。

カタール・ワールドカップは中東諸国が初めてホストを務め、初めてヨーロッパリーグの開催期間中に行われる大会になる。さらに、全8会場が1時間以内の距離に位置する他に類を見ないコンパクトなワールドカップになるという事実は言うまでもない。

しかし、カタールでのワールドカップは技術革新ということに関してそれ以上のものになることが予想される。2022年ワールドカップでの複数の革新的な変化により、ファンも革新的な変化を体感できるだろう。ファンや選手、世界中すべての人を「ワオ!」と唸らせる技術革新を紹介する。

  • Advanced Cooling Tech nozzlesSC

    アドバンスド・クーリング・テック

    全8スタジアムのうち、7会場でスタジアム内の気温を下げた状態を維持する革新的なテクノロジー、“アドバンスド・クーリング・テック”が導入される。

    スタジアム内の気温は選手とファンにとっての最適な温度に設定される。アドバンスド・クーリング・テックが導入されていない唯一のスタジアム、Stadium 974は海岸沿いに位置し、クーリングの必要性がないことから、自然の換気に委ねられることになる。

    スタジアムの近くにはエネルギー供給所があり、そこから冷水がパイプラインを伝って会場に運び込まれる。この冷水がスタジアムに到着すれば、冷風がフィールドの選手とスタンドの観客に届けられる仕組みになっている。

    ワールドカップで選手とファンにこのようなテクノロジーを体感する機会を与えるのは今大会が初の試みとなる。

  • 広告
  • Stadium 974 was built using shipping containers for Qatar 2022SC

    解体可能なスタジアム

    2022年ワールドカップの会場の1つであるStadium 974は、ワールドカップ終了後には存在していないかもしれない。

    Stadium 974は完全に解体できるスタジアム。このスタジアムは輸送用コンテナとスチームのフレームで組み立てられた。スタジアムのデザインは目を引く華やかさがあると同時に、伝統的なスタジアムと比較して少ない材料で建築されることから費用対効果でも優れている。

    もちろん、これはワールドカップ史において初の解体可能なスタジアムだ。

    Stadium 974では、ラウンド16を含む7試合が開催される予定だ。

  • adidas Al Rihlaadidas

    革新的なワールドカップ公式球

    2022年ワールドカップの公式球、アル・リーラは革新的なボールだ。

    この試合球はVARオフィシャルにリアルタイムのデータを中継するコネクテッド・ボール・テクノロジーを有する。

    このテクノロジーは、FIFAが導入することを発表したセミ=オートメイテッド・オフサイド・テクノロジーに関連したものだ。このボールの中央には、モーションセンサーを備えたアディダスのサスペンション・システムが搭載される。

    もちろん、ワールドカップ公式球にこのようなテクノロジーが搭載されるのは今回が初めてとなる。

    ▶カタールW杯公式球をアディダス公式オンラインショップで購入

  • Ratio 2:1 | VAR Premier League Getty

    セミ=オートメイテッド・オフサイド・テクノロジー

    2022年ワールドカップでは、ピッチ上にも最新テクノロジーが導入される。FIFAがすでに発表したように、セミ=オートメイテッド・オフサイド・テクノロジーがカタールでのワールドカップで使用される。

    これは正確かつ迅速に、再現性のあるオフサイド判定ができるようにレフェリーを支援するツールだ。

    さらに、試合球アル・リーラの内部に備えられるセンサーに加え、スタジアムには12個ものトラッキングカメラが設置される。

    オフサイドポジションの選手にボールが渡ったすべてのタイミングで自動アラートがVARオフィシャルに届けられる。これにより、オフサイドかどうかをジャッジするために時間を掛けてVARレビューを行う必要がなくなる。

  • Bonocle: 視覚障害者へアクセスしやすい大会に

    視覚障害のあるフットボールファンも2022年ワールドカップを楽しむことが可能だ。“Bonocle”と呼ばれる革新的な製品はデジタルコンテンツを点字に変換し、これにより視覚障害のファンがワールドカップコンテンツにアクセスでき、大会を楽しむことができる。

    カタールのデリバリー&レガシー最高委員会(SC)が主催する大会“Challenge 22”は中東の技術革新を牽引してきた。Bonocleは“Challenge22”が生み出した製品の1つだ。

    Bonocleについて、創設者は「Bonocleは、今まで不可能とされてきた新たな方法で世界中の視覚障害者のコミュニティがワールドカップを体験できるようにする。ほとんど制限なくドーハを移動するのを助け、ナビゲーションやインターアクションといった面でもさらなる自由をもたらすことができる」と語った。