2023-24シーズン、PSG全選手パワーランキング：押しも押されもせぬスターとなったエンバペがさらに活躍

おそらくこの夏PSGに加入した選手の中で最も無名な選手である10代のンドゥールは、今シーズンまだそれほどプレーしておらず、レンタル移籍に出されなかった理由は謎のままだ。チームに大勢のケガ人が出るか、クープ・ド・フランスの組み合わせに恵まれれば、もっとチャンスをもらえるかもしれない。

ムキエレは9月24日のマルセイユ戦で今シーズン初めて試合に出たが、プレーしたのは10分足らずであった。わずかな出場ではあったが、好調を維持できれば、今年は右サイドバックの信頼できるオプションになれると思われる。

エンバペがPSGに残留することになった最大の犠牲者であろうエキティケは、第1節に出場した以外、試合に出ていない。PSGは前線の選手層が厚いため、エキティケの状況が変わるとは思えない。

ルイス・エンリケ監督は、ソレールを頻繁に途中出場させているが、これは、PSGの中盤の真ん中の選手層が薄いためである。短時間のプレーが続き、大した印象を残せないでいるため、他のチームメイトが調子を上げてくれば出場時間はさらに短くなるかもしれない。

今年のダニーロは、マヌエル・ウガルテとミラン・シュクリニアルが加入したため、先発の座を奪われてしまったが、これまで見せてきたように、守備的ミッドフィルダーとしてもセンターバックとしても、信頼できるバックアップ要員であり続けられるだろう。有能な控え選手だが、それ以上ではない。

移籍市場の終わり間際にPSGがリヨンからバルコラを獲得した理由はよくわからない。PSGにはサイドに多くの人材がおり、これ以上の攻撃的選手は必要なかったはずだ。それでもバルコラは将来が楽しみになるようなプレーをいくつも見せている。この調子で行けば、ウスマン・デンベレの先発の座を脅かすようになるかもしれない。

スペイン出身の監督なら、PSGで出場機会に恵まれていないスペイン代表ミッドフィルダーの実力を最大限引き出せるだろうと思われていたが、これまでのところ代わり映えしていない。ファビアンは派手ではないが信頼できる選手で、予想外のケガやスランプがなければ、ヴィティーニャやウォーレン・ザイール＝エメリに次ぐ地位を確立するだろう。

イ・ガンインは将来が楽しみなプレーをいくつか見せた後、韓国代表としてアジア競技大会に向かった。この夏のPSGの激しい移籍騒動の中でも世間を驚かせた選手のひとりだが、この攻撃的ミッドフィルダーはエネルギッシュでボール扱いがうまく、活躍している。ただし、昨年彼をマジョルカのスターにした創造性はまだ発揮されていない。チャンスがあれば、その瞬間は訪れるだろう。

ややリスキーな契約をしたリュカは、困惑のスタートを切った。才能があることは間違いないが、バイエルン・ミュンヘンからやってきた意味をあまり感じさせていない。どこがベストポジションかがはっきりしない、ケガがちなディフェンダーに過ぎない。つまり、短時間なら良いプレーをするのだが、左サイドバックで起用されるのはまったくうまく行かないようだ。PSGはヌーノ・メンデスの復帰を待ち望んでいる。

この夏、PSGが大枚をはたいて獲得した選手のひとりであるデンベレは、フランスの首都で複雑なスタートを切った。エンバペや、一見したところはマルコ・アセンシオと理解しあっているのは確かである。しかしながら、デンベレはアタッキングサードで少々安定性に欠けており、特にニース戦を落としたのは、デンベレが重要なエリアで冷静さを失ってしまったからである。

PSGの前線で長くプレーすることは難しいだろう。これまでのところラモスは毎週、充分に価値のあるプレーを見せられていない。このポルトガル代表のフォワードは最初の5試合では1点もとれず、ワールドカップで活躍したときの攻撃力を見せられなかった。だが、マルセイユ戦で2得点しており、パリで活躍できるかもしれない小さな証明となるかもしれない。

ルイス・エンリケ監督はドンナルンマを、もっとボールを扱えるゴールキーパーにしようとしているが、その結果は複雑だ。イタリア代表GKは、必ずしもペナルティーエリアを出てのプレーを好んでいるようには見えない。危なっかしい時もあるのだ。しかしながら、相変わらず毎試合いくつかの奇跡的なセーブを見せており、まだ世界最高のゴールキーパーのひとりであることを皆に思い出させている。

今のところコロ・ムアニが先発したのは2試合だけだが、その素晴らしい才能は発揮された。得点を挙げ、アシストも2本決め、ポゼッションができない時の数多くの仕事を進んでやる姿を見せた。PSGには攻撃的な選手が大勢おり、アセンシオやラモスと競争していくことになるだろう。先発で使われれば大いに役に立つことを早々と示している。

ヴィティーニャはPSGに来て最初の年には大いに失望したが、そこから大きく成長している。このミッドフィルダーはボールを持っているときに至極冷静で、2022-23シーズンよりずっとインパクトの強い前線への持ち上がりを見せている。監督が代わって、驚くほど自信を持てるようになったようだ。今後の課題は、この調子をシーズン中ずっとキープできるかである。

この夏、PSGは確かにバックラインの補強が必要だった。そこで当然の解決策として、フリーエージェントとなった、最も優秀で手に入れることのできるセンターバックを獲得したのである。その投資はこれまでのところ成功している。2022-23シーズンをケガで棒に振ったためシュクリニアルは相変わらず少々動きの鈍いところがあるが、昨年のPSGが採用していたディフェンダーのローテーションをアップグレードさせることに役立っているのは確かだ。

ここ2年ほどウイングバックとしてプレーしてきたハキミは、純粋なサイドバックとしての役割にシフトしてきた。それがいくらか複雑な結果をもたらしていることは間違いない。特にブレークの時はとんでもない攻撃的能力を発揮するが、守備のセンスには欠けており、ハキミとマルキーニョスの間の隙間を埋めることはまったく簡単ではない。

マルキーニョスは、PSGの嵐のような2022-23シーズンにおいて、コンスタントに活躍してくれた数人の選手のひとりである。今も絶頂期に近いプレーを見せ、バックラインを統率したり、さまざまなポジションを起用にこなしたりしている。パフォーマンス全体を見れば、ひとつやふたつのミスもあるが、重要なリーダーであり一流のディフェンダーである。

ウガルテがPSGに慣れるには時間が必要かもしれない。結局のところ、ウガルテは、相手からボールを奪うことを期待される攻撃的ミッドフィルダーで、ポゼッションをベースにするチームでプレーすることを求められてきたのだから。だが、そうした懸念は素晴らしいプレーの連続により解消され、ルイス・エンリケ監督のチームに問題なく適応しつつある。

これが初めてではないが、ルイス・エンリケ監督は、頑としてアセンシオをセンターフォワードとして起用してきた。スペイン代表では数々の失敗をしたが、今回はうまく行っている。アセンシオはPSGの重要な歯車として機能しており、ケガから復帰してからもそれを続けていこうとしているようだ。

ザイール＝エメリは昨年トップチームでのチャンスをつかんだが、結果は複雑だった。しばらくは活躍していたが、クリストフ・ガルティエ前監督は常にザイール＝エメリをウイングで起用していた。現在はもっと中央よりの、もともと得意だったポジションでプレーして成長している。黙々と行動する中盤のオプションとして、17歳のザイール＝エメリがPSGを躍動させている。

PSGはこのスター選手に、これ以上何を要求できるだろう。エンバペは全公式戦6試合で8得点を挙げており、ドリブルで突破し緊迫したエリアに入りこめば、これ以上危険な選手はいない。今後数週間、数カ月は多くの雑音が生まれるだろう――特に、将来加入するだろうレアル・マドリーの攻撃陣が苦労しているらしいとなれば。マルセイユ戦で負ったケガのせいで成長がスローになるかもしれない。しかし、体調が戻れば、このシーズンをPSGにとって特別なシーズンにするカギとなるだろう。