2021-22シーズンのプレミアリーグは、全日程が終了。数々のドラマが生まれた今シーズンは、マンチェスター・シティの連覇という形で幕を閉じた。今回『GOAL』では、プレミアリーグ・2021-22シーズンのベストイレブンを選定した。
GOAL『GOAL』選出:プレミアリーグ今季ベストイレブン発表!デ・ブライネにソン・フンミン、大ブレイクのMFまで
Getty ImagesGK:アーロン・ラムズデール(アーセナル)
シーズン途中に名将アントニオ・コンテを迎えたトッテナムに2ポイント差及ばず、チャンピオンズリーグ出場権を逃したアーセナル。しかし、2年連続8位からの躍進を無視してはいけないだろう。
その躍進を支えた1人が、2400万ポンドという移籍金で加入したラムズデールだ。獲得当初は「無駄使い」と指摘されることもあったが、すぐさま完璧にフィット。シーズン通して鮮やかなセービングを見せただけでなく、彼のインテリジェンスあふれる配球はミケル・アルテタの戦術の基礎を担った。さらにリーダーシップを発揮し、ディフェンス陣への指示などを積極的に行い、アーセナルを支えている。
Getty Images右サイドバック:トレント・アレクサンダー=アーノルド(リヴァプール)
23歳という若さでプレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、クラブ・ワールドカップ、リーグ・カップ、FAカップとあらゆるトロフィーを獲得したアレクサンダー=アーノルド。今季も素晴らしいシーズンを送ったが、それが「当たり前」と評価してはならない。
プレミアリーグでは同僚モハメド・サラーに続くアシスト数(12)を記録し、オープンプレーでのクロスは最多(127)、またオープンプレーでのパス本数もリーグ7位だ。サイドバックというポジションで、である。右サイドで遺憾なくクリエイティブな存在感を発揮し、ユルゲン・クロップ監督も一貫して絶大な信頼を置いている。
Getty Imagesセンターバック:フィルジル・ファン・ダイク(リヴァプール)
リヴァプールのタリスマンは、今季やや調子を落とす時期もあったものの、依然としてプレミアリーグトップレベルのディフェンダーで有り続ける。昨季は大ケガで大半を欠場したにも関わらず、今季もピッチ上のリーダーとしてチームを牽引した。
どんな試合でも決して焦らず冷静で、そのスピードとフィジカル、圧倒的なデュエルの強さと最終ラインの統率力は、リヴァプールが常に試合をコントロールするために不可欠なものだ。

センターバック:ルベン・ディアス(マンチェスター・シティ)
昨季のプレミアリーグ最優秀選手は、ジョゼップ・グアルディオラのハイラインをリードし続け、その素晴らしいパフォーマンスを静かに継続し、再びタイトル獲得に貢献した。その強靭なメンタリティは際立っており、今季は4バックの人選を頻繁に変更せざるを得なかった中で、特に重要な存在となっている。
アイメリク・ラポルテやジョン・ストーンズがやや消極的なのに対して、チーム最多の1試合平均2.2回のクリアを記録したディアスは、決定的な局面でも惑わされずに自身の仕事を完遂できる。
Getty Images左サイドバック:ジョアン・カンセロ(マンチェスター・シティ)
アレクサンダー=アーノルドと同じく、彼はサイドバックの役割を再定義させる印象的な活躍を見せた。
ピッチ中央にポジションを取ったかと思えば、左サイドのスペースに飛び出してチャンスを作り、サイドバックとして守備を行ったかと思えば、猛然と左サイドをかけ上げる。このポルトガル代表DFは、1つの試合で4つのポジションを同時にこなしているようだ。リーグ戦7アシストはキャリアハイの数字であり、1試合平均のタックル数(2.3)やインターセプト数(1.6)もクラブ最多。「左サイドバックとは何か」という我々の認識を一変させた存在である。
Getty ImagesセントラルMF:ロドリ(マンチェスター・シティ)
彼がピッチ上で行っていることの多くは目に見えず、スタッツにも現れず、ハイライトになるようなこともない。だが、彼が今季プレミアリーグで最も価値がある選手であることは疑いようもない。
特にサウサンプトン(2分け)とクリスタル・パレス(1分け1敗)相手に勝利できなかったのは、常にロドリを徹底マークしていたからだ。彼はペップの“メトロノーム”であり、タイトなプレッシャーの中でも完璧なテクニックで最終ラインから前線までを的確に繋いでいる。パス本数はリーグ3番目(2796本)で、成功率も91.8%だ。1試合平均のパス本数でトップ20に入るMFは、彼(87.4)とチアゴ・アルカンタラしかいない(87.0)。ボールのないところでもピンチの芽を摘み取り、タックルやインターセプトとしてカウントされないほど巧みにマイボールをもたらす。彼がいなければ、今のシステムはありえない。
Getty ImagesセントラルMF:デクラン・ライス(ウェストハム)
どのクラブも「自分たちのロドリ」を探しているが、トップ6で持っているのはファビーニョ擁するリヴァプールだけ。だがしかし、7位で終えたウェストハムにはそれに匹敵する選手がいる。だからこそ、ビッグクラブたちはライスが欲しくてたまらないのだろう。ディフェンス力はリーグ屈指であるだけでなく、配球に加えて自らボールを運ぶ能力も別次元だ。
ライスはプレミアリーグMFの中で「プログレッシブ・ディスタンス(ボールを前方へ運んだ距離)」がトップ。ファイナルサードへ運んだ回数も、ベルナルド・シウバに次いで3位、ケヴィン・デ・ブライネよりも上だ。守備的スタッツも上位クラスだが、いわゆる「アンカー」ではなく、「プレス回避能力を持つ攻撃的なドリブラー」で「パワフルなNo.6」、「インテリジェンスあふれるゲームメイカー」だ。完璧なMFであることは間違いない。
Getty ImagesセントラルMF:ケヴィン・デ・ブライネ(マンチェスター・シティ)
アストン・ヴィラとの最終節、相手選手を2人抜き去ってイルカイ・ギュンドアンへ完璧なクロスを供給したシーンしてタイトルをもたらしたシーンは、彼の今シーズンを要約している。プレミアリーグ最優秀選手賞を恨む人は誰も居ないだろう。
ゴール数とアシスト数の合計はサラーやハリー・ケインに及ばないが、15ゴールはキャリアハイ。タイトルのかかった終盤戦にピークを持っていき、絶好のタイミングで最高のパフォーマンスを発揮した。昨季のポジションは右寄りだったが、今季はより中央へ位置し、その結果よりゴールへと直接からむシーンが増加している。
(C)Getty Images右ウイング:モハメド・サラー(リヴァプール)
アフリカ・ネイションズカップ参加のため、彼にとっては最も多忙なシーズンとなった。それでも、2017-18シーズンには及ばないものの、30試合で23ゴール13アシストというのは、率直に言って規格外だ。
現リヴァプールで最も恐ろしいアタッカーであり、右サイドでの脅威はディフェンス全体を引き付け、他選手のためのスペースも作り出す。ルイス・ディアスは半シーズンでブレイクを果たしたが、流石にサラーの代わりは務まらない。そのため、いち早くリヴァプールは契約を延長したいと思っているだろう。
Getty Imagesセンターフォワード:ハリー・ケイン(トッテナム)
アントニオ・コンテがさらに高みへと導き、彼とソン・フンミンはプレミアリーグ史上最も危険なアタッカーコンビへと成長。彼らと指揮官の存在により、トッテナムが来季に特別なことを成し遂げる可能性は十分だ。
そして、まだまだ成長するのは間違いない。No.10とNo.9を同時にこなすことは近年のプレミアリーグで最も革新的な個人戦術の1つであり、さらに今季は中盤から高精度のロングパスを供給する姿も印象的であった。前半戦の低迷がなければ、彼はプレミアリーグ歴代2位のウェイン・ルーニーの記録により迫っていたはずだ。近年は酷使が続いたが、この夏に長い休暇を取れることは大きな助けとなりそうだ。
Getty Images左ウイング:ソン・フンミン
35試合で23ゴール。サラーと並んでアジア人史上初めてプレミアリーグのゴールデンシューを獲得。厳しいシーズンスタートを見れば、この記録は驚くべきものだ。
ケインに代わって事実上のNo.9を担い、相手ディフェンスを間延びさせてコンテのダイレクトなスタイルをチームに定着させた張本人。チャンスクリエイト数もリーグ6番目で、7アシストも好成績だ。仮にこれまでにそう思っていない人がいたならば改めて伝えるべきだが、ソン・フンミンは「ワールドクラス」のアタッカーである。これは疑いようもない事実だ。
GOAL『GOAL』選出:2021-22シーズンのプレミアリーグ・ベストイレブン
GK:ラムズデール
DF:アレクサンダー=アーノルド、ファン・ダイク、ディアス、カンセロ
MF:ライス、デ・ブライネ、ロドリ
FW:サラー、ケイン、ソン・フンミン