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ハヴァーツ、ライス、ティンバーに大型投資!アーセナルに言い訳は許されない

アーセナルは2022-23シーズンのサプライズだった。前年のミケル・アルテタは5位フィニッシュにとどまり、誰も彼らがプレミアリーグのタイトルに挑戦するとは予想していなかった。

昨季、過去最高のスタートを切ったガナーズは、マンチェスター・シティを追い落とす絶好のポジションにつけたものの、肝心なときにつまずいた。4月1日、エミレーツ・スタジアムでリーズを4-1で下し、王者より1試合多くプレーしていたとはいえ、2位に8ポイント差をつけていた。しかし、その後3試合連続ドローに終わり、アウェーでシティに打ちのめされ、夢は消えた。アーセナルは248日間首位に君臨したが、これはトロフィーを手にできなかったチームとしてプレミアリーグ史上最多記録である。

アルテタは6月、スペインの『マルカ』紙のインタビューで、「シティと10か月間戦った後、プレミアリーグで優勝できなかったことは、今でも深く傷ついている。でも、それがスポーツなんだ。とはいえ、これだけ若いチームで成し遂げたことは価値がある。それは私にとっても明らかだ」と明かした。

スペイン人ヘッドコーチがポジティブな要素に集中しようとするのは正しい。アーセナルは短期間で大きく成長し、未来は明るい。しかし、これだけ華々しい夏を過ごしている今、来シーズンもトロフィーのないシーズンを送ることは許されないだろう。

  • Kai Havertz(C)GettyImages

    聖なる三位一体

    アーセナルは、ドイツ代表FWカイ・ハヴァーツの加入を皮切りに、チームの強化に素早く動いた。チェルシーはこの24歳のFWを6500万ポンドでロンドンのライバルに売却し、3年前に彼の才能に投資した7200万ポンドに対してわずかな損失で済んだ。

    実際のところ、ハヴァーツはスタンフォード・ブリッジに在籍していた間、お世辞にも上手くいっていたとは言えず、チェルシーがこのような高額の移籍金を獲得できたのは、非常に良いことだった。2021年のチャンピオンズリーグと2022年のクラブ・ワールドカップの決勝では、記憶に残る決勝ゴールを決めたが、コンスタントに活躍することはなかったのだから。

    しかし、アルテタはダイヤモンドを獲得したと確信し、「カイはトップクオリティーの選手だ。彼は素晴らしい万能性を持っているし、インテリジェントな選手だ。彼は中盤に大きな強さをもたらし、プレーにバラエティを与えてくれるだろう」と期待を寄せる。

    ハヴァーツは、退団するグラニト・ジャカの後釜として、アーセナルの中盤3枚の左サイドに入ることになるだろう。そして、彼の隣でデクラン・ライスがプレーすることはほぼ確実だ。このウェストハムのスターはイギリス記録となる1億500万ポンドでエミレーツへの移籍を決めようとしており、退団が伝えられるトーマス・パーティーに代わってアルテタのラインアップの中心にそのまま入るだろう。

    確かに、まだクラブでは最高レベルでプレーしたことのない守備的MFにこれほどの大金を払うのはリスクがある。ライスがアルテタの陣容を一変させるかどうかはまだわからないが、少なくともイングランド代表のチームメイトであるブカヨ・サカ、アーロン・ラムズデール、ベン・ホワイト、エミール・スミス=ロウの存在を考えれば、彼にとってノース・ロンドンへの移籍は容易なはずだ。

    アーセナルはその後、アヤックスDFユリエン・ティンバーを獲得し、夏の出費は2億ポンドの大台に乗るだろう。4000万ポンドでの移籍で個人合意したと報じられている。とはいえ、アルテタがこのオランダ人選手をどこに起用するかは、すぐにはわからない。

    守備の要であるウィリアム・サリバを外すことはないだろうが、右サイドバックとして、おそらくホワイトと冨安健洋の両選手よりも先に起用される可能性もある。アーセナルがこの22歳に費やしている資金を考えれば、もし彼がバックアップの役割を担うだけならもったいない。

    アルテタは、この3人がチームにとって不可欠な歯車になることを期待している。そして、もし彼らの誰かが期待を下回るようなことがあれば、スペインの戦術家は不愉快な質問に直面することになるだろう。

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  • Arteta Arsenal 2022-23Getty

    タイトルレースへの期待

    アルテタは『マルカ』紙で、アーセナルがタイトル獲得に失敗したことについて、「フルメンバーで臨んでいたときは、安定していた。問題が起きた途端、我々は一貫性を保てなくなった。そして、ライバルは世界最高のチームであり、世界最高の監督がいた。私たちはそれを受け入れ、チャンピオンと握手するしかなかった」と認めた。

    アーセナルがケガに不運に見舞われたのは事実だ。サリバは3月にシーズンを棒に振る背中の故障を負い、ロブ・ホールディングは彼のポジションを埋めるために入った後、フランス人の高い基準に対応することができなかった。ガブリエウ・ジェズス、エディ・エンケティア、オレクサンドル・ジンチェンコ、冨安、エルネニーもまた、ガナーズの選手層が限界まで試される中、シーズンの大部分を欠場した。ドレッシングルームの全体的な経験不足も不振の要因だった。

    アルテタは昨夏、マンチェスター・シティでペップ・グアルディオラのアシスタントを務めていたときにコンビを組んだジェズスとジンチェンコを獲得し、勝利へのメンタリティを植え付けようとした。彼らは当初、大きなインパクトを与えたが、アーセナルをフィニッシュラインに運ぶことはできなかった。

    サカ、ガブリエウ・マルティネッリ、トーマス、ジャカ、ガブリエウ・マガリャンイスといった選手たちは最後の直線でレベルが落ちてしまった。特に、エティハド・スタジアムでシティに4-1で敗れた試合では、シーズン終盤のタイトル争いの厳しい要求に応える準備ができていなかったのだ。

    しかし、アーセナルの若手選手たちは、報われずに多くのものを捧げた後に訪れる心の傷を経験した後では、はるかに強くなっているはずだ。サカはイアン・ライトと対談した際に「時間は僕らの味方だ」と語っている。

    「僕たちはハングリーだし、アーセナルでトロフィーを獲っていない選手も多いから、大きなことを成し遂げたいんだ。僕らの話し方を見ていると、勝ちたいし、ここで勝ちたいんだ」

  • Sebastian Coates Zinchenko Arsenal Sporting CP 2022-23Getty Images

    木曜日の夜はもうない

    アーセナルが3月中旬までヨーロッパリーグに参戦しており、木曜日に汗を流した後、プレミアリーグの試合に向けて回復できるのは丸2日しかなかった。

    アルテタ率いるチームは、シーズン前半はこの厳しいスケジュールに見事に対応した、しかし、ベスト16でスポルティングCPと対戦する頃には、体力的に限界を迎えつつあった。ホセ・アルバラード・スタジアムで行われたファーストレグでは2-2の引き分けに持ち込んだガナーズだったが、エミレーツでは完封することができなかった。

    セカンドレグの120分を終えて両チームは1-1で並び、準々決勝進出を決めるにはPK戦が必要だった。スポルティングに敗れ、アーセナルはこの試合が終わったときには、完全に打ちのめされたような表情を浮かべ、その後数週間、プレミアリーグでガナーズの歯車が狂うのは避けられなかった。

    アーセナルは、6年ぶりにチャンピオンズリーグに復帰する2023-24シーズンも同じような課題に直面するだろうが、試合間隔が空いて管理しやすくなるだろう。ヨーロッパのエリート・コンペティションは火曜日と水曜日の夜に開催されるため、ガナーズにはイングランドのトップリーグで生計を立てるために再編成する時間がたっぷり与えられる。

    ラムズデールは『テレグラフ』で「来シーズンはチャンピオンズリーグできちんと戦いたいし、年を追うごとに良くなっていく。新たなプレッシャーがやってくる」と強豪相手に自分を試す機会を喜んでいる。

    ガナーズがそのプレッシャーにどう対処するかが、2023-24シーズンに集団としてより高いレベルに達するか否かを左右するだろう。

  • Saka Martinelli Odegaard Arsenal 2022-23Getty Images

    主力の残留

    アーセナルは、現在のチームの中核が今後何年もそのままであることを保証するために、必要なすべてのステップを踏んでいる。まずガブリエウ・マガリャンイスが昨年10月、2027年までノース・ロンドンにとどまる契約延長にサインし、クラブに長期的な将来を約束した。マルティネッリも2月に契約延長に合意し、5月にはラムズデールが3年契約を受け入れた。サリバとの新契約はアーセナルにとって次の優先事項であり、現行契約は2024年に切れる予定だ。サリバはすでに3年間クラブに残ることに合意しており、プレシーズンが始まる前に正式発表される予定だ。

    アーセナルの現キャプテン、マルティン・ウーデゴールもまた、新契約をめぐる話し合いに臨むと報じられている。ノルウェー人選手との契約は2025年までで、ガナーズには1年間の延長オプションがあるが、2030年までとどめることを熱望している。ウーデゴール自身もアルテタの長期的なビジョンに賛同している。

    「我々が達成できることに限界はない。このクラブのキャプテンであることを誇りに思うし、長くここにいるつもりだ」

    アルテタ監督は、チームのベストプレーヤーを引き離すリスクを抑えるためにあらゆる手を尽くしてきたし、これからもそうするだろう。アーセナルが2022-23シーズンに築いた土台の上に立つには、人材の継続が不可欠だ。

    しかし、これらの選手に対するガナーズの信頼は、今後数年間でタイトルを手にし始める場合にのみ、適切に正当化される。サカやガブリエウのような選手が、再び本当に重要な局面で結果を残せなければ、長期契約は精査されることになるだろう。

  • BalogunGetty Images

    バログンの決断

    アーセナルは昨シーズン、9番を欠いていたにもかかわらず、プレミアリーグ38試合で88ゴールを挙げ、最多得点のシティとは6ゴール差だった。ジェズスはその役割で11ゴールに絡む活躍を見せたが、11月から3月にかけてジェズスが負傷欠場していた間、ガナーズは他のアタッカーに頼らざるを得なかった。

    ウーデゴールとマルティネッリが15ゴールを挙げ、サカが14ゴール、ジャカが7ゴールとキャリアベストを記録した。しかし、ガナーズがシティとの差を縮め、チャンピオンズリーグ後期に進出するためには、さらなる火力が必要だ。

    アルテタにはすでに、フォラリン・バログンというオプションがある。この22歳は昨シーズン、リーグ・アンのスタッドランスにレンタル移籍し、期待以上の活躍を見せた。ランスは11位に終わったが、バログンのゴールがなければ残留争いに巻き込まれていただろう。このストライカーはリーグ戦37試合に出場して21回ネットを揺らし、ゴールデンブーツ受賞者のキリアン・エンバペと8点差に迫っていた。

    そして当然ながら、バログンがトップクラブでプレーするチャンスを得れば、さらなる活躍を見せるのではないかという期待が広がっている。アーセナルはまだ2025年までの契約を結んでいるが、彼の将来をめぐる憶測は絶えない。

    アルテタは2月、バログンについて「彼は特別なものを持っている。だから長期契約を結んだし、彼を信頼しているんだ」と語り、シーズン終了後にクラブが才能ある若きフォワードと話し合い、「彼の発展途上のキャリアの次の章を計画する」と宣言した。

    アメリカ代表のCONCACAFネーションズリーグ優勝に貢献した後、バログンは「言えることは、もうレンタル移籍はしないということだ。これから行われる話し合いがどうなるかはわからない」と認めた。

    アーセナルが売却を決断すれば、バログンの選択肢は少なくない。ACミラン、インテル、ユヴェントス、マルセイユなどがバログン獲得に乗り出している。そして、アーセナルの最終決断は、来シーズンの成績に大きく影響するかもしれない。

    ガナーズがバログンを手放せば、ミスは許されない。少なくとも、エミレーツでのセントラルストライカーの役割で何ができるかを示すチャンスを与えないのは、アルテタにとって残念なことだ。

    アーセナルが攻撃力低下に苦しむ中、バログンが他の場所で輝きを放つことになれば、アルテタはネガティブな脚光を浴びることになる。彼はアメリカ代表FWを戻すことによって失うものは何もないし、ギャンブルによって巨大な配当金を得られるかもしれない。

  • Romeo Lavia Southampton 2022-23Getty Images

    さらなる新戦力の獲得か?

    ライスとティンバーの獲得が決まっても、アーセナルは新戦力を探し続けるようだ。チャンピオンズリーグ出場権を獲得し、人件費もコントロールできるようになったとされるアーセナルの財務状況は良好だ。

    トーマスの退団が近づき、ジャカが去ることは決まっているため、アーセナルは十分な戦力を確保するために、少なくとももう1人のMFをターゲットにする必要があるかもしれない。ブライトンのモイセス・カイセドは、1月の移籍市場でエクアドル人選手への2度の高額入札を拒否されたガナーズにとって、まだ関心があると考えられているが、市場にはもっと安い選択肢がある。

    サウサンプトンのロメオ・ラヴィアもその一人で、19歳のラヴィアはクラブのチャンピオンシップ降格に伴い、セント・メリーズを去ることになっている。価格は5000万ポンドと報じられており、才能が開花しつつある選手にとってはバーゲンプライスだろう。

    しかし、ラヴィアにはリヴァプールが正式なオファーを用意していると見られているため、あまり長く待っていると、先を越されてしまうかもしれない。セルタのガブリ・ベイガはガナーズの代替ターゲットとして取り沙汰されており、レヴァクーゼンのウインガー、ムサ・ディアビもまたレーダー上にあると言われている。

    ディフェンスでは、アーセナルはバジャドリーの右サイドバック、イバン・フレスネダへの興味を再燃させる可能性があり、クリスタル・パレスとイングランド代表のCBマルク・グエーイは、ガナーズの夏の退団リストに加わることが決まっているホールディングの後釜として名前が挙がっている。

    アルテタがジョアン・カンセロを獲得する可能性を示唆する報道もあった。このポルトガル代表SBは、グアルディオラの寵愛を失った後、昨シーズン後半をバイエルン・ミュンヘンにレンタル移籍していた。シティは現在、彼の完全売却を熱望していると伝えられている。

    両サイドをこなせるカンセロの能力は、ガナーズにとって有用な戦力となるだろうし、ジェズスやジンチェンコのように、トロフィーを獲得するために必要なことを熟知している。アーセナルは、すでに事実上3つの巨額契約を結んだ後、このような知名度の高い名前を検討していることは、彼らがいかに野心的であるかを示している。

    しかし、大きな支出をすることで、批判を受ける可能性がある。昨シーズンのアーセナルは、タイトルを手中に収めていたにもかかわらず、失敗の言い訳はほとんど必要なかった。だが来シーズンの進歩に失敗すれば、誰も同情しないだろうし、アルテタの職も脅かされるかもしれない。

    アーセナルは輝かしい新時代の始まりにいるのか? それとも…。すべては今後12か月で明らかになるだろう。