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2試合ベンチの鎌田大地、その起用法が勝敗の鍵に?ラツィオがミランとの大一番で取るべき選択は…

30日のセリエA第7節、サン・シーロではミランとラツィオが激突する。

  • Pulisic Musah Pioli Milan 2023Getty

    ミラン(2位 勝点15 | 5勝0分1敗 | 13得点8失点)

    昨季限りでズラタンイブラヒモビッチが引退、サンドロ・トナーリは退団するなど、ステファノ・ピオリ監督体制での「新時代」が始まったミラン。インテルとのダービーでは1-5と完敗を喫したが、セリエAではその他全勝で、そのインテルと並びリーグトップに立っている。さらにインテル戦を除けば5試合で12得点3失点と、内容面でも申し分ないスタートとなっている。

    ここまで特筆すべきは新加入選手の活躍であり、リーグ全試合出場中のルヴェン・ロフタス=チーク&タイアニ・ラインデルスは早くも中盤を支え、目玉補強であったクリスティアン・プリシッチも期待に違わぬパフォーマンスを披露。補強の成功がスタートダッシュに繋がった。そしてすでに7得点に絡むオリヴィエ・ジルー、エースFWラファエル・レオンらこれまでの主力陣も好調を維持。2シーズン前のように「個々のクオリティではライバルに劣るが、チーム力で勝負する」チームが生まれつつある。

    そうした中で迎えるラツィオとの大一番だが、良い雰囲気のまま挑むことはできそうだ。ボール保持と素早いパスの連続から前進を狙うラツィオに対し、ミランはボールを相手に譲ることをそこまで苦としないだろう。後方からテオ・エルナンデスが運んでジルーが落とし、レオンがゴールへ突き進む……というお得意のカウンターパターンも効果的なはず。チームのムードや選手層、本拠地サン・シーロで戦うことを考慮すれば優位に立っているものの、相手は昨季2位チームであり実力は本物だ。今季の不安要素である先制点を許さず、自分たちの展開で試合を進めたい。

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  • milan giroud(C)Getty Images

    注目選手:オリヴィエ・ジルー

    前述の新戦力に加え、レオンやテオなどスター選手はもちろんだが、ピオリのチ―ムを最も活性化させるために不可欠な存在がジルーだ。36歳の頼れる大ベテランは、未だポストプレーにおいては世界最高レベル。彼が最前線で正確にボールを収めて味方を使えるため、若く勢いあるアタッカー陣が生き生きする。加えて今季は5試合で4ゴール3アシストと見事な結果を残しており、キャリアの最盛期とも言えるパフォーマンスだ。イブラヒモヴィッチ引退後、彼が若きチームを牽引する“兄貴分”的存在になっている。直近のカリアリ戦では温存されており、大一番にベストコンディションで挑むことができそうだ。

  • milan (C)GOAL

    予想スタメン(4-3-3)

    ▽GK

    マイク・メニャン

    ▽DF

    ダヴィデ・カラブリア

    マリック・チャウ

    フィカヨ・トモリ

    テオ・エルナンデス

    ▽MF

    トンマーゾ・ポベガ

    ルヴェン・ロフタス=チーク

    タイアニ・ラインデルス

    ▽FW

    クリスティアン・プリシッチ

    オリヴィエ・ジルー

    ラファエル・レオン

  • lazio(C)Getty Images

    ラツィオ(11位 勝点7 | 2勝1分3敗 | 7得点8失点)

    昨季2位に入るなどマウリツィオ・サッリ監督体制2シーズン目で躍進したラツィオ。今夏には長年絶対的な存在だったセルゲイ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチが退団したが、鎌田大地の契約など積極的に補強を敢行してシーズン開幕を迎えた。しかし、最初の5試合ではわずか1勝(1分け3敗)と3ポイント制移行後では過去最悪のスタートに。モンツァ戦(1-1)後にはクラウディオ・ロティート会長が怒りのロッカールーム突撃で、さらに休日返上と練習場宿泊を義務付けるなど、周囲も騒がしくなってきた。

    不振の主な原因の1つは、“サッリ・ボール”からは程遠いスピード感のなさやテンポの悪さ。斜めパスの連続で相手を翻弄しながら前進を狙う指揮官の理想を実現するにはあまりに流動性が悪く、『ガゼッタ・デッロ・スポルト』は「個の打開力頼りで、組織力がまったくない」と指摘。選手が数名入れ替わったとはいえ、チーム力の低下は大きな問題である。

    それでも(ロティート会長の発破が原動力になったかは定かではないが)、直近のトリノ戦は2-0で今季2勝目を達成。未だ攻守にぎこちなさは感じるものの、チームに最も活力を与えるのは勝利であり、それを大一番前に掴んだのは非常に大きい。特にマッティア・ザッカーニの追加点前には良い形で押し込む時間を作れており、浮上のきっかけとしたいところ。敵地でのミラン戦は厳しい戦いが予想されるが、掴んだ自信をピッチ上で表現できるだろうか。

  • Daichi KamadaGetty Images

    注目選手:鎌田大地

    合流直後から4試合連続で先発し、1ゴール1アシストを記録するなどサッリ監督の信頼をすぐさま掴んでみせた鎌田。しかし、直近2試合はベンチで見守ることに。サッリ監督いわく「ひざの腫れ(モンツァ戦)とフィジカルに対抗するため(トリノ戦)」だったようで、「戦術面では最も適応が進んだ選手」とも評価しているが、「ルイス・アルベルトとの同時起用でこうした試合を戦えるかを見極めたい」と、チーム屈指の司令塔との併用ではフィジカル的な部分で不安があることも明かしていた。それでも「彼らにもできるはず」と指揮官は意欲を語っており、今後もプランを模索していくと語っている。確かに身体的な強さではマティアス・ベシーノらに軍配が上がるものの、課題のボール保持や流動性の部分では日本代表MF以上に適任はいないはず。ミランとの大一番で指揮官がどのような選択をするのか、試合の勝敗に直結する重要な選択となりそうだ。

  • 予想スタメン(4-3-3)

    ▽GK

    イヴァン・プロヴェデル

    ▽DF

    アダム・マルシッチ

    ニコロ・カザーレ

    アレッシオ・ロマニョーリ

    ルカ・ペッレグリーニ

    ▽MF

    マティアス・ベシーノ

    鎌田大地

    ルイス・アルベルト

    ▽FW

    フェリペ・アンデルソン

    チーロ・インモービレ

    マッティア・ザッカーニ