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マンチェスター・ユナイテッドで路頭に迷う6人:ラッシュフォード、マルシャルら期待を裏切る選手たち

2022年4月、リヴァプールに0-4の完敗を喫した後、当時のマンチェスター・ユナイテッド暫定指揮官ラルフ・ラングニックはこう語った。

「チームには再建が必要だ。おそらく、10人近くの選手が加入しなければいけないのも明らかである。そして選手と契約する前に、自分たちのプレースタイルを認識しなければならない。新監督のプレースタイルに適合する選手を連れてくるんだ。問題は、小さな修正だけでは十分じゃない。もっと多くの、根本的なことを変えるべきだと思う」

それから20カ月が経過したが、状況は改善したのだろうか? 昨シーズン、エリック・テン・ハーグ就任1年目でカラバオ・カップ優勝とチャンピオンズリーグ(CL)出場権を獲得。この功績は称えるべきだろう。しかし、2023-24シーズンの前半戦でそれも帳消しになりつつある。

2日の夜、マンチェスター・Uはニューカッスル相手に敵地で0-1と敗れた。結果以上に内容で完敗し、リーグ戦6敗目で7位まで順位を落としたが、それ以上に先発メンバーの内8人がラングニック体制でレギュラーとしてプレーしていた選手だったことは注目に値する。

テン・ハーグは就任以降、自ら連れてきた選手だけでなく、前体制から所属してきた選手たちにも積極的にチャンスを与えてきた。だが、彼ら全員がその期待を裏切り、数え切れないほどのサポーターを失望させてきた。ここ数カ月で誰が足を引っ張っているかは明確である。

クラブ上層部が機能していないことを考えると、1月の移籍市場でこれらの選手を放出することはなさそうだ。しかし何らかの改革は必要である。さもなければ、サー・アレックス・ファーガソン以降の指揮官たちと同じ運命をたどる可能性は非常に高い。今回は、チームに適応できずに期待を裏切る6選手をピックアップした。

文=ジェームズ・ウェストウッド

  • Marcus Rashford Man Utd 2023-24Getty Images

    マーカス・ラッシュフォード

    昨季はキャリア初めて30ゴールに到達し、クラブの年間最優秀選手を受賞した。そんな彼をこのリストに含むのは厳しいという指摘もあるだろう。だが、今季の低調なパフォーマンスは言い訳できない。在籍9年目を迎えたが、これほどフィジカル・メンタル両面で落ち込んだシーズンもないはずだ。出場18試合でたった2ゴール。1つは譲ってもらったPKだ。スタメン残っているのは幸運でしかない。

    ラッシュフォードは夏に新たな5年契約を結び、その週給は37万5000ポンドとも言われている。しかし攻撃面で結果が出ないだけでなく、守備時の緩慢な対応は目に余る。ニューカッスル戦後にレジェンド、ロイ・キーンは『スカイスポーツ』で「地元出身の選手が高額な契約を手にするのは良いことだとは思う。だが、もっとやらないと。前にも後ろにも走らないと。もう26歳になった、子供じゃないんだ。模範を示さないとね」と酷評している。

    今やラッシュフォードでも隠れる場所はないし、守ってくれる存在もいない。ニューカッスル戦で途中交代を言い渡された後、怒りをあらわにした反応は褒められることじゃない。昨年パリ・サンジェルマンが接触してきた際、もう少し熟考を重ねるべきだったかもしれない。

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  • Victor Lindelof Manchester United 2023-24Getty

    ヴィクトル・リンデロフ

    2017年夏、ベンフィカへ3100万ポンドを支払って獲得。当時の指揮官ジョゼ・モウリーニョは「素晴らしい将来がある」と話したが、シーズンを追うごとに序列を落としている。確かにボールプレーは安定しているが、スピードの欠如によって一対一は後手に回り、空中戦にも難がある。ガラタサライ戦の敗戦後、ポール・スコールズが「軟弱」と辛辣なレッテルを貼っていたが、それもうなずけてしまうのが現状だ。

    フィジカル面の弱さを考えると、彼がこれほど出番を得ているのは驚きである。ケガ人が続出した影響もあるが、今のユナイテッドのレベルを示す事象であるかもしれない。来夏に現行契約は満了するが、上層部は1年間のオプションを行使するようだ。これもまた、クラブ運営のレベルを示す1つかもしれない。

  • Anthony Martial Manchester United 2023-24Getty

    アントニー・マルシャル

    ラスムス・ホイルンドの加入で出番が激減した中、ニューカッスル戦で得たチャンスも全くの無駄にしてしまった。61分のプレーでシュートも、ドリブルも、ボール奪取も、何1つ記録できなかった。キーンは試合後、「マルシャルの得点が14年ごとという事実を許してしまっている。そしてボールを持って味方を押し上げることもできない。簡単に奪えてしまう。リーグのレベルを下げた方がいい」と怒りをあらわにした。

    マンチェスターでの9シーズンで、プレミアリーグで10点以上を記録したのは3回だけ。すでに最高レベルの試合に耐えられないのは明らかであり、昨季短期レンタルで加わったセビージャが完全移籍に動かなかったこともそれを証明している。現行契約は残り7カ月。彼の獲得に支払った5800万ポンドの大半は諦めなければならないだろう。

  • Dalot-Man-Utd-2023-24Getty

    ディオゴ・ダロト

    2018年の加入後しばらくは苦戦が続き、2020-21シーズンはミランへレンタル。そのミランで成長を遂げてチームに復帰し、アーロン・ワン=ビサカから右サイドバックのポジションを奪うほど活躍を見せた。そして5月、クラブは2028年までの新契約を結んでいる。

    だがこれも、判断ミスと言えるかもしれない。契約延長とともにパフォーマンスは低下し、守備時の穴になるだけでなく、安易なパスミスも増加。対戦相手は確実に彼を狙って攻撃を組み立てている。チーム事情で左サイドに回ったとしても、それは全く同じだ。現時点でワン=ビサカを先発に置いたほうが安定するのは間違いない。現行契約の長さを考えると、買い手を見つけるのは難しい。しかし、ユナイテッドはすべてのポジションで基準を上げる必要があるのも確かだ。

  • Harry Maguire Manchester United 2023-24Getty

    ハリー・マグワイア

    7月にキャプテンを剥奪された際には、こうして復活を遂げるとは考えられなかっただろう。夏の移籍市場を生き延び、再びテン・ハーグの信頼を取り戻し、ラファエル・ヴァランを抑えて自身の最高レベルを取り戻したことは称賛すべきだ。

    しかし、その最高レベルがユナイテッドDFのファーストチョイスには十分ではない。結局枯れの弱点は昨季から変わっておらず、突然ワールドクラスに変身したわけでもない。現時点で起用できる最善のチョイスだというだけで、チームを底上げできているわけではないのだ。もし仮にこの夏ウェストハムが提示したという3000万ポンドのオファーが再び届けば、それを使ってよりバランスの取れたDFを連れてくることは可能かもしれない。だが、彼の契約は2025年まで。延長の話も出るだろう。今のオールド・トラッフォードは平凡な選手も受け入れる場所になっている。

  • Donny-van-de-Beek-Man-UtdGetty

    ドニー・ファン・デ・ベーク

    過去10年最悪の獲得選手を上げるのは難しいが、ファン・デ・ベークほどその根拠がある選手はいない。2020年に3500万ポンドで加入したが、過去3年間の先発はたった3試合。テン・ハーグ就任で変化も期待されたが、今季もわずか2試合の出場のみ。序列は最下位であり、指揮官も1月の放出を示唆している。

    夏の時点ではレアル・ソシエダも関心を示したようだが、すでに撤退済み。現状新天地として伝えられるのはガラタサライのみだ。すでに選手の市場価値はほとんどないため、移籍金を取ることもできないだろう。売却時期を逃したのは明白で、本人のキャリアに傷をつけたのもユナイテッドだ。彼に達成不可能な夢を売ってしまった責任は間違いなくある。