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Champions League Europa winner GFXGetty/GOAL

マン・Uとトッテナムは来季CL出場に「値しない」。だが、CL出場権獲得の魅力がなくなればELは消滅するだろう

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昨季のヨーロッパリーグ(EL)決勝は、素晴らしい2つのクラブによって争われた。ジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督が指摘したように、ダブリンでのアタランタとレヴァークーゼンの対戦は、「小さな」チームがハードワーク、組織力、結束力、的確な選手獲得、活気ある下部組織、そして明確なサッカー哲学を通じて、資金が潤沢となった現代サッカーでも、「小規模な」チームが偉大な成果を残せるという、説得力のある証拠となった。

しかし、今週水曜日に行われるトッテナムとマンチェスター・ユナイテッドのイングランド勢によるEL決勝はサッカー界の現状について何を物語っているのだろうか。どちらのサポーターも、現時点でのクラブの運営方法に満足しておらず、両チームとも今シーズンのプレミアリーグでは不振に陥った。

その結果、トッテナムのアンジェ・ポステコグルー監督の言葉を借りれば、スパーズとマン・Uがこのような舞台に姿を見せていること自体が、「多くの人々を動揺させた」。中でも、かつてアーセナルなどを指揮したアーセン・ヴェンゲル氏は、今季のEL王者が来季のチャンピオンズリーグ(CL)に出場するに値するかどうかで大きな議論を巻き起こした…

  • FBL-SRB-UEFA-CONGRESSAFP

    「UEFAが検討すべきこと」

    ヴェンゲル氏は主に、今季のEL決勝が、UEFAの現在のフォーマットに欠陥があることを露呈したと主張した。

    「優勝チームは自動的に再びELに出場するべきだが、必ずしもCLには出場する必要はない」と『beIN Sports』に語った。「特に、プレミアリーグではすでに5チームが出場権を得ているため、UEFAはこの点について考え直し、見直すべきだと思う」

    ヴェンゲル氏の意見は、元マン・Uのプレーヤーであるギャリー・ネヴィル氏とロイ・キーン氏によって支持された。「現在、我々が観戦しているすべての試合では、懸かっているお金の話ばかりをしている」とネヴィルはイギリス『Sky Sports』で嘆いた。「誰もトロフィーを獲得するために、ELを勝ち取ることについて話していない」。

    「かつて、UEFAカップやカップウィナーズカップは、クラブが勝ち取れる重要なトロフィーだった。今では、『CLでは6000万ポンドの賞金が手に入る』といったことが真っ先に聞こえてくる。本当に素晴らしい大会が価値を失ってしまった」

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  • FK Bodo/Glimt v Tottenham Hotspur - UEFA Europa League 2024/25 Semi Final Second LegGetty Images Sport

    「スパーズは人々を狂わせる」

    ネヴィル氏の同僚であるキーン氏も、出場チームの多くがタイトル保持者ではないということから、“チャンピオンズリーグ”の名称自体の適切ではないと指摘した。彼の元チームメイトの「他のカップの価値を下げる」という苦情と共に、これは目新しいことではない。

    UEFAが同じ国から最大4チームがCLに出場できるようにしたのは25年以上前のことであり、大陸間の大会から得られる資金は、過去10年以上にわたってヨーロッパサッカーに最も歪んだ影響を与えてきた。

    ポステコグルー監督が「ELの勝者がCLの出場資格を得ることが、突然話題になるのは少しおかしい」と言うのもごもっともだ。これは2015-16シーズンからずっと言われ続けてきたことだ。セビージャがトロフィーを掲げた2シーズン前にラ・リーガでは12位に終わったにも関わらず、そのときには誰も文句を言っていなかった。

    「この議論は長年続いている。いや、少なくとも過去8日間の間にはね」今月初め、ポステコグルー監督は皮肉を込めて言った。 「スパーズが人々に何か妙なことをする。スパーズの名前を文章や問題に入れると、必ずみんなが出てきて、それをできるだけ貶めしようとする。スパーズのせいでね、みんなスパーズがすきなんだよ」

    「ただ、これは競技の規則だ。なぜ以前は問題にならなかったのに、今は問題になっているのか? 違いは何でしょう?」

  • Manchester United FC v West Ham United FC - Premier LeagueGetty Images Sport

    歴史的に低迷しているチーム

    この議論が行われている理由はもちろん、マン・Uとスパーズがプレミアリーグでそれぞれ16位と17位にいるという事実に根ざしている。このように苦戦している2チームがEL決勝に進出するのは奇妙ということは否定できない。

    両チームともに今シーズンは歴史的に不振に陥った。スパーズは今シーズン、公式戦でクラブ記録となる25回の敗北を喫しており、直近のプレミアリーグ12試合では1失点以上しているため、クリーンシートが達成できていない期間においても、最長の記録を15年ぶりに更新した。マン・Uはより状態が悪く、1990年以来となるリーグ戦8試合未勝利に。さらに18敗を喫したのは、降格した1973-74シーズン(20試合)以来となる。

    そういう意味では、現在プレミアリーグとチャンピオンシップの差が非常に大きく、昇格したチームが毎年1年で2部に降格するという状況はマン・Uとスパーズにとって、非常に恵まれているだろう。

    しかし、マン・U (勝ち点39) とスパーズ (勝ち点38) は共に、以前まで残留に必須と考えられていた勝ち点40に達していない。ただ、EL決勝では、リーグ順位はほとんど関係ないと指摘しているポステコグルー監督の意見は正しいことだ。

  • FBL-EUR-C3-BODOE GLIMT-TOTTENHAMAFP

    '誰が苦しんでいるかなんてどうでもいい'

    カップ戦では、成績関係なく、次のラウンドに進むことだけが重要になりがちだ。今季のELのリーグフェーズでトップ4に入り、ノックアウトステージを戦いやすくした2チームを非難するのは難しい。

    もちろん、マン・Uは時に苦戦をした。特に準々決勝でのリヨンに対する劇的な逆転勝利が挙げられるが、一方で準決勝の相手であるアスレティック・クルブに対して、2戦合計スコア7-1の勝利を収めたのは、非常に印象的だった。

    スパーズの歩みはそれほど華々しいものではなかった。北ロンドンのチームは準決勝でボド/グリムトに相対したのは、やや運が良かったものの、準々決勝ではブンデスリーガで今季3位に終わった強豪フランクフルトに勝利したことで、驚異的な粘りを示した。

    「我々のリーグでの成績が芳しくないことは、理解している」ポステコグルー監督は語った。「我々が抱えている問題の多くは、“負傷者の状況” によるものだ。しかし、それが決勝に進出できたという成果の価値を薄める理由にはならない。誰が苦戦していようがしていまいが、私は全く関係ない。我々もユナイテッドも、このステージに立つ権利を勝ち取ったと思っている」

    ヴェンゲル氏の主張は、彼らがCLの出場権を得るべきではないというもので、プレミアリーグでのパフォーマンスだけを見れば、一理あるかもしれない。来季、ヨーロッパ最高の舞台で戦うのにもっとふさわしい順位に終わった他のクラブもいる。

  • FBL-EUR-C1-DORTMUND-REAL MADRIDAFP

    賞そのもの

    しかし、マン・Uとスパーズは何も悪いことはしていない。彼らはただ目の前のチームを倒しただけであり、今年のファイナルに進出した2つのチームが低調だからと言って、ELからCL出場権を取り上げるのは、公平とは言えない。それどころか、ネヴィル氏が指摘した通り、過去25年間ですでに薄れてきた大会の価値にさらなるダメージを与えるだけだ。

    興味深いことに、ヴェンゲル氏自身も「ELへの焦点、面白さ、モチベーションを保つためには、その賞を与える必要があると多くの人が言うだろう」と認めている。そして、これこそが本質的な問題である。なぜなら、CLの出場権はそれ自体がまさに「賞」となっているからだ。

    実際、今ではほとんどのクラブにとって、これが毎年の主要な目標となっており、ほとんどの国内トロフィーのよりも価値があり、この状況がすぐに変わることはないだろう。

  • CeferinGetty Images

    懸念材料

    ヴェンゲル氏は、1つのリーグから6チームがCLに出場できるシステムをUEFAに検討してほしいと考えている。それは名ばかりのヨーロッパ・スーパーリーグのように見えるという含みがあるが、それこそがずっと狙いだった。主催者たちはできるだけ多くのビッグクラブをCLに参加させたいと望んでいる。それが最も権力のある会長やオーナーたちを満足させ、新たな離脱の脅威を阻止するための唯一の方法だからだ。

    忘れてはならないのは、今年のチャンピオンズリーグでの滑稽な拡大は、試合数を増やすことでヨーロッパの裕福なクラブにもっと収入をもたらすためのものであったということだ。2つの『ヨーロピアン・パフォーマンス・スポット』の創設も、イングランド、そしておそらくスペインが常に最低5チームCLに出場することを保証するための手段にすぎなかった。

    したがって、何年も欧州サッカーの金持ちクラブと貧乏クラブの間の格差を助長してきたUEFAが、突然、方針転換をするとは考えられない。これまでのUEFAの目標は、エリートたちにできるだけ多くのセーフティネットを提供することであり、EL優勝クラブにCL出場権が与えられるというのもその1つである。現在のサッカー界の経済状況では、それを取り除くとなれば、残念ながらELの競争は衰退してしまうだろう。なぜなら、トップチームのほとんどがELを軽視するようになることは明らかだからだ。

    結局のところ、スパーズとマン・Uによる決勝戦は、知名度の高い2チームがそれぞれのシーズンを救うために戦うというエンターテインメント性のある戦いであることを考えると、マーケティングの観点からUEFAにとっては悪くない結果である。しかし、それは懸念材料にもあり得る。イングランド勢対決は、プレミアリーグの財政力を長年羨ましく思ってきたレアル・マドリーの会長フロレンティーノ・ペレスのような人物の注目の的となるだろう。彼はスーパーリーグ構想の推進役の一人だからだ。

    それにより、今後はさらなる混乱が予想される。プレミアリーグの16位と17位のチームによる決勝戦は面白い展開となる可能性もあるが、一方で、それは多くの人々を動揺させるだろう。それは、ポステコグルー監督が主張するように、相手がトッテナムだから、という訳ではない。あるいは、多くのライバルファンが嫌うマン・Uのような悪評高いクラブだからという訳でもない。むしろ、彼らの弱さがプレミアリーグの強さの不吉に示しているという点が問題なのだ。

    ガスペリーニ監督がアタランタについて、他の「小さな」チームに希望と模範を示したと述べてから1年が経ったが、マン・Uとスパーズの対戦は、ヨーロッパの中堅クラブがイングランドでうまくいっていないクラブ相手にでさえ、苦戦していることを示唆している。