Big Six transfer windows so far GFXGOAL

トップ評価を争うのはリヴァプール、アーセナル、チェルシー。プレミアリーグの新シーズン開幕まであと1カ月、ビッグ6の夏の移籍市場を評価

プレミアリーグの新シーズンは、ちょうど1カ月後にアンフィールドで始まる。イングランドのトップクラブは間近に迫った開幕に向けてどのような準備を進めているのだろうか。

すでに相次いで衝撃的な移籍が発表されており、トップクラブは過酷なシーズンを前に、できるだけ早く補強を完了させようとしている。来シーズンはアフリカネイションズカップのための中断をはさんで、2026年ワールドカップの開幕直前に終了する予定だ。

もちろん、拡張されたクラブワールドカップも移籍ラッシュの一因となっている。FIFAは通常より早く移籍市場を開き、大会に参加するチームがそれ用の戦力強化ができるようにしたのだ。

実際、マンチェスター・シティとチェルシーはアメリカでの試合が始まる前に大金を投じ、後者はジョアン・ペドロを決勝トーナメント向けに獲得して、大きな成果をあげた。

それでは現状、タイトル争いの有力候補はどのチームなのだろうか。8月15日のアンフィールドでの開幕戦に向けて、まだ多くの課題を抱えるチームは、どこか。以下、GOALがビッグ6の移籍動向を分析してみよう。

  • Viktor Gyokeres Sporting 2025Getty Images

    アーセナル

    アーセナルのミケル・アルテタ監督は今年が正念場となるだろう。昨シーズンのチャンピオンズリーグでは準決勝に進出したが、またしても無冠に終わり、その手腕に対する信頼は揺らいでいる。もう言い訳は通用しない――この夏もまた、多額の投資を行ったのだから。

    アーセナルは、リヴァプールが失敗したマルティン・スビメンディの移籍を成功させたが、この優秀なスペイン代表MFは、特に契約更新を断ってチームを去ったトーマス・パーティの穴を埋めるべく、アルテタ監督のスタメンにすぐに定着するだろう。

    そのほか、クリスティアン・ノアゴールはジョルジーニョの代わりになるうる非常に賢明な選手であり、将来有望なクリスティアン・モスケラは守備の補強に十分な働きをするだろう。ノニ・マドゥエケの評価は過剰だが、このイングランド代表が、長く待たれていたブカヨ・サカのバックアップメンバーとしての役割を果たすことは間違いない。

    しかし、最大のニュースは、もちろん、スポルティングCPからのヴィクトル・ギェケレシュの移籍が間近に迫っていることだ。

    ギェケレシュは2023年の夏にコヴェントリーからスポルティングに移籍して以来、リーグ戦で誰よりも多くの得点を挙げている。このスウェーデン代表選手がプレミアリーグでその驚異的な得点率を再現できるかどうかは正直言って疑問だが、アーセナルの今夏の主要な目標はトップストライカーの獲得であり、その目標は達成したように思われる。

    移籍市場の残りの期間は、オレクサンドル・ジンチェンコのような不要な選手を放出して追加資金を調達する可能性が高い。ヌーノ・タヴァレスとマルキーニョスはすでに退団済みだ。

    2025-26アーセナル夏の移籍市場の状況:

    加入:ケパ・アリサバラガ(チェルシー、500万ポンド)、マルティン・スビメンディ(レアル・ソシエダ、5,100万ポンド)、クリスティアン・ノアゴール(ブレントフォード、1,500万ポンド)。

    退団:ジョルジーニョ(フラメンゴ、フリー)、キーラン・ティアニー(セルティック、フリー)、ヌーノ・タヴァレス(ラツィオ、430万ポンド)、マルキーニョス(クルゼイロ、金額非公開)、冨安健洋(契約解除)、トーマス(契約満了)。

    評価:B+(ギェケレシュの移籍が正式決定するまで!)

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  • joao pedroGetty Images

    チェルシー

    チェルシーは現在、自分たちの状況にかなり満足しているが、それも当然だろう。

    ブルーズのオーナーたちは、過去2年にわたる経営方針について莫大な批判を浴びてきたが、十分な資金を投入すれば問題解決が可能であることを証明した。

    およそ15億ポンド(約3,000億円)を投じて可能な限り若手選手を獲得してきたチェルシーは、カンファレンスリーグのみならず、さらに大々的にクラブワールドカップも優勝したのである。

    後者の成功の鍵となったのは、ジョアン・ペドロの途中加入だった。このブラジル代表選手はブライトンから5,500万ポンド(約109億円)で移籍した後、3試合で3得点を記録した。

    ブルーズにとって心強いことに、リアム・デラップもアメリカで活躍した上に、驚異的な才能を持つ10代のエステヴァン・ウィリアンが数週間以内にスタンフォード・ブリッジに加入しそうである。

    ジェイミー・ギッテンズとの契約がすでに完了していることを考えると、チェルシーのサポーターが新シーズンをワクワクしながらて待ち望んでいるのも当然だろう。

    しかし、オーナーたちは移籍市場が閉まる前にできるだけ多くの枯れ木を伐採して、収支の均衡を図ることに集中している。ラヒーム・スターリング、ジョアン・フェリックス、ベン・チルウェルは、選手名簿からできるだけ早く削除しなければならない選手たちだ。

    この仕事が完了すれば、この夏はチェルシーにとって非常に生産的な夏となるだろう。

    2025-26チェルシー夏の移籍市場の状況:

    加入:ジェイミー・ギッテンズ(ドルトムント、5,150万ポンド)、ジョアン・ペドロ(ブライトン、6,000万ポンド)、リアム・デラップ(イプスウィッチ、3,000万ポンド)、エステヴァン・ウィリアン(パルメイラス、2,910万ポンド)、ダリオ・エスーゴ(スポルティング、1,850万ポンド)、マナドゥ・サール(RCストラスブール、金額非公開)。

    退団:ケパ・アリサバラガ(アーセナル、500万ポンド)。

    評価:A-

  • Florian Wirtz Liverpool 2025-26Getty Images

    リヴァプール

    チャンピオンになっても、その栄光に甘んじるつもりはさらさらない。リヴァプールはタイトル獲得チームを強化するため、迅速かつ衝撃的な方法で動き出した。

    その象徴となる移籍は、間違いなくフロリアン・ヴィルツだ。レッズは、前線にまったく新しい次元を加える能力を確実に備えている、このドイツ代表選手にクラブ史上最高額となる1億ポンド(約198億円)を投じたのである。

    加えてミロシュ・ケルケズとジェレミー・フリンポンも素晴らしい補強選手であり、後者はトレント・アレクサンダー=アーノルドの素晴らしい後継者となることが期待されている。

    さらに、バレンシアから遅れて加入したギオルギ・ママルダシュヴィリは、アリソン・ベッカーの正GKの座を脅かす存在となるかもしれない。

    こうした移籍市場が始まって早々の動きにリヴァプールのファンは興奮していたものの、今は、アルネ・スロット監督のチームとすべてのレッズファンの心に大きな穴を残して逝ってしまった、誰もが愛していたポルトガル代表FWディオゴ・ジョタの悲劇的な死を受け入れることに精一杯である。

    近々ダルウィン・ヌニェスがナポリに移籍しそうであるため、リヴァプールはシーズン開始までに少なくとももうひとり、新しいFWを獲得しなければならないだろう。

    アレクサンデル・イサクは依然として夢のターゲットであり、獲得の噂も絶えないが、ウーゴ・エキティケ、ベンヤミン・シェシュコ、ロドリゴなど、比較的安価な代わりの選手を獲得する可能性が高いと思われる。

    また、昨シーズン過酷な使われ方強いられたライアン・フラーフェンベルフをカバーする守備的MFも獲得する可能性がある。レアル・マドリーが獲得に熱を上げるDFイブラヒマ・コナテの契約は12カ月以内に満了となるため、その動向にも目が離せないが、リヴァプールがマルク・グエイに興味を示しているという報道は納得できる。

    2025-26リヴァプール夏の移籍市場の状況:

    加入:ミロシュ・ケルケズ(ボーンマス、4,000万ポンド)、フロリアン・ヴィルツ(レヴァークーゼン、1億1,600万ポンド)、ジェレミー・フリンポン(レヴァークーゼン、2,950万ポンド)、ギオルギ・ママルダシュヴィリ(バレンシア、2,900万ポンド)。

    退団:トレント・アレクサンダー=アーノルド(レアル・マドリー、1,000万ポンド)、クィービーン・ケレハー(ブレントフォード、1,800万ポンド)、ジャレル・クアンサー(レヴァークーゼン、3,500万ポンド)、ナット・フィリップス(ウェスト・ブロム、300万ポンド)、ヴィテツラフ・ヤロシュ(アヤックス、レンタル)。

    評価:A-

  • Rayan Cherki Manchester City 2025-26Ge

    マンチェスター・シティ

    ペップ・グアルディオラ監督になって最悪の成績に衝撃を受けたマンチェスター・シティのアブダビのオーナーたちは、冬の移籍市場で問題解決のための買収に動き始め、クラブワールドカップ開催のために移籍市場が再開されると、すぐに再び大規模な補強に取りかかった。

    ライアン・アイト=ヌーリ、ライアン・シェルキ、タイアニ・ラインデルスが大会前に加入したが、グループステージの3試合を(唯一)全勝したにもかかわらず、マンチェスター・Cはアル・ヒラルにベスト16で屈辱的な敗北を喫した。

    さらに事態を悪化させたのは、ロドリがアメリカで負傷し、その程度がいまだ不明であることである。

    その結果、グアルディオラ監督のチームには依然として多くの不確実性が残っている。それでも、3人の新加入選手はすべてカタルーニャ出身監督のスタイルに適合しているように見え、最終的に格安の獲得だったとなる可能性がある。

    とは言え、クラブワールドカップでそうだったように、マンチェスター・Cは相変わらず急な展開に対して脆弱であり、ジョン・ストーンズ、ルベン・ディアス、エデルソンはかつてほど信頼されていないように思われる。

    したがって、今後数週間でさらに守備が補強される可能性は否定できない。1月に加入したヴィトール・レイスとアブドゥコディル・フサノフは印象を残せておらず、カイル・ウォーカーの退団で右サイドバックの層が薄くなっている。

    退団に関しては、クラブのレジェンドだったケヴィン・デ・ブライネの放出が本当に適切だったかどうか、ファンの間でいまだに意見が割れている。一方、明らかに過大評価されていて、規律に従わないジャック・グリーリッシュは放出すべきだ。

    興味深いのは、マンチェスター・Cが、加入からわずか6カ月のニコ・ゴンサレスの移籍を認める可能性があると噂されていることである。これは新しいプロジェクトの信頼を損ねかねない…

    2025-26マンチェスター・シティ夏の移籍市場の状況:

    加入:タイアニ・ラインデルス(ACミラン、4,600万ポンド)、ライアン・アイト=ヌーリ(ウルブス、3,600万ポンド)、ライアン・シェルキ(リヨン、3,400万ポンド)。

    退団:ケヴィン・デ・ブライネ(ナポリ、フリー)、スコット・カーソン(契約満了)、カイル・ウォーカー(バーンリー、500万ポンド)。

    評価:B

  • cunha

    マンチェスター・ユナイテッド

    マンチェスター・ユナイテッドは他のプレミアリーグのチームと比べて移籍市場での動きが多いが、大規模な再建作業において、ほとんど進展が見られない。

    赤い悪魔は6月12日にマテウス・クーニャの移籍を成立させたが、しばらくの間、このブラジル代表選手に加えてブライアン・ムベウモがすぐにでもオールド・トラッフォードに来るのではないかと思われていた。

    しかし、ブレントフォードはこのカメルーン代表FWの移籍に対して強硬な姿勢を示しており、焦りを募らせたマンチェスター・Uが、クーニャの場合と同様に、またしても是が非でも欲しい選手のために過大な金額を支払わなければならない可能性が極めて高くなっている。

    もちろん、ムベウモが加入するかどうかに関わらず、移籍市場が閉じるまでに適切なセンターフォワードを獲得できなければ、マンチェスター・Uは背番号9のポジションに問題を抱えることとなる。

    一時は、ギェケレシュがルベン・アモリム監督と再会するという可能性が実現しそうになったが、このスウェーデン代表選手がアーセナルへの移籍を選びそうであり、このことはマンチェスター・Uの現状を痛烈に浮き彫りにしたのだった。

    マンチェスター・Uはヨーロッパの大会に出場することができず、無駄遣いできる資金もないため、移籍を希望するウイングのマーカス・ラッシュフォードとアレハンドロ・ガルナチョに、できるだけ早く新しいチームを見つけてやる必要がある。理想を言えば、アンドレ・オナナの買い手を見つけ、より信頼できるGKの獲得資金に充てるべきだが、その方面では全く動きがない。

    そうなると、マンチェスター・Uが移籍期限の最終日まで契約締結のために奔走するだろうことは想像に難くない。

    2025-26マンチェスター・ユナイテッド夏の移籍市場の状況:

    加入:マテウス・クーニャ(ウォルヴァーハンプトン、6,250万ポンド)、ディエゴ・レオン(セロ・ポルテーニョ、700万ポンド)。

    退団:クリスティアン・エリクセン(契約満了)、ジョニー・エヴァンス(契約満了)、ヴィクトル・リンデロフ(契約満了)。

    評価:C

  • Nottingham Forest v Manchester City - Emirates FA Cup Semi FinalGetty Images Sport

    トッテナム

    トッテナムにとって、すべてが順調に進んでいた。ケヴィン・ダンソとマティス・テルのレンタル移籍を完全移籍に変えた後、ウェストハムと移籍金5,500万ポンド(約109億円)でモハメド・クドゥスの獲得に合意し、モーガン・ギブス=ホワイトのノッティンガム・フォレストとの契約に盛り込まれていた6,000万ポンド(約120億円)の買い取り条項も満たした。

    ところが、この驚くべき2つの移籍のうちの前者は完了したものの、ギブス=ホワイトの北部ロンドンへの移籍は、フォレストがトッテナムの交渉のやり方に異議を唱え、法的措置を講じることを示唆して、行き詰まっている。

    したがって、スパーズがギブス=ホワイトの移籍を成立させることができるかどうか、そして昨シーズン散々だった守備を適切に強化できるかどうかは、まだわからない。

    現時点で言えることは、批判を浴びているダニエル・レヴィ会長が、来シーズンのチャンピオンズリーグ復帰を控えた今夏の移籍市場で、新監督トーマス・フランクを全面的に支援する姿勢を示しているということだ。

    2025-26トッテナム夏の移籍市場の状況:

    加入:ケヴィン・ダンソ(RCランス、2,090万ポンド)、ルカ・ヴシュコヴィッチ(ハイドゥク・スプリ、金額非公表)、マティス・テル(バイエルン・ミュンヘン、2,980万ポンド)、高井幸大(川崎フロンターレ、500万ポンド)、モハメド・クドゥス(ウェストハム、5,500万ポンド)。

    退団:ピエール=エミールホイビュア(マルセイユ、1,700万ポンド(約33億円))、フレイザー・フォースター(契約満了)、セルヒオ・レギロン(契約満了)、アルフィー・ホワイトマン(契約満了)、ダモラ・アジャイ(ドンカスター・ローヴァーズ、レンタル)、アレホ・ベリス(ロサリオ・セントラル、レンタル)。

    評価:B-