Alexander-Arnold Klopp Van Dijk Liverpool GFXGetty/GOAL

【リヴァプールで発覚した5つの事象】攻撃陣は絶好調も「最大の問題」は放置されたまま?

リヴァプールは2日、ブンデスリーガ王者バイエルン・ミュンヘンと対戦。2点をリードするも、最終的に3-4と敗戦。13日のプレミアリーグ開幕戦へ向け、残されたテストマッチは7日のダルムシュタット戦のみとなった。

このバイエルン戦はコーディ・ガクポ、フィルジル・ファン・ダイク、ルイス・ディアスがネットを揺らして3点を奪うなど、攻撃陣の仕上がりの良さは感じさせた一方で、最終的に4失点で敗れるなど守備陣の課題を残す一戦に。もちろんこの時期の試合ではあるが、失点数の多さはプレミアリーグ優勝争いに決定的な痛手となる可能性もある。

今回は、ドイツ王者との一戦で明らかになった5つのことを振り返る。

文=マーク・ドイル

  • Cody Gakpo Liverpool 2023-24Getty Images

    最高の攻撃オプション

    新シーズン、リヴァプールが得点力不足に悩まされることはほぼないだろう。マンチェスター・シティと最多得点数で争っても何ら不思議ではない。チェルシーとの開幕戦でスタメンが保証されているのは、おそらくモハメド・サラーだけ。彼らのアタッキング・オプションは本当に素晴らしい。

    再びプレシーズン最高のパフォーマンスを披露したガクポは、おそらく中央で起用するのがベストだ。ディオゴ・ジョタとの連携、左足での先制弾でその真価を示した。また、そのジョタは中央でもワイドでもその多才さをもって貢献することが可能で、天性のウインガーであるルイス・ディアスは左サイドに入ることを望んでいるファンも多いはずだ。

    そして、ダルウィン・ヌニェスがここまでのテストマッチで最もシャープだったことは忘れてはならない。彼の身長やフィジカルを考えると、おそらく1トップに入ることがオーソドックスな選択だ。しかし、あの強烈なスピードと飛び出しは、ワイドでも魅力的な選択になる。

    現状、リヴァプールの攻撃陣は全員がフィットし、それぞれがしっかりと活躍を見せている。ユルゲン・クロップは、嬉しい悲鳴を上げているに違いない。

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  • Curtis Jones Liverpool 2023-24Getty Images

    カーティス・ジョーンズのNo.6

    ファビーニョとジョーダン・ヘンダーソンが相次いでサウジアラビアへと向かったことで、リヴァプールは明らかに守備的MFを必要としている。現在はサウサンプトンとロメオ・ラヴィア獲得に向けて交渉中だが、これまで2度のオファーは断られた。代わりにフルミネンセの22歳、アンドレが候補に上がっている状況だ。ミッドフィルダーの補強は明らかに必要である。

    そんな中、バイエルン戦ではジョーンズがNo.6に入った。クロップは試合前に「あのポジションで大きな影響力を発揮できる」と主張し、たしかに本人もその役割を果たす自信もあるだろう。この試合でも、何度か厳しいプレッシャーに晒されながら、鋭いターンでスマートに窮地を脱している。だが、このポジションに適応するにはどうしたって時間がかかる。そして、リヴァプールにそんな時間的な余裕はない。

  • Virgil van Dijk Liverpool 2023-24Getty Images

    ファン・ダイクの新たな役割

    ヘンダーソンの後を継ぐキャプテン候補者は複数人いたが、ファン・ダイクが選ばれたことに驚きはないはずだ。このディフェンスリーダーは、チーム内で最も影響力のあるキャラクターである。そして彼もこの新たな役割を楽しんでおり、それが最初の試合でゴールという形に繋がった。

    ファン・ダイクは空中戦でほぼ確実に脅威になる。新シーズンも、こういったゴールは多く期待できるかもしれない。さらに心強いのは、周りの選手が困難な状況に陥った際、ファン・ダイクが効果的かつ重要なサポートを何度も見せたこと。すでにキャプテンの風格は漂っている。

  • Trent Alexander-Arnold Liverpool 2023-24Getty Images

    リヴァプール最大の問題

    だがしかし、リヴァプールの守備における問題は、魔法のように消え去ったわけではない。クロップとコーチ陣は、トレント・アレクサンダー=アーノルド問題を解決できたわけではないのだ。

    攻撃面で驚異的な才能を見せる彼が中盤に入ることで、多くのメリットを得られることは事実だ。だがこの影響で、特にジョエル・マティプが右センターバックでプレーしている時は、右サイドバックの位置に無視できない問題を抱えることになる。マティプは、バイエルン戦の2失点が示すように、アレクサンダー=アーノルドが空けたスペースをカバーできるスピードやアジリティを持っていないのだ。

    1失点目の場面では、アレクサンダー=アーノルドの位置取りが悪く、ニャブリの最も直接的な内側へのランに反応できなかった。2失点目も不気味なほどそっくりな状況だが、このシーンはアレクサンダー=アーノルドだけの問題ではない。彼は指示通り中央にポジションを取ったのであり、チームにとって最悪なタイミングでボールを失い、右サイドバックのスペースを全くカバーできなかったのだ。

    リヴァプールはおそらく、アレクサンダー=アーノルドを中盤の位置へ押し上げることは本質的なギャンブルであることも理解しているだろう。しかし、リスクにあった見返りがあるのかどうか、再考する必要はありそうだ。

  • Alisson Liverpool 2023-24Getty Images

    アリソンの奇跡

    こうしたリヴァプールの継続的な守備の欠陥を考慮すると、昨季も奇跡的なセーブを連発したアリソンが新シーズンへ向けて準備万端なことは非常に幸運である。昨季の彼は4バックが原因で何度もピンチにさらされたが、最終的にはダビド・デ・ヘアに次いで2位のクリーンシート数(14)を誇っている。

    リヴァプールがトップ4に返り咲くためには、再び「最高のアリソン」が必要になる。そして少なくとも、本人はそれについて真剣に向き合っており、このバイエルン戦でもそれを示した。アリソンでなければ、リヴァプールは8回ネットを揺らされていたっておかしくはなかったのだから……。