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オナイウ阿道、リーグ・アンで戦い続ける決意。日本代表、横浜FM、共闘した選手たちへの思い

海外挑戦は2021年夏、25歳の時だった。選んだ地はフランス。トゥールーズとオセールでリーグ・ドゥからリーグ・アンへの昇格を2度経験し、この4年でリーグ・アン65試合出場6得点、リーグ・ドゥ72試合出場25得点の結果を残してきている。今季第31節・ランス戦では2試合ぶりに先発出場を果たし2得点を決めると、『レキップ』の週間ベストイレブンにも選出された。今季はオセールのリーグ・アン残留のみならず、11位という成績にも貢献した。

フランスで4年が過ぎようとしている初夏、オナイウ阿道にリーグ・アンでの今と日本代表、そして古巣への思いを聞いた。【協力:リーグ・アン】

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    「ここでやれ」と言われたポジションでやる

    ――取材時時点でリーグ戦28試合に出場。しかし、先発は8試合です。

    もちろん、選手としては常に最初から試合に出ていたいのが本音です。チャンスをなかなか得られない時期もありましたし、コンディションも含めて自分の良さを出せなかったこともありました。

    チームとしてはメディアが予想した順位よりいいポジションにいて、クラブがうまくいっている一方、自分はというところもありました。でも、僕は続けることしかできないので。うまくいっていない時期に何もしなかったら、ランス戦のような試合ができなかったかもしれないと考えると続けるしかないです。サブでもスタートからでも続けるしかない。そう思ってやってきました。

    ――日本にいるときとプレースタイルが変わったと思います。

    今はサイドハーフ、左が多いですけど、左も右もやりますし、真ん中もいろんなところでやっています。どこでも自分の良さを出さなくてはいけないし、そういうポジションをやっているからこそ、今まであまり感じられなかったことが具体的になったりしました。

    ――今まで感じられなかったことというのは?

    もともと1人でドリブルして抜いていくタイプじゃないので、周りとのコミュニケーションやコンビネーションで自分の良さをより引き出せるのでは? と感じていました。(2列目だと)1番前でプレーする時よりも、周りの選手とコミュニケーションを取らなきゃいけない。守備時も後ろの選手の声を聞きながらプレーします。そういったプレーは以前よりもできるようになったと思います。

    「ここでやれ」と言われたポジションでできることを見つけないといけない。自分がやりたいセンターFWプレーできなくても、サイドもできると分かってもらうこと、そこでの自分の良さがチームのプラスになればいいと思いながらやっています。

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    存在感を見せる日本人選手たち

    ――リーグ・アンには6人の日本人選手が所属しています。日本人選手同士でコミュニケーションを取られることはありますか。

    LINEグループがあって頻繁に話すとかはないですが、(南野)拓実くん(モナコ)は何回も試合をして何回もユニフォーム交換をしています。(伊東)純也くん、(中村)敬斗くんは会えば話しますし、関根(大輝)選手は試合で初めて会って、ちょっと話しました。古橋亨梧(レンヌ)選手とも試合で会って、「お互い頑張ろう」といったことを話しました。

    ――リーグ・アンに日本人選手が増えた理由はなぜだと思われますか。

    ワールドカップ含めて日本代表が強豪と言われる国を倒しています。その選手たちが所属クラブで結果を残していることが、選手の質の高さ、層の厚さも含めてJリーグや日本人選手に目が行くきっかけにもなっていると思います。(個々のプレー面では)技術的な部分に加え、戦術理解度の高さもあると思います。例えば練習で1回説明したらすぐ分かってすぐできるといった、そういう特長はあるかなと思います。

    ――多くの日本人選手が海外移籍をしている一方、欧州5大リーグにたどり着くのは難しい側面もあります。オナイウ選手がリーグ・アンでプレーできている理由はどこにあると思いますか。

    僕は良いクラブに所属させてもらっているだけなので。トゥールーズはもともとリーグ・アンにいるのが普通なのに、2部に落ちてしまったところを1部に戻ろうというプロジェクトがあってそのタイミングで加入しました。オセールも古豪でフランスを代表するクラブなのに2部に落ちてそのタイミングで移籍してきて優勝して昇格を決めて、今年は1部残留を果たしています。個人としてリーグ・アンでプレーできている理由をと聞かれたら結構難しいです。

    もちろん、フランスでプレーしてきて、強度や局面での激しさは日本よりもあると思います。あと僕自身、あまりケガをしない。ほとんどケガなくずっとやれているから(先発でなくても)常にメンバーに入っていて、出場時間が短くても、そこでチャンスを得られる回数が結果として多いかもしれない。そこは一つのよい要因かなとは思います。

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    日本代表復帰のためにここで結果を出す

    ――日本代表という目標は持っておられますか。

    もちろん、ここでプレーしているのもそのためだと思っていますし、過去に一緒にプレーしたり欧州でプレーしたりしている選手が日本代表でプレーしているのを見るのは刺激にもなります。そういう選手たちに自分が完全に劣っているとは思っていません。でも、その中に入っていくには、個人としての結果が必要なので。結果を残さないとそこには入っていけない。

    日本代表に選ばれている選手たちは、クラブでも代表でも結果を残しています。同等かそれよりもいいパフォーマンスを常に出していかないと難しい。だから今はここで、リーグ戦で少しでも数字を多く残せるように個人としては頑張りたいと思っています。

    ――Jリーグの結果は見ていらっしゃいますか。

    見ていますよ。(ジェフ)千葉にはトゥールーズの時に通訳をやってくださっていた方が今働いているので、よく連絡を取ります。弟(オナイウ情滋)も仙台にいるので、ちょくちょく見ています。

    ――古巣のジェフは今季調子が良くてJ2の首位を走っています。

    試合の内容は見られていないのですが、今まではシーズン最初に勝てないことが多かった。でも、今季はスタートダッシュに成功しています。ジェフは昔からあるクラブですし、J1に戻って来たら日本のサッカー界全体としてまた新たな盛り上がりができると思っています。

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    横浜FMは「キー坊がいるから」

    ――一方、横浜F・マリノスは苦戦しています。

    今は大変で難しい状況にあると思いますが、キー坊(喜田拓也)はじめ、いろんな時期を知っている選手がいます。監督が代わるなどいろいろあると思いますが、キー坊、ジュンくん(天野純)といった経験ある選手、マリノスのことをよく分かっている選手もいます。ここはなんとか良くしていってほしい。今はうまくいっていないとはいえ、シーズンも長いので、あまり心配はしていないです。

    ――大分トリニータと横浜FMで一緒だった岩田智輝選手も海外組になりました。

    智輝はよく連絡を取っています。バーミンガムに移籍する前も「こんな話があるんですけど」と話もしましたし。大分の時から家族ぐるみで仲がよくて、こちらに来てからも一緒にディズニー(ランド)に行ったりしましたしね。ゴール動画を見て頑張っているな負けられないなって感じます。(イングランド3部年間)ベストイレブンに選出されたというニュースも見ましたし、僕も頑張ろうという気持ちになります。

    ――Jリーグと海外が地続きになって来ていると感じます。

    Jから海外に行く選手は多くなりましたよね。(水沼)宏太くんも、オーストラリアのチーム(ニューカッスル・ジェッツ)に行って、選手としても人としても人気がある感じが伝わってきます。一緒にプレーしていた選手がいろんなところで活躍しているのは嬉しいし、負けられなと常に思っています。

    ――最後に、日本のファン・サポーターへメッセージをお願いします。

    自分が出ている試合にコメントやメッセージをくれるサポーターの方、以前所属していたチームのサポーターの方。できるだけ多く試合に出て活躍して、「あの時ウチにいた選手がヨーロッパでも活躍しているんだよ」っていうことを届けられるように、できるだけ長く、たくさん活躍できるようにこちらで頑張りたいと思っています。

    ◎協力:リーグ・アン/聞き手:吉村美千代(GOAL編集部)

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