ブライトンで今シーズンここまで公式戦21試合に出場して7ゴールをマークしている三笘。直近のリーグ8試合でスーパーゴールや決勝弾を含む5ゴールを挙げているだけでなく、左サイドからの切れ味鋭いドリブルでチャンスを創出し続けており、現地でもプレミアリーグ有数のウインガーとして認知されるほどになった。今回は、さらなる飛躍が期待されるシーズン後半戦、三笘とのマッチアップが予想されるプレミアリーグ屈指の右サイドバックたちを紹介。対戦時の三笘との攻防は必見だ。※日程は変更される可能性あり
(C)Getty Images三笘薫を止められるのは誰? 今後マッチアップ予定…「ラスボス」らプレミアリーグ屈指の右SBたち
(C)Getty Imagesルーク・エイリング(リーズ・ユナイテッド、イングランド)
対戦予定日:プレミアリーグ第27節、3月11日(A)
アーセナルユース出身のエイリングはこれまでのキャリアのほとんどをリーグ1(イングランド3部)やチャンピオンシップ(同2部)で過ごしてきた中、昇格したリーズと共に2020-21シーズンにプレミアリーグ初出場。叩き上げのDFらしく、そのプレースタイルはまさにファイターと言えるもの。テクニックや間合いの感覚が特別優れているわけではないものの、インテンシティの高さとフィジカルでもって守備時に対面相手の先手を取り、球際の強さで一対一を制しにかかる選手だ。今月に行われたマンチェスター・ユナイテッド戦でもアレハンドロ・ガルナチョやマーカス・ラッシュフォードに対して奮闘。緩急とテクニックに優れる三笘と対称的なスタイルだけに、相性や展開次第で「完勝」「完敗」のどちらも予想される注目のマッチアップになるだろう。
(C)Getty Imagesアーロン・ワン=ビサカ(マンチェスター・ユナイテッド、イングランド代表)
対戦予定日:プレミアリーグ第28節、3月19日(H)
こと一対一の守備に関しては世界最高の一人と言って間違いないだろう。元々は右ウインガーだったワン=ビサカだが、前所属クリスタル・パレスの練習時にウィルフリード・ザハとマッチアップして完封したことを機に右サイドバックにコンバートされると、その才能が開花。恵まれた身体能力と瞬発力を活かした守備が最大の特長となった。一度かわされたように見えた中でも、ゴムのように伸びる脚で華麗にボールを刈り取るタックルは芸術の域で、まさに“スパイダー(蜘蛛)”。開幕節のブライトン戦では共に出場がなかっただけに、3月に予定されている試合で初対戦が実現すれば、そのマッチアップは必見だ。
(C)Getty Imagesクリスティアン・ロメロ(トッテナム、アルゼンチン代表)
対戦予定日:プレミアリーグ第30節、4月8日(A)
システム上、今回のメンバーの中では直接マッチアップしない可能性もあるが、24歳の若さでアルゼンチン代表とトッテナムで守備の要として君臨しているクリスティアン・ロメロも紹介。アルゼンチンからはいつの時代も素晴らしいCBが輩出されているが、ロメロは現代型の選手で、サイドバックとしてもプレー可能だ。対人戦の強さやインターセプト能力が高いほか、ボール奪取からそのまま前線へ駆け上がる攻撃性能も備えている。また、セットプレーでは高い打点のヘディングも武器で、攻守両面で存在感を発揮。一方で熱くなりやすく、セリエA時代から続くイエローカードの多さはトッテナム加入後も改善はされていない。そのため、三笘にとってはいかにチームとしてロメロを追い込むことができるかという点もカギになる。逆にロメロは三笘の圧倒的な初速に対応できるかが勝負の鍵を握るだろう。
(C)Getty Imagesリース・ジェームズ(チェルシー、イングランド代表)
対戦予定日:プレミアリーグ第31節、4月15日(A)
チェルシーの下部組織出身で、瞬く間にセサル・アスピリクエタからレギュラー座を勝ち取った23歳のジェームズ。最大の武器は、的確な攻撃参加から繰り出される精度の高いクロス&シュートだ。昨季はリーグ戦26試合で5ゴール9アシストと、DFとは思えない結果を残している。アスリートとしての能力も非常に高く、スピードと無理の利く身体を活かした一対一も迫力があり、世界屈指のアタッカーにも全く引けを取らない対人の強さを持っている。決して攻撃だけの存在ではなく、守備能力もトップレベル。今季は負傷の影響でコンディションに苦しんでいるが、三笘と対戦するシーズン後半にはフィットしていることが予想される。フィジカルで勝る相手に対し、日本代表ウインガーはどのような方法で仕掛けていくのか、マッチアップが非常に楽しみだ。
(C)Getty Imagesキーラン・トリッピアー(ニューカッスル、イングランド代表)
対戦予定日:プレミアリーグ第25節、未定
イングランド人選手としては珍しく国外でのプレー経験を持つトリッピアー。バーンリー、トッテナム、アトレティコ・マドリーを経て、復活する古豪ニューカッスルでキャプテンを担っている。選手としての最大の売りは攻撃参加。キャリアを通じてウイングバックでプレーすることが多く、セットプレーを任される右足のキック精度は世界最高峰と言っていい。一方、守備に関しての能力は平均的なもので、前後左右味方との連携で相手を封殺するのが基本スタイルだ。そのため、個人とのマッチアップを見れば三笘に分があるか。ただ、トリッピアーが高い位置でボールを持ち、守備的な負荷を加えることも勝負のポイントとなる。いずれにせよニューカッスルはチーム戦術を徹底して三笘にいい形で持たせず、トリッピアーも含めた複数人で対応する必要性に迫られそうだ。
(C)Getty Imagesカイル・ウォーカー(マンチェスター・シティ、イングランド代表)
対戦予定日:プレミアリーグ第32節、4月22日(H)
プレミアリーグ最強の右サイドバックと評されるのがカイル・ウォーカーだ。3バックでもプレー可能なほど守備の強度は高く、身長は180センチに満たないが、屈強な体幹を持ち大柄選手にも競り負けることは少ない。32歳となった現在もスピードに衰えはなく、化け物じみたアタッカーが揃うプレミアリーグでもトップクラスの速さを誇る。攻撃面での貢献は比較的小さいものの、様々な場所から起点を作ることのできるシティにおいてはそれもウィークポイントとはならない。守りに専念されれば、まず抜き去るのは難しいサイドバックで、三笘薫にとっては“ラスボス”とも言える存在になる。初速やフィジカルにおいても三笘と同等かそれ以上の能力を持っており、マッチアップのカギを握るのは駆け引きになると予想。縦に抜けるか、カットインしてシュートを狙うか、味方を使うか、狙いを絞らせずプレミア最強のSBを攻略したい。
(C)Getty Imagesベン・ホワイト(アーセナル、イングランド代表)
対戦予定日:プレミアリーグ第36節、5月13日(A)
今季右サイドバックにコンバートされた頭脳派DF。フィジカル面やスピード面はリーグで秀でているわけではないが、冷静な状況分析と中盤の選手並みの技術力、高い戦術理解度でミケル・アルテタ監督の信頼を完全に掴んでおり、長年サイドバックとして活躍してきた選手のような振る舞いをプレミアリーグで見せている。DFとは思えないビルドアップ能力とタイミングの良い攻撃参加に注目が集まりがちだが、相手陣内まで飛び出しての積極的なプレスや周りと連携しながらのカバーリングなど、守備における基本技術も非常に高い。しかし前述の通り、身体能力や一対一ではやや不安を感じる場面もあり、昨年末の三笘との対戦では置き去りにされる場面も散見された(後半早い時間で冨安と交代に)。次回の対戦はシーズン最終盤に予定されており、優勝争いの状況次第でアーセナルは死にものぐるいで勝ち点3を取りに来るはずだ。そんな中で行われる同サイドの攻防は、間違いなく一見の価値ありだろう。
(C)Getty Images冨安健洋(アーセナル、日本代表)
対戦予定日:プレミアリーグ第36節、5月13日(A)
ホワイトと激しいポジション争いを繰り広げる日本代表DF。アルテタ監督に右サイドバックとして高く評価されアーセナルに加入した24歳DFは、現在チーム戦術の問題からベンチスタートが増えている。直近のマンチェスター・シティ戦はらしくないミスで失点の原因となったが、単純な守備者としての能力は、スタメンを掴むホワイトよりも上だろう。恵まれた身体能力と鋭い読みに空中戦、さらに思い切りの良い決断力と走り合いにも負けないスピードで、トップレベルの選手でも彼との一対一を避ける場面は多い。昨年10月のリヴァプール戦(3-2)ではモハメド・サラー対策として左サイドで起用されたほど。三笘は以前のブライトン戦前、「個人的にも勝ちたい対決」と明かしており、2人の日本代表がプレミアリーグという世界最高峰の舞台で切磋琢磨していく姿は非常に興味深く、ワクワクするものだ。この日本代表対戦は今後も注目だ。