ドイツと相対する日本は、中央もサイドもしっかり守らなくてはならない。ドイツの選手は技術レベルが非常に高く、サイドバック、ウイング、ボランチでつくり出す三角形から優位性を生み出してくる。ドイツは相手のDF&MFのライン間に位置するジャマル・ムシアラ、サイドハーフのセルジュ・ニャブリ&トーマス・ミュラーを中心に、とても機動力が高いチームだ。彼らのほかカイ・ハヴァーツは前線から下がってあらゆるところに顔を出し、ヨシュア・キミッヒとイルカイ・ギュンドアンの2ボランチは低い位置から創造性を発揮して攻撃を構築する(フリックがフィジカルを重視して、ゴレツカをボランチに起用する可能性も拭えない)。
日本はドイツの各ラインを分断すべく、ピッチ中央で守備ブロックをつくるべきだ(ボールを奪うタイミングなどの基準をつくるのは遠藤航の役割となる)。そこで何よりも気をつけるべきは、DFラインと中盤の間にスペースを空けないこと。加えて、伊東純也、南野拓実、久保建英らサイドアタッカーは、ドイツのサイドバックの攻撃参加、とりわけ左のダヴィド・ラウムのオーバーラップに常に気を配らなければならない。
なぜなら、ドイツはサイドからクロスを上げることに執着し、ペナルティーエリア付近に選手たちを集中させてくるからだ。日本は世界でも高クラスの両センターバック、そしてカバーリングに入る遠藤が彼ららしく対応しなくてはいけない。オマーンも過去のイングランドやイタリアと同様に、ドイツの厚いサイド攻撃に苦しんでいた。
ドイツは厚みのあるサイド攻撃から的確な壁パスなどでチャンスをつくり出し、様々な選手がフィニッシュの局面に絡んでいく。ここで日本の選手たちが特に慎重に対応しなければならないのは、ムシアラ、ニャブリ。彼ら相手に無闇にタックルを仕掛けてボールを奪おうとすれば手玉に取られる可能性が高く、繰り出してくるアクションを冷静に見極めて、適切な対応を見せたいところだ。
攻めるドイツは波状攻撃を狙い、持ち前のインテンシティーでもって相手陣地でボールを奪おうと試みる。両サイドバックもかなり前に位置して仕掛けられる、このプレッシングへの力の入れようは相当なもので、日本を彼らの自陣から逃すことなく致命的な状況に持ち込もうとしてくるはず。だがしかし、森保のチームが有するクオリティーを考えれば、ここでドイツに打撃を与えられる可能性がある。