残念ながら、エメリがサンチョに描いた再生の道は実現していない。そして彼にすらできないのであれば、誰がサンチョをプレミアリーグで活躍させることができるのだろうか?
彼の振る舞いや生活態度の悪さが足を引っ張ってきたのは確かだ。だが、単純に彼のプレースタイルがプレミアリーグのインテンシティに適していない。2019年~2021年、ドルトムントで迎えた絶頂期でさえ、スピードで相手DFを置き去りにするようなプレーはなかった。彼の真価はトランジション時のドリブルにあり、相手DFライン付近よりも手前のピッチ中央で脅威を生み出し、ストライカーへスルーパスを供給し、自身もボックス内まで走り込んでいくスタイルである。プレミアリーグにはそうした時間もスペースもほとんど与えられない。
だからこそ、彼自身がもう一度国外での成功を考えるべきだろう。過去4年間の苦戦を考えると信じられない人もいるだろうが、サンチョはイングランド人選手にとって、海外で成功を収める先駆者である。ジュード・ベリンガムの成功も、彼の影響があったことは否めないはずだ。そしてイングランド代表OBジャーメイン・ジェナスも同じように考えている(『10bet』)。
「彼は再び海外でプレーすべきだと思う。イングランド国外のテンポとフィジカルの方が彼に合っているからだ。今では、海外で真の実力を発揮している選手も多い。必ずしも成功するとは限らないが、サンチョのような能力を持つ選手には適していると思うよ」
「サンチョに才能があるかって? 並外れた才能を持つ選手であることは明らかだ。だが、プレミアリーグに来てからはその才能を一貫して発揮できていない。マンチェスター・ユナイテッドでは複数の監督のもとで数多くの機会を得た。今度は別の監督のもとでアストン・ヴィラに移籍したが、やはりうまくいっていないんだ」