Ibrahim Mbaye NXGN GFXGetty/GOAL

イブラヒム・エンバイェ:“Next エンバペ”最有力?PSG最年少先発を飾った17歳の逸材が魅せる可能性

今季はリーグ・アン制覇を早々に達成し、悲願のビッグイヤー獲得へチャンピオンズリーグ決勝にも進んだパリ・サンジェルマン(PSG)。そんな彼らを彩るのは、やはり世界屈指の攻撃陣だ。バロンドール有力候補のウスマン・デンベレ、圧倒的なキレでチャンスを量産するフヴィチャ・クヴァラツヘリア、そしてブラッドリー・バルコラとデジレ・ドゥエ……この3トップを止められるチームは世界に多くないだろう。

しかし、早くもそんな豪華攻撃陣を脅かす存在が台頭している。17歳の逸材イブラヒム・エンバイェは、来シーズンにも主力の一角を担うポテンシャルを十分に秘めているのだ。

  • キャリアの始まり

    パリ近郊のトラップスで生まれたエンバイェ。元PSGのストライカー、ニコラ・アネルカの育ったちで生まれた彼は、幼少期はバスケットボールに夢中だったという。しかし、父親が『Youtube』の動画を見せてフットボールを教えると、5歳で地元のクラブチームに入団。その後ヴェルサイユでプレーしていたが、そのポテンシャルを見抜いていたPSGに10歳でスカウトされた。

    PSGのユースチームでその成長は加速し、16歳でU-19チームに昇格すると、昨シーズンはチャンピオンナット・ナショナル優勝に大きく貢献。マルセイユとのプレーオフ準決勝でゴール、オセールとの決勝ではアシストも記録している。

  • 広告
  • Ibrahim Mbaye PSG 2024-25Getty Images

    史上最年少先発

    そんな天才少年に、トップチーム指揮官ルイス・エンリケもすぐに目をつけた。昨夏のプレシーズンツアーに帯同させると、8月7日のシュトゥルム・グラーツ戦では先制点をマーク。3日後のRBライプツィヒ戦でもインパクトを残すと、リーグ・アン開幕戦で先発に大抜擢された。16歳205日での公式戦先発出場は、PSG最年少記録に。本人も喜びを爆発させている。

    「僕はクラブの歴史に名を刻むんだ。信じられないよ。このレベルで戦うには努力が必要だ。インテンシティは本当に高いし、慣れない環境だけど、本当に特別だったよ」

  • FBL-FRA-LIGUE1-SAINT-ETIENNE-PSGAFP

    強める存在感

    開幕8試合中5試合に出場したエンバイェ。その後はUEFAユースリーグを主戦場としていたが、3月には再びトップチームに合流すると、サンテティエンヌ戦(6-1)でプロ初ゴールをマークしている。これはPSG史上3番目の年少記録だ。「幸せだよ。この状態を長く続けて、他の試合でももっとゴールを決めたい」と未来に目を向けていた。

    さらにエンバイェは、優勝が決まった後のストラスブール戦やモンペリエ戦でもフル出場。存在感を強めており、インテルとのチャンピオンズリーグ決勝でもベンチ入りする可能性は非常に高い。

  • プレーの特徴

    エンバイェは、爆発的なスピードとキレのあるドリブルを武器に、常に相手選手へとチャレンジし続けるウインガーだ。右足でのカットインを好むために左サイドを主戦場とするが、縦への突破という選択肢も持つために右サイドでも貢献できる。

    そして一部では、その身体的な特徴とメンタリティから、デンベレのように中央のポジションでの成長を期待する声も上がっている。ルイス・エンリケはまだ最適なポジションを明言していないが、エンバイェについてこう語っている。

    「ボールを持っている時も持っていない時も、どちらでも非常に良いリズムでプレーできるね。長所はたくさんあるし、非常に賢い選手だ。トレーニングの姿勢も気に入っている。常にチームを助ける準備ができているしね」

  • Ibrahim Mbaye PSG 2024-25Getty Images

    改善の余地があります

    一方で、ドリブルの選択肢や使い方はまだ学ぶ必要もある。特に読みやすく、強引な仕掛けが目立つこともある。またシュートやラストパスなど、フィニッシュフェーズはまだまだ改善が必要だ。それでも、彼のワークレートや成長意欲は誰しもが認めるところであり、今後数年間で大化けする可能性もあるだろう。

  • FBL-FRA-CUP-LYON-PSGAFP

    “Next エンバペ”?

    そのスピード、パワー、センス、そして地元出身ということから、エンバイェが“Next エンバペ”と呼ばれるのは必然の流れだった。特に相手守備陣に臆することなくチャレンジする勇気は、まさにエンバペを彷彿とさせるものだ。PSG歴代最多得点記録者とはまだ距離があるのは当然なものの、彼がこの地で見せたような成長曲線を描けるかもしれない。そんな期待は高まっている。

  • FBL-FRA-LIGUE1-SAINT-ETIENNE-PSGAFP

    飛躍のシーズンへ

    複数の欧州トップクラブから関心を集める中、エンバイェは2月にPSGと初めてのプロ契約を結んでいる。「会長、コーチ陣、スタッフ、チーム、そして常に支えてくれた家族に感謝したい。でも、今はまだ始まりに過ぎない。さらに前へ進んでいくよ!」とPSGでの成長を誓った。

    パルク・デ・プランスは、若手選手にとって決して優しい環境ではない。世界最高レベルの選手たちが続々と加入してくるメガクラブだ。それでも、エンバイェは18歳になる前に10試合に出場している。これは彼の能力がいかに優れているかを示す例だ。

    今季残された試合数は多くないが、状況によってはチャンピオンズリーグ決勝でも出場機会はあるだろう。そして来シーズン、デンベレ、クヴァラツヘリア、ドゥエ、バルコラの豪華攻撃陣に割って入っていくポテンシャルは十分にある。今後の成長が楽しみな逸材だ。